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岡2林コミュのくれは

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人子は舞う様に晩秋を歩く。里男は思慮深くその足跡を踏む。良く手入れをされたびろうどの苔に、無造作な黒い足跡が続く。紅葉が頭上に降りかかり人子の唇に当たる。ほっと離れ背を越えると里男の掌中に舞い入る。唇を寄せたい衝に駆られながらも静かに払い落とした。小倉の山は盛りを過ぎ、これが最後の紅葉の園だ。散り際の美しさが心を和らげるのを里男はゆったりと感じていた。人子が振り向いて、何かを語り掛ける。わかっていたことだ。夢のように答える里男の唇が、ふと冬の気配に触れる。くしゃみをして我に返る。笑い乍ら遠くなる人子の後ろ姿をぼうと眺めながら、里男は只白々として居た。

人子の揺れる背。

紅霞の中にさくり、さくりという足音だけが響き、やがてさらさらと落ちる枯れ葉の中に消えていった。足跡と別の方向を向いて、里男は新しい苔の上に足をおろした。

コラー

やっと僧侶の怒鳴り声がはぜた。

(1999/11)

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