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人と自然コミュの香山リカ「私は若者が嫌いだ!」

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香山リカ「私は若者が嫌いだ!」 ベスト新書(KKベストセラーズ) ¥686 08年12月刊。

 正直のところ、私の回りには若者はいない。(なにしろ、職業が高齢化の農業でもあるし、少子高齢化の進んだ田舎でもあるし、20代の娘二人は都市で働いているし、というわけで、世間の若者がどういうふうなのかはあんまり直接は知らないのだけれど、秋葉原の無差別殺傷事件とか、奈良県での家族殺傷事件とか、若者の事件も少なくないので、こういう背景を香山さんがどう見ているのかを知って見ようと思い、読んでみた。本のタイトルは大げさで、精神科医の香山さんなりの観察・判断である。以下の話題が上げられています。

シュガー社員(甘やかされて大人になった)、ヘリコプター親依存(何かと親が出てくる)。格差恋愛×。モンスターペアレント。学力低下はすべての階層で。お客様感覚学生・社員(←新自由主義?)。自己責任感は乏しく他者批判は激しい。自分探しの現場は違和感。親を気遣う親殺し。現在志向で未来想像力欠如。他人の痛みがわからない。


 全体への印象としては、日本は豊かすぎるくらい豊かなので、20代前半までの親がかりの生活は充分恵まれすぎていて、何も不満がない、別に今のままでいいんじゃないか、と彼らが思うのももっともだ(何しろ、少子化傾向で少ない子供に投資したり教育したり、などで親たちは「何不自由なく」育てて来ていると思う。事件はそんな家庭環境で起きるし、以下の若い人たちの特徴的な性格・考え方は、その豊かさから生じているのではないか、と。言い換えればモノや心にハングリーでなくなっているということだ。「今のままが一番いい、楽だ」。だから、若者をそのように育てた家族。社会にも責任があるだろう。これを指摘しておきたい。
 社会が豊かになったことは悪いことではない(社会全体ではないかもしれないが)。そこから、他者への思いやりや想像力が欠如してしまって、人の立場や気持ちを思いやることができない。「そんなことは経験したことがないからわかりません」とか。人のことは「自己責任だろ」となるのだろうか。
 逆に、自分に不都合が生じると、それは自己責任ではなくて、クレーマーになる。なぜなら自分はサービスの受け手であるので、「やってもらって当たり前」。モンスター・ペアレントがそれ。こういう対処では、なかなか人間関係を円滑にはできないし、交流も豊かにならないのではないか。

 『親の前で「良い子」を演じる』などと本人が言うのだとすると、本人の主体はどこにあるのか、無いようなのだ。なぜ無いかというと、そこに自分の未来を見ようとしない、見なくてもいい(豊かで楽な)現在があるからではないだろうか。努力しないでもいい時代なのだ
 私がこのように思うのは、私の生い立ちと無縁ではない。私たちの十代はみんな貧しく、家族は生きていくのも大変で、中学から高校から阪神へ単身就職するのは普通のこと(それしか手段がない)。
 私は特別奨学金を得て大学まで進んで、なんとか仕事についたが、それでも共通しているのは、ハングリーであったということだった。これが団塊の世代以前の誰もが経験した時代であったので、そこからの視点であることなので、こんな比較は今や無用かもしれないが。しかし、これくらいのレベルの意識や貧困、ハングリーは外国にはいくらでも転がっていることだし、そもそも同じ日本のほんの少し前の時代の事柄なのだ。
私の世代の数年後に団塊の世代が続く。この世代はそういうわけで戦後の混乱期は終わった時期で比較的恵まれてはいるけれども、「団塊」なので受験から就職では大変な競争を強いられた。その子供たちには有利な条件を整えたいと思うのも当然のことだが、その余裕が出来たのである。こうして団塊ジュニアは苦労知らずで育てられてきたのではないのか、というのが私の仮説。豊かになるのも、楽をするのもほどほどに・・・、これが私の教訓です。
 とは言え、この本、面白かったです。

コメント(2)

とりのさとさんは香山リカがお好きなようですね。時間的にその本を読むことは無理なのですが、若者の現状を「豊かさ」「欠如観がない・ハングリーじゃない」からだけで説明するのは厳しいんじゃないですか?
もちろん、経済的な要因がベースにあることは認めますが、例えば神の下でのRight正しさ=権利が神なき日本社会で言ったもんがちの権利(力ずくで利益を押し通す)になっていることとか、父性原理のシステムを無批判に日本の母性原理社会に取り込んだこととか(この父性、母性は集合的無意識のあり方を指したもので、ジェンダー論方々がhystericに批判する女性らしさとは全く関係ありません)。精神科医ならもっと深いところで社会心理の分析があってもいいのではないですか?

このところ、ずっと名古屋には行っていませんが、(昨年の夏、6年ぶりぐらいに行きましたが)、すこし、時間にゆとりがとれるようになりましたので、頃合いをみて、超やっとかめに「とりのさと」を訪ねたいと思いますのでよろしくお願いします。
寸心居士さん、こんにちは。
「ハングリーでなくなっている」と分析したのは私で、香山さんは背景らしいことは本には書いていません。新自由主義にも原因があるのでは、とはお書きになっています。
 父性母性社会の集合無意識の影響かどうかを認めるのは、なかなか難しいのでは。

新書なので、手軽に読めますよ。

ところで、ブログの「人と自然」の方へもコメントがあります。

 福岡伸一氏の本のところで少し触れたのだけれど、日本だけでなくて、生物の世界はもともと母系社会オンリーで、有事の際にオスが出てきて支配するようになって、それが残存しているらしいのです。平時は母系なのでしょう。世界中の「未開」の部族にも母系は多かったですが、生存環境が厳しくなってきたのですね。

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