蕪村コミュの渋かきの文机

2月5日の毎日新聞に次の記事があった。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&id=742113

「江戸中期の俳人で画家、与謝蕪村（１７１６～８３年）の文台（ぶんだい）が、神奈川県鎌倉市の作家、川端康成（１８９９～１９７２年）邸で見つかり５日、報道陣に公開された。戦前から存在は知られていたが、所在不明の「幻の文台」。川端が戦後、同市内の古美術商で購入し、邸内の蔵に眠っていた。

　文台は句会で句を記した懐紙を載せたりする小さな文机。見つかった文台は縦３３センチ、横５９センチ、高さ１２センチ。裏面に蕪村の花押とともに、亡くなる前年の６７歳の時、京都・嵯峨野の民家庭にあった桐（きり）から文台を作り「渋かき」と命名した－－との記述がある。戦前刊行の蕪村全集で紹介され、研究者の間では存在が知られていた。

　写真家の故土門拳氏が文台に見入る川端を撮った写真が昨秋、滋賀県であった企画展で展示された。これを見た蕪村研究の第一人者、藤田真一・関西大教授が「蕪村の文台」と気付き、川端邸内にある川端康成記念会に捜索を依頼。桐箱に納められた状態で１月初め見つかった。

　現存する蕪村の文台は京都・金福（こんぷく）寺所蔵に次ぎ２点目。藤田教授は「きれいな状態で残っている。家宝として保存されていたのだろう」と話した。【吉野正浩】」

蕪村全集にあたってみると、次の文があった。

「嵯峨の落柿舎のほとりなる民家の庭に、年経たる桐の木有けり。牛をもかくしつへきほとの囲み也けり。それをとかくもとめ得て、二見かたの文台三つつくりたり、二ッはみちのくの人と、つくしの人にわかちゆつれり、一ッは我家の青氈にもかへしと蔵しもちけるを、門人路景口には得云ハて、こころに欲するかほはせのやるかたなくて、終に得させ侍りぬ。

渋かき

落柿舎の垣ねにたよりあれは、かくは冠せたり。あまかきのあまきよりは、陽炎の肩にたつ紙の衣の蜀錦にもまさりぬへし。　　蕪村（花押）」