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人と自然コミュの有機農家の道(3)

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(連載の3回目です。ちょっと堅苦しい内容かも)

家族農業・小規模経営での自立を
-------有機農家の道(3)

 アメリカやカナダ、オーストラリアなどの広大な面積の国とは違い、日本は国土も狭く、山地が多く平地が少ない。この条件は変えることができません。農業では日本はアメリカなどの100分の1規模です。「規模拡大」、これが今までの農業経営改善の方向でした。要するに大量生産によって、低い単価でも市場(国際)競争に負けない体力をつけること、国内市場でも有利になること、などのスケールメリットの追求です。
 構造的な保護政策でなく、農家への直接収入保障の面積規模を、本土4ha、北海道20haとする「認定農家」制度を農水省が導入します。この規模以上の農家に所得保障をしようということです。
中山間地では、集落でこの単位ごとに保障するということです。
 コメへの関税400%などの高関税がWTOでの農産品交渉では、だんだん不利になっており、農家への直接保障によって関税率を下げる方向を選択しているので、いずれ海外からは安いコメが輸入されて来ます。ちなみにアジアでは10キロ700円です。そこまで低下しないまでも、これまでのコメ価格はもっと外国産に引かれて低下してゆき、その収入減を直接保障でカバーする、という対策図式。保障の範囲が「認定農家」です。
 「品目横断的経営安定対策」と言う、面倒な直接所得保障政策が出されましたが、コメと麦、大豆などの総収入・面積が対象とされ、なかなか複雑でよくわかりません。それでも零細有機農家には無関係なようです。
 水田・畑合わせても4haというのは、有機農家(1個人または1家族)としても大規模と呼べる面積です。
 ちなみに私の場合は、畑作1ha、養鶏500羽、プラスアルファです。

 1950年くらいに制定された旧農業基本法以来、日本の農業政策は「規模拡大」路線でした。農業従事者数を調整する目的で農村の次三男・女性を都市労働へと向かわせることによって、結果的に規模拡大を図り、都市生活者並の収入確保を目指したこと。ほとんど単作によっての面積規模拡大によって、海外との競争力を付けようとしたために、「稲作農家」「畜産農家」「果樹農家」などとモノカルチュアー的な農家が生まれたこと、などが過去の歴史でした。
 が、何度もお話しているように、いくら規模拡大したところで海外との規模の差は縮まらないだけではありませんでした。市場原理を無視した路線だったのです。たとえば、今でも畜産・養鶏農家には「飼育数」を拡大したいと、今までの流れのように考えている農家が少なくありません。大規模栽培などで生産品のコストを引き下げることができるので、安価でも競合できるようになる、という原理でした。ところが規模拡大すれば、市場には農産物の数量が増加します。それまで以上に大量の農産物が出回るようになります。すると市場での価格がさらに低下します。それで、さらに規模拡大に走る・・・という資金の続く限りのイタチゴッコになっていて、最悪の場合は負債をかかえて倒産・経営放棄という事態になっています。北海道畜産にこの例はいくらでもありました。融資したJAも負債が焦げ付いては困るのでさらに融資する・・・などと。

 現在では、人件費が国内の30分の1程度の中国からの農産品輸入も増加しています。国内が異常気象で不作になっても、すぐ輸入されるので、農産品はそんなに高値が続くことも少なくなりました。
 ここで農産品の世界自由貿易流通の問題を書くときりがないのですが、アフリカ・アジア各地でも、アメリカ・カナダ・オーストラリア・アルゼンチンなどの大規模産地からの輸出攻勢に現地農民が苦しんでいるという図式が広がっています。
 農水省が日本の農業育成のためにある程度の規模の農家にしぼって補助をする方針を固めたことは、以上のような経過があるので、わからないことはありません。田畑の面積もトラクター利用できるように大きく集約されてきました。ところが、有機農家は、このような規模拡大路線とは別の道を歩いてきたのです。

 除草剤に依存しない手作業などでの草管理では、もともと大規模化などが構造的に不可能でしたから、選択肢にはなりませんでした(JAS有機認証では一定の農薬使用が認められたので、ある程度の大規模化が可能になっています)。有機農家は提携による消費者(団体)との間で、一定の価格での取引を話し合いますので市場での価格変動はほとんど無縁です。全国的な不作による高騰に遭っても高い価格を要請することはなく、豊作で低価格になってもまた、大きな影響を受けることもないのです。

 農水省などが勘違いしているのではないか、と思われる部分がここにあります。有機農家は新規就農の一部を除けば、国から何らかの補助金を受けたことがないんです。ここが違います。小規模であっても自立農家だということです。海外からのオーガニック農産品輸入に影響を受けることがないわけではありませんが、それも提携関係の中では影響は微少です。
 単作での大規模化をしないで、小規模での複合経営。これによって消費者に多品種の農産品を提供することができるようになるし、経営的にも安定するのです。たとえば、稲作・野菜・果樹・畜産・農産加工などを組み合わせての複合経営です。いずれかの部門が一時的に不振であっても、全体への影響は軽微です。また、余剰農産物や副産物を内部でも有効利用できるのです。私の場合、野菜作りから養鶏へは余剰の野菜を給餌できるし、養鶏からは良質の鶏糞を畑作などに利用できます。実際、畑作には有機石灰を除けば、肥料にお金をかけたことがありません。
 時々、野良の休憩時に「今は野菜(あるいは鶏卵)が高いから、儲かっているんじゃないか」と慣行農家から聞かれることがあります。それに対しては、いつも「年中同じ価格なので、なにも変化はないよ」と答えている、くらいです。
 このように、小規模であっても海外との競争とも無縁(と言うよりも輸入品を「有機農産物」とは認めない発想が提携関係にあります)ですし、また国からの補助には頼らないでずっとやってこられたのです。有機農家は農薬や化学肥料の環境への影響を強調するので農水省・農協から嫌がられているのですが、国からの補助を求めないし、受けていないという事実を農水省はもっと評価してもいいのではないかと思います。
 国からの補助でなくて、提携関係の中で消費者(団体)から支援を受けている、とも言えるでしょう。いずれにしても、経営が安定しているのは「提携型・小規模・複合・有機農業」ではないでしょうか。

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