史跡コミュの大館(ｵｵﾀﾞﾃ)跡

　北海道松前郡松前町字神明

　1977年04月05日指定

　津軽半島の十三湊(ﾄｻﾐﾅﾄ)を本拠地とした蝦夷管領安藤(安東)氏が渡島(ｵｼﾏ)半島統治のために一族を代官として派遣して構築した道南十二館と呼ばれる城館の一つで、現函館市の志苔館(ｼﾉﾘﾀﾃ)に次いで古い歴史を持つ。
　応永７(1400)年頃、標高215ｍの勝軍(ｼｮｳｸﾞﾝ)山の裾野が舌状に突出した台地に造営された山城で、この地からは察文式土器や明の洪武通宝も出土している事から、アイヌ人のチャシ(城砦)を改築した物だと推定されている。
　大館と小館(ｺﾀﾞﾃ)の二つの郭から成っており、南側の小館と北側の大館の間は幅８ｍ・深さ５ｍの空堀によって遮られている。大館は東西は急峻な崖を防壁とし、南正面には橋と塞門があったと推定され、北面にも深さ７ｍ・幅15ｍの空壕が巡らされていた。
　安東氏は十三湊失陥後、蝦夷地に退転する際は必ず大館に入っていた。
　康正２(1456)年、安東師季が蝦夷地を去る際、統治体制確立のため、茂別館(ﾓﾍﾞﾂﾀﾞﾃ)の安東家政(師季の弟)を下国(ｼﾓﾉｸﾆ)守護、大館の下国定季(安藤康季の庶子？)を松前守護、花沢館館主の蠣崎(ｶｷｻﾞｷ)季繁を上国(ｶﾐﾉｸﾆ)守護に任じて、他の館主を統轄させる事としたが、松前守護は他の二人の上に立つ蝦夷地最高責任者だった。
　長禄元(1457)年のコシャマインの乱、永正９(1512)年のショヤ・コウジ兄弟の乱の際、大館は陥落している。
　ショヤ・コウジ兄弟の乱鎮圧後、蠣崎氏が松前守護を兼ねる事となって大館に本拠を遷し、徳山館と改名した。
　天正17(1589)年、徳山館は火災に遭い、主要部が焼失してしまった。
　慶長４(1599)年に蠣崎氏から改名した松前慶広は、翌年秋、本州の戦乱波及への警戒から、破損したままだった徳山館に隣接した福山台地に福山館(ﾌｸﾔﾏﾀﾞﾃ)の造営を開始、慶長11(1606)年８月に完成した福山館へ遷った。
　徳山館は表向きは廃城となったとされたが、実際には隠し砦として存続し、福山館の詰城の役割を果たす事となった。
　現在は畑地になっており、空堀・堀切・土塁の一部が残存、東側山麓には天照大神を祭る渡島国一宮の徳山大神宮〔郷社〕が鎮座する。

◎城下町松前
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＊松前氏城跡
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＊松前藩主松前家墓所
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