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人と自然コミュの「無縁社会」

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NHKスペシャル取材班「無縁社会」文春文庫 ¥629+税 2012年7月刊


 無縁仏とか行き倒れという言葉は今では死語なのだろうが、現代では「行旅死亡者」というらしい。「孤独死」自室で亡くなって一ヶ月後くらいに発見される。遠い親戚・家族がいても引き取りを拒否される。行政が荼毘に臥して、骨壺を5年保管したあと、合同墓に納められる・・・。こういう経過をたどる。年間3万2千人になるという。
 個人的にはこのような世の去り方は悪くないとも思うのだが、実はそこに至るまでの暮らしが不幸なのだ。人と人とのつながりが無いことがこのような結果を招く。60代70代の一人暮らしは珍しいことではなくなっていて、都市や郊外の住宅団地は一人住まいの高齢者の住みかのよう。ほとんど蓄えもなく、年金だけが頼りの例も多い。配偶者を亡くしたり、元々の独り身だったりして、職を失い、健康を害したりして、人とのつながりを失うか、持っていない。そのような行旅死亡者になった人たちもそれぞれの境遇の内に懸命に生き抜いて来たにもかかわらず、不運な結末を迎えた例もあって、だれにでも起こるような気がする。

 会社人間と言う。仕事ばかりやっていて、妻子と別れる。名刺が数百枚あるのに退職後に人脈がつながらない老後の孤独。自分そのものでなく、会社人間としての自分しか存在しなかったことに退職して初めて自覚される。子供からも相手にされない。
 若い人たちでも、人付き合いが煩わしいと感じる人が多い。一人が気楽だと言う。facebookやtwitterでつぶやいて、憂さを晴らしている。だが、そこから強い絆など出てこない。人の悲しみや喜びに共感できるかどうかだ。PCの画面から現実の人間関係を作り出す、その勇気ある一歩が必要だ。画面に向かうだけでは人の輪は広がらない。「無縁社会」は人ごとでなく、自分たちの未来かもしれないという声が20代・30代の若い層からもネット上で上がっている。

 「お一人様」の一人暮らしの例もいくつかルポされている。気楽さと不安が同棲しているようだ。その後を看取るNPOが出来ている。疑似家族というか、まさかの時の受け皿として契約されている。これはこれで有効に機能しているが、NPOとは言え、死後までがビジネスにされてしまう。
 家族や地域社会のつながりが急速に力を無くしているようだ。経済的にも気持ちの上でも人の世話をしたり、話しかけたり、関心を持つ余裕さえ無くなっているように思う。「人の世話をしたり、面倒を見れるような人は孤立しない」そういうルポもいくつか書かれている。街に出て、人と出会おう、挨拶から始まることもある。そのように言わなければならないことが不自然だが、ここに近代の「個人主義」の影を見てしまう。
 家族や地域コミュニティがこれまでは個人(の自由・プライバシー)を束縛する面ばかりが強調されてきた。個人の努力や才能が報われやすい豊かさに預かれた高度成長社会はすでに過去のものとなり、経済が停滞期に入り、非正規雇用の多い若者たちには都市での家族生活は負担が大きく、結婚に踏み出せない。地方は仕事が無くて、第一次産業も衰退し、地域共同体は崩壊、それどころか、限界集落が増えて村や集落がなくなりつつある。

 しかし、もっと国民全体が豊かでなく貧乏な時代もあったはずだし、世界中を見渡せば、はるかに低水準の暮らしをしている人々は一杯いる。だから、経済的理由(下降線)でそうなったなどと言うのはまずいのではないだろうか。
 人々のつながりの再構築の動きもある。そこに望みをかけたいようだ。個々人としては、現在のつながりを維持し、広げること。そこにエネルギーを注げるなら、無縁社会とは別の関係豊かな生き方ができるだろう。 この本自体は「無縁社会」の現状の報告・ルポなのだが、それならどうすればよいのかのヒントもある。まずはその実態を知ることだろう。


(ちょっと話題がはずれるのですが、毎日新聞の経済欄のコラムで「少子高齢化で今後国内は労働者不足になるので、海外からの移民を検討してはどうか」などという意見を上げた「有識者」がいました。なんだよ、非正規雇用をそのままにして、移民かよ。非正規雇用の人たちを正規雇用で採用すればいいだけじゃん! と思いました。コンビニなんかは困るかもしれないけどね。ワタミやすき屋は営業時間や店舗を縮小して正社員化を広げている。この流れが広がって欲しい)

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