著者はスポーツを中心としたルポライター。アメリカの底辺ハイスクールの講師の経験、さらに、小学校のカウンセラー(Big Brothers & Big Sisters)の経験を記述したもの。アメリカでは、アフリカン(黒人)、メキシカン、ヒスパニック(南米からの移民)が四割近くに達していて、これらが底辺層となる。家庭が貧しく、十分な教育機会を得られないために、ずっと低給の職にしかつけず、子供たちは成長後も貧困から抜け出すことができない。せめてハイスクールくらいは卒業させないと、と著者の思いだが、それさえも困難。学習へのモティベーションが弱いために、それを持たせることから始まるが、有色人種への差別も根強くあり、貧困(の循環)からの脱出は非常に困難だとわかる。著者の熱意に共感する。