とにかく泣ける話。コミュのHAPPY BIRTHDAY

友達の姉ちゃんの話。
泣けたので友人目線で書いてみました。
(因みにシスコンっぽいけど、彼のタイプは真逆。ただの仲良し兄弟です)
本人から許可得てます。
長文になります。まとまりなくてすいません。


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姉ちゃんは贔屓目無しでも綺麗な人だと思う。
親戚の集まりがあるっていうと、僕も少なからず県外に越した姉ちゃんに会えるの楽しみだったし。

そんな姉ちゃんは大学に入ってから、同じサークルで、しかも、ずっと同じバイト先に勤めてるっていうAさんにずっと言い寄られてた。
「顔合わせる度に言い寄ってくる男がいるんだよー(笑)」
って困って苦笑いしてた。

けど、姉ちゃんは高校時代から好きな先輩を追いかけてその大学に入ってて、その先輩と同じサークルにまで入ってたくらい先輩に熱狂的なまでに夢中だった。
何度も先輩の写メ見せられたけど、女受けしそうな顔ってやつ？

勿論モテモテモテ男。

入学して暫くしたら、そんな先輩は姉ちゃんの事なんて目もくれずに合コン三昧だ…って気付いて自己完結失恋したところへ、先輩と比べたら申し訳無い位に平凡な容姿のAさんがここぞとばかりに優しさアピールして、見事姉ちゃん射止めたっていう話をきいてびっくりした。


恥ずかしがってあんまり馴れ初めは教えてくれなかったけど、
「こんなに私を愛してくれる人は宇宙のどこを探してもいないと思った。」
って結婚式で言ってた。

そう。
付き合っただけに留まらず…大学卒業して、Aさんが就職先で落ち着けそうだってなったところで、姉ちゃんはAさんと結婚しやがったんだよ。
最初はうざがってたのになんだよって思った(笑)


けど、Aさんが優しいのは本当だし、僕たち家族にも滅茶苦茶フレンドリーで。
Aさんは三兄弟の末っ子だったから…「ようやく念願の弟ができた！」とかいって喜んでくれて…
Aさんと二人で山登り行くとか、ことあるごとにAさんにちょこちょこ遊んでもらったりもしてどんどん僕もAさんが好きになっていった。


無茶苦茶優しいって言ってたのに、姉ちゃんにひとつだけ厳しかったんだ。
「笑顔を絶やさずずっと綺麗でいるように」
って。


最初それ聞いた時はなんだそりゃ?!
ってキレそうになったけど、Aさんに本人に直接聞いたら、姉ちゃんは大学に入る辺りから努力して凄く綺麗になったんだって。

実はAさんと姉ちゃんは高校から同じバイト先で働いてて、バイトの休憩時間とかに姉ちゃんから好きな人の相談を受けてたんだけど、どんなアドバイスして貰ってもなかなか振り向いて貰えない…って言って悩んでたらしい。
んで…色々考えたところ、綺麗な顔立ちだけどあんまり笑わないのが勿体ないってAさんが指摘したらしいんだわ。

そこから姉ちゃんとAさんで笑顔の練習をして、大学行ったら高校と違って制服もないしってことで、今までカジュアルだったのを先輩好みに女の子っぽい服装にするために雑誌で研究して…
そしたら、思ってもみない程魅力的な人になっちゃったもんで焦ったって(笑)

家族からしたら、年頃だから色気付いたなぁ位にしか思ってなかったけど…そんなことがあったなんて知らなかった…


そうやって二人でつくりあげたものだから、大切にしていって欲しいって。


だから…せっかく綺麗になって自信がついたんだし、姉ちゃんが大好きな甘いものをこれでもかって位食べてもいいのは誕生日だけって設定にしたんだって。
おっきいケーキ2つ買ってやるから我慢しろって。
勿論一人じゃ食べきれないから2人で3日がかり。
Aさんは2日目からあまいものは見たくないって言ってた(笑)

こんなルールにしたのは、姉ちゃんって本当に甘いものに目がなくて…気付くとドカ食いするから普段は人並みにしか駄目。
って。
結局ルールはちょっと甘めだろ？(笑)

Aさんは姉ちゃんの事をよくわかってるなって、なんか笑った。




結婚して3回目の姉ちゃんの誕生日を迎える前に、Aさんが倒れた。
白血病だった。

ずっと風邪かな…なんて言ってたんだけど…まさかと思った。
手術乗り越えて、治療も続けて…なんとか回復して、自宅に戻った。


姉ちゃんに、「今年は誕生日ケーキ無しだったね…ごめんね」って謝ってたって。


自宅療養して3ヶ月経った位に激変してしまった。
もう、同じ手術は行えないって言われて、放射線治療と投薬治療。
苦しんでどんどん痩せ細っていって…最後は合併症で肺炎を起こしちゃって…半年の闘病生活にピリウドが打たれた。



お通夜とか葬式とか諸々終わった頃に、姉ちゃんから電話があって呼び出された。

「今、お母さんもお家にいる？ちょっとさー…私でも大量すぎるケーキあるから応援要請願う。」って。
いつもののりで。

母さんも連れて行ってみると、手紙と小包みが届いてた。

Aさんから。

「HAPPY BIRTHDAY!!!
今年は頭を使ったよ。
クール便！
頭いいだろ？(笑)
いつものケーキ屋さんにお願いしといたんだ。
今日は看病なんて忘れて、思いっきり甘いものを食べてね！
もし…もう俺がいない状態でも、こうやって君のことをベットでずっと考える位に君が大好きな俺の最後を笑ってよ。

ずっと、笑顔。

約束だよ。

P.S.
もし、俺が最後を迎えたときは「エルマーの冒険」をみて。

一緒にお祝いできなくて、本当にごめんね。」


エルマーの冒険はAさんが子供の頃から読んでたって持ってきた本。
びっしりと結婚生活へのお礼と看病させたお詫び、そして愛を綴った遺書が挟まってたって。

最後のほうに
「俺の事は勿論忘れないで欲しいけど…お前にはずっと幸せに笑っていて欲しいから、いい人ができたら俺は気にせずに再婚しろよ。ずっと笑顔をわすれるな。」
みたいなことが書かれてたって、俺達が姉ちゃんちついて顔合わせた瞬間から姉ちゃんずっとボロボロ泣いてた。


Aさんが買ってくれたケーキ、しょっぱいね
っていいながら。