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H@Lちゃんを守り隊コミュのユクモの魔女 第4話:ハルちゃん、邪神さま(?)をモフるの巻き【前編】

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ユクモの魔女

第4話:ハルちゃん、邪神さま(?)をモフるの巻


ハルが野明と採取クエストから帰ってきたある日の事。

集会浴場で精算をしているとボーン装備に身を固めた見るからに怪しい集団がフロアーのど真ん中で何やら作業をしている。

どうやら祭壇を設けて何か儀式の準備をしているらしい。

それを見て野明は呆れ顔で受付嬢に質問した。

「・・・・・ハア〜、ひょっとしてアイツらが来るの?」

「はい、どうやらそのようで先ほどから信者の方々が準備を始めちゃってるんですよ〜。」

受付嬢も苦笑いしながら答える。

ハルも気になって質問する。

「野明先生〜、アイツらって誰なんでしゅか?」

「レオン・S・パストゥールとにゃごてっていう二人組みの狩猟笛使いのハンターなんだけど、何を思ったのかココ最近になって怪しげな宗教団体を立ち上げたらしいの。
で、その団体があちこちで問題を起こして苦情が出てたからそろそろユクモ村にも来るかとは思ってたけど、まさかこんなに増えてるとはね〜?」

野明が説明している間にも信者は続々と集会浴場に現れ、祭壇を中心に車座に座って祭壇に向かって手をかざして何やら怪しい呪文を唱え始めた。

「いあ!いあ!にゃごらとほてっぷ ふたぐん! いあ!いあ!にゃごらとほてっぷ ふたぐん! いあ!いあ!・・・・・」

車座に座る信者が増えるごとに呪文を唱える声も大きくなり、それと同時に笛や太鼓の音も混じってさらに人心を惑わす空気を作り上げていく。

「いあ!いあ!にゃごらとほてっぷ ふたぐん! いあ!いあ!にゃごらとほてっぷ ふたぐん! いあ!いあ!にゃごらとほてっぷ・・・・・」

気がつけば信者の数は50人を超えただろうか?
いつもの集会浴場ではありえないような一種異様な光景にハルは自身でも気がつかないうちに野明にしがみついていた。

やがて、周囲を不安に陥れる呪文のハーモニーの中、周囲の者達とは明らかに違う2人のハンターが現れた。
一人は大男で頭からドーベルヘルム、ネブラUメイル、ネブラUアーム、ネブラUフォールド、ユクモノハカマ天,そして手には狩猟笛の王牙琴【鳴雷】

大男は手を上げて信者たちにポーズをとると一言も語らないまま手に持った狩猟笛を演奏し始めた。
大男の演奏に呼応して信者たちが叫ぶ!

「おおーーーーーーーーーーー司祭サマーーーーーーーーーーー!!いあ!いあ!・・・・・」

もう一人は小柄な女性で、この辺りでは見かけないアイルーフェイクと呼ばれる被り物を被って首から下はすべてナルガS装備に身を固めている。

小柄な方が腰をくねらせながらポーズをとり、叫ぶ。

「あーいあーむ せくしーひろいーん!!」

その声に呼応するように信者たちも吠える。

「おおおおーーーーーーーーーーーーーーーーにゃごらとほてっぷ様ーーーーーー!!いあ!いあ!にゃごらとほてっぷ ふたぐん!いあ!いあ!・・・・・」

しかし、そのなかで野明とギルドマネージャーだけは態度が違っていた。

野明はあまりのバカバカしさに呆れて物が言えないという態度を取り、ギルドマネージャーにいたってはこれから起こる事が楽しみで仕方ないという感じだった。
いつも以上に景気良く酒を飲んでいる。

「・・・・まったく、あのバカタレたちはここまで派手なことをしてどうケリをつけるつもりなのかしら?」

「え?・・・・・野明先生、それって、どういうことなんでしゅか?」

「ハルちゃん、こんな茶番を怖がることなんかないわよ。見た目こそは派手だけど、儀式的な意味は全くないから。」

「え〜〜〜〜〜!!そうニャンでしゅか?」

「ええ、それに連中の装備を見てみなさい。どいつもコイツもそろって下位のボーン装備でしょう?
ときには例外もあるけど、見たところそこまで骨のありそうなのは一人もいないわね?
どうせ一人では何も出来ないから人にたかって美味しい思いをしようって連中なんでしょうww」

野明は持っていた扇子を広げ、ゆっくり仰ぎながら大声でハルに答えた。

ハルは野明の言葉を聞いた信者が大勢で襲ってこないかと不安だったが、どうやら図星だったらしい。
野明の言葉を聞いた何人かの信者が怒りの形相でにらみつけるがそれ以上の行動を起こすものはいなかった。

「・・・・ね?言ったとおりでしょう?
信仰は誰が何を拝もうとその人の自由だけど、信仰に逃げたやつなんか神様は救ってくれなんかしないわ。
そんな連中を神様が救ってくれるとしたら足元だけよ。
本当に神様が手助けしてくれるのは自分と仲間を信じて努力を怠らずに前に進む者だけよ。」

その言葉を聞いた信者たちは皆下を向いてしまった。
余程、野明の言葉が心に突き刺さったのだろう。

「ハルちゃん、ハンターにとっての主とは他の誰でもなく自分自身よ。
自分でやれることを思いつく限り最大限駆使してより良い結果を目指して狩りを遂行するの。
神様に祈るのは力尽きるときだけで十分。
それまでは自分と仲間の力を信じて前に突き進みなさい。」

「・・・・・はい!!」

しかし、そんな連中の中から何人かが立ち上がって野明とハルのところへやってきて周囲を取り囲んだ。

その強面の連中にハルはビクビクしているが野明は動じず、持っている扇子をヒラヒラと扇いでいる。

「あら、信仰の過ぎた人たちかと思ったらどうやら違った人たちが混ざってたようね?それもハンターですらないとはね〜?」

その言葉を聞いて取り囲んでいる一味の中でも一際体格の大きくて見るからに凶悪そうな面構えの男が話しかけてきた。

「へえ〜俺達が信者じゃない上にハンターですらないとなぜそう思うんだい?」

「だって目つきを見ればすぐわかるわよ、あんた達の目には信仰の「し」の字もないどころか、周囲の信者達を馬鹿にした色がはっきりと出てるもの。
それにハンターなら自分の装備に其処まで無頓着でいられるわけないもの。」

よく見るとその連中だけ装備の手入れがされていないのがよくわかる。
自分の身を守る防具をないがしろにするなど本物のハンターならばありえないことだった。

「ふ〜ん、なるほどねえ〜そうかい、そこまで判るとは姉さん大したもんだね〜?
だが、そこまで知られちゃうとこっちも都合が悪いんだよな〜可哀そうだが俺たちと一緒に来てもらうよ。」

そう言うなり野明の両脇にいた男たちが取り押さえようとするが・・・・

「・・・・・悪いけどあなた達みたいなのは好みじゃないの。」

そういった次の瞬間!取り押さえようとした両脇の男たちの体がふわりと浮かんでひっくり返って落ちた。

「・・・・・?ギャーーーーーーーーー!!オレの腕がー!!」

「お・・・オレの腕が・・・何で・・・何でこんな方向に曲がってるんだよー!!」

双方の男たちの腕はいつどうやったのか、間接があらぬ方向に向いていた。

「全く男のクセにギャーギャーうるさいわね〜?ちょっと関節を外しただけじゃない?」

そういうと無造作に2人の関節の外れた腕を掴むとあっという間にはめなおし、ついでに当て身を当てて静かにさせた。
そのあまりの早業に周囲がしんと静まり返る。

野明は気絶させた2人の上に座り、またしても扇子をヒラヒラさせながら頭領らしき男に話しかけた。

「さて、あの連中の中にあんたたちみたいなのが混じってるってことは何かよからぬことを企んでるのかしらね〜?
まあ、いいわ。これからじっくりと聞かせていただこうかしら。」

「・・・・・こ・・・このアマ〜〜〜〜〜〜〜〜舐めた前をしやがって!!
・・・・・おい!!野郎ども、かまうこたぁねえ!このアマ殺(や)っちまえ!!」

「オーーーーーーーーーー!!」

頭領らしき男の命令で複数の男たちが野明に一斉に襲い掛かってきた。
いくら野明でも多勢に無勢。

この状況からハルはもうダメだと思った。

しかし、野明は涼しい顔でのらりくらりとかわしていく。
そしてそのままハルに向かって声をかけた。

「ハルちゃ〜ん!丁度いいからこのバカ達を使って特別レッスンしちゃいましょう〜!
モンスター相手でもいえることだけど、戦闘の際、男と女ではどうしても力の差があるから正面立ってまともに構えないこと!
まずは悪い見本!」

そう言うと殴りかかってきたうちの一人の真正面に立ち、殴りかかってきた相手のこぶしを無造作に掴んで受け止めた。

「こんな風に真正面から受け止めると力負けしちゃうからやってはダメよ〜?」

そう言いながら流れるような動作で相手の手首を取って間接をねじ上げ、瞬時にひじの関節を外した。

「ハルちゃ〜ん!骨は力のかけ方と角度によってこんな感じに簡単に外れるの!(ギャーーー!)
逆にはめるのもこんな感じで簡単にはまるから。(ア゛−−−!)
いきなりは無理だから今は見聞きするだけでいいけど、そのうち機会を設けて実戦で教えてあげるからね〜!!」

そんな感じに嬉々と講義をしながら次々と倒していく。

しかし、野明の講義を聴きながらハルは呆然とするしか出来なかった。

(野明先生の言ってることとやってることがしゅごしゅぎてじぇんじぇん判んにゃいでしゅ・・・。)

「・・・・!!」

野明の技の数々にボーゼンと見ていたハルの背後を一味の一人が突然、羽交い絞めにした。

「つかまえた!テメエは人質だ!おい!そこのクソアマ!!子供の命が惜しければおとなしく・・・・って、うわーーーーっ!!」

ハルが掴まれたと同時に反射的に相手の手首の関節を取って投げたのだ。

しかし、技は完璧に決まったが、ハルは自分が何をしたのか全く理解できていない。

相手はすでに地面に叩きつけられて悶絶している。

「・・・・・え?・・ええ?・・・エーーーーーーーーーーーーー?私がやったんでしゅかーーーーーーー?」

自分が無意識にやったことに全く理解が出来ずにオロオロしている。

「ハルちゃんすっごーーーーーーーーい!!
先日からお試しに導入してみた護身術の睡眠学習プログラムが成果出てよかったわ〜!」

いつの間にそんな物を導入していたのか全く知らなかったハルは話を聞いてビックリした。

「野明先生!そういうのはちゃんと教えてくだしゃい!!(プンプン)」

「ハルちゃんごめんね〜?でも、本当にお試しで上手く行くとは思ってなかったから〜ww」

「もう〜野明先生ヒドイでしゅ〜(ムー)」

「あーーーーん、ハルちゃん本当にごめんなさい〜!!(あ〜ん、本当にかわいいな〜あ〜ん、もう〜食べちゃいたい〜!!)」

師匠の心の中はともかく、相手は一方的に次々と倒されていく。

気がつけば一味は野明にあらかた倒され、無事なのは頭領を含めてもう何人とのこっていない。
一味は気息奄々、全員肩で息をして汗でびっしょりだった。

なのにたった一人でアレだけ暴れたはずの野明は涼しい顔で汗すらかいていない。

「まったくこの程度じゃウォームアップにもならないわよ?
さ〜て、改めて聞こうかしら?
レオン達にまぎれて何やら怪しいことをやってるようだけど、あんたら何が目的なの?」

「けっ!てめえなんかに言うわけねえだろ!!」

「あら?そう?じゃあ・・・・・」

「それはオレから言ってやろう。」

その声に振り向くとタミとダンテがいた。
タミは手に縛り上げた身なりは立派だが顔面ボコボコの小男をぶら下げていた。

男の身の丈は1mあるかないかという位で一見、子供のように見えたが顔は分別のついた大人のものである。
しかもヒゲが濃いのか、剃り上げていながらも頬の周りはうっすらと青かった。
さらに体格に似合わず無駄に彫りの深い顔は大きく、少なくとも一般の身長の者よりも頭のサイズは一回りは大きく見えた。

それを見た一味は一斉に驚きの声を上げた。

「あ!・・・りょ・・領主様ッ!」

「あら、タミとダンテ、その手に持ってるのって自称【完璧】な財産と気位だけはやたら高いクセして身長と人望がない姑息で卑劣で嫌味なハンター嫌いの領主じゃないwww
・・・・・なるほどね、そういうこと?・・・・・ギルドマネージャー、そういうことなら私にも教えてくれてもいいじゃない?」

それに対してギルドマネージャーは愉快で仕方ないとばかりに大杯の酒をあおりながら

「ヒョッヒョッヒョッ、すまないの〜魔女殿、だが、訳あって此度はことを公にするわけにいかなかったんじゃよ〜ww
大蛇殿、無事に解決したからこそ其の者をココに連れてきたのじゃろ?」

「ああ、コイツと来たら全く言うことは無駄にでかいクセしてやることがセコくて拍子抜けだったよww
向こうはとりあえず後から来たギルドナイト達に後始末を任せた。
しかし、こんないろんな意味でちんちくりんなのが田舎とはいえ、よくも領主になれたもんだww」

タミの言葉にダンテが軽い口調で答える。

「この手のヤローのお約束みたいなモンで大臣かその辺りに金でもばら撒いたんじゃねえのか?ww」

ギルドマネージャーとタミ、ダンテの言葉に野明は一人得心が行ったようだが、ハルやカウンターの受付嬢たちは事態が把握できずにキョトンとしている。
気がつけばにゃごてやレオン、そして信者達もタミたちに黙って注目していた。

「・・・・・??タミさん、野明先生、どゆことなんでしゅか?」

「こいつら、以前からハンターを排除して親ハンター派の国王にとって替わろうと暗躍していた貴族の一派なんだが、
にゃごての姉を人質に取ったと脅しをかけてレオンたちに怪しいことをさせてハンターの信用を失墜させるのが目的だったようだ。
もっとも、レオンたちの行動が元々怪しかったからあまり意味はなかったようだがなww」

「それでにゃごてさんのお姉さんは無事だったんでしゅか?」

「ああ、連中の情報操作で人質に取られたと信じ込まされただけだった。
お〜い、にゃごて、お前の姉さんはジャンボ村で元気にしてたぞ!」

「・・・・・よ・・・よかった・・・姉様が無事でよかったのニャ!」

にゃごてがそれまでの緊張が抜けたのかその場にへなへなと座り込んだ。

レオンが優しく声をかける。

「・・・・・よかったな?にゃごさん。本当によかった・・・。」

2人とも表情はマスクに隠れて判らないが本当にうれしそうなのは誰の目から見てもしっかりと伝わった。

「いや〜よかったっすね?にゃごさん!」

「いやいや本当によかった!」

信者達も口々ににゃごての姉の無事を喜びあった。

そんな中、タミに縛られて吊るされていた領主が目を覚ました。

「・・・・・んっ!痛たたたたたた・・・・・わ、我輩は・・・・!」

領主は自身が縄で縛られて吊るされていることに気がつき、周囲の人たちに喚き散らし始めた。

「おのれ!下等で卑しく卑劣で下種なハンターどもめ!
この戒めをさっさと解かぬか!!バカものどもめが!!
まったく!これだからハンターという下等生物は汚らわしくて卑しくて使えんのだ!!
我輩を何だと心得る!!我輩はこの地方を治める領主であるぞ!!
完璧な我輩の領地にハンターなどという下劣で卑しい者は生きていてはいかんのだ!
貴様らハンターなぞアイルーや鬼面族どもにも劣るわ!!
さあ、さっさとこの戒めを解かぬか!!」

目を覚ますなりこのふてぶてしい態度での罵詈雑言。
この領主はそれほどハンターに恨みでもあるのだろうか?

もちろん、ココまで言われて素直に拘束を解くものなどいるわけがない。

「ハンターなどというヒトと呼ぶにも値しない野蛮で卑しい存在は一人残らず火あぶりにしてくれるわ!!
何がハンターだ!いや、ハンターだけではない!ハンターに関わったものすべて皆殺しにしてくれようぞ!!
我輩の完璧な領地に断じて生存を認めてなるものか!!断じて許さぬぞ!
我輩の完璧な・・・・・アガッ!!」

領主が喚き散らしている間に側まで来ていたレオンが領主の口を無造作に掴んで黙らせた。
となりにはにゃごてもいる。

「・・・・・あなた・・・・・騒いですよ。」

かなり力が入っているのかミシミシと音が聞こえてくる。
口を塞がれて領主は自身の置かれた立場を理解して痛みと恐怖にガタガタと震えることしか出来なかった。

「レオン、気持ちは判るがまだ潰すなよ。」

タミはそういうとレオンに領主の身柄を渡した。

「・・・・・判ってますよ。にゃごさん、悔しいけどもう少し待ちましょう。」

「う゛〜勝手に手を出しちゃうとこっちが罪人になっちゃうから仕方ないのニャ。」

二人とも揃って背中からどす黒いオーラのようなものが見えるような気がする。
誰からの目から見ても激怒しているのがよく判った。
だが、二人とも何かを待っているかのようにそれ以上手を出さない。

そのときギルドマネジャーのもとに伝令が来た。

「王都より国王陛下とハンターズギルドからユクモ村のギルドマネージャーへ書簡を預かってまいりました。」

そういうと一通の王家とハンターズギルドの落款の入った書簡を渡した。

ギルドマネージャーは書簡を高く掲げて一礼すると開封して読みはじめた。

「フムフム・・・・なるほど、あい判った。あとはこちらで確実に処置すると伝えてくだされ。」

「はい、改めてこちらの始末はよろしくお願いします。
それでは、失礼致します。」

伝令はギルドマネージャーに一礼するとその場を去った。

ギルドマネージャーは領主に向かって話しかけた。
その表情はいつもの飄々とした印象とは打って変わって重いものを孕んでいる。

「のう領主殿、たった今、国王陛下からおぬしあてに辞令が来た。
今から読み上げるからしっかりと聞くように。」

『その者、国王の命にそむいて領民を苦しめ続けた大罪人につき、地位、領地、財産すべて没収の上断罪する。
刑の執行はすべてユクモ村のハンターズギルドに一任する。
なお、後任の領主については追って通達する。』

一読すると国王の落款の入った公式の文書を「元」領主に見せた。

「元」領主は目を剥いて「ウソだ!」とばかりに首を横に振ろうとした。

だが、押さえつけているレオンの剛力がそれを許さない。

それならばと「元」領主は今度は目をつぶろうとした。

しかし、今度はにゃごてがそれを許さず無理やり開けさせた。

「さあ、よーっく見るのニャ!!
コレでお前も立派な【大罪人】なのニャ!」

「レオン、にゃごて、ギルドナイトが戻ってくるまでの間、その者をしばらく好きにしてよいぞ。
但し、逃がすのと殺すのだけは罷りならんぞぃ」

「はい、ありがとうございますギルドマスターww」

目線をずらすと「元」領主の部下達は先に信者達の手で袋叩きになっていた。
みんな今まで連中の行動に腹を据えかねていたのが爆発したのだろう。

「てめえら!今まで人の弱みに付け込んでやりたい放題してくれやがってコノヤロウ!!」

「てめえらのその人を馬鹿にした態度にムカムカしてたんだ!!」

「何が『いあ!いあ!』だ!バカにするのも大外にしやがれ!!」

「勝手に新興宗教団体に仕立てやがって!祈るならテメエらだけで祈りやがれ!!」

元領主の手下達は野明にやられた後と言うこともあって、抵抗しようにもなす術がなかった。
たとえ野明にやられることなく無事だったとしても元々ハンターである信者たちに勝てるはずもなかったのだが。

怒りに熱くなり始めてきた信者達にレオンがにこやかに釘を刺す。

「皆さんギルドマスターの仰ったことはきちんと守ってくださいね〜?
やり過ぎて殺してはいけませんよ〜ww」

レオンの呼びかけに信者達はにこやかに答える。

「は〜い!司祭様〜気をつけます〜ww」

しかし、怒れる信者達の猛攻はなかなか収まりそうにない。

「・・・・・ま、一応注意はしたからいいでしょうww
・・・・・というわけでぇ〜完璧な「元」領主様〜、楽しい〜『パーティー』を始める前にぃ〜
小便はすませたか〜?
神様にお祈りは〜?
部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK?」

レオンがドーベルヘルムを被ったままの顔で元領主の顔を覗き込む。
いまだ口元を押さえられている「元」領主は文字通りガタガタと震えることしか出来なかった。

にゃごてが殺意をこめて威嚇する。
「殺ァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ〜いいザマですね〜?完璧な「元」領主様〜?
権力も地位も財産もすべて没収されて断罪される気分はどんなものかな〜?
私たちのような下等で卑しく卑劣で下種なハンターに教えてくれませんかねえ〜?
ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!ねえ!!
・・・・・あ〜やっぱり言わなくても結構ですよ〜ww
先のないものの意見など聞いても参考にもなりやしませんからね〜ww」

元領主の恐怖を煽るレオンににゃごてが声をかけた。

「ねえ〜レオン〜早く楽しい『パーティー』を始めましょう〜?ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!」

そう言うと壁に爪を立てゆっくりと引っかき甲高い嫌な音が響きわたる。(キぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)

「そうですね〜、皆さん大〜〜〜〜〜〜〜〜変ッ!お待たせしました〜!!」
そう言うと元領主を袋叩きにあってる彼の部下達の方に投げ込んだ。

それと同時ににぎやかだった信者達が一斉に静かになる。
信者達が静かになってこちらに全員向いたのを見計らってレオンとにゃごてが信者達にささやく。

「さあ・・・・それではみなさん・・・・・」

「「「「レッツ!パーティーターイム!!」」」」

元領主達にとって一斉に叫ぶそれは獲物を前にした地獄の魔物たちを連想させた。
逃げること抗うことも叶わず、もはや彼らには【絶望】しかなかった。

「・・・・・あっ・・・あぁ・・・・・・・あ゛−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−!!」

そして領主の絶叫が集会浴場に響き渡る。




・・・・・それが公で「元」領主達を見た最後の姿だった。



コメント(2)

「ユクモの魔女」第4話UPしました。

今回は尺が長くなってしまったので前、後編に分けました。
稚拙な作品ではございますが、楽しんでいただけたら幸いです。
タミが姉の安否の説明をするところでポッケ村と表記するところを間違えてジャンボ村と表記してしまいました。
大変申し訳ございません!!

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