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人と自然コミュの「物乞う仏陀」

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石井光太「物乞う仏陀」文芸春秋 \1571

タイトルはどういう意味かというと、仏陀は行為を「業」とする。前世の業が現世の業につながる。歎異抄でも前世に業があれば、眼がみえなくなる、などの差別的な表現があるくらいです。
 で、この場合の仏陀とは「障害者」のこと。乞食になった障害者くらいの意味。ベトナムからインドにかけてのアジアでは、枯れ葉剤、対人地雷、戦争による負傷などで、障害者が少なくない。
 ベトちゃんドクちゃんのことはご存じだと思いますが、ベトナム戦争の折り、米軍がところかまわず大量に散布した枯れ葉剤の影響だとするのが常識です。現在も障碍を持って生まれる幼児が続いています。このような障碍を持つ子供・人たち、その家族は今どのように生きているのか。
 カンボジア。対人地雷がいたるところに埋められていて、今も地雷を踏んでしまって、両足とペニスまでとばされてしまう。このような若者はどのように生きているのか。乞食である。女の子なら、10歳を過ぎれば、売春婦となる。元手もお金もなくてもできることはあまりない。
 スリランカ。ここは仏教の国なので、障碍を持った子供が産まれるのは「業」の結果だと信じられている。
 また、小さな部族の中で結婚相手を決めると近親婚になり、障害児が生まれる確率が高くなる。何人産んでも全部障害者のケースがある。日本へ留学した人が自費で障害児施設を開いている。
 インド。マフィアが赤ん坊をさらってきて乞食にレンタルする。子連れの方が同情を買い、実入りが多いからだ。5歳になると手足を切ってしまう。これも同情を引くためだ。
 ネパール。覚醒剤・麻薬ヘロインを飲んで、知的障害になった例がある。呪術師がまだいる国。

 一定の確率で障害児が誕生するとされているが、ここでは人為的な原因によって障害者になったケースが多いように思う。発展途上国アジアではちっとも障害者福祉が進まない。福祉政策そのものが存在しない。だから国家的保障はゼロですべて自己責任家族責任となる。ほとんどほったらかしにされていることも少なくない。家族に介護の余裕がないのだ。食べていくだけで精一杯なんだし。
 先進国であるアジアの大国日本にできることはかなりあるはずだ。自衛隊派遣などでなくて、車椅子を贈るだけでも感謝されるだろう。日本では障害者が地域で暮らすという段階に向かいつつあるが、まずは障害者施設での職業訓練・授産所などの段階なのだから経験的に補助できるはずだ。政治が弱者をどう見ているかどうかということになるだろう。
 この本に取り上げられている例は悲惨そのもので、そう言っても思っても両者に救いがない。衝撃的過ぎる。著者は読者になにができるのか、なにをしたらいいのかをも書くべきではないのか。
ただ、これを読んで、自分の現在を振り返ることができるだろう。
ニートだの、引きこもりだのの人にも読んでほしい。

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