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コメント(41)
「孫たちへの証言 おじいちゃんの聖戦『大東亜戦争』」
「戦争！泣き笑い人生」より
根元正平著 創栄出版 2000年10月26日発行 2000円（税別）
著者は旧姓・赤沼で、宮城県山元町出身。陸軍航空士官学校54期、飛行第90戦隊に配属され、99双軽乗りとして活躍された方です。航士同期生の方にインタビューした際、この本を貸していただきました。
菅野直大尉と角田中学校の同級生で、碇義朗著「最後の撃墜王」の中に、根本（赤沼）氏と菅野大尉昭和20年5月末に偶然再会した場面が書かれているのですが、その部分が転載されています。
ここで、著書も含め、その一部を抜粋します。
・・その日、陸海軍合同の作戦会議が鹿屋の近くで開かれ、根元大尉も陸軍側の一人として会議に出席していた。・・会議中、根元は何気なく向かい側を見て八とした。斜め前に座った海軍士官は、どう見ても角田中学時代の同級生菅野直に違いなかった。向こうも気づいたらしいが、会議中は私語を交わすことはできない。・・その夜、二人は再会を祝して鹿屋の海軍レスで痛飲したが、精悍さを加えて引き締まってはいたものの、中学時代の色白な少年の面影を残した菅野の変わりように根元は驚かされた。
彼はよく飲み、かつしゃべった。・・それにしても飲みっぷりといい、粗野な態度といい、まるで与太者みたいで、これがおだやかで文学的でもあった中学時代の菅野と同一人物とは、どうしても思えなかった。
しかし、彼が何気なく言った「オレも長いことないんだ」の一言は、私も沖縄攻撃に行って片方のエンジンをやられて辛うじて帰ってきた直後だけに、妙に私の心に残った・・・
「戦争！泣き笑い人生」より
根元正平著 創栄出版 2000年10月26日発行 2000円（税別）
著者は旧姓・赤沼で、宮城県山元町出身。陸軍航空士官学校54期、飛行第90戦隊に配属され、99双軽乗りとして活躍された方です。航士同期生の方にインタビューした際、この本を貸していただきました。
菅野直大尉と角田中学校の同級生で、碇義朗著「最後の撃墜王」の中に、根本（赤沼）氏と菅野大尉昭和20年5月末に偶然再会した場面が書かれているのですが、その部分が転載されています。
ここで、著書も含め、その一部を抜粋します。
・・その日、陸海軍合同の作戦会議が鹿屋の近くで開かれ、根元大尉も陸軍側の一人として会議に出席していた。・・会議中、根元は何気なく向かい側を見て八とした。斜め前に座った海軍士官は、どう見ても角田中学時代の同級生菅野直に違いなかった。向こうも気づいたらしいが、会議中は私語を交わすことはできない。・・その夜、二人は再会を祝して鹿屋の海軍レスで痛飲したが、精悍さを加えて引き締まってはいたものの、中学時代の色白な少年の面影を残した菅野の変わりように根元は驚かされた。
彼はよく飲み、かつしゃべった。・・それにしても飲みっぷりといい、粗野な態度といい、まるで与太者みたいで、これがおだやかで文学的でもあった中学時代の菅野と同一人物とは、どうしても思えなかった。
しかし、彼が何気なく言った「オレも長いことないんだ」の一言は、私も沖縄攻撃に行って片方のエンジンをやられて辛うじて帰ってきた直後だけに、妙に私の心に残った・・・
ＮＨＫ ＢＳプレミアム
プレミアム ドキュメンタリードラマ「撃墜 ３人のパイロット」（前編）
2014年8月9日(土)
午後7:30〜午後9:00(90分)
ザ・プレミアム ドキュメンタリードラマ「撃墜 ３人のパイロット」（後編）
2014年8月16日 (土)
午後7:30〜午後9:00
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2014-08-09&ch=10&eid=1152&f=3198
実在した日本・中国・アメリカの３人の戦闘機パイロットを題材にしたドラマ。
日本のパイロットは海軍航空隊の武藤金義です。「空の宮本武蔵」の異名を持つ武藤中尉（戦死後昇進）ですが、マスコミで取り上げる機会は多くありません。
紫電改の343空が舞台にもなるので菅野直も登場するかもしれないのでアップしておきます。
ドラマですので、作品には賛否両論でるでしょうが、ＮＨＫがどこまでやってくれるのか楽しみでもあります。
プレミアム ドキュメンタリードラマ「撃墜 ３人のパイロット」（前編）
2014年8月9日(土)
午後7:30〜午後9:00(90分)
ザ・プレミアム ドキュメンタリードラマ「撃墜 ３人のパイロット」（後編）
2014年8月16日 (土)
午後7:30〜午後9:00
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2014-08-09&ch=10&eid=1152&f=3198
実在した日本・中国・アメリカの３人の戦闘機パイロットを題材にしたドラマ。
日本のパイロットは海軍航空隊の武藤金義です。「空の宮本武蔵」の異名を持つ武藤中尉（戦死後昇進）ですが、マスコミで取り上げる機会は多くありません。
紫電改の343空が舞台にもなるので菅野直も登場するかもしれないのでアップしておきます。
ドラマですので、作品には賛否両論でるでしょうが、ＮＨＫがどこまでやってくれるのか楽しみでもあります。
菅野直の生涯を振り返りながら、動画や各種資料などを探してみたいと思います。
菅野 直（かんの なおし）
1921年（大正10年）10月13日、警察署長である父の赴任先の竜口（現北朝鮮平壌近郊）にて生誕。1924年（大正13年）父が健康を害した為、一家は父母の故郷である宮城県伊具郡枝野村（現：角田市枝野）に引揚げ。両親の故郷が枝野の近郊だったそうです。
生誕地の「竜口（現北朝鮮平壌近郊）」はどこなんでしょうね。
ネット検索では出てきませんでした。
「宮城県角田市枝野」の読み方は「みやぎけん かくだし えだの」です。角田市の位置を大体知ってもらうため、地図を添付します。
宮城県角田市について何も知らないので、観光動画をアップします。
菅野 直（かんの なおし）
1921年（大正10年）10月13日、警察署長である父の赴任先の竜口（現北朝鮮平壌近郊）にて生誕。1924年（大正13年）父が健康を害した為、一家は父母の故郷である宮城県伊具郡枝野村（現：角田市枝野）に引揚げ。両親の故郷が枝野の近郊だったそうです。
生誕地の「竜口（現北朝鮮平壌近郊）」はどこなんでしょうね。
ネット検索では出てきませんでした。
「宮城県角田市枝野」の読み方は「みやぎけん かくだし えだの」です。角田市の位置を大体知ってもらうため、地図を添付します。
宮城県角田市について何も知らないので、観光動画をアップします。
【31】の続きです。
3歳の時、現在の宮城県角田市枝野に移った菅野直ですが、1928年（昭和3年）、7歳になる年に小学校に上がります。
しかし、Wikipediaにはどの小学校に入学したか記されていません。地名と場所から見て「枝野尋常高等小学校」が該当すと思われます。現在の角田市立枝野小学校です。枝野小学校は1873年（明治6年）に開校という歴史のある小学校でしたが、統廃合により2023年（令和5年）に閉校になったようです。
菅野が枝野小学校に入学した証拠を持っていませんので、この辺にしておきます。ご存じの方がいらしたら、是非ご教示ください。
1934年（昭和9年）4月、尋常小学校を卒業した菅野は、宮城県角田中学校に一番の成績で入学しました。現在の宮城県角田高等学校です。中学の同級生は「どちらかというと菅野は軟派（文学男子）であった」と語っています。菅野は中学で、石川啄木に傾倒して短歌を好み、同級生と文学サークルを作るほどの文学少年でした。当時、河北新報の文芸欄に投稿した菅野の短歌が入選しているそうです。
ちなみに、宮城県角田高等学校のWikiには著名な卒業生として菅野直の名前があります。2015年には角田高校演劇部が、菅野直を主人公に太平洋戦争を題材にした創作劇「菅野なるヒコーキ野郎」を上演したようで、人気があるんですね。
【参考サイト】
宮城県角田高等学校-Wiki
https://bit.ly/3LJ6K29
菅野直の演劇-創作劇「菅野なるヒコーキ野郎」
http://xba.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-c682.html
3歳の時、現在の宮城県角田市枝野に移った菅野直ですが、1928年（昭和3年）、7歳になる年に小学校に上がります。
しかし、Wikipediaにはどの小学校に入学したか記されていません。地名と場所から見て「枝野尋常高等小学校」が該当すと思われます。現在の角田市立枝野小学校です。枝野小学校は1873年（明治6年）に開校という歴史のある小学校でしたが、統廃合により2023年（令和5年）に閉校になったようです。
菅野が枝野小学校に入学した証拠を持っていませんので、この辺にしておきます。ご存じの方がいらしたら、是非ご教示ください。
1934年（昭和9年）4月、尋常小学校を卒業した菅野は、宮城県角田中学校に一番の成績で入学しました。現在の宮城県角田高等学校です。中学の同級生は「どちらかというと菅野は軟派（文学男子）であった」と語っています。菅野は中学で、石川啄木に傾倒して短歌を好み、同級生と文学サークルを作るほどの文学少年でした。当時、河北新報の文芸欄に投稿した菅野の短歌が入選しているそうです。
ちなみに、宮城県角田高等学校のWikiには著名な卒業生として菅野直の名前があります。2015年には角田高校演劇部が、菅野直を主人公に太平洋戦争を題材にした創作劇「菅野なるヒコーキ野郎」を上演したようで、人気があるんですね。
【参考サイト】
宮城県角田高等学校-Wiki
https://bit.ly/3LJ6K29
菅野直の演劇-創作劇「菅野なるヒコーキ野郎」
http://xba.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-c682.html
【35】の続きです。
13、14、15歳と多感な時代を送る菅野直は、「文学の道」に進むことを熱望していたと思われます。この時期に日記もつけていました。そんな菅野に軍人になる決心をさせたのは、主に家庭の事情でした。兄が米沢高等工業へ進学、妹2人も高等女学校へ進学する予定であり、裕福な菅野家でもこの負担は大きかったのです。
学費のかからない学校への進学を模索する菅野は、中学4年時に満州国の国立大学である建国大学への推薦入学を希望しますが、中学校側に受理されません。そこで菅野は、海軍兵学校（海兵）、陸軍士官学校（陸士）の受験を決意します。
菅野が海軍兵学校に合格するまでを、年表形式で概観してみます。
■昭和12年（1937）1月1日 中学3年・15歳
正月、学校の軍事教練教官・井上少佐の盛装に感銘を受ける。『 僕も一つ軍人にならんと志を堅くした 』石川啄木はかつて海軍兵学校生徒の軍服姿を見て軍人志望を志した事があり、菅野はそれを知っていたと思わる。
■昭和12年（1937）4月14日 中学4年・15歳
『 勉強できる身は幸福だと思う 』困窮する東北地方の農村事情を知っていたのであろう。
■時期不明 中学4年・15or16歳
家族と進路を話し合った際、『 お兄ちゃんは大学に進んだ方がいい。僕は軍人になるから 』 と宣言する。
■昭和12年（1937）9月10日 中学4年・15歳
同年7月7日に日中戦争（支那事変）が始まり、井上教官も中国大陸に出征することになった。尊敬する井上少佐を想う短歌8首を記している。この数週間後の10月18日、井上少佐は上海で戦死。
■昭和12年（1937）秋頃 中学4年・16歳
翌春より開学する満州国立建国大学への推薦入学を希望するが、5年生を優先する学校側はこれを受理せず、断念を余儀なくされる。
■昭和13年（1938）6月頃 中学5年・16歳
海軍兵学校・陸軍士官学校へ入学出願。
■昭和13年（1938）7月25日 中学5年・16歳
海軍兵学校の身体検査。この日、全国48か所の試験場にて一斉に行われる。菅野少年は仙台市の宮城県立・宮城男子師範学校にて受験し合格。
■昭和13年（1938）8月5日〜9日 中学5年・16歳
海軍兵学校の学術・口頭試験（宮城試験場）。5日間に渡って実施された「数学�機廖嵜�学�供廖岷儻譟廖嵎�理・化学」「国語・漢文」「日本史」「作文」「口頭試問」試験にパスし、「最終試験継続者」となる。ここから家庭調査などでさらに絞り込まれるため、まだ正式合格ではない。因みに、宮城試験場での受験者総数・約200名に対し、「最終試験継続者」は42名。狭き門である。
■昭和13年（1938）9月 中学5年・16歳
陸軍士官学校の身体検査に落ちる。陸士の方は身体検査で引っかかり、学科試験へ進めなかった。ただ、海兵の方がうまくいっていたせいか、気落ちは無かったようで、日記での言及はほとんどなく、級友の健闘を祈る旨が淡々と記されているのみ。
■昭和13年（1938）9月20日 中学5年・16歳
身元調査の為、自宅に憲兵が来訪。海兵合格をほぼ確信したと言う。
■昭和13年（1938）11月3日 中学5年・17歳
海軍兵学校合格の電報が届く。角田中学からの「最終試験継続者」3名の内、最終合格者は菅野と小島光造の2名であった。
■昭和13年（1938）11月9日 中学5年・17歳
海軍兵学校採用予定通知書が届く。日記に海兵合格に関する記述は全く無い。ただ、親戚より合格祈念の腕時計を贈られたことが記されているのみ。これが最後の日記であった。
※（左・中・右）旧海軍兵学校生徒館
13、14、15歳と多感な時代を送る菅野直は、「文学の道」に進むことを熱望していたと思われます。この時期に日記もつけていました。そんな菅野に軍人になる決心をさせたのは、主に家庭の事情でした。兄が米沢高等工業へ進学、妹2人も高等女学校へ進学する予定であり、裕福な菅野家でもこの負担は大きかったのです。
学費のかからない学校への進学を模索する菅野は、中学4年時に満州国の国立大学である建国大学への推薦入学を希望しますが、中学校側に受理されません。そこで菅野は、海軍兵学校（海兵）、陸軍士官学校（陸士）の受験を決意します。
菅野が海軍兵学校に合格するまでを、年表形式で概観してみます。
■昭和12年（1937）1月1日 中学3年・15歳
正月、学校の軍事教練教官・井上少佐の盛装に感銘を受ける。『 僕も一つ軍人にならんと志を堅くした 』石川啄木はかつて海軍兵学校生徒の軍服姿を見て軍人志望を志した事があり、菅野はそれを知っていたと思わる。
■昭和12年（1937）4月14日 中学4年・15歳
『 勉強できる身は幸福だと思う 』困窮する東北地方の農村事情を知っていたのであろう。
■時期不明 中学4年・15or16歳
家族と進路を話し合った際、『 お兄ちゃんは大学に進んだ方がいい。僕は軍人になるから 』 と宣言する。
■昭和12年（1937）9月10日 中学4年・15歳
同年7月7日に日中戦争（支那事変）が始まり、井上教官も中国大陸に出征することになった。尊敬する井上少佐を想う短歌8首を記している。この数週間後の10月18日、井上少佐は上海で戦死。
■昭和12年（1937）秋頃 中学4年・16歳
翌春より開学する満州国立建国大学への推薦入学を希望するが、5年生を優先する学校側はこれを受理せず、断念を余儀なくされる。
■昭和13年（1938）6月頃 中学5年・16歳
海軍兵学校・陸軍士官学校へ入学出願。
■昭和13年（1938）7月25日 中学5年・16歳
海軍兵学校の身体検査。この日、全国48か所の試験場にて一斉に行われる。菅野少年は仙台市の宮城県立・宮城男子師範学校にて受験し合格。
■昭和13年（1938）8月5日〜9日 中学5年・16歳
海軍兵学校の学術・口頭試験（宮城試験場）。5日間に渡って実施された「数学�機廖嵜�学�供廖岷儻譟廖嵎�理・化学」「国語・漢文」「日本史」「作文」「口頭試問」試験にパスし、「最終試験継続者」となる。ここから家庭調査などでさらに絞り込まれるため、まだ正式合格ではない。因みに、宮城試験場での受験者総数・約200名に対し、「最終試験継続者」は42名。狭き門である。
■昭和13年（1938）9月 中学5年・16歳
陸軍士官学校の身体検査に落ちる。陸士の方は身体検査で引っかかり、学科試験へ進めなかった。ただ、海兵の方がうまくいっていたせいか、気落ちは無かったようで、日記での言及はほとんどなく、級友の健闘を祈る旨が淡々と記されているのみ。
■昭和13年（1938）9月20日 中学5年・16歳
身元調査の為、自宅に憲兵が来訪。海兵合格をほぼ確信したと言う。
■昭和13年（1938）11月3日 中学5年・17歳
海軍兵学校合格の電報が届く。角田中学からの「最終試験継続者」3名の内、最終合格者は菅野と小島光造の2名であった。
■昭和13年（1938）11月9日 中学5年・17歳
海軍兵学校採用予定通知書が届く。日記に海兵合格に関する記述は全く無い。ただ、親戚より合格祈念の腕時計を贈られたことが記されているのみ。これが最後の日記であった。
※（左・中・右）旧海軍兵学校生徒館
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