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Pの『THE つだん部屋』コミュの【108】気味の悪い女

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【コピペ】



その日、いつもながらパチンコに負けた。

パチンコ屋から出て、ふと時計を見ると、22時ちょうどだったのを覚えている。

夕飯も食わずに打っていたので、取りあえず財布に残っている、なけなしの金で牛丼を食いに行く事にした。

パチンコ屋から牛丼屋までは車で5分も掛からない。

田舎なもんで道も混む事なく直ぐに牛丼屋に着いた。

1つ目の手動のドアを開け、2つ目の自動ドアをくぐると、やる気のない若い兄ちゃんの

「いらっしゃいませ〜」

が、聞こえた。

俺は飲食店で長く働いていたから接客に対して多分、人より厳しいのとパチンコに負けた悔しさから無性にやる気のない店員に腹が立った。

しかしもう大人なので自分の中で消化した。

店内はガラガラで客は一人もいない。

俺は自動ドアに背を向ける形でカウンター席に座った。

さっきの若い兄ちゃんがお茶を持って来た。

「牛丼大盛と玉子とみそ汁。あと、おしんこ。」

ぶっきらぼうに注文すると兄ちゃんは返事もせずに厨房に向かった。

程なくして注文の品が届き、俺はがっついた。

牛丼をかき込み、みそ汁で流し込む。

半分程食べた所で、紅生姜に手を伸ばす。

顔を上げたその時、対面のカウンターの後ろの席になんだか陰気な女がいた。

女は牛丼を食べているわけではなく、うつむいてテーブルの一点だけを見ていた。

「気持ち悪い女だなぁ。いつの間に店に入ったんだ?」

と思ったが、俺が牛丼を夢中でかき込んでいる間に店に来たんだろうと結論付けた。

残りの牛丼を平らげ、お茶を注いでいると、また視界に女が入ってきた。

相変わらず、注文もせずにテーブルの一点を見つめている。

店員はその女を気に掛ける事なく、丼茶碗を洗っていた。

しばらく俺はお茶をすすりながら、女を観察していた。

女は黒髪を腰ぐらいまで伸ばし手入れしていないのかボサボサで、服は薄い水色のワンピースだった。

顔は長い髪が邪魔してよく見えなかったが、口元を見るとブツブツ呟いている様だった。

腹も一杯になり、俺は会計をする為、席を立ちレジに向かった。

その時、というか、俺と全く同じタイミングで女が立ち上がった。

なんか妙に薄気味悪くて俺は急いで会計を済ませ店を出た。

車に乗り込み、タバコに火を点けようとしたら残りが少ない事に気付き、家に帰る前にコンビニに寄る事にした。

コンビニに着いて、タバコを買うと俺は直ぐに車に戻った。

コンビニの中では気付かなかったが、なんと本棚の前にさっきの薄気味悪い女がいた。

本棚に体が隠れていて服装は確認出来なかったが、髪型といい、雰囲気といい確かにあの女だった。

そして何より気持ち悪かったのは、女は本棚の前に直立不動で立ってはいるが、本棚の方に向いているのではなく、トイレの方に向いている事だった。

「あの女、絶対頭おかしい奴だな」

と、心の中で思いながら車を出した。

マンションに着いて階段を上がり、廊下を1番奥の俺の部屋へと進む。

部屋の鍵を開けながら、さっきの女が付いて来ていたらと一瞬よぎり、駐車場の方を見下ろしたが、女はいなかった。

「いる訳ないよな〜」

心配した俺が馬鹿だったと思いながらも念の為にドアを閉めた後、覗き窓から廊下の方を見てみた。

やはり、さっきの女はいなかった。

ビビりな自分に自己嫌悪しつつ、部屋の明かりを点けて直ぐにベッドに倒れこんだ。

まだ11時前だったが、いつの間にか眠ってしまっていた。

気が付くと窓の外は明るくなっており、仕事に行く用意をしなければならない時間だった。

シャワーを浴びて、スーツに着替え、朝メシを食わずに部屋を出た。

俺は朝メシを食わない派だが、何故かその日は腹が減っていたので、昨日のコンビニに行く事にした。

コンビニに入ると、あの女がいた。

それも昨夜と全く同じ位置、同じ向きで。



その時、はじめて俺は女が人間じゃないと理解した。

今まで何回か幽霊を見た事があった俺だが、この女は違っていた。

今まで見た事があったのは、たいてい半透明で少し青みがかっていたのに、こいつはリアルに見えすぎていて、気味の悪さを除けば人間と変わらなかった。

店内にはOLさんや工事現場のおっさんがいたが誰もこの女には気付いていないみたいだった。

俺は女を避ける様に、レジの前を通り、おにぎり2つとお茶を買った。

そして店から逃げる様に出た。


もう見ないでおこうと思ってたけど、なんか気になって車の中から女を見てしまった。

女は後ろ歩きで、入口の方に進んで来た。

俺はその光景がヤバすぎてアクセルを目一杯踏んで逃げた。

会社に着くまでの道中、女が付いて来ていないか何度もバックミラーで確認した。

嬉しい事に女は付いて来ていない様だった。

会社の中に入って、同僚の顔を見て何故か安心した。



※コメントに続きます
コメント(17件)
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1自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:06
R嬢(。・皿・)
※続き



昼休みにその同僚に女の話をしてやった。
めちゃくちゃビビると思ったのに奴は全く信じず、疲れていただけだろうで片付けられた。

その日は忙しく、仕事が終わったのが21時を過ぎていたが、他に後輩2人も残業していたので怖くはなかった。

多分、一人だったら女が来たらどうしようとか考えてしまって、仕事にならなかったと思う。

俺はその後輩2人をメシに誘った。

居酒屋でメシを食いながら、後輩にあの女の話をした。

するとそのうちの一人(A君)が、

「先輩の言ってる女ってこの店に入る時に入口にいましたよね?」

と、とんでもない事を言い出した。

もう一人(B君)は、

「入る時、店の前には誰もいなかったッスよ?」

と返した。

俺も店の前で女を見ていなかったが、A君は普段から真面目で冗談なんか殆ど言わない子だったから嘘をついている様には思えなかった。

何より怖かったのは居酒屋を出る時だ。

引き戸になっている入口を開けるのは躊躇したが、後輩にビビりと思われたくなかったので、勢いよく開けた。

女は…いなかった。
A君もB君にも見えていない様だ。

店の前で軽く話して、その日は解散となった。



※続きます
2自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:08
R嬢(。・皿・)
※続き



俺は車をコインパーキングに停めていたので、歩いてコインパーキングに向かっていると、遠くからでも確認出来た。

あの女がコインパーキングの精算所の所に立っていたんだ。

今度はあきらかに俺の方を向いていた。
そして、肩から下は一切動かさず、頭だけをゆっくり前後に揺らしていた。



恐怖のあまり、立ち尽くす事しか出来なかった。
恐怖の絶頂だったが、女から目を離したら間合いを詰めて来そうで、視線を外せなかった。


どの位、そうしていただろう…


「プップー!!」

後からクラクションの音がしたと思った瞬間には、

「馬鹿やろう!邪魔だろうが!」

ちょっと恐面のおっさんに怒鳴られた。

道のど真ん中で俺が立ち尽くしていたから邪魔だったらしい。


「すみません…。」


と、おっさんに謝り、女が立っていた方を見たらすでに女は消えていた。


女がいなくなってからも俺は恐怖の真っ只中にいた。

だからコインパーキングに近づけにいた。

しかし、いつまでもその場に佇むわけもいかず、意を決した俺は早足で精算所に向かい精算し、車に乗り込んだ。

そこからはあまり覚えていない。

気が付くと自分のマンションに着いていた。



※続きます
3自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:09
R嬢(。・皿・)
※続き



そのままなだれ込む様に部屋に逃げ込んだ。

お恥ずかしい話だが、その日は部屋中の明かりとテレビをつけ、ベッドの中にもぐった。

直ぐに眠れたら良かったんだが、肝心な時に眠れず、ひたすらガタガタと震えていた。

震えながらあの女の事を考えていたが、腑に落ちない事が2つあった。

1つ目は、何故あの女が俺の前に現れたか。

2つ目は、俺の行く先々にあの女が先回りしているのは何故か。

考えても答えは出なかったし、思い当たる節も全くなかった。

結局、一睡も出来ずに会社に行く時間になった。

俺は出来るだけ、女に会わない様に、いつもは使わないルートで会社に向かった。

お陰で何事もなく会社に着いた。

自分のデスクに座りPCを立ち上げて仕事に掛かる。

自分でも上の空だというのがわかる位、仕事も進まなかった。

そんな俺に気付いたのか、A君がコーヒーをいれてくれた。

「あぁ、ありがとう。」

と、気のない返事をして仕事を続けた。

昼休みには、食事も行かずに、ただただボーッとしていた。

夕方になりトイレに立った。

廊下を歩いて、角を曲がるとトイレがある。

トイレに入るとすぐに手洗い場があり、左側に小便器、右側に個室といった造りになっている。



※続きます
4自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:10
R嬢(。・皿・)
※続き



1番奥の個室の扉の前に あの女が…いた。

長いボサボサの髪を腰まで伸ばし、薄い水色のワンピース。

肩から下は微動だにしていなかったが、頭だけを前後に揺らし、個室の扉に打ちつけていた。

女が頭で扉を打つ、

「ドッドッドッ」

という、鈍い音が響き渡っていた。

女は俺の存在に気付いていたかは、わからないがずっと扉に頭を打ち付けていた。

俺はなるだけ音を立てない様に、後退りしながらトイレから出た。

そして廊下に出ると全速力でデスクに戻った。

俺の憔悴した姿に同僚や後輩は驚いていたが、上司に体調不良とだけ伝え、早退させてもらった。

俺は一目散にマンションに戻り、昨日と同じ様に 全ての電気とテレビをつけた。

しばらくはテレビを見ていていたが、自分が空腹だという事に気付いた。

男の一人暮らし、食材を買い置きしているはずもなく、食事をするには部屋を出る必要があった。

だが外出を極力避けたかった俺は考えた。

この世の中にはデリバリーという便利な物があった。

とりあえず、ピザとポテトを注文した。

20分程すると、

「ピンポーン」

部屋のチャイムが鳴った。

念の為、俺は覗き窓から確認した。

そこにはピザの箱を抱えた茶髪の兄ちゃんが立っていた。



※続きます
5自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:12
R嬢(。・皿・)
※続き



代金と引き換えに商品を受け取っている間、茶髪の兄ちゃんが俺の背中越しに部屋の中を見ていたのが気になったが、俺はそれ以上気にする事をやめた。

自分の部屋が1番安全だと思ってたから…。

テーブルにピザとポテトを並べ、冷蔵庫からコーラを取り出した。

バラエティー番組を見ながらピザを食っていると、一連の恐怖体験を忘れる事が出来た。

腹も一杯になり、俺は風呂を沸かした。

15分後、もうそろそろお湯がたまったと思い、風呂場を見に行った。

いい感じに沸いていたので、バブ(ゆずの香り)を入れて風呂に浸かった。

至福の時間だった。

一旦湯舟から上がり、頭と体を洗い、再び湯舟に浸かった。

湯舟に浸かりながら、何気なく排水溝を見た時だ。

そこには、明らかに俺のものではない、めちゃくちゃ長い髪の毛があった。

その当時、俺には彼女はいなかったし、たまに友達が泊まりに来たが、こんなにロン毛の奴はいない。

俺は愕然とした。

この部屋に【あいつ】が来ていたのか!?

どう考えてもあの女しかいなかった。

1番安全だと思っていた自分の部屋が、非日常の空間になってしまった。

外ならまだ逃げれるが、この部屋にあいつがいる事を想像すると吐き気がした。

鳥肌も半端じゃなかった。

風呂場の扉を一枚隔てた空間が異界の様にさえ思えた。



※続きます
6自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:14
R嬢(。・皿・)
※続き



期待を裏切らないと言わんばかりに次の瞬間、部屋の中から

「ドッドッドッ」

と言う音がした。

この場所からじゃ姿こそ見えないが、あの女が部屋の壁に頭を打ち付けている姿が脳裏に浮かんだ。

「ドッドッドッ」

という音は時間の経過と共に、

「ドドドドドッ!」

という音に変わった。

狂った様な早さで壁を打ちつけているんだろう…。

逃げる術を失った俺は案外、冷静だった。

連日の体験に恐怖に対する免疫が出来ていたのかも知れない。

こうなれば我慢比べだと思った。

「ドドドドド!」

と言う音は尚も続いている。

我慢比べをしようと決心した俺はこんな状況の中で、「そんなに壁に頭を打ちつけたらお隣りさんに迷惑だろ!」と、馬鹿な事を考える余裕すらあった。

風呂場に時計はなかったが、多分3時間位経ったと思う。

突然、音が止んだ。

俺は勝ったと思った。

でも甘かった。

次の瞬間、女は風呂場の磨りガラスの前に立っていた。

そして今度は、磨りガラスに頭を打ちつけ始めた。

数十?先に女がいる。
薄い水色のワンピースが確認出来た。

意味があったのかわからないが、俺はシャワーを持ち、熱湯だけを出して磨りガラスに向かってかけ続けた。

それでも女は磨りガラスに頭を打ちつけてくる。

俺は必死だった。
お湯じゃ駄目だと思った俺は、何故か冷水に切り替えた。



※続きます
7自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:18
R嬢(。・皿・)
※続き



すると、

「うぅぅ」と苦しむ様な声が聞こえた。

うまく説明出来ないが、その声は女にしては低く、喉だけで出している様な声だった。

冷たい水が有効と見た俺はシャワーで磨りガラスに向かってかけ続けた。

「うぅ、うっ、う〜」

女は明らかに苦しそうだった。

「ドンッ!」

今までで1番激しく女が頭を打ちつけてきた。

そして顔を磨りガラスに押し付けてきた。

磨りガラス越しだから、よく見えなかったが、女の顔は傷だらけで、白目がない様に思えた。というか黒目が異常に大きかった。

そして…

「あ゛〜」

と叫び声を上げたかと思うと、女は消えた。

俺は安堵のため息を付き、風呂場を出た。

脱衣所の足元には、あの女の着ていた薄い水色のワンピースが落ちていた。

直接触るのは嫌だったので、ゴム手袋をはめて、ゴミ袋にゴム手袋ごと捨てた。

俺は着替えて、ゴミ袋を持つと車をある場所に向かわせた。

ある場所とは、お寺だ。
(心霊スポットツアーhttp://mixi.jp/view_bbs.pl?id=51205722&comm_id=2652804&guid=ONでお世話になったお坊さんのお寺)

お坊さんと会うのは6年振りだったが、お坊さんは俺の事を覚えていてくれた。



※続きます
8自分のコメントを削除する 2010年03月22日 01:20
R嬢(。・皿・)
※続き



そして

「またお前か!」

と俺を一喝したが、今回は俺に落ち度はないと説明すると納得してくれた。

お坊さんにワンピースを渡し、お礼を言うと、印を切り俺の背中を2回叩いた。

「これで十分じゃろ」

帰り際、このワンピースの持ち主の経緯を聞きたいかと言われたが、俺は断った。

なので今でも、何故あの気味の悪い女に付き纏われたかわからない。

以上で話は終わりです。仕様もない結末で申し訳ない。

でも皆は俺があの女に何故、付き纏われたと思う?



※終わり

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