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ユング読書会コミュの「ヨブへの答え」第1回レジュメ:1. ユングについて(文責:ま)

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意見や質問、誤謬指摘などいつでも!

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1. ユングについて

(1) 年譜

 1875 スイスの牧師の息子として生まれた。

 1898 (23) : フロイトの「夢判断」刊行
1900 (25) : 精神科医となる。
 1903 (28) : 結婚
 1905 (30) : ブルクヘルツリ病院の院長となる。
 1906 (31) : 「精神分析と連想実験」刊行。「フロイトのヒステリー学説」を発表。当時学会で排斥されていたフロイトを弁護する。
1907 (32) : 「早発性痴呆症の心理」刊行、フロイトの功績を説きつつ、性のみを重視する立場に同調できないと明記。この年、フロイトと実際に会う。
 1909 (34) : 院長を辞し、個人患者を自宅でみるようになる。「集合的無意識」の概念を掴み、神話学に熱中する。
1910 (35) : 創設された国際精神分析学会の会長に就任する。
 1912 (37) : 「リビドーの変容と象徴」刊行。
 1913 (38) : フロイトと訣別。
 1915 (40) : 国際精神分析学会の会長を辞任。
 1916 (41) : 「集合的無意識」や「元型」「個性化」の概念を用いるようになる。
 1917 (42) : 「無意識の心理学」刊行。
 1918 (43) : 「本能と無意識」刊行。曼荼羅を多数描く。グノーシス派の研究に取り組む。
 1921 (46) : 「心理学的類型」を刊行。
 1922 (47) : 「分析心理学と文芸作品の関係」を刊行。
 1923 (48) : 母死去。
 1926 (51) : 「分析心理学と教育」を刊行。
 1928 (53) : 「自我と無意識の関係」「心的エネルギー論」「現代人の魂の問題」を刊行。
 1929 (54) : 共著「黄金の華の秘密」刊行。
 1933 (58) : 国際精神療法医師会の会長となる。「エラノス会議」の会員となる。
 1934 (59) : ニーチェのツァラトゥストラのゼミを行う。
 1939 (64) : フロイト死す。
 1941 (66) : 「神話学入門」刊行。
 1944 (69) : 「心理学と錬金術」刊行。
 1946 (71) : 「転移の心理学」「現代史論集」「心理学と教育」
 1948 (73) : スイスにてユング研究所設立。
 1951 (76) : 「アイオーン」刊行。
 1952 (77) ; 「ヨブへの答え」、パウリとの共著「自然現象と心の構造」刊行。
 1954 (79) : 「無意識の根底について」刊行。
 1955 (80) : 妻死す。「結合の神秘」刊行。
 1956 (81) : 「結合の神秘」第二巻刊行。
 1958 (83) : 「現代の神話ー空飛ぶ円盤」刊行。
 1961 (84) : 「無意識への接近」を書く。6 月 6 日、キュスナハトにて死去。

(2) 集合的無意識と元型

集合的無意識:人間に共通し、先天的な性質として与えられる無意識的構造。人間の典型的な行動、経験、神話、幻像、宗教的観念、芸術、ある種の夢などの、自発的な産出を担う。
元型:集合的無意識の中に位置し、文化を越えて人間に共通した振る舞いや経験、思考や神話、発想などを生じさせる鋳型。それそのものは定義不可能で、意識に現れる際に文化の影響を受けてイメージとして結実する。←物事の中に本質として存在するプラトンのイデアに通じる。
(注:人々の間に共通するのはある神話そのものではなく、神話を生み出そうとする傾向や性質であり、集合的無意識は「獲得形質の遺伝」ではない)
元型の例:母(女神、保護、包含など)、父(厳しさ、性的抑圧の象徴など)、アニマ(男性の中にある女性像)、アニムス(女性の中にある男性像)、老賢者、影(人間の負のイメージ)。
これら元型は自分達の実現化(外在化)を個人に対して主張する。
したがって人間は環境によって受け身的に形作られるのではなく、集合的無意識と環境の相互作用によって観念を形成する。幼児は白紙 (tabula rasa) ではない。

元型に類似した概念はその後(広くいって、人間の性質の先天性)、他の思想家も提示している
 レヴィ-ストロース:全ての人間の慣習を担っている無意識的構造に着目
 チョムスキー:生成文法(文法を産み出す先天的構造を人は持っている←言語活動は純粋に学習のみによるものではない)
 社会生物学:人間(を含む社会性の動物)の行動パターンは遺伝的に引き継がれた反応選択性に因っている。

ユングの精神分析:現代人は存在をこの元型的レベル、神話的深層から疎外されてしまっており、そのため自分にとって人生が意味や意義を欠いたものになっている。
 →精神分析によって、「神的根底」との接触を再び持つようにさせる(元型と結びついた情動的対価の場を見いださせる)。

ただし、元型に自我を引き継がせてはいけない。
元型と対峙し、意識と無意識を調和させること(対立物の調和=ユングの基本的な問題意識)。
 →個性化の過程(ただし、これは義務を遂行した上での人生後半の仕事であるとした)

○神の元型
「心はそれ自身の中に神への関係可能性、つまり神との対応物を含んでいるに違いない」
自己=神の元型
自己(self) : 心の全体性と統合。すなわち心の対立物(善と悪、光と影など)が調和した心的状態。

このような考え方は伝統的なキリスト教とは異なっている
 →グノーシス主義、錬金術、神秘主義などを持ち出してキリスト教の価値観と彼の考えの調和を計ろうとした。

(3) フロイトとの相違

○フロイトは性欲を無意識の中心に据えたが、ユングは様々な元型の並列構造を考えた。
○フロイトは個人の成長において、特に幼児期の体験に重きをおきそれが性格やコンプレックスを形成すると考えたが、ユングは予め内在する元型が個人の経験によって実在化していくのが成長過程であると考えた。
○フロイトは基本的に神経症を抑圧された性欲の出口と捉えたが、ユングは神経症を偏った心的状態への補償とみて、より積極的意味を持たせた。

参考文献
アンソニー・ストー:「ユング」(岩波書店)、河合隼雄:「ユングの生涯」(第三文明社)、Anthony Stevens : 'Jung - A very short introduction ' (OXFORD)

コメント(2)

すごくわかりやすい、素敵な説明文だと思いました
どうもありがとうございます。
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