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Sundazed!!!コミュのDRIVING STUPID結成/解散40回忌祈念の夏

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管理人様、突然の長文書き込みで申し訳ないです。

気が付けば、今年はガレージ・パンク元年である1966年の"40回忌祈念イヤー"ですね。
だからと言っては何ですが...2004年春頃にSUNDAZEDが"11111"番というフザケた規格番号(偶然?)で無謀にリリースした、超オブスキュア60'Sガレージバンド、"DRIVING STUPID"(彼らも今年が40回忌)のアンソロジーCDを、どこぞで国内仕様にした際に俺が書いたアルバムの解説文をお送り致します。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00007EHW4/ref=sr_11_1/249-3207232-8799552?%5Fencoding=UTF8

契約関係など全くないですので、まんま全文掲載してみます(問題出てきたら即削除します)。

解説の内容に関して答えのはっきりしている誤りがありましたらどんどんご指摘ください!
俺自身、かなり手探りで調べて仕上げた原稿ですんでまだまだ知りたいことがたくさんあります。

では、以下です。長いですが、よかったら読んでみてくださいませ。

★ドライヴィング・スチューピッド / 地獄へドライヴ★
(Driving Stupid / Horror Asparagus Stories)

♪'66年、ただ1枚のシングルを産み落とした緑色のアイツが、36年間の宇宙遊泳後、再び地球を強襲!皮膚を侵食するZ級SFホラーサウンドは純度1,000%のバッドジョーク。最高時速17km/hの緑亀マシンに乗って♪俺と地獄へドライヴしよう!!(→即転倒大破地獄)♪

■ドライヴィング・スチューピッドのディスコグラフィーは以下の通り。

Horror Asparagus Stories / The Reality Of (Air) Fried Borsk / KR LABEL(KR-102) / 7inch / 1966年

以上。このシングルは全く売れなかったので、非常に貴重な一枚であり・・・。

このグループについて数年前までは、多くのマニアもきっとこの程度しか語れなかったはずだ。

■その後のリイシューによる再評価の流れを辿ってみても、不遇極まりない存在であったと言わざるを得ない。「The Reality Of (Air) Fried Borsk(シングルB面曲→本CD16曲目収録)」は、'79年『NUGGETS』と双璧を成す我々ガレージ・ファンにとっては、基本中の基本コンピレーションと言える『PEBBLES』シリーズの3番に初収録された。ドライヴィング・スチューピッドというバンド名は、恐らくここで初めて一般のガレージ/サイケ・マニアの多くにその存在を認知された。しかし、シングルA面曲である「Horror Asparagus Stories(本CD19曲目収録)」の音源は『PEBBLES』のマスタリング段階でなくなってしまった・・・らしい。「I'm a man」のようなリフを持つ、ゆったりとしたブルージーなサウンドと、支離滅裂な歌詞がひたすら喚かれているだけとも言える、このB面曲。この後10年間ずっと、A面曲及び他の未発表音源と比較してもファースト・インパクトでは劣る(とは言えFUGSやDAVID PEELなどのファンにはたまらないであろう、アシッド・フォーク/ブルースである)、ただ1曲だけでしかバンドの実像は語られなかった。きっと同時に収録された多くの優れた曲の影に隠れて、マニアの間でも再び忘れられていったのではないだろうか。また、『PEBBLES』シリーズを順番にアナログ盤でのみ揃えているマニアも、残念ながら同様に「無数に存在する無名グループのひとつ」としてしか認識できなかったはずだ。

■そして'89年、おそらく世界で最初に「Horror Asparagus Stories(シングルA面曲→本CD19曲目収録)」が『Pebbles Box 5LP (Ubik BOXX 1)』に収録され、(盤起こしではあるが)大々的にリイシューされ、マニアを驚愕させる。その後、『PEBBLES』シリーズのCD版やあと幾つかのコンピレーションで相次いでこの曲は紹介されていく。しかしグループの実体は依然謎に包まれたままで、信憑性の高い『PEBBLES』シリーズのライナー・ノーツに於いても「カーマ・スートラ・レーベルのCHARLES KOPPELMANとDON RUBINが集めた、ニュー・ヨークのスタジオ・ミュージシャンによる覆面バンド」的に紹介されている。そして、さらにその後10年以上、すなわち2002年にこのCDがリリースされるまでずっと、一般のマニアの間ではそれが定説となっていた。そして今、遂に、彼らの実体の真実が明らかにされた。

■彼らは12才のころからの幼なじみを中心とした、実在した正真正銘の4人組のガレージ・バンドであった。大学生になった'66年夏、バンド経験もろくにない若者たちが、故郷である東海岸ニュー・ジャージーを出発して、西海岸カリフォルニアのハリウッドを目指して大陸横断ドライヴを敢行したのは、ひとえに「夏休み、みんなで何かしようぜ!どうする?よし、今年は4人でハリウッドまで行って、バンドやってレコード出して、一発当てて有名になってやろうぜ!」という全く子供っぽい、無謀とも言える思いつきからであった。バンドのコンセプトは、とにかく愚かなことを専門としてとことん追求しよう、と。結果、箸が転んでも笑えるようなお年頃の若者特有の、無垢であり、ある種残酷な発想から、エイリアン、怪物一家、超常現象、拷問された郵便配達人、暴力支配による屈折した愛情表現、などなどZ級ホラー、シュール、非常識、不謹慎・・・なネタがアイデアとなって、その歌詞の中に際限なくあふれ出てくることとなる。「ドライヴし続ける、愚かものども」という、彼らの存在、行為自体がそのままストレートにバンド名となった。'66サマー・ドライヴを行った3台の車のドアには、バンド名がデカデカと書かれた蛍光の金とオレンジのテープが貼り付けられていた。ファッション・コンセプトは「帽子に素足」(考えてみればかなり中途半端だぞ)だったとか。とにかく周囲の視線をなんとか惹き付けようとがんばっていたらしい。

■メンバーの詳細は割愛(ブックレット参照)。特徴としては全員がほぼ素人だったことと、バンドで一番ギターが弾けたのは実はドラマーだったりしたのだが、ただひとりドラム・セットを持っていたためやむなく叩いていた、ということぐらいか。あとは、ブックレットに掲載された4人の写真を眺めていただければ・・と。どんな恐ろしげな、カルトな雰囲気のヤツラかと思いきや、むしろひょうきんそうな若者4人が、屈託ない表情でニッコリ笑って仲良さそうに映っていて・・・拍子抜けしてしまう。全く標準的な大学生たちだったようである。

■覆面バンドであるという噂が定説になるなど、彼らが超カルト化した要因として、あまりに短期間('66年の夏のみ!!)の活動だったため、ドライヴィング・スチューピッド名義でのライヴは一度も行えなかったことと、メンバーの姿を公開するきっかけが、たった一枚の写真(後述します)を除いて、全くなかったことが挙げられる。そして、後に唯一のシングルが正式にリリースされてからも、ほとんど全くプロモーションされなかったらしい。更に、ようやくリリースされたそのオリジナル7インチ・シングルも、ピーク・レベルを越える強引なマスタリング処理がなされていたため、最悪なことに、そのほとんどが針飛びする不良盤だった(ガーン!!)とのことで、ラジオでのオンエアの機会をほとんど得られなかったということも・・・。決して彼ら自身がカルト化を望んだわけではないのに。

■しかし、こうして全音源を聴いたうえで、逆に気になる点もないわけではない。仮にも永きにわたってスタジオ・ミュージシャンと誤解されていたほどの彼らの演奏、及び曲作りのセンスは、どうしてもただの素人だとは思い難い。ダン・ヒックス的にスウィングする8曲目「WATER MY DOING HERE?」、11曲目「HAPPYTIME SPRINGFACE AND FLOWERS」などは特に、リーダーのロジャー・ケリーがブックレット内でも言っている"全員ド素人"発言を疑いたくなるほどの実力を感じさせるのだが・・・。

■さて、西へ西へとドライヴし続けた彼ら、ニュー・メキシコのアルバカーキでの何やらの買出しの途中にスタジオを発見した。しげしげと眺めているとそこ(NU-MEXスタジオ)のオーナーが出てくる。スタジオに興味津々だった彼らは、自分達の旅の目的、メジャー・レーベルと契約してヒット曲を出したい云々、という夢などをそのオーナーに話したところ「デモ・テープ持ってんの? 無ければ話にならんな。じゃあ録ってやろうか? 有料だけど。」と言われ、若気の至りの勢いか、迷うことなく100$を支払って7曲のデモを録音した。このデモ音源こそが本CDの1曲目から7曲目であり、全て収録されている。デモとは言え、その勢いは充分伝わる。また、これらデモ音源は左チャンネルが演奏、右チャンネルが歌と完全に振り分けられており、バランスを完全にどちらかにすると、演奏、歌、いづれかがはっきりと聴き取れて面白い。

■「デモを録った!レコード・デビューへの道が開けた!」と舞い上がった彼らをもう誰も止められない。そこでなんと、まだ、契約先も決まってなければ、リリースされる予定など全くないデビュー・シングルの広告を雑誌に掲載した。

■前述した、公表されたたった一枚の写真とは、本CDのジャケやブックレット内にも使用されている、車から転げ落ちるメンバー達のスナップである。

■これこそが、そのでっちあげ広告に使用されたものであり、それはニュー・メキシコの音楽情報誌『ランス・ニュースレター』の'66年7月号に掲載された。ちなみにこの写真を撮影した人物ディック・スチュワート(別名:キング・リチャード)は同地の60'sサーフロック・グループThe Knightsのリーダー/ギタリストであり、現在も60'sガレージもののリイシューや再結成ものの新録、そして地道な広報活動を中心に、絶大な信頼を集めるレーベル運営を行っているランス・レコーズのオーナーである。2000年8月、同レーベルの広報誌『ランス・マンスリー』にロジャー・ケリーの独占インタビューが掲載されることとなり、その中でこのCDに収録されている全ての未発表音源の存在が明らかになる。すぐさまディック・スチュワートは音源内容を確認、その内容の凄まじさに驚き、ロジャーより音源の権利を賃貸し、リリース先を探し、最も条件の良かったサンデイズド・ミュージックとの契約を取り決めた。そんなわけでこのCDが生まれたわけだ。人と人の繋がりは、全くどこでどう転ぶか分からないから面白い。
 
■そのでっちあげ広告で大宣伝されたグループが、シングルとして出したかった曲のA面とB面は、それぞれ本CDの1曲目と6曲目にあたる。聴いてすぐにお分かりいただける通り、1曲目と19曲目はタイトル違いの同じ曲だ。ハリウッド到着後まもなく、デモ・テープは正式にカーマ・スートラ・レーベルに認められた。バンドの意向としては1曲目の音源でシングル・リリースしたかったのだったのだが、そのタイトルでもある♪母さんは巨大でデブな豚(big fat pig)♪ってくだりがレコード会社の都合でダメ出しされ、19曲目の歌詞に変えられた。ここでは♪母さんはちっちゃな鷦鷯(little wren)♪って歌詞に変更し録音されている。ちなみに鷦鷯(ミソサザイ)とは虫を食べて生きる、鳴き声が美しい、ちっちゃなちっちゃな野鳥..らしい(笑)。また、「Horror Asparagus Stories」というタイトルはもともと(結局リリースされなかったが)アルバム・タイトルに使うはずだった取っておきの文句だったらしいのだが...全く、無計画というか・・・。

■ちなみに、本CDの8曲目以降は全て、カーマ・スートラとの契約後にハリウッドのゴールド・スター・スタジオ(フィル・スペクターやビーチ・ボーイズらの本拠地)で録音されたものだ。公式リリースされたシングルもここで録られた音源だ。いきなり当時最先端の8トラック録音をさせてもらう機会を与えられた彼らの歓喜は、一体どれほどのものだったろうか。アルバカーキでのデモ音源と比較すると俄然音質が良く、アレンジにも随所に工夫が凝らされている。この12曲でデビュー・アルバムをリリースする計画だったのだが・・・。

■ではここで、本来シングルA面となるはずだった1曲目、「My Mother Was a Big Fat Pig」の内容(意訳)を掲載したい。

♪母さんはでっかい太ったブタ(big fat pig)/自分で掘った穴に暮らしてた(hole she done dig)/父さんはでっかい年寄りのヒキガエル(big old toad)/道の真ん中の穴に暮らしてた(hole road middle there of)/妹はしわくちゃの魔女(crummy witch)/汚い溝にある木の中で暮らしてたんだ(dirty ditch)/弟は弱っちいカエル(slimy frog)/腐った丸太の中の沼地に暮らしてたんだ(rotten log)/おばあちゃんはくねくねのヘビ(wiggle snake)/よどんだ湖の丘の上に暮らしてたんだ(stagnant lake)/ おじいちゃんは緑色の・・・(colour green)/象の脾臓の上のイボに暮らしてたんだ(elephant spleen)/おばさんは心臓病の静脈(cardiac vein)/ゼーゼーいってるクレーンの心臓に暮らしてた(whooping crane)/おじさんは変な病気(strange disease)/ 忘れられたそよ風の中のあおり風に暮らしてた (forgotten breeze)/ブタ!ヒキガエル!魔女にカエル!/穴!道!溝に丸太!/ヘビ!緑色の・・・!静脈に病気!/湖!脾臓!クレーンにそよ風!/いとこはカンガルーだったよ/そして俺たちゃ「スクエア・ルート・オブ・ツゥ(√2)」さ♪《ブックレットによると歌詞の最後に出てくる"THE SQUARE ROOT OF TWO(√2)"とは、ドライヴィング・スチューピッドの前身バンドのことらしい。この曲は子供向けノベルティ・ソングをちょっぴりホラー仕立てにした感じなんだと思う。タチの悪いセサミ・ストリートってところだろうか。幼心にガチャピン、ムックに対して恐れをいだいたあの頃のトラウマを思い出させるような・・・。終盤、倍速ビートに乗って、畳み掛けるように歌詞のキャラクターが全員集合してしまうあたりは、全く悪夢そのものな光景だ。》

■そして、シングルB面曲として予定されていながら、16曲目と差し替えられてしまったため(KRはチェス傘下のレーベルだったから、よりブルージーな曲を選択するようグループに要求したのか?)36年間、陽の目を見なかった、ある意味最も哀れな曲だと言える6曲目「Green Things Have Entered My Skin.Gladys.」の大意を。♪ミドリの物体が入った!/皮膚に入った!!/ミドリの物体はすごく小さくて、真ミドリ!「グラディス、どういうこと!こいつらどっから来たの? なにする気なの??どうして君じゃなくって僕なの」/ドアを入るなりグラディスの絶叫/「床のミドリの物体はどうしたの!!!」/ショック状態の彼女に言ったんだ/「ミドリの物体が入った!皮膚に入った!!」/ミドリの物体が入った!皮膚に入った!!/かわいいベイビーを海岸に連れ出せ!/ドアの前まで来てる!/見上げれば・・・そこに・・・(ギャー!!)/ミドリの物体が入った!/皮膚に入った!!/どっから来たの?なにする気なの??/どうして君じゃなくって僕なの?!?♪《サイファイ・ホラー・ソング(??)。ドライヴィング・スチューピッドはとにかく緑色にこだわる。以後もしつこく、キーワードとして緑色なサムシングが登場する。この曲で歌われるミドリの物体とは・・・??》

■では、次は前述の曲に代わって正式リリースされ、リイシューに於いては後のガレージ・マニアに最初に認識されることとなった16曲目「The Reality Of (Air) Fried Borsk」を。

♪君はテーブルの上に立っている/敷物が絡みつく/ちっちゃな緑の(!!)ロブスターが、クモの卵を投げてよこす/君は大声でわめき、叫ぶ「そんなはずないだろ?!」/電気は消え/時計は止まり/音は消え/天地はひっくり返る/君は大声でわめき、叫ぶ「そんなはずないだろ?!」/どうも変じゃないか?...と考え込んでたら/今度は「ハハハ、こいつはお前の歌じゃないさ」と声がする/君は大声でわめき、叫ぶ「そんなはずないだろ?!」/♪《長生きしてるとたまにはそんなこともありますよ。多分。》

■次は、「My Mother Was a Big Fat Pig」同様、歌詞の内容が会社都合にそぐわなかったため大幅改編させられたという、2曲目「Hide The Lobsters」の大意を21世紀なのでもうオーライでしょう、ってことで、ぶっちゃけ全編ノーカットで。

♪郵便屋が来たぞ!(手紙だ!)/路地を郵便屋がやってきたぞ!/郵便受けにクモを入れるつもりだぞ!/そこら中で郵便屋がウソを叫んでまわるのを見てごらん/ヘビで郵便屋の足を道路に繋いじゃった/郵便屋の目を見ろよ、赤いだろ?/リンゴを埋め込んでやったのさ/宙ぶらりんの郵便屋をみてごらん/電話線に郵便屋の皮膚を移植しちゃった/郵便屋の子供を見かけないだろ?/銅硫酸塩の原子に押し込んじゃった/郵便屋の足をみろよ、でかいだろ?/足に郵便屋の奥さんを仕込んでやったのさ/気をつけろ!郵便屋が来るぞ!/郵便屋が家にやってくるぞ!/あらゆる家具に手紙を押し込むつもりだぞ!/壁紙を剥がす気だぞ!犬を隠すぞ!ロブスターを隠すぞ!ダチョウを全部隠すぞ!ありとあらゆるものを隠す気だぞ!気をつけろ!!!♪《アルバカーキ録音の、このデモ・ヴァージョンを聴いたレコード会社役員は、米国郵政省の反発を恐れて郵便配達人を直接的に嘲るような歌詞の内容を大幅改変するようバンドに要請した(・・・どうせリリースしなかったくせに・・・)。その結果、嘲笑される対象が郵便屋ではなく、手紙そのものとなるよう書き換えられた、あまりにも内容に無理がある17曲目のヴァージョンとなった。・・・凄まじい改変だ・・・と英語力それほどなくても分かる。これじゃ、やる気も起きませんわ。演奏は2曲目に劣らず最高なのに・・・。無理やりテンション上げてるようなメンバーがどことなく悲しい。》

■続けて、その他いくつかの収録曲の意訳も紹介したい。彼らの軽妙なサウンドと歌い方のユニークさはそれだけでも充分楽しめるが、ここまでの紹介で恐らくお分かりいただける通り、とにかく歌詞が凄まじい。思い切りヘンなのだ。ネイティヴの方に尋ねても、オリジナルの英語詞そのものが解釈に困るほどのヘンさであるらしい。

■3曲目「FAST CITY」〜例えば「409」「Little G.T.O.」「Surf City」(R.I.P.ジャン・ベリー・・・)などへのオマージュらしいが・・・音だけ聴いたらゴキゲンな直球ホット・ロッド・ソングなのだが・・・。少年のお気に入りカスタム・マシンの運命やいかに・・・。

♪これは少年と彼の車のお話です/とてもイカした車で彼は"FAST CITY"と呼ばれる街へと繰り出しました・・・/イカしたマシンに飛び乗って/"FAST CITY"へ繰り出そう/俺の自慢のこのハドソン!/フォルクス・ワーゲンひっこんでろ/俺のハドソンは何でも積んでて最強!/加速するのに30分!!!/行くぜ"FAST CITY"!/エンジンブルブル絶好調/極太ギアを2速に入れろ/アクセルふかすぜ!ごきげんよう/コイツのキャブレターは1パウンド/動かすにはコツがいるのさ/芝刈り機のエンジンも積んでるぜ/行くぜ"FAST CITY"!/ほんとに速いのかって?そりゃ速いとも!/時速14キロ、・・・をたっぷり積んでゴキゲン・ドライヴ(目にも止まらぬ速さだぜ)/時速17キロ、たっぷりの・・・でベンチ・プレス中(凄いぜハドソン)/少し遅れた、積みすぎたか?/で・・・をまっさかさまに落っことして、ブチ撒けたら、車は・・・爆発しちゃったよ・・・《それはそれは、"ぐるりとまわって世の中がさかさまに見えた"ことでしょう。なんか相当なブツを積んでたようで・・・》

■5曲目「We've Come To Take The Earth Away」〜地球を粗末に扱ってきた人類への最後通告フロム宇宙人。21世紀を生きる我々への警笛。現代社会の深刻な環境問題を予見した、究極のエコロジー・ソング・・・ではないと思う。

♪地球はもらっておく/地球はもらっておく/わが友"地球"の良き時代は終わった/君らの故郷をいただこうと思う/いまや地球クンは死んじゃった/駐車場をいっぱい建てるつもりだ/地球はもうおしまいだ/地球はいただいた/地球はいただいた/わが友"地球"の良き時代は終わった/いまや地球クンは死んじゃった/おまえらの惑星なんて、ポーカーで勝った景品にすぎないんだぜ/我々はずっとおまえに借金を返済してきたけど/おまえらは出会った生物のなかでも最悪だ/カラテや柔道で鍛えている奴等なんて、冥王星に送り込んじまえ/独りぼっちの冥王星はお気に召すかな?/ヤ・メ・ロー!!!♪《ゴミは面倒でもきちんと分別しましょう。わが調布市も遂に、ゴミ収集有料化システムが導入されました。》

■7曲目「I'm Gonna Bash Your Brains In」〜これまた我々の生きる21世紀現代社会で深刻な問題になっている、ドメスティック・ヴァイオレンスをまるで予知したかのような、全くタイムリーな、"地獄チョイス"賛歌・・・ではないと思う。

♪おまえはバスタブを燃やし/パン粉をみんな持って行った/俺の車の上で足を踏み鳴らし/その中に雪をぎっしり詰めやがった/うちの階段をブチ壊して/敷物を食べて/ストーブに虫を1000匹詰めていったっけ/彼女の髪はこげ茶で、瞳もそう/そこに騙されるんだ/それが彼女の嘘を隠すのさ/頭をぶん殴れ!/顔をひっぱたけ!/鼻を切り裂け!/頭をぶん殴れ!/そうすれば俺から離れられないし/嘘ついたりしないだろ/おまえが俺のもとを去っていったあの日/銀行強盗をしたっけ?/野球のボールと陸軍戦車を買った/誰かが俺に「何やってんの?」と尋ねたけれど/「何もしちゃいないよ」と答えるしかなかったな/彼女の髪はこげ茶で、瞳もそう/そこに騙されるんだ/それが彼女の嘘を隠すのさ/頭をぶん殴れ!/顔をひっぱたけ!/歯をとっぱらえ!/頭をぶん殴れ!/そうすれば俺から離れられないし/嘘ついたりしないだろ/だけどお前は帰ってきやがった/あげく、ひざまずいて「スキ!スキ!スキ!」って言うけど/あ〜あ、くしゃみが出るぜ/どうせ俺ナシじゃいられないくせに/うんざりだぜ/お前を真っ二つに引き裂くような、あれやこれやのレッスンをしてやるよ/彼女の髪はこげ茶で、瞳もそう/そこに騙されるんだ/それが彼女の嘘を隠すのさ/頭をぶん殴れ!/顔をひっぱたけ!/腸にヘンなコトをし
てやれ!/頭をぶん殴れ!/そうすれば俺から離れられないし/嘘ついたりしないだろ♪《音を聴いただけだと呑気そうな曲なのに・・・。皆様がパートナーの人権を尊重して、明るい家族計画を営んでいただけることを、心よりお祈り申し上げます。》

■8曲目「Water My Doing Here」〜ブチ撒けられたアノ水の逆襲。水だって本当は・・・色々ありながら生きている・・・わけないと思う。

♪「水」をこぼしちまった/今や寿命も縮まっちまった/プールの中に全部こぼしちまった/あ〜、バカだ、やっちまった/どうして・・・そんなヘマはしないって、あんなに約束したのに・・・/ああ、ぬれちゃった ぬれちゃった すっかり ぬれちゃった どうしよう/じめじめ じめじめ すっかりじめじめ/どうしてそんなに僕を嫌がるの?/理解できないよ/まるで発作だよ/そいつは他の水を嫌がるんだ/なくなってしまうのが恐いのさ/「水」は気が短いんだ/だから注意は怠らなかったし/しくじらないよう、歌の間中「水」をしっかりつかまえておいたのに・・・/ああ、「水」は勢いを増し/僕に襲い掛かる/もはや食い止められない/びしょぬれになりそうだ/高い椅子の上とか、どこか逃げ場はないのか?/僕が王様だとしても、もうどうしようもないよ/「水」に嫌われた僕の最後/それは濁流と化し/もはや逃げられない/「水」には気を付けろ!/逆上した「水」の怒りは、もう止められない/逃げ場はない/つま先まで「水」は来ている!/逃げ場は・・・ない♪《満員電車内ではマナーを守りましょう。逆ギレもほどほどに。とにかくやり過ぎた方が悪いです。すいません、の一言が言える大人になりたいですね。》

■9曲目「The Girl's Got a Turtle」〜ちょっぴりキ×ガ×なのがチャーム・ポイントな、「乙女の儚夢」賛歌・・・ではないと思う。

♪女の子はカメをペットにした/カメ・カメ・カメ/その子はカメを手に入れたって言うけど/ほんとのところは分からない/毎日その子を見掛けるし/その子は「カメを飼ってるの」って言うんだけど・・・/バーテンダー!パン一丁!/その子はカメを手に入れたって言うけど/実際ボクは見たことがないんだ/女の子はカメをペットにした/前はラクダを飼っていたけど/それはラクダの毛皮だった/みんなは笑っていたけれど/なぜだかボクは泣けてきた/カメ・ウサギ・ヤマアラシ/その子はカメを手に入れたけど/ほんとのところはちがうんだ/こうらだけみたいなんだ/君のリンゴはいいね!モモもね!/女の子はカメをペットにした/カメはすごく小さいし/人はペットには大きすぎる/女の子はカメをペットにした/その子はカメを手に入れたって言うけど/ほんとのところはちがうんだ/カメ・カメ・エスパニョール!!"エル・トータス!!!"♪《少女の思いは遥かスペインへ・・・ところで亀の色は何色だ?またか!!》

■12曲目「Greensleeves(The Twa Corbies)」〜この曲は16世紀の古くから伝わる(欠伸)おなじみのイギリス民謡「グリーンスリーヴス(結局また緑かい!!)」をやってるのだが、その歌詞があまりに女々しい(さんざん貢いだ不倫相手→宮廷の女に振られた挙句、なお彼女の幸福と繁栄を祈るよ..涙涙云々・・・とかだいたいそんな感じ)ためか、それじゃつまらん、とさらに関係ないスコットランド・トラッド・ソング「TWA CORBIES(2羽のカラス)」の詩をそのメロディーに強引に乗せてしまった、レイジもビックリ究極のミクスチャー・ソング・・・ではないと思う。

♪ひとりぶらぶら散歩してたら/二羽のカラスがおしゃべりしてた/一羽がもう一羽にこう言った/「今日はどこでお食事しようか」/「あっちの古い土手の向こうに殺されたてホヤホヤの騎士の死体があるよ/ヤツが死んでいるのを誰も知らないよ/ヤツのタカと猟犬とヤツの女の他はね」/「猟犬は狩に行った/タカは獲物のニワトリを捕らえに行った/女は別の男のもとへ行った/だから俺らはおいしい晩飯にありつけるぜ」/「お前はその白い骨をしゃぶれ/俺はきれいな青い目玉を喰うぞ/で、この金髪の一房で/俺達のボロ家の屋根をキレイキレイふきふきしよう」/みんなが騎士を探して嘆いてるぜ/けれどもう、二度と会えないのさ/肉を剥がされれば、露になったその白い骨に/風は吹きつける、いつまでも・・・♪《歌詞を解って聴くと一変ホラー・ソングに。「スチューピッド」の割にインテリ入った、ちょっぴり知的なブラック・ユーモア。この組み合わせ、聴く人が聴いたら激怒するんでしょうね。》

■このように、シュールなバッド・ジョーク連発の曲達を紹介していると、'66年当時の世間様に理解されるには、あまりにキテレツな内容だったゆえ、早すぎたんだろうと思わざるを得ない。様々な悪運に見舞われた結果、唯一のシングルがもはやセールス以前の問題と言えるほど売れなかったため、アルバムなど作らせてもらえるはずもなかった。そのうえ、ただの東海岸の大学生達が遥か遠く西海岸の地で、自分達の力だけでグループを売り込むことなど、できるわけがなかった。何よりも、彼らには残された時間が限られていた。当時にありがちな事情ではあるが、そのままカリフォルニアでバンド活動を続けるために大学を中退してしまった場合、自動的にベトナム戦争に徴兵される決まりだったらしく、彼らはそれが嫌だったため'66年の夏休みが終わるとすぐにバンドから足を洗い、それぞれの大学に戻っていった。そして数多くのガレージ・バンド同様、あっさりと自然消滅してしまった。その後は各々きちんと仕事に就き、現在も皆ご存命らしい(リーダーのロジャーは現在、コメディアン/コラムニストとして業界内で地道に活躍している)。
 
■収録された19曲のうち17曲は36年間の永きに渡って一切リリースされなかった音源だ。21世紀の今聴いても「ウン、分かる分かる!」と言うのが憚られる、無垢なる狂気(暴走する若者のタワゴト)のオンパレード。今なお斬新すぎるそのコンセプトは、ある意味モンクスのそれと近い。しかしドライヴィング・スチューピッドの、確信犯というには程遠い偶然発生的な一瞬の輝き、「あの夏の楽しい思い出」的な佇まいは、ある種プロフェッショナルな風格を備えたモンクスとは違い、文字通りのティーン・ガレージ・パンク・バンドであったと思う。

■もはや笑うしかないほど、不運に不運を重ねたグループのヒストリー。録音されていたにも関わらず、ずっと歴史から完全にシカトされていた彼らの音源たち。ガレージ・バンドの中でも異端中の異端であると言わざるを得ない。しかし、彼らが本当に再評価されるのは、世界中にその音源をやっと聴かせることができた、今、この瞬間からなのだろう。

■友達との会話が途切れたとき「そういえば、ホント面白いバンドがいてさぁ..」って、彼らのことを教えてあげたりすると、いいかも(2004年春)。

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