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フルトヴェングラー批評(I)コミュの1942.04.19/ベルリン/ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付」/BPO

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戦時下のベルリン、ベルンブルガー通りの旧フィルハーモニーホールにて、ヒトラー帝国首相兼総統の生誕前夜祭での演奏。
当日はゲッベルス帝国宣伝相が臨席。バッハの管弦楽組曲3番よりエア(G線上のアリア)の演奏後、ゲッベルス宣伝大臣の演説、その後第九が演奏された。

<ソリスト>
エルナ・ベルガー(S)
ゲルトルーデ・ピッツィンガー(A)
ヘルゲ・ロスヴェンゲ(T)
ルドルフ・ヴァツケ、
<合唱>ブルーノ・キッテル合唱団


ワールドワイド初出CDは、ドイツの廉価盤レーベル「Archipel」より巨匠の没後50年にあたる2004年(ARPCD-0270)。
他にドイツ週間ニュース用の素材によると思われる映像も現存し、DVDで入手可能(Dreamlifeなどから発売)。

コメント(19)

当演奏の諸々についてのコメントです。

総統生誕前夜祭の第九(1942.4)の音源&映像ですが・・・

・音源に関しては、Archipelの他、VENEZIA(国内盤)からも出ていて、こちらの方が、低音がしっかりした良い音です。ノイズが多いのは変わりませんが。でもこの程度のノイズ・音であれば、(Archipelでも)個人的には十分楽しめる範囲です。
…と書こうとして軽く調べてみたら、VENEZIA盤が見当たらないようなので、どうもあっという間に廃盤になってしまったかもしれません。
この音源は、最初に出た時は、「ドイツのローカルレーベルが初出で権利をArchipel(ゲブハルト)が買った」「音源自体は、骨董オークションで偶然発見されたアセテート盤」などというフレコミだったと思います(記憶の範囲なので、間違いがあるかもしれません。私も嬉々としてArchipel盤を買いました)。

・4楽章終結部が残っている映像に関しては、実は演奏のみ1942.3の演奏と差し替えられています(これが原因で、42年3月の演奏が実は3月ではなくて4月の演奏だ、という説がありましたが、Archipel盤の発売でその説が否定された、という経緯があります)。
先日、日本語版DVDで発売された「ベルリン・フィルと第三帝国〜ドイツ帝国オーケストラ」(HMVで買えます)には、演奏の前に収録されたゲッベルスの演説が入っています。
翌年の生誕前夜祭で第九を指揮したクナッパーツブッシュなどについてのコメントです。

総統が毛嫌いしてミュンヘンから追放したクナ(仕方なくウイーンで活躍中)をこういう場面で起用するあたり、宣伝省も節操がないですね…。総統のお気に入りはフルトヴェングラーのほかクレメンス・クラウス(クナの代わりにウイーンからミュンヘンに移されてバイエルン州立歌劇場で活躍中)だったはずなので、クラウスが振っても良いような気がするんですが。ベルリンでの指揮者としての「重さ」ではクナの方が上だったのかもしれませんね。

いずれにしろ、総統は東プロイセンの総統大本営(狼の巣)にこもって東部戦線(独ソ戦)の行方に一喜一憂、信奉者のヴィニフレート・ワーグナーの仕切るバイロイト祝祭にもほとんど行けない状態でしたから、フルトヴェングラーの42年も含めて臨席していないのもうなずけます。

あのコンサート自体が、「総統に見てもらう」というより、総統の威光を民衆に示すためのゲッベルスのプロパガンダだったと考えると、貴族のクラウスよりも大衆に人気のあるクナを起用する、という判断も理解できるような気がします。
いずれにしろ本命はフルトヴェングラーなんでしょうが・・・。
Venezia盤のジャケ写真についてのコメントです。

VENEZIA盤の表紙の写真ですが、1936年のバイロイト音楽祭で撮影されたもので、42年の演奏会とは全く関係ない写真です…。

写真右端はワーグナー家当主のヴィニフレート・ワーグナー、左端で背中を向けている人物は、音楽祭芸術監督でベルリン国立歌劇場などでも活躍し、フルトヴェングラーとも縁の深いハインツ・ティーチェン。
このときのフルトヴェングラー、ティーチェンそれぞれの振った「ローエングリン」の録音(フルトヴェングラーは放送録音でティーチェンはSP)が、全曲録音ではないものの現存してる、というのは、ファンにとっては嬉しいところですね。タイトルロールが当たり役のフランツ・フェルカーが大活躍。エルザはマリア・ミュラーだし。豪華…。
最後にアナウンサーによるコメントが収録されています。
Venezia盤にコメントの翻訳が載っていましたので、引用します。
(役職・肩書の邦訳や人名表記法など、疑問を感じる部分もありますが、その点について考え始めるときりがないので、とりあえずそのまま引用します。)

 大ドイツ放送局は総統の誕生日の前夜に行われた文化省とナチス国家宣伝局主催の国家社会主義ドイツ労働者党の記念式典を放送した。演説を行ったのは国家の指導者、国務大臣ゲッペルスで、演奏はヴィルヘルム・フルトヴェングラー率いるベルリンフィル、エルナ・ベルガー、ゲルトルーデ・ピッツィンガー、ヘルゲ・ローズヴェンゲ、ルドルフ・ヴァツケ、ブルーノ・キッテル合唱団である。
 この放送は全ての国営放送局、ドイツ放送およびルクセンブルク放送局、そして、アフリカ、北アメリカ、中央および南アメリカ、南および東アジア、オーストラリアに対してもビームアンテナによりドイツ短波放送局により行われた。
前の書き込みの追伸でどうでも良い雑談です。

アナウンスの中で「アフリカ」が入っているのが興味深いです。ちょうど「砂漠の狐」ロンメルのドイツ・アフリカ軍団がトブルクあたりで英米軍相手に奮闘している時期と符合します。
管理人です。わーい(嬉しい顔)

このトピックは、ベートーヴェン交響曲第9番(1942.04.19)に関するトピックです。

同曲の別演奏(年代、指揮者、オーケストラ)など、関連する情報が引き合いに出されることは
許容範囲であると考えておりますが、本トピックとは明らかに関連のない情報につきましては、
フルトヴェングラー批評(III)の「雑談」等のトピックをご活用いただけますよう、お願いいたします。


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