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忘れられない人々コミュのお別れ

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「だんだん暗くなってゆくけれど、怖くはないからね、安心してまっすぐ歩いて行くんだよ。やがてお花畑にきたら、そこでお休み。みんな一緒になかよく遊ぶんだよ・・・・・」   (草野栄應「やさしい言葉」沙羅の集}
      
 これはある和尚さんの言葉です。彼は、幼い息子を病気で失わねばなりませんでした。その息子の臨終の時、こう言い聞かせたのでした。
 この世に居る人は、誰も死んだことがありません。だから、死への旅路が暗いかどうかも、抜けたところにお花畑があるかどうかも、誰も知りません。しかし、父がそう信じているという事を、息子は知ったでしょう。そして同じ世界を心に抱いて、別れたのでしょう。
 わたし達は、どんな世界を想像することも信じることも自由です。また、それを誰かと共有することも自由です。そして、誰かと共有する時、それは、ひとりで勝手に忘れ去ってもいい幻ではなくなるのです。
 逆に、わたし達は現実にあった何かを語らない事も自由です。
 この言葉の何より尊いところは、穏やかであるところだと思います。子を不安にさせぬよう、父は近づく別れに涙を落としたりわなないたりすまいとした筈です。それは、この文章にも、どこにも表現されていません。それでも、その秘めた愛と強さに心を打たれるのです。
 もっと判りにくい語られない何かも、すぐには気付かなくても、もう会えない人となってしまっても、読み取ろうとする事さえ忘れなければ、いつか姿をあらわす筈だと思ったりします。読み取ることと想像することは、ほとんど同じです。事実かどうかなんて、大ていは判らないままです。不確かなまま、それからのわたし達の在り様に、そっと関わるだけなのでしょう。
 この本は、百観音明治寺(東京都中野区)の掲示板に、十六年にわたってほぼ毎月貼り続けられた住職の文章をまとめたものです。著者の草野栄應氏は、この言葉を紹介した二年後に、病を得て五十歳で亡くなってしまいました。暗い道とお花畑を思ったでしょう。この言葉を知ったわたしも、いつか、死ぬんだなと思う時、お花畑を思い浮かべることができるでしょう。それまではこの世で、お花畑に待つ亡くした愛しい人を思いながら、その人の出会いそびれたものに出会い、描きそびれたことを描き、しそびれた失敗を幾つも繰り返して、そのひとへのみやげ話を集めようと思います。                  
                    こうの史代(3.11を心に刻んで) 

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