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StudioAdventure【自主制作】コミュのEpisode Season0 Story02

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独りで市場に出て腹ごしらえしたバスターは馴染みの店へとおもむいた。
表向きは雑貨屋なのだが、ここの親父は合法的な物違法的な物、何でも入手でき、色々な情報通でもある。
元盗賊団の親分ながらの豪快さで声をかけてきた。
「バスター久々だねぇ…元気してたか??」
店の小物をいじりながらバスターは答えた
「おやっさん、そいつは嫌味かい??」
豪快な笑い声が店内に響く
「はっはっは…ここに来たからって事は仕事かい??」
「そんな所だよ、今回の仕事はサルベージなんで俺のに付けれる水中用装備と同じ装備の奴をもう一体」
親父は嫌な予感がした…
「もしかして…もう一体は…」
親父の顔に思いっきり近付け
「そう…あいつが使うんだ」
親父は2〜3歩退き、まさに猛獣に襲われんばかりのウサギの様に答えた。
「か、勘弁してくだせえ…旦那が使うんじゃぶっ壊れちゃいまっせ…こないだお貸ししてようやく直ってきたばかりなのに」
「んーまあ…今回はサルベージなんで無茶はしないだろう」
「そうですか…いつまでに揃えればいいんだ??」
「3日後、波止場に船が来る」
「3日…そいつはきつ過ぎる…2日以内に揃えなきゃなんねえ」
「すまない…」
慌てて受話器を取り、電話の無効の相手となにやら交渉をはじめた
「所でおやっさん…[ゴンズイ商会]って知ってるかい??」
そう言うと名刺を差し出した。
「ゴンズイ商会??」
親父が不安そうに返答をした…


市場はヨーロッパ風なレンガ作りの建物や倉庫があり、
その間に大きな広間にテント等を張って食料品等が売られている。
三角島は元々半島の様な出島と言う特性を生かし港町となっている。
どちらかと言うと漁師町といった方が良いかもしれない。
島といっても本土と一部繋がっており、満潮だと島となる…その程度だ
対岸の街の方が港としては大きく、貿易等を行なっている。


日も暮れ、市場も賑わいが落ち着きを見せた頃、酒場にバスターはやってきた。
『確かここにいるはずなんだが…』
昼間雑貨屋の親父にいわれた事を思い出していた。
「女房に聞いたんだか…旦那は何匹か魚取ってきてるんで、今晩はそいつで一杯やってるのでは??
確か、いつもの店に新しい酒が入ってきたらしいですから」
『あいつ…確か未成年だったよなあ〜』
酒場に入ると、見た事の無い荒くれ者が酒を酌み交わしている。
どうやら港に船が入ったらしい…
酒場の片隅に物静かに東洋人の青年が座っていた。
ご飯と味噌汁、漬物と昼間から話題になっている「魚」がテーブルの上に載っている…
どう見ても酒場には似つかわしくないメニューだ。
「そろそろ来る頃だと思ったよ」
バスターは不思議そうな顔をしつつその青年の前に座った。
「何故解った」
「簡単な話さ、昼間お前の所に怪しい男が入っていったのを見かけたんでね…」
「ほう、知っていながら通り過ぎたと…」
箸でオカズをついばみながら答えた
「こっちは腐りものもってたんでな…そのままここに直行さ」
人が旨そうに食っている姿はただ黙って見ている方も腹が減ってくる。
「食うか??魚??」
青年はバスターの前に串刺しされ塩焼きになっている魚を出した。

バスターはビールを注文して魚に被り付いた。
「うめぇ〜」
焼きたての魚は、程よい塩加減・焼き加減が効いていて旨さを引き立てている。
「何でこいつはこんなに旨いんだ??」
ビールを一気に飲みながらバスターは感心していた
「俺が焼いたのと、鮮度が良いからだろ??」
机の下から徳利を引っ張り出し青年は酒を飲んだ。
「疾風って確か…17だっけ??」
「今年で18になる」
彼の名は「疾風」バスターと一緒に冒険をやっている相棒だ。
身長はバスターより若干低め…黒目黒髪の青年である。
髪は後ろに1本にまとめている。
青い作務衣に黒い帯を締め…まさに侍の様な出で立ちである。
「何でここに来る事が解った??」
「簡単な話だ、怪しい男は多分客だろう…そうなると雑貨屋に行って俺の消息を聞くだろう…とね」
「もしかしておやっさんの家に魚をあげたと言うのは…」
「そう…ここにくる手がかりを残そうと思ってね」
「なら何故帰りに寄らない??」
「食った奴は新鮮そのものだ。寄っているうちに旨さが逃げちゃうよ…それに…」
「それになんだ??」
「フライパンで叩きたい奴が待っているだろうと思ってね…」
バスターは驚いた。
確かに雑貨屋から戻ったらフライパンで又もや叩かれたからである。
しかもこちらが居場所を捜し推理してここに来ている事まで予測されているとは
「しかし…この焼き加減はここに来る時間まで推測していたようじゃないか??」
「んーまあ…その後昼寝して…起きて珈琲を飲んでここに来れば大体この位かな??」
確かにその後昼寝し、起きた後、珈琲を2杯飲んでいたからである。
「凄いな…そこまで行動を読まれていると」
「いや…外れていた点はある」
「ほぅ」
「珈琲1杯だと思ったけど2杯だったようだね…若干魚は冷めた」
食べた魚はちょうど食べごろの温度だった。
「熱々のうちに食べてもらいたかったんだけどねぇ」
済ました顔で酒を飲んでいる疾風に対し、バスターはムッとした。
これでは全てを見透かされているのじゃないかと…
疾風の掌の中で躍らせられているのではないかと…
一度位は疾風の困らせてた顔が見てみたい、ギャフンと言わせてやろうと固く心に誓ったのである。


「辞めて下さい」
ウエイトレスの声が店内に響く…
どうやら酔っ払いがウェイトレスに絡んでいる
その中で一番体の大きい男が疾風に絡んできた。
「なんだこのガキゃあ…いっちょ前に酒場に来てやがる。
貧弱な食い物食いやがって…どれ俺が味見してやろう」
残り少なくなった焼き魚を掴もうとした左手首を箸で押さえた。
「何しやがる」
男は腕を外そうとするが万力に押さえられた様に動かない。
疾風は一切気にせず箸で押さえつつ左手で味噌汁(お吸い物)を啜った。
「今日は良い出汁が取れてる」
疾風は相手の事を全く無視していた。
怒り狂った男は疾風に殴りかかろうとするが箸の角度を変えられ後ろ手になった。
「痛ててて」
どんなに暴れようと思っても動く事が出来ない…
「今日は運が良く魚が多くとれてな…」
押えられている男の仲間達が助けようと周りを取り囲んだ
「これが旨そうだったんで塩焼きにしようと思ってな」
疾風は軽く箸を動かした。
「今日の水が非常にいい感じがしたんで「釣れる」と感じたんだよ」
箸に掴まれている男は反対側の腕をぶん回し仲間達を殴った
「何しやがる」
男達はナイフを抜いた。
疾風は脇に置いてある竹で出来た釣竿を手に取り
「んでこのさおを入れると釣れる釣れる…」
ナイフは釣針に引っかかり男の手よりもぎ取り他の男達のナイフを弾き飛ばした。
「結構大物が多いだろ??こいつらの元気の良さったらなかったなあ」
釣糸に付いたナイフは高速回転をはじめた。
「何しろ糸が切れるんじゃないかと言う引きだったからなあ…」
箸で掴まれいる男は顔の酔いが醒めた。
いつ切れるか解らない釣糸について刃物が高速回転して顔に近付いているからである。
「おい俺を見捨てる気か??」
仲間の男達は只ならぬ雰囲気に一斉に外へ飛び出した。
『俺はこいつをギャフンと言わせられるのか??』
焼魚の皿を抱えバスターは不安に思った。

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