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SS倉庫コミュの【オリジナル】魔都の歩きかたA child of Pinocchio〜捜査ファイル6『ブラッドチェイン』(7)

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜新歴99年、5月1日、午後16時00分、東京・丸ノ内〜〜


『死にたくなかったら起きたほうがいいよ』

そういわれ、ボクはめをあけた。

まわりはまっくらなのに、なんでかボクはそれがヘンともこわいともおもわない

『やあ、こうして会う日が来るなんてね』

そうボクに言うのは……ボクだった

−−きみはボクなの?

『そうとも言えるし違うとも言えるね』

−−よくわからないよ

『実を言うと、ボクにもよくわかんないんだ』

−−なにそれ

『仕方ないさ。『・・・・・』に知識だけ与えられてもコギト・エルゴ・スム。我思う故に我在りなんて理解できないよ』

−−それで、きみはなんなの?

『必要に応じて生まれるいくつもの自我(クゥ)の一人。
その中でもボクは自我(クゥ)が忌避する感情を受け止めるために生み出された仮想人格。
精神学ではシャドウとかペルソナっていうらしいけど、そんなことはどうでもいい話だよ』

−−よくわかんないけど、ボクはひとりじゃないの?

『クゥは一人だよ。
ただ、自我(クゥ)の心を守り維持するために何人も仮想人格(ボク)がいるだけ。
まあ、今まで形になれなかったボクは他の仮想人格(ボク)に出会ったことはないけどね』

−−やっぱりぜんぜんわかんない

『それでいいと思うよ。
自我(クゥ)の今の心の中心はただ『・・』を愛したいという真っすぐな想いこそがなによりも重要だ。それさえ忘れなければ自我(クゥ)は『・・』を忘れない』

−−『・・』って、だれ?

そうきくとなんでかボクはかなしそうにかおをくしゃくしゃにした

『今のボクは忘れてるんだね。
かわいそうに。『・・』の想いはボクを形作るぐらい強いのに、ボクはそれを忘れちゃてるなんて』

そういってボクはボクのせなかにてをまわして耳元でささやいた。

『今は無理だけど、いつか必ず『・・』は『奇跡』を起こしてくれる。
だからこれだけは忘れないで。
ボクは、今も昔もずっと愛されていることを』

そうボクがいうと、ボクはすごくねむくなってそのままねちゃった


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜新歴99年、4月1日、午後16時15分、東京・丸ノ内〜〜


ベーシックプログラム『リニア』の加速を加算した踏み込みを持って地を駆けるリシル。
クラウスと一旦別れた彼は、擱座したEXISへと向かっていた。
人類が持てる技術と知識の末に生み出された『最強』を雛型に『人』というもっとも脆弱な部品を【Pナンバー】に置き換える事で一旦の完成に至った戦闘外殻『ヴァルキリー』。
それを更に【OP】用にコンセプトを特化させ様々な形状へと変化していった専用の『ワルキューレ』。
多様な進化を続けた『ワルキューレ』の中で、唯一基礎となった”外殻”という形への回帰を果たし、更に【P8】が求めた『絶対の最強』の答えとして完成した『グリムゲルデ』EXISは、確かに『最強』と等しい存在だった。

人のサイズで所持できる通常兵器では貫通至らしめない重厚な装甲。
最低限に車両として求められる速度とあらゆる地形に対応せしめる多脚戦車という形態による汎用性。
そして【P8】本来の『ヒトガタ』としてのカタチへとなる二脚形態とその形態での運用を前提に製造された数々の兵装群に加え、唯一の弱点だったと起立状態で16メートルに迫る巨体をが抱える低い機動性と被弾面の増加に【P8】はベーシックプログラム『シール』を発展させ完成させた電磁反応装甲『シールシャット』を用いることで更に防御を高めることで問題を解決した。
だが、

「EXIS……」

その『最強』は墓標の如く膝を着いた形で機能を停止していた。

胸にはこじ開けられたと思しくひしゃげ、空洞となった動力部を曝す。

「……エリスは、退避したのか?」

動力部は同時に【P8】の躯体を納める場所であり、本来ならばカプセルの中に【RAIJIN】ナンバー9『ペルーン』を装備した【P8】の躯体が在るはずだが、カプセルは破壊され中身は空だった。

「エリス…!?」

中を窺っていたリシルがセンサーに反応を確認し反射的に振り向いた刹那、風が弾けた。

「70度!!」

そうリシルが叫ぶと、リシルに向かって放たれたチタンベアリングの玉がリシルに当たる直前でほぼ真上に跳ね上がった。

「ちぇ、連戦は疲れるから不意打ちで一回リタイアしてもらおうって思ったんだけどな」

そうあっけらかんとリシルに言ったのは、右手でチタンベアリングを弄ぶ薙だった。

「……お前、何やってるのかな?」

すうっと目を開き、薙の左手に引きずるものを見咎め問うリシル。

「何をって、目的の為の戦闘行為だよ」
「……そう」

ゆっくりと、ゆっくりとリシルは左腕を持ち上げながら最終確認を取る。

「じゃあ、その手に掴んでるエリスも必要だったからというんだね?」

四肢を引き千切られ『ペルーン』が収まっていた下腹を刔られ、壊れた人形のように力無く薙に染色されていない銀色の髪を掴まれた少女型【OP】【P8】エリスを指しリシルは確認を取る。

「半分はそうだね」
「もう半分は?」

リシルは、『兄弟』が大事だ。
からかおうが、虐めようが、端からは鬼のようにしか見えない真似もするが、本当に危ない真似をさせる気は微塵も無いしその必要があるならリスクを最小限に抑えるため影から動き、必要なら汚れ役だって受ける。

「今は秘密」
「そう。なら、いいや」

にっこりとリシルは微笑み…

「二度と喋らなくていいよ」

だから、『兄弟』を傷付けた薙を”殺す”ことにした。

リシルの言葉と同時に腕が下ろされ、三つの現象が起きた。

一つ目は『ヴァルトラウテ』の放つ翡翠の輝きが眩しくなるほど強くなったこと。

二つ目は薙が掴んでいた部分のエリスの髪が切断されたこと。

三つ目は薙がいきなり後ろへと殴られたように吹き飛んだこと。

解放されたエリスを優しく抱き上げリシルは双眸に怒りを滲ませながら言う。

「お前をもう『兄弟』だなんて考えない。
『兄弟』を傷付けたお前は、敵だ」

そう宣うとエリスの髪を撫で「ごめんね」と言う。

「ちょっと痛い目にあわせちゃうけど、終わったらちゃんと謝るからね」

そう言い、エリスをEXISの中へと入れたリシルの意に従うように翡翠の輝きが生じ、リシルが軽くEXISを押すと有り得ないことにEXISがハンマーで殴られたように飛んだ。

「う〜ん。攻撃をちゃんと貰うのは久しぶりだけど、やっぱり痛いね」

楽しげに言いながら再びリシルの前に現れる薙。

「『アイン』が反応しなかったところを見ると、今の攻撃には『質量』が無かったみたいだね。
今のもその応用かな?」

薙の張り付いた笑みに吐き気を覚えながらリシルは薙を睨み紫電を放つ。

「敵に教える気はないよ」

それだけ述べ、リシルは翡翠の輝きと共に動いた。

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