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Pの『THE つだん部屋』コミュのかけがえのない君へ……

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※創作



僕こと「桜ヶ丘 飛鳥」は父さんと母さんのことを知らない。

僕が知ることができるのは赤ん坊だった僕を抱く父と母を写した写真だけ。

二人がいつまでも笑いかけている。


僕が今の父さんと母さんの子供じゃないと知ったのは13才の誕生日。

養父母が「飛鳥はかけがえのない私達の息子だ。飛鳥のお父さんとお母さんも飛鳥のかけがえのない家族だ」と言った。

最初なんのことか分からなかったけど……何度も丁寧に説明されていくうちに僕の目からは涙がこぼれていた。

そして写真と古く傷つき汚れたデジタルカメラを手渡された。

写真にはさっき言った父さんと母さんと赤ん坊の僕。
デジカメには「かけがえのない君へ」とシールが張られていた。

僕は父さんと母さんにどう思われていたのか不安になった。

僕は二人が思うような息子なのか?とか養父母のことを思うと複雑だった。

けど考えたってわからない。

確かめる手段があるなら実行するのが僕の性分だ。

僕はビデオレーターを再生した。

暗い画面が車内に移り変わり、窓には海が漂いカモメが遠くで飛んでいる。

画面の端から写真で何度も見た父さんと母さんが笑顔で飛び出した。

父さんは母さんが抱いている僕の頬を撫でながら叫ぶ。

「こんにちはー!飛鳥のパパでーす!目元はママにそっくりだな〜!こりゃ将来はイケメンだな!はははは!」

「っもうパパったら!いきなり脱線なんだから!飛鳥が起きたらどうするの?」
「はは〜すまん、すまん」

「えーコホン、飛鳥へママです。このビデオレーターは13才の貴方に送るものです。13才になった貴方は何をしていますか?何か夢を持っていますか?とは言いつつママは飛鳥が元気いっぱいにいてくれればそれで幸せです!以上!はいパパ仕切り直し!」

母さんが父さんを肘でつつく。

「おっと!えーおほん!パパです!13才と言ったら思春期真っ只中!パパやママに色々不満はあると思いますが、これだけは言っておく!息子よ!パパは飛鳥が大好きだ!どーんとぶつかって来い!」

がはははは、と笑い出す父さん。

そんな大声に泣き出すビデオレーターの中の僕。

慌ててあやす父さんと母さん。

幸せいっぱいの家族。

それを見つめる僕の視界は涙で歪んでいた。

ビデオレーターの画面が切り替わり、走行中の車内。
運転するのは父さん。

母さんは主にカメラを外や僕へと変えて話しかけてくる。

「ただいまドライブ中〜飛鳥は初ドライブ中〜飛鳥が大きくなっても家族三人でドライブしようね!うぜーっとか言って邪険にしたらママ泣いちゃうから!」

「パパも泣いちゃうゾ!」

父さんの横やりに吹き出す母さんと父さん。

車窓からはカーブの多い道が映り、バイクや車が追い越していく。

父さんはどうやらだいぶ安全運転をしているようだった。

「パパ、飛鳥を起こさないようにかなり安全運転してます。他の人には申し訳ないけど」

ビデオレーターの中の僕が映し出される。

すやすやと安堵な寝顔を浮かべていた。

そんな中、画面が小刻みに揺れた。

カメラが車の前へと向けられる。

僕は目を疑った。

大きな落石だった。

アスファルトにめり込んだ大きな石。

車内に父さんと母さんの悲鳴。

僕の泣き声。

それは始まりだった。

間近で落ちたような落雷の音。

音源を探るようにカメラは車窓に向けられる。

山肌から大量の土石流が車にめがけて雪崩れ込んでくる。

画面は激しく揺れ、車内は父さんと母さんと僕の声でいっぱいになり、だんだん小さくなっていった。

画面の半分は土で埋まり、父さんと母さんの僕の姿は見ることができない。

ただ小さく声が聞こえるだけだった。

「大丈夫……助けが来るから……飛鳥……大丈夫だからね」

「ママ落ちつこう……今はじっとしてよう……泣くと体力がなくなる……みんな助かるから」

「そうね……ねぇパパ見て……飛鳥笑ってる」

「本当だ……飛鳥は強いな?……よぅしパパもママも頑張るぞ!オー!」

「パパの声こそ体力なくなるわよ?」

「あ…ホントだ」

吹き出す父さんと母さんの笑い声。

それに混じる僕の笑い声。
画面は何度か揺れて、その度に声はどんどん小さくなっていく。

けど、それにも増して父さんと母さんと僕は励ましあっているようだった。

最後に僕が聞き取ることができたのは「「かけがえのない君へ……」」

父さんと母さんが二人で僕に話しかけているようだった。

画面は揺れて土に完全に埋まり、そこで映像は途切れた。

僕がその後を養父母から聞いた。

父さんと母さんは僕を土から守るように抱き締めていたそうだ。

事故発生から10日後のことだ。

僕は衰弱はしていたが生きていた。

二人の命を貰うように。

僕はとめどなく溢れる涙を止めることができなかった。

心から悲しくて、感謝の気持ちでいっぱいだった。


「かけがえのない君へ……」
父さんと母さんが最後に言ってくれた言葉。

伝わったよ。

ありがとう。

僕は優しい父さんと母さんの元で幸せです。

これから二人にいっぱい迷惑をかけてしまうと思います。

けど、天国にいる父さんと母さんと今いる父さんと母さんは大切な僕の家族です。

必ず恩返し、親孝行をします。

だから見守っていてください。


おわり

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