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KAI'S─PARTYコミュのD&Dキャンペーン「赤き手は滅びのしるし」第1章<魔女の森>──間奏1

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「あそこに閂があります!」
 シンシアの声を聞き,扉を――詰所の入り口から入ってくるであろうウルフライダー(ダイアウルフとその乗り手),そして場合によっては,マンティコアも分断できるかもしれない,生死の境目――それを,生の方に引き寄せるべく,テンペランティア――テンは,獰猛な肉食獣の唸り声と,甲高く,不快で,ぞっとするゴブリンの叫び声を無視し,詰所の入り口を振り替えることなく,倒れたミノタウロスの脇を通り抜け,ギルバートとレガシィが戦っている竜魔将コスの居室へ駆け込んだ。
 扉を閉めると同時にメイジハンドを発動し,閂を持ち上げ,扉に引き寄せる。
 扉の向こうではさらに大きくダイアウルフの唸り声が聞こえてくる。
――間に合って
祈るように呪文に集中する。
 扉を押し開かれる前に閂が扉に刺さった。
 数瞬後,ドンという音と唸り声とともに扉が揺らいだ。
 だが,100年という歳月を耐えた頑丈な作りの扉はわずかに揺らいだきりで,びくともしない。これで時間を稼ぐこと――詰所から入ってきたウルフライダーとバグベアのウォーロック,上の階からやってくるかもしれないマンティコアに挟み撃ちにされること――はできた。
一瞬息をついてから,部屋の中央で戦うギルバートとレガシィの方に視線を向ける。
 ギルバートのシミタ―の一撃がバグベア――竜魔将コスを襲うが、コスの身のこなしとレザーアーマー、厚い皮膚に阻まれる。
 ギルバートの攻撃により移動できなくなっていたコスの目が光った。
「おのれ冒険者ども,お前たちのことは覚えたぞ。次は覚悟しておけバグベアー」
 そう地獄の底から響くようなゴブリン語で言ったコスは天を仰いだ。コスの巨体がおぼろになり,霞のようになって消える。
「瞬間移動(シフト)か!?」
ローグであり,ウォーロックでもあるレガシィが驚愕の声を上げ,
「上か!?――」
 ギルバートが一瞬天井の方へ視線を向けたかと思うと,そのまま塔の2階へ続く階段の方へ視線を飛ばす。
 2階へ続く階段も足をかけるように立つコスの姿が見える。
「本当は外にシフトしたかったが,だめだったんで,塔の2階に跳ぼうと思ったが,塔の2階は20フィート上で,距離が足りなかった。こんなことなら外にシフトすれば良かったバグベア!だけど後でルールを確認したら,視界が通らないところにはシフトできなかったバグベア!」バグベアがメタなこと怒鳴る。
シンシア「上に直接跳んだと見せかけて,皆の視界から外れて奇襲をかけようとはなんと姑息な。大きな図体をして卑怯者なバグベアにふさわしい。」
コス「うるさいバグベア。本当ならパワーを使いたいところだが,一撃で行動不能にすることができない上,ここで戦ったら挟撃されて不利なので,動けるようになってから階段を上がって,マンティコアと合流するベア。マンティコア,塔の上から入って下へまわって来いバグベア。ウルフライダーどもは何とか扉を破壊して挟み撃ちにするベア!俺は標準アクションで自分を治療してセービングスローし,階段を上へあがるベアー」テン「大変だ。マンティコアに塔の上から来るように指示してるよ!」
コス「治療判定を失敗したベア!こんなことならパワーを使っておけばよかったベア!!」
テン「失敗したって言ってるよ。今がチャンスみたい!(笑)」
レガシィ「余計な事をしなければいいのに。策士策に溺れる。」
コス「余計なことは言わなくていいベア!」
「とりあえず攻撃のチャンスなんだな!?畳み込むぞ!」ギルバートが声と同時に一気にコスに肉薄する。「戦士の標的!突撃!!命中!!!移動できない!!!!」
レガシィ「じゃあ,挟撃できる位置に移動して<華麗にして優美>当たったんで,急所攻撃」
テン「レガシィ!それがローグらしい行動です。それはともかくマジックミサイル」
レガシィ「ほっとけ,うるさいわい」
シンシア「みんな回復入らないですね!?じゃあ,ランスオブフェイス」
 2ターン後残りの生命力を削りきられ,コスは倒れた――

「おのれ,ミノタウルスがあんなあっさり倒されなければ面白いことができたのにバグベア。だが赤き手には俺よりも強い竜魔将とドラゴンたちがいるぞ」 コスが捨て台詞を残して絶命する。
 その言葉に一瞬いやな沈黙が流れた――次の瞬間,ひときわ大きく扉が揺らいだ。
「マズイ。扉は無事だが蝶番がもたんかもしれん」
 手早く扉を確認してレガシィが言う。
「上か,外か!?」
ギルバートが階段の方へも扉の方へも移動できる位置に移動して身構える。
「下という手もあるか?」とレガシィ。
「ヴーラス砦には隠し通路があってそこからメアリ・ヴーラスが逃げたって言う伝説もあるんだよね。死体見つかってないし」とテン。
「のんびり相談してるばあいではないのでは」とシンシア。
 再び扉に衝撃が走った。それと同時に2階へ続く階段の奥から羽ばたきに続いて何か重いモノが移動するきしみが聞こえてくる。
――上は,難しいか……
 ギルバートが階段の前に移動する。
「コス!階段は狭い!!お前が登って来い。おれは挟撃されるのは嫌いだ。めんどくさい」
 階段の上の方から低い吠えるような声が聞こえる。
――マンティコアか?おりてくる気がないならチャンスか?
 4人が顔を見合わせ,あたりを見回す――机とベッド
ギルバート「階段と扉の前に動かそう。少しは時間稼ぎになる。おれが階段の前でマンティコアに備える」
レガシィ「筋力8」テン「同じく8」シンシア「私は10です」
ギルバート「お前ら……(いや確かに一番いらない能力値は8にするわな)」
レガシィ「いや,そのためにフローティングディスクの儀式は習得してるんだよ。ただ儀式に10分かかるだけで」
ギルバートじと目で見る。
テン「あ,あたし,階段の前行こうか。いざとなればシフトで下がれるし,サンダーウェイブで押せるし」
レガシィ「それだ!」
ギルバート,テン,シンシア「それ?」
レガシィ「ベッドをサンダーウェイブで押せる」
ギルバート,テン,シンシア「それだ!!(爆)」
 テンがベッドのそばに移動する。
シンシア「机の上に地図があるよ」
ギルバート「持ってけ」
テン「行くよ」
 サンダーウェイブ×2
「机があった場所に扉がある」 念のため,起こしたベッドの前に立ったギルバートが言う(おのれ〜受動知覚23)。
「おれから入るか?というかおれから入る」
 コスを探っていたレガシィが立ち上がり,机があった場所へ移動する。
シンシア「ウォーロックの持ってたロッドとかは?」
レガシィ「持ってく。セルバートの役に立つ。あと宝石を持ってた。」
 テンがメイジライトで穴の下を照らす。見える範囲には変わったものはない。レガシィが穴の中を下る。
レガシィ「死体がある。古い。貴族のようだ」
シンシア「じゃあ,私もおります。アンデットかもしれませんから」
 シンシアも降りる。
テン「じゃあ,あたしも降りるね。」
 隠し扉の梯子に足をかけ,上半身だけ乗り出したままテンが言う。
「ああ」
 振り返ってギルバートが頷いた瞬間,ベッドから轟音が響いた。砕けたベッドの欠片が額に当たり血が流れる。
 ベッドの隙間からマンティコアの姿が見える。
――いつの間に近づいてた?
 驚愕を押し殺してギルバートがシミタ―の刃をベッドの先のマンティコアに向け,盾を構える。
「コスの宝。ワシがもらう約束。死んだらワシのもの。貴様ら盗人,殺す」
 マンティコアがたどたどしい共通語で唸った。爪でベッドを殴り,続けて尾をもち上げ,スパイクを放つ。
 ギルバートが軽く身をひねる。背後でスパイクが刺さりはじけた音が聞こえる。
――どこを狙って……マズイ。こいつ狙って!?
 記憶を探り,自分の背後にあるのが,扉と机であったことに気づく。
 同時に下に降りたシンシアとレガシィの声が聞こえる。
「ワイト!」「くそ,数が多い!!」
 どうすればいいだろう,どっちを助ければいいんだろう,不安げにテンが下とギルバートの方を交互に見る。
ギルバート「下に行け!」
テン「でも――」
ギルバート「こいつだけならおれ一人で何とかなる。敵の数が多いなら,お前の魔法がいる。小休憩は取れていないから,使えるのは無限回パワーだけだ!」
テン「……分かった」
ギルバート「下に行くときは扉を閉めていけ!」
テン「え,なんで――」
ギルバート「いつまで扉が持つかわからん。さっきのスパイクを何度か受けると壊れる可能性もある。そうしたらウルフライダーも入ってきて,扉に気づくかもしれん!俺なら大丈夫だ。一人でも何とかなる!」
 ほどんど遮蔽の役に立っていないベッドの残骸の間から伸びてきたマンティコアの爪を盾で防ぎつつ,ギルバートが怒鳴る。
「必ず来てね。待ってるから!」
 それだけ言うとテンは,穴の中に入った。歯を食いしばり隠し扉を閉める。
 先ほどまで穴の中から聞こえていた剣戟が聞こえなくなる。
 ギルバートの顔に笑みが浮かぶ。
「行くぞ,化け物!<押し寄せる鋼鉄>!!」
 ギルバートは雄たけびを上げ,マンティコアへ刃を振り下ろした。


 さっきまで地下室中に響いていた剣戟の響きがやんだ。
 聞こえるのは,傷ついたレガシィを癒すため,シンシアが唱える祈りの言葉だけだ。
「それでいい。十分だ」
 レガシィはそう言って立ち上がり,地下室の中を確認するため,奥へ向かった。宝箱と机がある。
 シンシアがテンに上で何があった確認している声を聞きながら,それらを確認していく。
シンシア「――一人でも何とかなる,そうギルバートが言ったんですね。」
テン「そう。早くしなくちゃ。間に合わなく――」
 なる――そう言いかけたとき,上の方を巨大な四足の何かが歩いている音がし,口をつぐむ。
 グルゥ――何か気配を感じているのか,唸り声が聞こえる。シンシア「ギルバートがまだ戦っているなら何か音が聞こえるはずです」
テン「でも――」
ゴブリンライダー「――どこへ行ったゴブ」「コスさまが死んでいるゴブ」「まさかコスさまがゴブ?」「マンティコアもいないゴブ!?」「階段に血があるゴブ」「――へ向かおうゴブ。報告する必要があるゴブ」
シンシア「なんて言ってます?」
テン「マンティコアがいないって…」
シンシア「上にギルバートがいないのなら,少なくともここでは死んでいないということです。」
「どうするか,決まりましたか?」
 奥から戻ってきたレガシィが声をかける。
「奥はどうなっていましたか?」とシンシア。
「宝箱がひとつと机があった。机の中には手記と――ヴーラス砦の権利証があった。宝箱の中にはマジックアイテムと金貨,装飾品。それとこれ――」肩に下げていたごつい巨大なガントレッドレッドのようなものを示す。牙の紋章と奇妙な言語が刻まれているのが見える。
「それは?」
 レガシィが肩をすくめる。
「巨人語みたいですね」とテン。
シンシア「読める?」
テン「ギルバートだったら……」
シンシア「そう――他に何か?」
レガシィ「隠し通路がありました。どうします?」
「行きましょう。ギルバートなら,きっと大丈夫です。こんなところで,倒れるような人間ではありません。彼には目的があるのですから」
 そうシンシアが言う。
 こくりと二人が頷く。
 そして,三人は準備を整えると薄暗い通路を,レガシィを先頭に歩きだした――

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