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大宮化学コミュのPolymers and the chemi

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 高分子化学についてのトピックです。
とりあえず、ポリエチレンからにします。
 分子量が1万以上のものを高分子化合物と言います。
原料の単量体、モノマーがたくさんつながって(重合)できます。

 ギリシャ語のpoly"多くの" 地理のポリ+ネシア 多くの島々(インドネシア インドの島々) 
merosは”部分、メンバー”という意味です。モノマーはmono ”1つの” meros です。
 熱可塑性を表すギリシャ語のplastikosは”変形できる、成形可能な”という意味です。
ここからプラスチックという単語になりました。

 重合と一口に言っても、簡単につながらないのです。
とくにポリエチレンは、古くに見つかってはいましたが、重合して質の高いものを生産するには大変な労力が必要でした。
 まず1933年にイギリス最大の化学メーカー ICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)社のフォーセットとギブソンという二人の研究者によって偶然に高圧条件での重合が発見されました。
 前に仕込んだエチレンを原料にした有機反応の容器が、翌週圧力0を示しているので、失敗したと思って容器を開けると、容器の内壁が白い膜で覆われていました。これがポリエチレンだったのです。微量な酸素の下で高圧にすることでの重合でした。
 第二次大戦がはじまると、イギリスとドイツで電子戦(電子機器を使った戦争で、主にレーダーやソナー)が開始され、新兵器のレーダーの性能は、ノイズから守るための高周波の絶縁性がよいポリエチレンによる機器やケーブルの被覆にかかっていました。
 化学先進国のドイツとイギリス、そしてアメリカのデュポン社とユニオン・カーバイド社ではICI法による高圧のもとでのエチレンの重合を行いましたが、高圧で行い加熱もするので工場では爆発事故が相次ぎ、絶望的な状況でした。ポリエチレンは戦争の帰趨を作用する重要戦略物質だったのです。
 日本は、兵器を生産する以前にこういった工業を支える基盤のサイエンスやテクノロジーが全くない後発資本主義国だったので、レーダーなど軽視していた軍部と相まって壊滅的にアメリカのレーダーのテクノロジーに完敗しました。

 戦後になって、1953年、ドイツのマックスプランク研究所のカール・チーグラー教授が偶然にも、ニッケル金属がエチレンをつなげる証拠を得ました。圧力容器(オートクレーブ)をよく洗ってなかったために残っていたニッケルのせいで、次の実験でエチレンが2量体を作り、重合したのです。
 この偶然を見逃さず、徹底的に金属が重合の触媒になるのではと調べ上げた結果、四塩化チタンとトリエチルアルミニウムのもとでは常温常圧で重合することがわかりました。
 この成功でポリエチレンを製造する重合の特許を取り、チーグラー触媒はプラスチックを作り出す魔法の触媒、まさに錬金術が求めた賢者の石でした。
 二本の三井化学の社長は、これからはプラスチックの時代だからと先見の明から、いち早くこの革命的な技術をとりこもうと、チーグラーの机上実験の見学を申し込み、小さい実験装置でのポリエチレン合成の見学に4億円もの見学料を払いました。

 マックスプランク研究所とのライセンス契約で情報のやり取りができる、イタリアの化学メーカー、モンテカチーニ社の顧問でミラノ工科大学教授のジョリオ・ナッタ教授は、いち早くこの情報をゲットして、ポリエチレンだけを特許にした隙間をかいくぐり、同じような触媒でプロピレンの重合、しかも側鎖のメチル基を同じ方向にだけ揃えたりできるような重合を見つけ出しました(立体規則性重合)。
 これによって、ポリマー分子の構造まで制御できるようになり、同じポリマーでも、分子構造をいじることにより強度や特性の違う樹脂にできるようになりました。

 1963年にチーグラー教授とナッタ教授はノーベル化学賞を受賞しましたが、パクられた感もあってか、二人とも二度と会話することはありませんでした。

 このチーグラー触媒のおかげで、戦争の趨勢まで決めるような戦略物資のポリエチレンが、タダ同然のコンビニやスーパーのレジ袋になったのです。
 ポリエチレンは耐薬品性に強く、機械的強度も優れているので薬品のボトルや包装用の袋、磁気記録用テープなどに用いられています。

コメント(2)

 そうそう、一コ書き忘れていました。
有名な食品保存容器のタッパーは、ポリエチレンの利用を考えていたデュポン社のアール・タッパーという技術者が、ポリエチレンの容器で食べ物の残りを保存する!と考案したもので、タッパーは人名からです。
 合成高分子は苦手な人が多いので、ここで一席。
いわゆるプラスチックは、厳密には熱可塑性ポリマーのことで、加熱して柔らかくなるものを言います。
 日本語になってしまい、人工で作られた合成高分子すべてがプラスチックになってしまいました。
 厳密には、熱硬化性ポリマーと熱可塑性ポリマー(プラスチック)になります。

 熱可塑性ポリマー(厳密な意味でのプラスチック)は、長いヒモ状の高分子で、まさにインスタントラーメンのイメージです。加熱するとヒモが自身で激しい運動をしてほぐれてニョロニョロと動き出し、流動性を持ちます。液体に近くなります。この固体から液体になる温度をTg(ガラス転移温度)といいます。
 冷えるとまた分子運動が小さくなり、固定化されて固体の状態(ガラス状態)になります。
 ラーメンのイメージで!
ということは、合成する時は付加重合か縮合重合で長いヒモ状の高分子を石油から得られる原料モノマー(単量体)から合成します。
 アレッシィのプラスチックのように、いわゆるプラモデルなどの成型品はABS樹脂(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)が多いですね。昔はプラモはポリスチレン(発泡スチロールと同じ)でした。

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