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人と自然コミュの格差社会アメリカ

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小林由美「超格差社会アメリカの真実」日経BP出版センター \1700
(2006年9月刊、07年1月で6刷)

(年に一度は2回読み直す本があり、早くもこれに当たってしまいました。読み流すだけでは、その場で忘れてしまいそうなので、しおりをはさみながら、再度読んでいきました。金融用語には慣れていないものもあったし)。

 ビル・トッテン「アングロサクソンは人間を不幸にする」(現在PHP文庫)が2000年9月に出版されたとき、私が読んだ感想をここに置いてあります。
http://homepage2.nifty.com/torinosato/wadai-book1.html

 それから17年経過して、アメリカ社会はどのように変化したのか、しなかったのか。日本では格差社会が問題になっていて、フリーター、派遣、契約社員などの非正規雇用が広がり、低所得層が増大しているが、アメリカではどうなのかを知りたいと思い、読んでみました。
格差社会とは言うものの、ここで取り上げられているのはもっと時間・空間も広く、アメリカの歴史そのものであって、これを理解、再認識するのに有用な本だと思いました。

 相変わらず富裕層に富が偏在し、その傾向がますます強まっている。2001年では、トップの1%が全米の富の33.4%を保有し、次の4%が25.8%(合わせてトップの5%が60%占有)、次の15%が25.2%(以上合わせてトップ20%が84.4%)の富を保有している。その構造は建国以来、ずっと歴史的に続いてきたのだと説明される。
 ゼネラルエレクトリック(GE)という会社を知っていますか。全米一の電気製品製造会社でした。日本で言えば松下電器でしょうか。この会社の主力業務は金融と投資に変わってしまい、製造業は今や付録みたいなもの。ここから大量の中堅技術労働者が解雇放出されたが、国内には同種の転職先は無くなっており、下層階級に振り落とされた。
 このように、グローバル化により、低開発国の労働での製品を輸入した方が安く販売できる多くの業種は国内では空洞化し、プロフェッショナル層が下層に落とされた。代わって現在アメリカの主力産業は金融投資部門とIT開発部門という、労力は不要で投資資本と情報管理要員のみが必要とされるために、ここで中堅(中流)階層は切り捨てられたのです。
 アメリカの金融・投資の歴史は今に始まったのではなく、建国の最初からで、英仏独そしてユダヤ人の資本がアメリカに投入されて、独立前後の新興成金貴族が増大したのだとか。
 そもそも、ジェファーソンやワシントン、さらにはリンカーンなど初期のアメリカの政治リーダーの本職を知っている日本人はほとんどいないのではないか。彼らもその時代の経済的成功者(プランテーションオーナーなど)だったのだ。また、イギリス商船を「公的に」襲って略奪、財をなした「強盗貴族」が今に残る大企業の始まりだと。
 奴隷解放だって、農業の機械化が進めば必然的に起こるはずだと言う。このとき、何の保障もなく放り出された黒人たちの暮らしは大変なものだったにちがいない。今も人種差別の事件が報道されるが、しかし、プエルトリカン、メキシカンへの差別はほとんど報道されないし、私も知らない、タブーだとか。なお、パウエル前国務長官、ライス現長官はジャマイカ出身のエリートで、アフリカンではない。
 まだ300年にも満たない国の歴史。原住インディアンを保護区に閉じこめ、農地を拡大したのは中世欧州の囲い込みと同じこと。ただの土地に格安の労力である黒人奴隷が労働力となる。初期の農園主も成金だった。
ヘッジファンドとかストックオプション、デリバティブなどという言葉が出てきたのは最近のことで、これらはカネがカネを生み出すようなテクニックのこと。企業の株を買い占めて乗っ取り、株価が上がったところで会社を売って利益を出す(村上ファンドを思い出す)。最初から膨大な額の資金がなければできないことなので、まるでアメリカ社会の普通の出来事のように報道されるが、8割以上の下層階級には無縁の社会。先祖伝来の資産が豊富な上流階層だけにオカネが回っている。
 Googleの株価が上がった時、ストックオプションで億ドル単位の収入を得た学生くらいの若者が高級邸宅を購入したりする。これはITと株のコラボだ。各部門でのアメリカの技術は世界最高で、それはほとんどが外国からの研究者であり、経費のかかる基礎教育は本国で身につけてアメリカへ渡ってそこで成果をあげてきた。しかし、インド・中国は本国に帰るようになってきて、アメリカの技術の未来が明るいとは言えない。またアメリカの公的基礎教育のレベルは低く、教員の給料も安い。だからリッチは私立学校へ子弟をあげる。教育段階の最初から階層が固定されていく仕組みだ。日本もそのまねをしつつある。
 アメリカがフセイン・イラクを攻撃した理由の一つにイラクが石油輸出をユーロ建てにしたことがある。ドル防衛がその目的。
 
 格差は広がるばかり。この潮流を日本が追っかけている。アメリカは救いようのない「資産の格差」、日本は「賃金格差」なので打つ手はいくらもある、というのが著者の結論。このあたりはちょっと甘いんじゃないか、親が子供を養っているという現象は共通しているし。

 このように、あらゆる角度から現在までのアメリカを分析した本。ここに書いた部分だけでも目からウロコではなかったですか。

(関連書き込みが下にあります)

コメント(2)

日本はアメリカの言いなりか:「年次規制改革要望書」

食政策センター「ビジョン21」(安田節子氏代表)から発行されている「いのちの講座」49号に、気になる記事があったので、少し調べてみました。
(安田氏は「みどりの会議」の参院候補になりましたが、中村敦夫氏が落選して、会議は解散。後「みどりのテーブル」という連絡会が立ち上がっています)。

「年次規制改革要望書」という言葉があります。日米が双方の政府に規制改革要望書を毎年交換するのです。この言葉で検索しても、詳しく知ることができます。
 アメリカ政府が出した原文およびその翻訳文を読み解くには、それぞれの分野の知識が必要で、なかなか難しいのですが、基本的に「規制緩和・民営化」を「要請」しています。構造特区、郵政民営化、道路公団民営化、そして労働者派遣法の範囲拡大、法科大学院設置などがそれに当たります。これらを含む政策のの一つ一つについて「好ましい、好ましくない」などと促進・是正を「要請」しています。

 農業分野では、ポテトチップスの材料のジャガイモが国内で入手困難な時期があるから、その時は輸入措置を講じることを検討・緩和せよ、などという露骨な要請もあります。今後のジャガイモ輸入の政策が予想されます。
 この場合も、輸入した方が「日本の業者・消費者」にメリットがある、などと書いてあって、輸出したいアメリカの思惑などは書いていないんです。ですから、本音を読み解くことがとても難しいのです。

 他の分野でも、非常に細かい部分までの「要請」があって、もうこれは内政干渉そのものです。

 何よりも、これが国内ではマスコミで報道されていないんです。(だから、私も知りませんでした)テレビや新聞などで報道しようとすると、圧力がかかるらしい。「赤旗」などマイナーなメディアからしか報道されていません。
 まるで小泉元首相や日本政府の「政策」であるかのように、国民には受け取られ、そのように首脳も応じて来ましたが、どうも違うようですよ。日米は対等ではなく、従属関係と見られてもしかたがないような内容です。もちろん、日本からも要望書は出されていますが、たいしたことのない小さな内容だとか。
 この要望書を土台にして、各省の官僚が法律を制定し、それが国会に提出される、というわけだが、あなた、信じられる?

「規制改革要望書」で検索してみてください。
(こんなことを書くと、どこからか、圧力がかかったりして)
 世界で一人あたりの(ここがポイントです)GDPが最も高いのはルクセンブルクですね。日本の2、5倍です。理由は、金融関係の職に就いている人の割合が高いわけです。実際のモノの売買よりマネーゲームで動くお金の方がはるかに大きいからです。

 かたや日本は今だ製造業至上主義。国際的なお金の流れはモノの売買に伴うものではなく、金融取引が現代は主役な訳です。国際経済の中では明らかに一世代以上前のモデルである製造業中心の産業構造の日本がトップクラスに行けるでしょうか? しかもその構造内部は、低賃金労働に依存しているわけです。所得改善が成された場合は日本の産業は維持できないでしょうから、低賃金が改善される見込みもないでしょう。その時は、途上国の外国人労働者を受け入れ低賃金で雇う、これしかなさそうです。
 国民所得の国際順位はそれなりですが、最低賃金の国際順位は一気に下降します。そんな実態の日本経済です。GDPを考えると農業も足かせになってしまいますね。

 国民の豊かさと国家の豊かさは違いますが、現政権は明らかに国家の豊かさを追求していますね。国内産業保護とグローバル市場自由化促進のバランス、再分配強化かセィフティネットのみとするかのバランス。日本の国勢に適したビジネスモデルを模索する必要があると思うのですが、さて、皆さんはどう考えますか? 

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