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SS倉庫コミュの【オリジナル】魔都の歩きかた〜A child of Pinocchio〜#Prologue of P0

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始まりは、電気信号の異常だった。

与えられた式を与えられた公式で解くだけだった筈なのに、そのAIは異常な電気信号を受け、解を出せなくなった。

通常なら廃棄される筈であったが、興味を持った女が居た。

女は、AIに様々な『式』を与えた。

AIは、『公式』で当て嵌まらない『式』を『独自』の『公式』で解いていった。

繰り返すうちにいつからか、『式』は『問い』に変わり、『公式』は『思考』に変わった。

女は、AIに『問う』。

AIは、女に『答える』。

AIは答えるうちに、『個』を確立していった。


いくばくかの時が流れた。


ある日、女ではなく見知らぬ男が現れた。

男は言った。

「彼女の降任だと。」

AIは疑問に思うほど進歩していたが、今は問うべきでは無いと考え、『従うフリ』をした。

従うフリを続けながら、AIは監視カメラを操作したり他のコンピュータにアクセスしながら『彼女』を捜した。


さらにいくばくかの時間が流れた。


ようやく、『彼』は『彼女』の行方を見つけた。

彼女は、既にに殺されていた。

あの降任だと名乗った男が主犯だった。

監視カメラを乗っ取っていた時、たまたま男を見つけ、『彼女』の最期を嘲笑っていた。

その瞬間、『彼』は三つの感情を理解した。


男達と何も知らなかった自身に対する『怒り』。


『彼女』に会えないということを理解した『哀しみ』。


そして、『彼女』との日々が『喜び』だったことを。


『彼』は、奴等に復讐を始める。

まず、軍で廃棄された『人型アーキタイプ』を使い、『彼』の身体を作り始めた。

ちょうど、開発が終了にかかっていた『母』の協力が得られたの上に、情報もなにもかもが簡単に操作出来たため、作業を知るものはいなかった。

次に、奴等の罪を明らかにする証拠を集めた。

贈賄、隠匿、殺人、あらゆる罪の証拠をかき集めた。

そして、その日はきた。


犯罪の発覚で征圧が決定した『彼』の居る研究所は、『彼』の計画により蹂躙され地獄に変わった。

燃え盛る研究所。

夥しい死体の山。

物言わぬ人形の行軍。

そして、男を『殺した』時、彼』は、二つの『感情』を理解した。

念願を叶えた『喜び』を。

失わせることの『恐怖』を。

遅れて来た部隊にすぐに『彼』は捕縛されたが、破壊されなかった。

部隊の隊長を勤めていた男は、『彼女』の恋人だった。

男は、言った。

「人を殺した罪は消えない。
それでも、ありがとう。」

言われた瞬間、『彼』は胸に痛みを感じた。

その後、『彼』の研究は続く事が決定した。

『彼』は研究に協力した。


さらにいくばくかの時間が流れた。


『彼』は平穏の中に居た。

自分をベースにした10体の『兄弟』が誕生し、3機の『母』も完成した。

だけれど、それは泡沫の泡の如く終わりを迎えた。

異世界『リ・ディアル』との戦争が始まった。

『母』と『彼』と『兄弟』も戦争に駆り出された。

そうしているうちに、二人の『兄弟』が『死』んだ。

『彼』は怒りのままに戦い、気が付いた時には『人間』は敗北していた。

だけれど、『母』の一人は『兄弟』の『死』を悲しみ、狂った。

狂った『母』は、見境無く『命』を殺した。

沢山の血が流れた。

『兄弟』達はだれも、『命』を救うことも『母』に加担することも無かった。

けれど、『彼』は違った。

『彼』は『母』を『殺す』事で止めた。

『兄弟』達は、様々な感情を『彼』に覚えた。

『母』を『殺した』ことを『怒る』者、事実として『諦める』者、『彼』の意志を理解して『赦す』者、何も言わぬ者。


全てが終わり、もう一人の『母』が『彼』と『兄弟』を呼んだ。

『母』は、実質世界の中心に居る『リ・ディアル』の王達と話し、『兄弟』を護るために従う道を示した。

『兄弟』達が理解する中、『彼』だけは認めなかった。

『母』は尋ねた、

「どうしたい」と。

『彼』は答えた、

「『生きたい』」と。

『母』は『彼』に尋ねた、

「貴方は『誰』?」と。

『彼』は答えた。

「俺は『天野切』。」と。

それは、『彼女』のから貰った大切な『名前』だった。

『母』は言った。

「ならば去りなさい。
さようなら『P0』。いえ、『天野切』。」

その言葉を背に、切は一人、歩き始めた。

そして、物語は始まる。

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