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・主人公は、作者各一人

・高校一年生固定(男女は問わない)

・その他の登場キャラは使い捨て推奨
ペット(人間除く)なら良し

・現実にある素材のみ使用可能



現在の登場キャラ(主人公)

・カンバラ
水城 夕太(♂)
(みずしろ ゆうた)
・ほぎぃ
白柳 結(♀)
(しらやなぎ ゆい)
・草薙S
上杉 怜次(♂)
(うえすぎ れいじ)



のちほど設定追加予定

コメント(14)

〜プロローグ〜 カンバラの主人公編
担当:カンバラ







「それでは先生、よろしくお願いします。夕太、がんばれよ」

そういって、お父さんは僕の頭を撫でた。
そして先生に軽い会釈をして、この場を去って行った。


「それじゃ、教室に向かおうか。」

「はい!」

足元に置いてあった荷物を手に取り、先生の後についていった。



皆さんはじめまして。
僕は 水城夕太(ミズシロユウタ)といいます。
最近お父さんの転勤理由で近くに引っ越してきた高校一年の転校生です。
今までの友達が誰も居ないから、ちゃんとやっていけるかなぁ…。
早く学校に馴染める様にがんばろう!



「――っと、ここがうちのクラスだ。自己紹介をしてもらうからちゃんと考えておけよ?」


先生が急に止まったので、危うくぶつかりそうだった。危ない危ない…。

先生は ぽんっ と僕の肩を叩いて励まして(?)、先に教室に入っていった。

廊下に人気はないけど、教室が騒がしい。どんなクラスなのか楽しみだな。


僕の中には不安と希望が渦巻いていた…。










「チビ糞ガキ共、静かにしろ〜。今日からうちのクラスに転校生がきたぞ〜。」
〜プロローグ〜


5月14日、晴れ。
青い空の下、私は左手にある小説を読みながら、学校を目指し、歩く。




私が通う学校のクラスに、今日この日、転校生がやってくるという情報を耳にした。
新学期でもないのに、珍しいことである。



私は読んでいる小説から視線を離し、その視線を空へと向けた。



今日来る転校生はきっと、アメリカの諜報部からスパイとして派遣されたに違いない。



私が通う学校の開かずの科学研究室で、強力なバイオ兵器が研究開発されている。
その情報を手に入れたアメリカは、実態をさぐるべく特殊訓練を受けたスパイ1名を送り込んできたのだ。



そんな妄想が頭の中を走った。



「今回はちょっとひどすぎかな・・・・。」


そうつぶやきながら私は、右手についている腕時計を見た。


「・・・今日も遅刻か・・・。」



その遅刻の原因は一つ。
転校生との激突を目的に、曲がり角で待機していたことだ。
転校生の登校ルート、手段はろくに調べてない。
転校生の素性も知らないし、興味は無い。
そういう状況に出くわして見たかっただけだ。

 
甘く切ない恋。
宇宙人の襲来。
古代遺跡の秘宝。
異世界へのワープ。
学校で起こる連続殺人事件。


そんなことばかりを望む私。そんな私の名前は白柳 結(しらやなぎ ゆい)、平凡な高校1年生である。


この後降りかかる災難を、彼女は知るよしも無かった。


なんてね。








〜ちょっとしたあとがき〜

俺が女性キャラ書くとあれだな・・・背筋が凍る。

まぁ主人公一人くらい・・・。
プロローグの段階ではリレーしていないらしい。
リレーは現在三人での予定。増えるかは知らぬ。




〜プロローグ〜
 今日、このクラスに転校生が来る。そんな話を聞いたのが昨日、そしてHR前の教室はいつもにまして喧しかった。
 転校生は男か女か、どんな性格か、仲良くなれるか……それをBGMに俺は窓の外に視線を移すと、憎らしいくらいの青空が広がる。
「憂鬱だ……」
 誰にでもなく一人愚痴る。昨日夜遅くまで無意味に起きていたせいで寝坊し朝飯を食いそびれ、挙句財布を家に忘れてくる始末。
 チョコ菓子を咥えながら放課後までどう過ごすかぼんやりと考える。こんな菓子だけで腹が膨れるはずもないし、とても面倒だ。
「ねえ、転校生って男らしいよ」
 クラスの誰かがそう言うと同時に主に女子から歓声が上がる。
 ふむ、鞄の中には何故か都合のいいように広辞苑。これで幸せムード前回の奴ら全員殴るか……。そんな考えすら自然と浮かぶほど今の俺は憂鬱だ。
 そんなことを考えながら空を見ていると教室の扉が開き担任が入って来る。
「チビ糞ガキ共、静かにしろ〜。今日からうちのクラスに転校生が来たぞ〜」
 大歓声が上がる。正直俺は転校生なんてどうでもいい。食事と転校生だったら食事、転校生と睡眠だったら睡眠、転校生とアリの行列の見物だったら行列の見物、転校生とノストラダムスの予言だったら予言。後半は大げさとして、そのくらい俺はどうでもよかった。
「紹介の前に、怜次……HR始まるのに堂々と菓子食ってんな!」
上杉怜次、それが俺の名前だ。まあ、自分の名前なんてどうでもいいか……。
「ああ、俺の事はお気になさらず。どうぞ転校生を紹介してくれ」
「出来るか! さっさと菓子仕舞え」
「俺に死ねっていうのか!」
「誰もそんなこと言ってねえだろうが!」
「ちっ……ここは隣のクラスの担任に免じて引いてやるぜ」
「何で隣の担任なんだよ……それにまるでこっちの言い分が間違ってるような言い方だな」
「被害妄想か先生? ところで隣のクラスの担任って誰だったっけ?」
「……もういい」
 どうやら諦めたようだ。よって俺は新しくチョコ菓子を咥える。大食いではないが、さすがに空腹になると食には貪欲になるってもんだ。
「……はぁ、転校生、入ってこい」
 誰が見ても明らかに肩を落としながら廊下に居るであろう転校生を呼ぶ。そんなローテンションな呼び方では転校生もローテンションになるだろうに。
 担任の呼びかけの後、一人の少年が教室に入って来る。
第一章?
 〜ホームルーム〜



「HR始まるのに堂々と菓子食ってんな!」

うわぁ、先生早速怒鳴ってるよ…。
やっぱりクラスに1人以上は問題児っているものなのかなぁ…。
前の学校でも2・3人の不良組みが居たりしてたし…、絡まれない様に気をつけないと。
それに、女子の方から「キャーッ!」とかいう歓声が聞こえた気がするけど、ジャニーズみたいな美形だと思われてるんだろうなぁ…。
僕は背も小さいし、顔だってまだ幼さ残ってると(前の学校の)友達に言われたし…。
「なんだ、ただのチビか」とか言われて冷たい目で今後の生活送らないといけなくなっちゃいそう…。

「……はぁ、転校生、入ってこい」

なんかものすごく先生が落ち込んでるよ…。
ちゃんとこのクラスでやっていけるのかなぁ、心配になってきた…。

いや、がんばれ夕太!
第一印象を良くすれば絶対仲良くなれるはずだ!
さぁ、勇気を振り絞って!

「失礼します〜」

少し古びたような木の扉を開けて、中へと入る。
後ろ手で扉を閉め、教団の隣まで移動する。


「キャー!カワイイ〜〜!!!」


がくっ


女子達の言葉により、踏み込んだ右膝の力が入らずに転びそうになる。

か…かわいいって…;;


「えー、今日からウチのクラスに転校してきた、水城夕太だ。まぁ、適当に自己紹介でもしてくれ」

「はじめまして、水城夕太と言います。よろしくおねがいします」

「どこの高校から来たの〜?」
「成績はどんな感じ〜?」
「誕生日はいつ〜?」
「彼女はいるの〜?」
「好きな食べ物は〜?」
「メルアド教えて〜(照)」

うう・・・、もう少し紹介する予定だったのに切っちゃったよ…。
それに、予想以上の質問攻めが…;;

それを察したのか、先生は後付で紹介していく。

「夕太は隣の県の如月高校からの転校生だ。学力は、そうだな。編入試験5教科の平均点が90点ってところだったかな」





「「「「「ええ〜〜〜〜っ!?」」」」」
「ふぇっ!?」





クラスの大半が驚愕し、ざわめき始める。
僕も知らずに驚愕する。

転校前の高校の入試レベルは合計300点以上合格のところでギリギリだったはずなのに…。
それに加えて、ここの編入試験のほうが難しかったような気がするし。
これだとみんなにバカにされないように気をつけないと…

「誕生日や彼女や好きな食べ物やメルアドは休み時間にでも直接聞いてくれ。それと注意事項が1つ。彼は心臓の持病があるから、あまり激しい事はさせるなよ。」

先生は、親から聞かされた内容もみんなに伝えてくれた。

「それじゃ、HRをはじめる。夕太の席は…菓子食ってるバカの隣しか空いてないか。悪いが、そこに座ってくれ。」
「先生がバカとか言う単語使っていいのか?」

バカと言われた生徒が反論する。

「それと、委員会など決め事があるから、昼休みにでも職員室に来てくれ」

先生は無視した。

「わかりました」

僕は荷物を持って指定された座席へと移動する。
途中すれ違う生徒に「よろしくな!」「後でいろいろ教えてね」などいろいろ言葉をかけてくれた。

クラスのみんなにもいい印象を持ってくれたかな?
早くみんなの名前とか覚えて、もっと仲良くなれるようにがんばらないと!
まずはとなりの人から仲良くだね!

座席は一番後ろ。先生曰くバカと呼ばれた生徒が窓側で、僕はその1つとなりになる。
僕の座席からバカの人とは反対側の座席には人はおらず、机の中に荷物はあるようだが、カバンが見当たらなかった。

「となり、よろしくお願いします。えっと・・・」

彼はこちらを向いていない。
まだ名前を聞いた事がないので、戸惑う。

「先生曰くバカの…」
「俺はバカじゃねぇ!なんどもバカバカ言うな!」
「うるさいぞバカ怜次!」
「だから俺はバカじゃねぇ!!」

やっぱりすぐ反論が帰ってきた。
先生も流石にうるさいと思ったのか注意してきた。
でもおかしいなぁ。まだ「バカ」って一回しか言ってない気がするんだけど…………いや、言っちゃだめだけどね?

「怜次…君でいいのかな?よろしくね」
「………」

返事は無く、窓の外の世界へと視線を送っていった。
とりあえず、何時までも立っているわけにはいかないので席に座る。
彼は僕には興味が一切無しと言ったところだろう。

「それじゃ、出席とるぞ。」

先生が名簿に書かれた名前を読み上げ、点呼をしていく。
僕は、今後どのように交流を深めていこうか、それを考えるので頭がいっぱいだった。
HR終了後の休み時間、転校生が隣に来ると必然的に騒ぎはこちらに来るもので。
 現在俺は廊下で何をするでもなく壁に寄りかかり通りゆく生徒たちを眺めている。別に人間観察が趣味でもなければ待ち人が居るわけでもない。教室はかなりやかましいから非難してきたに過ぎず、やることもないのでボーっとしてるだけ。
「つまらん」
 俺が転校生に抱いた第一印象。お決まりのセリフにお決まりの態度。もう少しインパクトが欲しいもんだ。アメリカの諜報部だとか、異星人だとか、そこまではいかないにしても多少の特殊設定が欲しかった。
 そう言えば、あれは遅刻か……どうせ転校生との出会い演出でもしてんだろう。俺もやればよかったか。
 取り敢えず転校生が不良に絡まれてるのに乱入し見事転校生を討ち取る。そこから始まる血みどろなバトルストーリー。それは世界を巻き込み最終戦争の発端となり、覚醒する力、実は転校生は血を分けた兄弟だった。裏で手を引く黒幕こと担任。
 崩壊した世界、最後の命運を賭けて始まるラストバトル。

「弟よ、世界の平和を守りたいのなら俺を倒すしかないぞ?」
「くっ……どうしても戦うしかないのか」
 覚悟を決めたのか、剣を構え真っ直ぐにこちらを見据える。
 こちらもそれに習い剣を構え向き合う。その一瞬の後……。
「はぁっ!」
「ふっ!」
 踏み込んだのは同時、互いの間に火花が散る。同じ形状をしながらも黒を基調とした俺の剣と、白を基調とした夕太の剣が互いに否定しあうように唾競り合う。
「世界を滅ぼして、なんの得があなたにはあるんだ!」
「得? そんなものないな。お前は息をするのに、歩くのに、食事をするのに、いちいち損得を考えるのか? 俺にとって、これはその程度の話だ!」
 気合と共に剣をはじき返しそのまま袈裟斬りに持っていく。だがそれよりも早くバックステップを踏み距離を開けられたため剣は空を斬る。
「ふむ、あえて何か理由を付けるのなら、面白いからだ。それ以上はない」
「なら……僕は、あなたを討つ! 今、ここで!」
 …………。
 ……。

「……やめだ、どう考えても話に無理があるな。いかにも過ぎて逆に冷める」
 どうやら俺にはストーリーを考える才能はないようだ。そういう妄想ストーリーはあいつの分野だな。


字数制限により、次に続く。

「怜次、ここで何してるんだ?」
「ん? ああ先生、教室という転校生症候群感染地区から非難してたんですよ」
 それで納得したらしく若干同情気味に肩を叩かれる。転校生の席を俺の隣にしたのはあんただろうが。
「そうだ、ついでなんで俺の進路相談にでも乗ってくださいよ。暇つぶしに」
「暇つぶしで進路相談するのかお前は……まあいいが」
 俺の隣に同じ様に寄りかかり話を聴く姿勢を作る。どうでもいいが使い捨てキャラのくせに出張ってるなこれも。担任というポジション故か、こざかしいやつめ。
「それで、こんな早くから悩んでる進路ってのは何なんだ?」
「先生……世界征服に必要な物ってなんですかね?」
「わかるわけないだろ! というかそんな進路認めるか!」
「使えないな。それでも教師か?」
「世界征服について適格なアドバイスが出来る教師が居たらそれは問題だろ」
「今こそ他の教師との違いを見せる時だ!」
「こんな形で違いを見せたくないっての」
 意外と堅物らしい。まあ最初からまともな答えは期待してはいないが。
 それで俺の相談は終わりと判断したのは少し真剣な表情になり話を振ってくる。
「ところで、転校生とは仲良くしとけよ」
 転校生と仲良く……発生するいじめ問題……犯人は誰なのか……深まる謎……古代ピラミッド……世界創造の記録……触れてはならない禁断の歴史……。
「任せろ先生、世界の平和は護ってみせるぜ!」
「どういう思考回路してんだお前は! それに世界征服はどうした!」
 意外とこの人も律儀にツッコミを入れてくる。こういう人間が居ると俺としては全力が出せるからありがたい人材ではあるな。所詮使い捨てだが。
「ま、世界平和はともかく、何で俺なのか訊いていいか?」
「お前は他人に遠慮しないからな。転校生も馴染みやすいだろうとな。一か八かだが」
 勝手に俺を博打の材料にしないで欲しい。それに遠慮がないってのは今クラスで転校生に群がってるやつらも同じだと思うんだが、突っ込んだら負けなのだろうか。
「はいはい、たまには素直に聞いておくとしますか。先生の髪のために」
「お前にだけは同情されたくない……とにかく任せたぞ」
 それだけ言い残し去っていく。残された俺としてはもう少し暇つぶしの相手をしてほしかったが、時間的にもそろそろ授業が始まるか。
 少し勢いをつけ壁から体を離し教室に戻ろうとしたとき、廊下の奥から見知った顔が歩いてくる。遅刻をしても焦る様子がないのはさすがといったところか。多分俺も同じだろうけどな。
 近づいてきたそいつに俺は声をかける。
「社長出勤とは中々やるな。面白いイベントには遭遇できたか?」
授業開始のベルが鳴った。だが、担当の先生の現れる気配はない。


「イベントー?イベントならこれから起きるかなー。メインヒロイン白柳結と、謎の転校生との出会いイベントとかそんなんかんじかなー。」

白柳結はそう言い、にんまりと笑う。

「お前がメインヒロインか・・・。」
「そうそう、そういうわけで転校生の情報教えてー。」
「めんでぇな・・・かわいい少年、優等生、心臓系の病気持ち、俺が知ってる限りでは以上だ。」
「ふむ、中々の素材の持ち主で・・・。」


そう言い結は、自分の教室を覗く。


「誰?誰が転校生?」
「ほらあそこの、女子生徒に囲まれてる奴だ。・・・んーで、どうやって接近する?このまま近づいても脇役丸出しの女生徒達の仲間入りだぜ。」
「おーけー。」


そう言うと、結の目の色が変わり、表情も変わる。


「おっとスイッチ入ったな。今日はどんな人格を見してくれるのやら。」


バンッ!結いは勢いをつけて教室の扉を開いた。



「勝負よー!!転校生!!私と勝負しなさい!!」


結のあまりな大声に、教室が静まりかえる。と同時に、怜次は結の様子を観察している。



「なるほど、群れてる脇役はそれで黙らせるしかないな。」



教室内の生徒の、またあいつか、という視線が結に送られる。
転校生夕太を取り囲んでいたものが、話を接して道をあける。
結は夕太に近づき、夕太を睨み付けた。


「私は白柳結。あなたが例の転校生ね・・・名前聞かせてもらってもいいかしら?」
「えと、僕の名前は水城夕太、その、勝負とか・・・できれば温厚に・・・。」
「あなた、得意な事はなに。」
「え、まぁ勉強・・・かな?」
「なら次の中間テスト・・・。」



会話途中、一人の女生徒が二人の間に入り、結を睨んだ。



「白柳さん!今日も遅刻ですか!!しかもなんなんですか!?まだ慣れ親しんで転校生にいきなり勝負とは!意味がわかりません!!」
「ほほぅ、学級委員としては登場するタイミングバッチリじゃないか、感心感心。」


クラスの学級委員、高橋 百花(たかはし ももか)。まじめで典型的な学級委員。口癖は”意味がわかりません”


「い、意味がわかりません上杉さん!!感心されても困ります!!」
「あのー・・・授業始まってるんだけどー・・・。」


教卓の前に立つ、痩せ細ったおっさんが言った。


「!?・・・す、すいません田野畑先生!皆さん、席に着きましょう!ほら、白柳さんと上杉さんも。」
「ま、まって!まだ話がっ・・・。」
「へいへい。」


怜次は窓際の一番奥に座り、夕太はその隣に、結は百花に廊下側の一番後の席へと押し戻され、各自定位置についた。。



田野畑 守(たのはた まもる)先生の国語の授業がはじまった。


次に続く。(字数制限)
夕太はまじめに授業を受けつつも、結から送られる冷たい目線に気づく。
どうしたらいいのかわからず、額に汗をたらす。


「安心しろ。」

隣にいる怜次が小さな声で語りかけてきた。


「えっ?。」
「あーなるのは少しの間だけだ。しばらくすればスイッチがオフになる・・・飽きっぽいやつだからな。」
「な、なんだかよくわからないけど、結さんのこと詳しいんだね。」
「中学の時からの付き合いだからな。いろいろと大変なやつだぜ。」


怜次の話はさらに続く。


「ところでよ、あの田野畑ってやつどう思う?」
「え?あの先生がどうかしたの?」
「いつもああして、いつの間にか教卓の前にいるんだよ。チャイムと同時に現れず、1ヶ月たった今でも教室から入って来たのを見たやつはいない。」
「へぇ。神出鬼没な先生なんだね。」
「結のバカはテレポーター使いだのジャンパーだのほざいてるんだがな。」
「は、はは・・・。」
「あいつ、田野畑は多分世界征服をたくらむ魔王かなんかだろ。」
「・・・・・。」



ついていけない、ついていきたくないと、夕太は心の中で思った。


「安心しろ。冗談だ。」


そんなこんなで授業も終わりに差し掛かる。


田野畑の小さい声のせいで、授業の内容を把握するのは困難。そのため、居眠り者が続出する。
授業が終わると同時にクラスの生徒達の多くは目が覚め、背伸びなどの一連の動作をするものが続出する。



休み時間に入った。


田野畑先生はいつの間にか消え、先生が教室から出たところを見た生徒はいない。


結が他の女子より真っ先に、夕太に近づいていった。
そのせいあってHR後に集まっていた女子生徒達は夕太近づいてこない。
結に対して、あまり近づきたがらない者が多いからだ。



「水城君、さっきはごめんねー。転校生って聞いて。なんかうずうずしちゃって。」


結はさわやかな笑顔を夕太に送る。


「あの・・・なんだかよくわからないけど別に、気にしてないよ・・・ははは。」
「ほんと?よかったー。水城君が優しい人で助かったー。お詫びといっちゃなんだけど、なんでもしちゃうよー。」


とりあえず素の状態なら普通の人・・・なんだと夕太は思った。
その判断が過ちだったのかはまだ誰もわからない。


「なんでも・・・その・・・できたら、できたら友達になってくれれば!!」


「ぶっ!!」


隣にいた怜次が、夕太の唐突な発言に吹きだした。


「バカ!!やめとけ!!そいつだけは!!悪いことは言わない!!人生で一度しかない高校生活を無駄にしたくないだろ!!」
「さりげなくひどいこというなーもー。大丈夫!!こんな私でよければ!!楽しい高校生活が待ってるよ!」
「ほんと!?怜次君も、僕と友達になってよ!!」
「そうか・・・転校生・・・お前があえて修羅の道を行こうというのなら・・・俺も付き合おう・・・。」
「なんだかよくわからないけど!!よろしくね!!」



夕太はこうして、無事二人の友を手に入れることができた。


それが果たして夕太にとって吉とでるか凶とでるかは、まだ誰も知らない。
「こらー!そこの双子兄弟!ちんたら走ってるんじゃねーぞ!!」

先生の声が鳴り響く。

「ここの学校の体育は厳しそうだね…」
「まぁ、中学とのギャップの差は激しいだろうな。最初っから1?走らされるからな」

僕と怜次君は、怒鳴っている先生と校庭を走っている生徒をカラーコーンを運びながら眺めていた。

……怜次君は頭に出来たこぶを擦りながら。



〜体育〜







時は少し遡り…





「ところで、水城君は何処から来たの?アメリカの諜報部からスパイとして派遣されたとか?」
「ス…スパイ?」
「真に受けるな。このバカの妄想の中には『私が通う学校の開かずの科学研究室で、強力なバイオ兵器が研究開発されている』とかいう妄想してるだけだ。そこから更に、『その情報を手に入れたアメリカは、実態をさぐるべく特殊訓練を受けたスパイ1名を送り込んできたのだ 』とかいう妄想の連鎖を生み出してるだけだ」
「なんで分かったの!?」

結が驚いたような顔をしている。

「えっと…、隣の県にある如月高校って所から来たんだけど、別にスパイとかじゃなくてお父さんの都合でこっちに引っ越してきたんだよ」
「ってことは、またすぐ何処かに行っちゃうわけ?」
「ううん、お父さんが昇級したから、本社の方に異動しただけだってさ。だからこの先の事はまだわからないけど…」

少し俯き加減になる。
前の学校では、中学のときの友達が半分ぐらい同じ高校にあがってきた。
だけど、一ヶ月で彼らとの別ることになった。
新しいクラスでの新しい友達も何人か出来た。
だけど、たぶんもう会えない。
そして今日、新しい友達が2人も増えた。
出来れば、別れたくは無い。

――また1人になるのは嫌だ…。


そんな、曇った様な夕太を察した怜次は、話を切り替えてくれた。


「ところで結、次の授業の準備はしなくていいのか?」
「へ?・・・あ!体育じゃん!!早く着替えないと!!」

この学校の体育は基本男女別々であり、男子は校庭、女子は体育館での活動となる。

「それじゃ、水城君。また後でね〜」

そう言って、結は女子更衣室へと走り去っていった。

「怜次君は着替えなくていいの?」

僕は引っ越してきたばかりだから、まだ服が出来上がっていない。
今着ている制服も前の学校の物だ……といっても、今の学校の物とあまり差がないので、遠くから見ればわからないが。
怜次は頭をポリポリと掻いていた。

「いや、ジャージ(体操着)を忘れたからな。一緒に先生の所へ叱られに行くか」
「そうだね……って僕も叱られるの!?」

教室では男子生徒がはしゃぎながらまだ着替えをしていた。







「そういえば、江口先生にも何かヒミツみたいなものはあるの?」
カラーコーンを指定された場所へ運びながら、同じ作業をしている怜次君に聞いてみる。

江口先生――
この体育の受け持ちである先生の名前。

「そうだな、過去に自分の息子を亡くしたって事ぐらいしか知らないな。詳しい事は知らないが、江口を庇って亡くなったらしい」
「そう…なんだ……」

僕は、少し胸が苦しくなった。
最も親しい家族を失う辛さ、僕も分かっている。
僕は、左腕をじっと見つめていた。
過去を忘れないために刻んだ代償を―――


「……夕太?」
「…え?」
「大丈夫か?さっきから沈んでばかりいるように見えるが…」

怜次君の洞察力はすごいと、僕は思った。
RPGとかの世界だと、敵に回したくないような人だ。

「…ううん、大丈夫。それよりほら、先生に報告しに行こう!」
「ん?…あぁ」

僕達は、先生のいる場所へと向かった。

校庭を走っていた生徒達は、それぞれの競技を始めていた。
作者:草薙S氏

誰かが俺に言った言葉。奪える物は全て奪え……俺はあの頃からその言葉の通りに生きてきた。金も、立場も、物も、あらゆる物を。だからこそ、俺はこれからもその通りに生きていくだけだ。
「だから俺と戦え結! そして負けたら俺に昼飯を奢れ!」
 突然の言葉にその場に居た全員はこちらを振り返りぽかんとする。その目は例外なく、何言ってるんだこいつ? と語っていた。
「えっと、何がだからなのか訊いてもいい?」
「そこには突っ込むな。ただ脳内で勝手に過去設定の捏造してただけだ」
「怜次も私に負けずに変人よね」
 結の言葉に頷く一同。俺としてもほんの少し普通じゃないのは自覚している。いやほんとほんの少しだけな。
「だから俺と戦え結! そして負けたら俺に昼飯を奢れ!」
 もう一度同じセリフを、今度は人差し指を真っ直ぐに突きつけるポーズ付きで言い放つ。周りの空気が生ぬるいものになっていくのがよくわかるが今の俺はそのくらいの事では動じない。
「今の流れだと、怜次が変人だから私と戦えってことだけど、オーケイ?」
「この際それでいい、とにかく戦え。俺の輝かしい昼飯のために」
「怜次君、一体どうしたの?」
「男には戦わないといけない時がある。それだけだ」
 朝を食ってるならいざ知らず、朝を抜いて、その上昼を抜いたらさすがに持たない。
 夕太は納得出来ていない様だが、これ以上訊いてこない辺りこれ以上の質問は無意味だと悟ったのだろう。
「戦うのはいいけど、あんた制服のままじゃない」
「これが俺の勝負服って事にして置けば問題ない」
 外野から問題だろ、というツッコミが来たが気にしない。
「ちなみに、私が勝ったら昼奢ってくれるのよね?」
「明日以降ならな」
「ならいいわ。勝負の方法はどうするのかしら?」
 結の纏う雰囲気が一変する。奴も本気ってわけか……上等だ。
 知らず冷や汗が頬を伝い落ちる。周りは既に空気を読んで誰一人止める者も居なければ騒ぐ者も居ない。転校生である夕太ですら同じだ。
 この戦い……互いに命がけだな。特に俺。
「勝負の方法、それは……」
「それは?」
「将棋だ!」
「せめてスポーツにしなさいよ!」
「駄目か。まあいい、これはほんの冗談だ」
 七割本気だったのはあえて言わない。その方がかっこいいから。ちなみに将棋が得意かと訊かれればそうでもないと言える。
「勝負の方法は……チェスで決まりだ!」
「だからなんで体育の時間に卓上遊戯なのよ!?」
「チェスは本当に得意なんだぞ!」
「知らないわよ!」
 くそ、口上戦ではやはり簡単には行かせてくれないか。
「すごいぞ……普段はボケ要員の結を完全にツッコミ役にしている」
「この勝負、最後まで目が放せないな」
 何故か外野が俺たちの意図するところとは別に盛り上がっていた。正直心情としてはなんとも言えないぞ。
「だったら! 囲碁。神経衰弱。バックギャモン。ババ抜き。クイズ。バスケ。ポーカー。人生ゲーム。さあ、好きなのを選べ!」
「どれも駄目に決まって……待った、一個だけスポーツが」
「これらも駄目か」
「いや、バスケで……」
「なら夕太、お前が決めろ」
「え? ぼ、僕が……?」
 話題を振られるとは思ってなかったのか慌てる。だか、これは決していじわるではない。ここで話題を振って転校生に注目が集まればこの先馴染みやすいだろう、という俺の親切心だ。まして、いい加減自分で考えるの面倒になってきたとかは絶対にない。断じてない。
「えっと、じゃあ……」
作者:ほぎぃ氏

「や、やっぱ体育だし、バスケ・・・かな。」
「決まったな、バスケで勝負だ・・。」
「いいわよ!この勝負であなたのエネルギーを使い果たし、さらに苦しいお昼にしてあげる!」
「そっちこそ、財布の中身は大丈夫なんだろうなぁ!」


結と怜次は互いに睨みあう。


「はは・・・結さん性格全然違うよ・・・。」


空気を察し、夕太は倉庫にあったバスケットボールを二人の下へ運ぶ。


「ルールは?」

結が怜次に尋ねた。

「簡単だ。そこにあるバスケットコート半分を使い、授業が終わるまで1対1で点数を競いあう。」

「それじゃぁ普通すぎてつまらないわ・・・そうね・・・まぁただのバスケで終わらせないようにしましょう。」
「よくわからねぇけどそれでいいぜ。夕太、審判頼む。」
「僕?うん、わかった。」



体育会系とほど遠いこの学校では、体育という授業はおまけ的なもので、そのためか、少々投げやり状態である。
先生は種目をいくつか出し、それらを自由にやれと指示し、どこかに去ってしまう。
幸い、バスケットコート半分の空きはあった。
お互いハーフコートの真ん中に立ち、睨みあう。若干の笑みも含まれているようだ。


「夕太、ボールあげてくれ。」
「あれ?1対1ってもっとちゃんとしたはじめ方が・・・。」
「最初だけこれでいきましょう、景気づけにね。あげてくれる?」


「う、うん。それじゃいくよ。」

夕太は、ホイッスルを吹くと同時に、ボールを空高く投げた。比較的背の小さい分、全力で投げた。


風がふいたのか、ボールは怜次の方へかたむく。

「へっ、ラッキーだけど、なんだかつまらねぇなぁ。」


そう言った次の瞬間、怜次の腹部に激痛が走る。
怜次はその異変に驚き、自分の腹部を見た。
そこにあったのは怜次の腹部にめりこんだ結の拳だった。


「ぐっ、おまっ・・・。」


怜次の一瞬の隙をつき、結はボールを手にし、そのままシュートを決めてしまった。

「ファ、ファウ・・。」
怜次は夕太のファウルサインを止める。

「まて、これでいい。こうでなくっちゃおもしろくねぇ。」
「フフッ、言ったでしょう、ただのバスケでは終わらせないようにって。」

二人は互いを再認識し、笑みを浮かべる。



暴力ありのバスケなんてもうバスケでもなんでもないような・・・、という夕太の気持ちは、夕太の心の奥底にしまうことにした。


結は怜次にボールを渡す。
次からはごく一般的なバスケの1対1のはじめ方だ。
怜次が結にボールをパスし、次に結がボールを怜次にパスした時点でスタートである。
点数を決めるたび、それを交互にやっていく。


結と怜次の激しい攻防が続く。


「そんなにボールが欲しけりゃ、くれてやるよ!!」

怜次は結の顔面にボールをぶつける。

「ぶぇっ!!・・・くっ・・・女の子に・・・・そんなことして・・・恥ずかしくないの!?」

「お前を・・・女だと思ったことは・・・一度も、ねぇっ!!」

実際先程の結の拳の力は女のものでは無いと、怜次は思った。


二人の勝負は激化していく。


字数制限により次へ
夕太は、点数板が自分にとって少々高い位置にあるため、点数をめくるのに苦戦。
手伝うと言って来た女生徒に対して、なんとなくだが断っていた。
本人は気づかないが、少なからず二人に感化されてしまったのかもしれない、自分の仕事を無意識にこなそうとしていた。
それほど二人の勝負は激しかった。ただお昼の食料代をかけて。


二人の激突で舞う校庭の砂埃。
二人の勝負見たさで集まるギャラリー達各生徒。
二人は時が経つのを忘れ、戦った。


ただ、お昼の食料代をかけて。


授業終了時間真近、先生が戻ってきた。

「おまえらー、そろそろ時間だー。とっとと着替えて、次の授業の準備しろー。」


その先生の掛け声と同時に、怜次は最後のシュートを打つ。

「させない!!」

怜次が放ったボールめがけて、結はジャンプする。
惜しくもボールは結の手の上をすり抜け、そのままゴールしてしまった。


結果 38対38


30分以上続いた長い戦いは、引き分けに終わった。


「くーっ!今のを止めてればー!!」
「は、腹・・・へった・・・。」

そう言うと、怜次は、あまりにもの空腹に膝を突く。


「そんな状態で引き分けじゃ、私の負けね・・・。最初の1点は反則じみてたし。」
「へっ・・・情けなんていらねぇ・・・。」
「情け?そんな下らないことはしないわ・・・これは自分への戒めよ。」


周りからしてみればなんとも痛い会話だ。それを平気で言えてしまう、そんな二人であった。



・・・――結と夕太の着替えも終わり、3人は教室へ戻る。


「あー楽しかったー、ねー怜次君ー。」

結のスイッチはすでに切れているようだ。

「はら・・・へった・・・。」
「夕太君、次の授業なんだっけー。」
「えと、あれ・・・なんだったかな。」
「腹・・・へった・・・結・・・間食を少しおごっ―。」
「お昼はおごるよっ。」


結は満面の笑みで答えた。


「奢れ!これは命令だ!勅命だ!貴様の使命だー!」
「お昼はおごるよっ!」


結は素晴らしい笑みで答えた。

「その・・・なんなら僕が奢るよ。」
「おぉ・・・すまねぇ・・・。」
「あれ?情けー・・・?」

結は疑問に思いつつも、怜次達と共に売店に向かう。


売店はまだ開店していなかった。


お昼まで残り二時間の授業、怜次にとって少しつらい時間になりそうだ。
作者:カンバラ



「無限的多様性理論と言うのは、

V=L×(I−F)

という公式であり、
L(Light)は人間の中にある光(純粋成分)で、定数になる
『主体となる者の想像力の強さ(Imagination)』から『主体が属する世界の状況や現象(Fenomenon)』をマイナスし、それにLを掛けると、未来に起きる『出来事の数』や『可能性の幅』を算出することができる

…という内容だ。」


担任の先生は数学の担当らしいのだが、やたら論理系が好きなようだ。

隣の席の怜次君は机に突っ伏した状態で、鼾なのか空腹音なのか分からない小さな音を発している。
少し離れた結さんは、何やら落書きをしているようだ。
僕は、先生の言ったことを一生懸命書いてた。

「――まぁ、こんな理論はテストにはでないから安心しておけ。それじゃ、今回の授業はここまで」

そういって、授業終わりのチャイムが鳴った。

「夕太は職員室に来てくれ。まだ終わってない書類とかあるからな。」
「はい」

先生は持ってきた教材を速やかに片付け、教室を出て行く。

「結〜・・・、はやくメシ・・・・・・」
「怜次君起きてたんだ…」

奇怪な音がより一層大きくなった。

「はいはい、買ってきますよ。夕太君の分も買って来ようか?」
「僕はお弁当があるから大丈夫です」
「了解〜」

結は確認を取ると、疾風の如くに教室を出て行った。
前の学校もそうだったけど、昼になると売店は戦場と化すらしく、限定品は1分もしないうちに完売だとか。この学校にもあるのかな?

「職員室に行って来るから、先に食べててね」
「う〜〜い…」

怜次君のお腹がまた鳴った。
僕は少し微笑ましそうに笑いながら、職員室へ向かった。
「失礼しました〜」

手には複数枚ある書類を持って職員室を後にする。
廊下は昼休みであるため、様々な学年の生徒が行きかっている。
両手がふさがっているので、気をつけながら歩いていたのだが、背の高い人と肩がぶつかってしまった。

「す、すいません…」
「気をつけろよ……ん?、この学校の制服じゃないな」

ぶつかってしまった彼は、見た目はしっかりとした体に整った顔立ちだが、目が少しキツイ…。
目の辺りを除けば僕としては理想の体系かもしれないけど、身長が20cmぐらい足りない。
(※夕太の身長は155cmぐらいで提供しております。)

「はい、今日からこの学校に通う事になりました」
「そうか。あまり取り得がない学校かもしれないが、がんばれよ」

彼はぶっきらぼうな態度だが、根は優しそうな感じで話しかけてきてくれた。
彼の服装を見ると、どうやら同じ1年生ではないらしい。

「それじゃ、俺はここで………あぁ、そうだ」

彼は顔だけをこちらに向けて喋った。

「最近この学校で、"新人狩り"という新入生に対するイジメが流行っているらしい。お前も気をつけろよ」

それだけ言って、彼は去っていった。

「……"新人狩り"…」

怜次君や結さんは気が強そうだから大丈夫かもしれないけど、僕はまだこの学校に慣れてないから気をつけないと!
僕も、教室で待っているだろう怜次君と結さんの居る教室へと向った。

その時――

口元をハンカチで塞がれ、首元を太い腕で巻き、息が出来なくなる。

「んん〜〜っ!!」
「うるせぇ、静かにしろ!」

背後からは図太い声がする。
身長差からか、僕の足は宙吊り状態になり、手を首元に巻かれている腕にしがみつく。
持ってた書類が落ちる。
だが抵抗も虚しく、空き部屋に放り込まれる。
右肩から地面に着きうつ伏せ状態に倒れこみ、胸が圧迫され咳き込む。
後ろからは、閉まった扉の音と、足音が近づいてくる。
両手をつき立ち上がろうとしたところに両脇から腕が入り込み、無理やり引き上げられる。
一定の高さまであがると同時に、後ろから手ぬぐいのような物で目隠しをされた。
続いて口元にはガムテープを貼り付けられ、両手を後ろに組まされ紐のような物で結ばれた。
視界は閉ざされ、口はふさがれ、手は拘束された状態となる。
夕太は腕の拘束を解こうと必死になっていた。

「水城夕太」

夕太の前方から、凛とした声が響く。
拘束解除の作業を中断し、声のしたほうに顔を向ける。

「中学1年の時に事件により左腕を損失。以降、手術により義手を装着。先端技術により一見区別が付かないが、機械の力により同級生を病院送り。人間でないお前からこの学校にも被害を出させないため、これより処罰を科す」

言い終わると近くに寄り、胸板を思いっきり蹴ってきた。

「んんっ!」

夕太は蹴りの力により、後方の壁へと激突する。
頭から壁にぶつかり、意識が朦朧とする。
その片隅で、心の中で必死に助けを求めた。



―――結さん、―――怜次君!!










一方、夕太が教室から去った一分後。

「メ〜〜シ〜〜〜・・・・・・・」


自分の机に置いていった夕太の弁当とにらめっこをしていた怜次君が居た。

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