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Pの『THE つだん部屋』コミュの【815】馬魂碑と馬頭観音

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【コピペ】



これは僕が警備会社でアルバイトをしていた時の出来事です。


運送会社の雇用期間が終わった僕は「日給5000円」の警備会社でアルバイトをしていました。



警備内容は様々で、道路工事から下水道工事、建設現場の出入口の管理など…


よくデパートやパチンコ店、大型スーパーにいる「施設警備」

コンサートやライブ等の「イベント警備」とは毛並みが違います。


ほとんど工事の汚れ仕事専門の警備会社です。


もちろん制服がカッコイイ訳は無く…


灰色の微妙なモノでした。

制帽なんかありません。頭にかぶるのはヘルメットだけです。


警備員というか、ほとんど工事現場の作業員です。



そんな会社で、夏に限り唯一イベント警備らしき仕事が入りました。




…お祭りの夜間警備です。



正確に言うと、日を跨いで商売している出店が、


夜間、荒らされたり、盗難に遭わない様に巡回する仕事です。



…当然の事ながら



警備する場所は、神社やお寺です。




警備員の配置は4名…


1時間交代で仮眠をとります。



部長「誘導棒を振らない誰でも出来る警備だから…」

の一言で、僕を含む新人4名での警備となりました。

一応、リーダーが僕。

年齢はばらばらですが、全員が全員に敬語を使うという、ちょっと異様なメンバーでした。

(通常はベテランと新人がセットになります。)




街中より郊外に車を走らせる事30分…ようやく現場の神社に到着です。




夜の9時に神社に全員集合しました。

(話した順に振り分けます。AさんBくんCさん)



「…おはようございます!」

と挨拶し、雑談しながら仕事が始まるのを待っていました。


勤務は9時からですが、出店が全て閉店し、お客様が全員、外に出てからがスタートです。



出店は次々と閉店し、お客様がどんどん境内から出ていきます…


Aさん「…まだまだ人がいますね」

B「そうっすね…」

C「朝6時までですよね…長いな…」

僕「まぁ、0時からは交代で1時間ずつ寝られますから…」


と、メンバーの目に止まったのが、神社の奥でたむろする若者達…

地元の未成年軍団です。


男女15人くらいはいるでしょうか…

傍目から見てもめちゃくちゃ盛り上がってます…


C「あれ…帰らなさそう…」

B「うわっ!ウザそう…」


A「彼らを帰すのも俺達の仕事ですかね?」


僕「…聞いてないですよ?」


と、心配している内に…



警察官がゾロゾロ登場!



若者達は「ウゼーぞ!ゴラァ!」などと、


警察官の解散命令に激しく抵抗!


ワクワクしながら見ていると、一人が調子に乗って甘酒の紙コップを警察官に投げつけました。



B「あぁ〜バカだ…」


Bくんの言う通り、投げた若者は、すぐ警察官に取り押さえられました。


それを見た他の若者達は、蜘蛛の子を散らした様に逃げて行きました。


…どうやらこの光景は毎年のお約束みたいなモノらしいです。


メンバーで警察官の活躍を見ている内に、ようやく境内から人が居なくなり…



僕達の仕事がスタートです。

部長から預かった、車用パトライトと、懐中電灯、トランシーバーを全員に渡しました。



まずはそれぞれの車の上に、黄色パトライトを乗せて境内に車を入れます。


…忘れてた!


トランシーバーのスイッチを押し伝えました。


僕「あ!部長から注意点があります!」


僕「神様が居る建物に絶対、車のケツを向けない事」

僕「車の正面を神様の方に向けて停めて下さい。」


メンバー「了解」

※警備員は「はい」の変わりに「了解」と言います。



全員が車を配置につけ、巡回スタートです。



仕事内容は簡単です。


1 決められたエリアの出店の間を縫う様にライトで照らしながら巡回。


2 出店のテントで、中に入れそうな店があった場合は、毎回中をチェック。


3 ごみ箱やごみ置場は1時間に一回、中をチェック(昔、何処かのお祭りで釘爆弾が仕掛けられていた為)



…いざ始まってみると




…不気味です。




お祭り会場の照明は全て消え、月明かりと手持ちの懐中電灯だけが光っています。


真っ暗闇です…


まるで、肝試しか罰ゲームです。



広い境内の中で、決まったエリアに分けている為


メンバーはお互いの姿を確認する事が出来ません。



ザクッザクッ


と自分が巡回している足音しか聞こえません。



もしも今、後ろから驚かされたら心臓が止まるかも知れません。


目が暗闇に慣れてくると…


夜空が多少、明るく見えてきます。


影絵のように浮かび上がる巨木のシルエットにますます不気味さを感じます。




…誰もトランシーバーで喋らないな…



と、心細くなった僕はスイッチを押しました。


僕「皆さん大丈夫ですか?」






メンバー「ビックリした!」


C「いきなりトランシーバー鳴ったからビビりましたよ!」


A「心臓に悪いですよ!」


B「マジでトランシーバーの存在忘れてたっす!!」


僕「すいません!」



…皆、怖かったか…



僕「あの〜、何か異常はありませんか?」



BC「こちら異常なしです」

A「あ〜…リーダー?」


僕「はい?」


A「俺のエリアに林みたいな所があるんですけど、巡回しないとダメですか?」

僕「いやいやいや!それは無理しなくていいですよ」

A「了解!よかった〜」



それから1時間に一度は、僕から定時連絡を入れる事になりました。





…いい加減、恐怖心も薄れて来た頃でしょうか…



僕は機械的に巡回していました…


お店の中をチェックします…当然、誰もいません。


ごみ箱の中をチェックします…当然、何もありません。

少し離れた所にビニールシートに大きい石で重しをしたごみ置場もチェックします…はい異常なし


…何かここだけ、毎回チェックするの嫌だな…




さて…


そろそろ定時連絡だな…



僕「定時連絡です。異常はありませんか〜?」



B「タバコが吸いたいっす」

C「足が疲れました〜」


A「寒むくないですか?」




…?



確かに今は深夜で、お昼よりは気温が下がります。


でもTシャツで大丈夫なくらいの温度はずです。


僕「Aさん?寒いんですか?」


A「こガ…は…ピガ…す」


僕「聞き取れませんよ!もう一度お願いします」


A「ガガ…ザ…ジジー…」




大丈夫か!?…トランシーバー壊れたのかな?



僕はAさんのエリアに走りました。




そこには…


僕より近いエリアで、一足先に駆け付けたBくんとCさんの姿がありました…


僕「…Aさんは?」


C「居ないです…」


B「これやばくないすか?」


Bくんが懐中電灯でAさんの靴を照らしました。





まるで今から飛び降り自殺するかの様に、


綺麗にAさんの靴が並べられています…



そしてその先には…



自然と三人の懐中電灯の光と視線の先が…


Aさんの言っていた「林」に向けられます…



…まさかあの中に?




暗闇に目が慣れた僕達の前に、


更なる深い闇がぽっかり口を開けて待っていました。




…数秒間


僕らは顔を見合わせました。



B「行くしか無いっすよ」


C「三人なら大丈夫ですかね?」


僕「ここは神社ですし、大丈夫でしょう!」




三人で林の中に入りました…


入り口で…

カラスが「ア゛ーア゛ー!」と鳴きました…


テリトリーに侵入した僕達を警告する様に…



すぐに懐中電灯の光で浮かび上がってきたのが…


沢山の石碑です!


僕らの身長よりも大きな石碑が沢山ありました。



…う!


良く見ると…



お祭りに来ていた人間の仕業でしょうか…


ゴミやタバコの吸い殻が散乱しています…



僕(考えが甘かった…)



他の二人も同じ考えでしょうか…



青い顔をしながら、押し黙っています。


自分の心臓が急激に高鳴って行くのがわかります…



無言で僕達は更に奥へと進んで行きました…







…うわ!



僕達の歩みを遮るかの様に「注連縄」が張り巡らされていました。


さすがに注連縄の意味くらい知っています。


それ以上、進む事も出来ずに中を懐中電灯で照らしました。


注連縄に囲まれたその中には1メートルくらいの苔が生えている古い石碑と、その横には小さな祠がありました…



その真ん中にAさんが倒れていました…


僕達は叫びました。


「おーい!Aさーん!!」



彼はぴくりとも動きません。


注連縄からAさんまでの距離は10メートル程です。



ここまで来ては、引き返せません!


恐怖を押し殺し、三人で一斉に注連縄をくぐり抜け…



Aさんに向かって走りました。



BくんCさん僕の順に…


一歩…二歩…三歩目は踏み出せませんでした…



…!!!


突然です!!


僕達の全身に、発狂するかと思う程の激痛が走りました!


それぞれがその場に倒れ込み、悶絶していました…



B「ぎゃあぁあぁ!!痛い!痛い!いてぇよぉ!いてぇよおおぉ!!」


C「う゛おぁああ!!殺して!!早く殺して!!殺せえぇぇ!!」



全身の血管や筋肉、腱や骨…ありとあらゆる組織が


引き裂かれる様な激痛でした…


突然の悪夢に僕は絶叫しながらも…


(これはやばい…死ぬ…!)


と、僕は地面を這いながら何とか注連縄の外に出ました…


すると…

先程までの激痛が嘘の様に消えていました…




しかし、中の二人はまだもがき苦しんでいます…



身体をジタバタさせながら…


悲痛な絶叫が…少しずつ…


狂気に満ちた笑い声へと変わって行きました…



ジタバタさせていた全身も次第にクネクネした動きに変わっていきました。



僕は彼らを助けにもう一度、中に入る事は出来ませんでした…


僕は彼らより、外側だったから助かった…


あそこまで行けば、間違いなく助からない…



※コメントに続きます

コメント(6)

※続き



注連縄の中で、もがき苦しむ二人を置いて…


携帯を取りに自分の車まで走りました。




部長に電話したのです…


部長は会社設立時から廃ホテル、廃ビル、病院に到るまでありとあらゆる怖い場所を警備していたツワモノでした。



半ばパニックになりながら「救急車呼んでいいですか!?」

と連呼していた僕をなだめながら言いました。



部長「その神社にはな神様の他に、馬魂碑と馬頭観音が奉られているんだ。」


部長「大丈夫だ。落ち着け!まだ死にはしないから言われた通りにやれ!」







まず、言われた通りにゴミが散乱していた石碑を


懐中電灯で照らし、一つ一つ調べていきました…



全て「記念碑」でした…



僕「部長!これ全部、記念碑です!」


部長「じゃ、次は馬魂碑と馬頭観音の近くに行け!」


僕「中は無理です!」


部長「中に入らなくていい!馬魂碑の説明が書いてある看板があるはずだから捜せ!」


部長「俺も詳しくは忘れたんだ」






落ち着いて捜すと…



ありました…



僕「ありましたよ!馬魂碑の説明!」


部長「よし、読み上げてくれ!」





…馬魂碑…


開拓時代に


苛酷な重労働で


死んだ馬達を労い


各農家が自宅の


庭先に大きな石を


置き馬魂碑として


供養していました。


この馬魂碑は


各農家の馬魂碑を


集め、明治○年に


作られました。


隣の祠は馬頭観音で


馬達の成仏を願い


○寺より昭和○年に


寄贈されたものです。







部長「…集められた馬魂碑は何処にあるかわかるか?」


僕「…」


辺りを見ました…


僕「この看板の横に少しだけ積んでありますけど、普通の大きい石ですよ?」



部長「それだ!なんかイタズラされてないか?」



僕「!!」




あれだ…



出店の業者が…



ゴミ置場のブルーシートの重しに



使っていた石…




僕は部長の指示通り、重しに使われていた石を全て回収しました…



それらを石の山に戻し、手をあわせました。



部長「よし、もう注連縄の中に入れるぞ!」






部長の言葉通り、中に入れました…



しかし、中にいる三人はぴくりとも動きません…


生きてはいる様ですが、意識がありません…


僕「救急車呼んでいいですか!?」


部長「バカヤロー!死んじまうぞ!いいか!絶対に境内から外に出るんじゃない!」


部長「神主さんには俺から連絡する!俺も今から行くから待っていろ!」






部長が到着する頃には



すっかり辺りは明るくなっていました…




それから1時間ほどしてから初老の神主さんも到着しました。



部長が神主さんに深々と頭を下げました。


神主さん「いえいえ…お詫び申し上げるのコチラの方です。」



部長と神主さんが何か話した後、三人を建物の中に運びました…



※続きます
※続き



その先は僕と部長は入れないようで、別室で待機していました…



僕「…部長」


部長「なんだ?」



僕「馬達の魂が三人をあんな目に?」


部長「…そうだ」



僕「僕達を祟り殺そうとしたんですか?」


部長「…違う」



僕「いや、本当に死ぬ程の激痛を味わったんですよ!?」


部長「それは馬達の痛みだ」

僕「…?」


部長「馬達が死ぬまで働いたと看板に書いてあったろ」


僕「…ええ」


部長「人間じゃあるまいし、馬が自分の意思で過労死するまで働くか?」


僕「…いえ」


部長「働かせたんだよ!人間が!馬が死ぬまでな!」


僕「…!」


部長「あそこに眠る馬達の魂はな、痛みと絶望しか知らないんだ」


部長「そんな魂達に、見境があると思うか?」



僕「…いえ」


部長「お前達を殺そうとしたんじゃなく、お前達が馬達の痛みと絶望に触れただけだよ」


部長「ちなみにな…あの馬魂碑はこの神社が出来る前からあったんだ」


部長「今回みたいな事が、辺りの地域に広がってな…」


部長「それを鎮める為に後から神社を建てたんだ」


部長「しかし、それでも止められなかった!」


部長「そして今度は仏さんの力を借りて、ようやく馬達の魂も鎮まったんだ」


僕「…マジですか」


部長「まぁ、境内に居たから死なずに済んで良かったよ」


部長「ここの神様の加護だな」


僕「あの…なんで外に出たら死ぬって…」


部長「ん?俺が10年前に経験したから」

部長「境内から出た奴は救急車の中で狂い死んだよ」
部長「俺は神主さんに助けて貰ったんだけどな」






僕「仕事辞めていいですか?」



部長「うん?あのな〜」


部長「今日見た小さな馬魂碑な」


部長「この地域だけでも全然足りないんだよ」


部長「開拓時代に死んだ馬があんなに少ない訳無いだろう」





部長「残りはこの街中に放置されてんだ。何処にも逃げ場は無いんだよ」










大き目の石を見かけても…



決して近寄らないで下さい。



※終わり
∞Hiro∞様
ん?繋がっていますけど???

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