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私鉄沿線97分署コミュの♯64「死亡時刻はパソコンで…」

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榊俊作 渡 哲也
九十九圭介 新沼謙治
松本良平 小西博之
仁科順子 斉藤慶子
田島修 四方堂亘
三木敦史 野村将希
望月亮 古城裕章
清水あけみ 北原佐和子
丸岡吾一 武藤章生
橘礼子 山口果林
滝村兼三 長門裕之
奈良龍治 鹿賀丈史
脚本 高階 航
音楽 加瀬邦彦
監督 小澤啓一
(オープニングより)

コメント(19)

Sean1 97分署
トレーニングウェアで駆け足で入ってくるオサムとブル
オサム・ブル「おはようございます」
その他婦警たち「おはようございます」
奈良は新聞を読んでいる
九十九、順子は着席
滝村の席で礼子と打ち合わせ中
ブル着席しながら
松本「いやあまいったなぁこりゃあ」
オサム缶ジュースを持って戻ってくる
田島「ハイ先輩!はい飲んで!」
松本「あぁありがとう」缶ジュースを飲む
あきれる滝村と礼子
二人の視線が痛く、後ろを向くブル
ブルに向き直られ、嫌な顔をする順子
仁科「酒くさぁ〜」
松本「あぁスイマセンね」
九十九「キミたち、昨日あれからまたどこか行ったな」
田島「ハ・シ・ゴ、三軒行っちゃった」
九十九「金もねぇのに、また」
奈良「ブルちゃん、酒は仕事に差し障りのないように飲むこと!」
と言いながら
奈良「あー、頭いたぁー」
松本「はい…、あれ?奈良さんも二日酔いですか?」
奈良「ちょっと、ちょっとだけ…」
礼子、怪訝な顔で近寄り
橘「(咳払い)松本くん、二日酔いで出勤なんて刑事としては好ましいことだとは思えませんねぇ」
奈良「そうだよ」
橘「言ってみれば酒気帯び運転と同じことでしょう」
奈良「そうだよ」
橘「今もし事件発生のベルが鳴ったとするわね、あなたそんな状態で犯人を追いかけられますか」
松本「いや…、そりゃもちろん」
橘「どうかしら?犯人も二日酔いなら良いけど…」
ブルの目を見つめ
橘「100メートル全力疾走出来ますか?」
奈良新聞で顔を隠す
滝村「はいはい、お説ごもっとも。ブル!奈良くん!今後とも飲み過ぎには注意しろ!」
滝村「いいか?事件て奴はな、刑事の体調にはまったく関係ねえんだよ。こういう時に限ってベルは鳴る」
ベルが鳴り始める
署内放送「緊急指令!緊急指令!死体発見!現場は田園プラザ二丁目プラザスカイビル、金融会社船越商事」
滝村「ほら見ろ…、行け!エブリィバディ」
橘「さあ松本くん出動よ」
松本「(オサムに)ああ、服持ってきて」
橘、ブルの尻を追い立てる
橘、ブルを置いて走って行く
奈良「ブル、ブル。(小声で)仏はね、走ったりしないから」
二人で声を出して笑う

サブタイトル:死亡時刻はパソコンで…


Sean2 事件現場前
パトカーが二台停まっているところに覆面パトカー二台到着
一台目から奈良。順子
二代目からブル・オサム
四人車を降り、警察官が警備するビルに入ってゆく


Sean3 船越商事の中
鑑識課員が写真を撮っている中、四人が捜査を開始する
(車に乗っていなかった礼子も到着している。オサムはいない)
ソファーに死体が横たわっている

奈良・礼子、二人して一緒に屈み、死体を見つめる
死体の前に飲み残したコーヒーカップ、赤い薬包紙
もう一組のコーヒーカップ
奈良「誰か居たようだねぇ」


Sean4 船越商事事務所前の屋内廊下
奈良が事務所内から出てくる
そこへ女性を伴ったオサムがやってくる
田島「あっ奈良さん、あのこちらが遺体を発見された社員の中野さんです」
奈良「あっどうも、奈良です」礼する
中野も同じく礼する
奈良「夕べどなたか来てたようなんですけどね」
中野「ええ、七時ごろ、お嬢さんが来ることになってるって仰ってました」
奈良「お嬢さん?」
中野「ええ、行沢和子さんて仰る方です」
奈良「和子?名前が違うようですけども…、結婚なさってる方ですか?その方は」
中野「いえ、独身だと思います。何か事情があって15年前に別れたそうです」
田島「他に来客の予定は?」
中野「ございませんでした」
奈良「ところで、あなたは夕べ何時頃お帰りになりました?」
中野「6時です。社長さん心臓が悪いので、いつも管理人さんに声をかけて帰るようにしております」
奈良「はあ、なるほど」
Sean5 97分署内・滝村の机のまわり
名刺を見入る滝村、取り囲む捜査課員
奈良「えー死亡したのは金融会社の社長で船越義男52歳。ま、社長と言っても社員と二人だけの会社ですけどね」
田島「第一発見者は社員の中野文江です。今朝出勤したら死んでいたそうです」
松本「彼女は社員と言うよりも私設看護婦ですね。船越は心臓が悪かった。それで雇われていたそうなんです。彼女は以前、病院に勤めていたそうなんですから」
橘「船越は5,000万円の生命保険に入っていました。受取人の指定は娘の和子和子になっています」
奈良「その娘さんなんですけどね、八丁目でおでん屋さんやってるそうですよ」
滝村「おでん屋?」
奈良「ええ」
九十九「八丁目におでん屋なんかあったっけかな?」
通りかかった丸さん
丸岡「ありますよ有名なおでん屋が、たらふくって言うんです」
奈良「たらふく?」
九十九「たらふく?」
丸岡「そこのママさん、なかなかの美人なんだけど、ちょいと変わってましてね、いつでも黒い洋服を着てる」
滝村「ふーん」
丸岡「こう上から下まで真っ黒、それで有名なんです」
滝村「ふん、黒ずくめね…」
滝村「うん!そういや居たね、ほら、あーのあの…、シャンソン歌手!」
丸岡「いましたね〜、なつかしいから…、ジュリエット加藤!」
割って入る礼子
橘「ただいまは捜査会議中です!」
丸岡「あっ、失礼をしました」
順子が入ってくる
仁科「課長、解剖の結果が出ました」書類を渡す
滝村「おお」
仁科「死因はアンチモンによるものだそうです」
滝村「なんだそのアンチモンってのは?」
目を見合わせるブルとオサム
仁科「課長、セラミックってご存知ですか?」
滝村「そりゃ知ってるよ。これから鉄に取って代わろうていう化学合成物質」
奈良に同意を求める。親指を立てる奈良
仁科「ええ、なんでもそれを着色する時に使う薬品で、無味無臭の毒物だそうです」
滝村「で、死亡推定時刻は?」
仁科「昨夜の7時30分から8時30分、この一時間以内です」
滝村「ふん、このヤマは自殺とも他殺とも断定出来ないが…、まあ金融業者といやぁトラブルがつきもんだ。そういう意味じゃあ仏さんだって叩けばホコリが出る体という事もありうる」
滝村「その死亡推定時刻に沿って念入りに捜査してくれ」
全員「はいっ!」九十九、順子、礼子、奈良出てゆく
滝村「行こう」
松本「田島ちゃん、行こうか」
田島「はいっ」田島も出てゆく
滝村、書類で顔を隠し
滝村「ジュリエット加藤か…」
松本、滝村の頭を軽く叩き
松本「課長、行ってきます」


Sean6 管理人室
仁科、管理人に話を聞いている


Sean7 プラザスカイビル前
主婦に話を聞くオサム


Sean8 どこかの金融会社
そこの玄関先で話を聞く九十九


Sean9 おでん・たらふく
和子和子に話を聞く奈良とブル
和子「えっ!死んだ?」
奈良「ええ夕べ」
ためいきをつく和子和子
大根の皮をむき始める
和子「気の毒だと思いますけど、あの人、父親だと思ってません」
和子「あの人は15年前に私たちを捨てて蒸発した男です」
和子「その時私は12歳でした、その5年後に母が死んで、それから弟と私は親戚を転々として、やっとこんな店を構えるまでになったんです」
和子「言ってもわかってもらえないでしょうけど、並大抵の苦労じゃありませんでした」
和子「あの人は真面目な銀行マンだったんです。それが結局、あんな胡散臭い金融ブローカーに成り果てて、自業自得でしょうけど」
和子「去年、客のような顔をしてふらりとここへ来たんです。それからです。何度も電話をよこして…」
奈良「夕べ船越さんのところへ行ったのは?」
和子「話があるから来てくれって電話があったんです」
奈良「何時頃ですか?」
和子「7時半頃です」
奈良「話っていうのは?」
和子「決まってるじゃありませんか、父親として認めてくれっていう虫のいい話です」
奈良「ところであの、船越さんが生命保険に入ってたっていうのはご存知でした?」
和子「ええ知ってます」
奈良、松本の顔を見る
松本「あそこを出られたのは?」
和子「7時35分頃だったと思いますけど」
松本「ああ…、でこちらに戻られたのは?」
和子「タクシーに乗りましたので8時頃だったと思います」
松本「8時頃…」
和子「あてつけに死んだのかも知れないわ、ほんとに」
奈良「どうも」立ち上がり店を出て行こうとする
そこへ一郎が入ってくる
和子「一郎!まだ居たの?学校は?」
一郎「行くよ」
和子「これから?何時だと思ってるの?」
一郎、店を出てゆく
和子「一郎!一郎!ちょっと待ちなさい」
松本、ため息をつく
という具合に完全採録ですが、如何でしょう
正直メチャクチャ手間かかります
もう音をあげてます
誰かの後押しないとムリっす

あと誰かwikiに脚本・監督ぐらい書き込んどいて下さい
エンドロールのリストは最終回の予定ですが
何とかそこまで辿り着きたいものです
Sean10 船越商事の中
現場保存のため、全てにビニールシートがかけられている
橘と中野が話しながら入ってくる
橘「アンチモンですが、何処で手に入れたか心当たりありませんか?」
中野「なんでも、関西の方を転々としていた事があったそうです。そこの化学工場で貰ったとか、そんな事を言ってましたけど」
橘、メモをとる
中野「時々、そこの引き出しを開けて、ぼんやり薬を眺めていました」
中野「お嬢さまに電話をしても受け付けてもらえないし、心臓もあまり丈夫じゃないから、いつ死んでもいい。なんて、笑いながら言ってましたけど」
中野「まさかこんなことになるなんて…」

二人とも船越商事を出る
橘「あのここは、非常口は?」
中野「こちらです」
共に歩き出す
橘「見せていただきます」

礼子、非常口の鍵を内側から開ける。鍵を確認する。
そして外に出る
裏の路地に出る。


Sean11 97分署内・滝村の机のまわり
全員揃って捜査会議
奈良「害者の船越さんはあまり評判の良い人間じゃないようだね」
九十九「他の業者からも話を聞いたんですが、彼は土地を売りたがってる人間に近づき、一億円ほど騙し盗ろうとした事もあったそうですよ」
田島「どうも暴力団関係の人間ともつながりがあったようですね」
仁科「管理人もそういう人間が出はいりしてたって言ってました」
滝村「で、その船越さんのマンションなんだけど、非常口はどうなってた?」
橘「外からは鍵無しでは開かないようになってます」
滝村「あっ、ああ」
仁科「これまでの捜査の結果では、死亡推定時刻内にあの会社に出入りしたのは雪沢和子だけよ。これは一応、他殺と考えてみるべきじゃあないのかしら」
松本「なんで?」
仁科「だって、彼女には船越さんを殺すだけの動機があるじゃない。蒸発した父親の事を怨んでたのよね」
松本「理屈としてはそうだけども…」
仁科「それにね!彼女は保険の事を知ってたのよ」
松本「まだ裏は取れてないけども、彼女にはちゃんとアリバイがある。8時には店に帰ってた」
仁科「だけどね、5分もあればアンチモンを飲ませて、そしてあの赤い薬包紙に父親の指紋を付着させ、その場を立ち去る事が出来るじゃない」
松本「いやあ、そりゃちょっと…乱暴すぎるな」
オサムに同意を求める
田島「そうだよ、ちょっと飛躍があり過ぎますよ、それ」
仁科「どうして?」
松本「いや、だってね、そりゃいくら憎んでたとはいえ、船越さんは彼女の父親だよ!娘が父親を殺すなんて…」
橘「松本くん、あなた犯罪白書って読んだ事ある?最近じゃ殺人の30%が親子関係による事件なのよ。その考えはちょっと甘すぎるは」
納得のいかないブル
橘「彼女は父親が蒸発したことで多感な青春時代を犠牲にしなければならなかった。その恨みは相当に屈折してるはずよ。だから殺人もあり得るんじゃないのかな?」
田島「うん!あの、橘さんの仰る通りかもしれません」
松本「オサムちゃん!あんたそんな事言ってなかったじゃない、さっき」
オサムにくってかかる
奈良「ブル!ま、落ち着いて」
松本「あ、はい…」
滝村「ままま、捜査上のディスカッションは大いに結構!ええまあ、金融会社てのは人に怨まれる事が多い職業だ。だから仏から金を借りた人間、修理工場の経営者、鉄工所の親父、喫茶店のオーナー、この辺に的を絞って第二ラウンドという事で」
田島「はいっ!」


Sean12 97分署・入口前
松本「オサム!」前を行くオサムを呼び止める
田島「はい?」
松本「お前、年上の女に弱いのか?」
田島「はぁ?」
松本「は、じゃねえだろ。この裏切りやがってからに」
田島「いや、橘さんの仰ることにも、やっぱり、耳をかたむけるべきですよ」
松本「俺にだってね、刑事の直感てものがあるんだよ。第一オレは雪沢和子さんに会ってる」
田島「美人ですか?」
松本「当然だろ!」
暫し沈黙
松本「じゃあお前が運転しろ!」
田島「ハイハイ、わかりましたよ。やります、やります」
松本、覆面パトカーに乗る


Sean13 視官室
榊が書類を見ている。奈良がそれを覗き込んでいる
奈良「死亡推定時刻なんですけどね、もう少し時間を絞れないものですかね」
榊「この頃はね、こういう頼もしいものがありますからね。なんとかなりますよ」と机のMSXを指す
奈良「はい」
榊「でもね龍さん、ちょっと気になる事があるんですがね」
奈良「なんですか?」
榊「確か、アンチモンは毒物の中でも溶けにくい薬品のはずなんです」
えっ、という顔になる奈良
榊「コーヒーの液体からはアンチモンが発見されたんですが、そのカップの底には粉末は残っていなかった。コーヒーにアンチモンの粉末を入れた場合、いったいどのくらいの時間で完全に溶けるものなのか…。ま、いずれ結果はでますけがね」
奈良「はい」
Sean14 おたふく店内
和子「一郎!何言い出すの?どうして私たちがあんな男の遺体、引き取らなければならないの!」
一郎「親父だからさ」
和子「気は確かなの!あいつの為に、私たちがどんなに苦労したか忘れたの?」
一郎「忘れちゃいないよ」
和子「じゃ、バカな事言うのやめなさい」
一郎「だけど、もう骨になってるんだぜ」
和子「それがどうしたの?」
和子、ハッとし
和子「一郎!あんたまさか、お姉さんに内緒であの男に会ってたんじゃないでしょうね」
一郎「いや…」視線をそむける
和子「もう、あの男のことは忘れなさい」
店外で、立ち聞きしている奈良と礼子
店を出てくる一郎と鉢合わせ
逃げるようにバイクに乗り出かける一郎
目配せで確認し、店内に入る奈良と礼子

和子「仕方がないわね、私が疑われても…」
奈良「いや、それ以前の問題でしてね。まだ自殺とも他殺とも断定できないんですよ」
橘「当時の状況、詳しく話して貰えませんか?」とメモの準備をする
和子「ええ」


Sean15 船越商事の中(回想)
応接机に向かい合う船越義男と雪沢和子
船越「まあ聞いてくれ。俺はアチコチで転々としながら、何度死のうと思ったか」立ち上がり、社長机に行く
船越「いや嘘じゃない」机からアンチモンを取り出す
船越「これを見てくれ、その度に、お前たちの顔が浮かんできて」
和子の隣に座る
和子「勝手に私たちを捨てといて、あれから何年になると思うの」
和子「15年よ、お母さんが私たちのために、どんなに苦労して死んで行ったか…、あなた知ってるの」
和子「お母さん殺したのはあなたよ」
船越「お母さんには、本当に申し訳ない事をしたと思っている」頭を下げる
和子「自分の都合の良いときに現れて何が親よ、冗談じゃないわよ」
船越「和子、親として認めてくれないならそれでも良い。しかし、俺はお前たちの役に立ちたいんだ。生命保険だってお前の名義になっている。少し俺に援助させてくれないか」
和子「そんな話を聞くためにここに来たんじゃないんです。あなたはあなたで勝手に生きてくださればそれで結構。私たちの周りをうろつかないでもらいたいんです。それを言いに来たんです」
ショックに俯く船越
和子「(立ち上がり)今後一切、私たちに近付かないで下さい。あなたとは関係ありませんから」
船越「そうか…、お前たちは俺が死なないと認めてくれんのか」


Sean16 おたふく店内
橘「帰る時、外で誰かに会わなかった?」
和子「いいえ」
橘「そう」
和子「あの人は最後まで私たちに迷惑をかけて死んでいったわ」
奈良「確認なんですけどね、船越さんのとこからタクシーに乗ってきたと仰いましたけども、何処の会社のタクシーか覚えてらっしゃいませんか」
和子「田園交通です。あそこの会社の方が良くここに飲みに来てくださるので、いつも乗るようにしてるんです」
奈良「うん、ところであの一郎くんは船越さんの会社を知ってたんですか?」
和子「いいえ、知らないはずです。私、教えなかったから」
奈良、うなずく
和子「それが何か?」
奈良「いいえ」愛想で誤魔化す


( × × CM × × )


Sean17 車中の奈良と礼子
奈良が運転している
奈良「たまには女性を横に乗っけて走るってのも、ね、いいものですね」
礼子、愛想笑い
奈良「彼女のことどう思います?」
橘「んー、ま、いずれにしろ殺してしまいたいほど父親を怨んでたってことは確かね。そのためにさんざん苦労したわけだから」
奈良「ふん」
奈良、車内無線機を取りあげる


Sean18 97分署の滝村
滝村「(無線機をとり)はい、滝村」


Sean19 車中の奈良と礼子
奈良「(無線機にむかい)奈良です。雪沢和子の裏取りお願いします。彼女は田園交通のタクシーに乗ったって言ってます」


Sean20 97分署の滝村
滝村「(無線にむかい)ようしわかった。あ、それからな、お二階さんが何かお呼びだ」
Sean21 検視官室
MSXを操るあけみ
清水「これは、死んだ船越さんの胃袋の内壁です」
CGの胃の画像が映し出される
清水「つまり粘膜組織のサンプルを映像化したものです」
画面を見入る榊、奈良、橘
清水「解剖は今朝の10時です」
清水「これが、アンチモンによって粘膜が焼け爛れた状態です」
奈良「うん、なるほど」
清水「これから時間を遡ってみようと思います。船越さんが生きていた時まで」
橘「どうやって生きている時間がわかるんですか?」
清水「それは胃袋に飲み込んだアンチモンによる粘膜の腐食度で解明出来るんです」
榊「それではやってみましょう」
清水「はい」榊と交代する
榊、MSXを打つ
CGの時計が遡る
榊「夕べの死亡推定時刻の終わり、8時半の状態です」
うなずく奈良
CGが20時7分をさす
榊「粘膜の腐食度から言えば船越が死んだ時間はこの時間、8時7分です」
お互い目線を交わす奈良と橘
続いてMSXを操作する
真っ赤だった胃のCGがだんだん小さくなっていく
榊「この赤い点が飲み込まれたアンチモンです」
CGの赤い点が消える
榊「ですから船越は8時2分にアンチモン入りのコーヒーを飲んだという事になります」
奈良「そしたら死亡推定時刻の初めの7時半には船越は生きてた、という事ですね」
榊「ええ、そうなりますね」


Sean22 97分署・捜査会議
黒板に時間軸を書き込み説明している奈良
ブルだけいない
奈良「えー雪沢和子はですね、7時半に船越商事に行って5分後に帰ったと証言してますね。その時間を7時35分とします」
奈良「一方、船越は8時2分にアンチモンを飲んで、ええ、5分後ね、8時7分に死亡したと推定されます」
奈良「えーこの間ですね、27分間の空白があると。こういう事になりますね」
滝村「その27分の間に娘から親子の復縁を拒否された船越は、絶望のあまり毒物をあおった…、あるいは」
田島「課長!船越から金を借りたことのある鉄工所の社長、修理工場の経営者、喫茶店のオーナーは、彼には全く好意は持ってませんが、27分、その時間には各々アリバイがあります」
九十九「うん、誰もあの金融会社には行ってませんね」
田島「それにあのテーブルにあった指紋は雪沢和子のものだけですよ」
仁科「社員の中野さんは6時に帰ってるし…」
九十九「うん、それはあそこの管理人が証言してるよ」
滝村「どうもこれは自殺の線が濃厚らしいな(礼子を見て)ね、橘さん」
橘「うーん、もし自殺だとすれば走り書きの一言ぐらいあるはずでしょう。27分間も時間があったんですよ、あれだけ親子の復縁を願ってた人間が何一つ残さずに死ぬなんてことは考えられませんね」
滝村「ということはつまり…、彼女の計画的な犯行で俺たちに嘘をついてる」
滝村「それとも星が他に…、いる?」
奈良「今ブルが彼女の裏を取ってますから、たぶんそれでわかるでしょう」


Sean23 多摩川市田園プラザ税務署に乗り付ける車
車から降りる橘と田島
橘「田島くん!税金は人間のアキレス腱よ、税務署は記録の宝庫」
田島「はあ?」

Sean24 検視官室
図面を見入る榊
奈良が入ってくる
奈良「榊さん、コーヒーの結果出ました?」
榊「はあはあ、12時間経過したんですがね、アンチモンはまだ溶けてませんな」
と、コーヒー入りの試験管を取り上げる
榊「まだ残ってますわ」試験管を覗き込む
奈良「あらら、しかし現状に残されたコーヒーカップの底にはアンチモンの粉末は残っていなかった」
榊「それなんですがね、船越はあらかじめ、水かお湯で溶かされたアンチモンをコーヒーに入れて飲まされたんでしょうな」
奈良、現状を思い出す
コーヒーカップの隣の赤い薬包紙
奈良「だとすると、あの薬の包紙は自殺に見せかけるための偽装…。やはりこれは他殺ですね」
榊「そういうことになりますね」
奈良、図面に目がとまり
奈良「これなんですか?」
榊「あっ、現場から採取した壁とか床の付着物なんです」
奈良「はー」
榊「なんか出るんじゃないかと…」


Sean25 検視官室外・廊下
奈良が検視官室から出てくる。そこにブルが上がってくる
松本「奈良さん」
奈良「おう」
松本「やっと田園交通で雪沢和子の裏が取れました。運転手の話によると、やはり彼女は7時35,6分頃、船越商事の近くでタクシーに乗っています。そして彼女が店に戻って来たのは8時ごろだそうです」
奈良「船越がアンチモンを飲んだのは8時2分だから、これで雪沢和子は完全にシロでしょうね」
松本「だから最初からシロだって言ったんですよ。俺の勘に狂いはなかった、ハハハハ…」
奈良、別の事がきになる
おたふくでの和子の反応を思い出す


Sean26 おたふく(回想)
奈良「一郎くんは船越さんの会社を知ってたんですか?」
和子「いいえ知らないはずです。私、教えなかったから」
とりあえず24分は消化しました
半分は超えたよ〜

アップして反響が一人しかないッス
悲しいッス、へこたれそうです
>>[7]

久しぶりに開いてみたら「死亡時刻・・・」
長年なんで再放送されないのか疑問に思っていました。
本放送の時は観たはずなのですが記憶に残っていません。
当時の新聞の「テレビ欄」にあらすじでも載っているかと探したりもしましたが
見つけられませんでした。

その内容を起こしてくれるなんて・・・

お蔵入りした理由が分からず長い間の疑問でした。

ありがとうございます。
どうか無理をなさらずお時間のある時にユックリと書いてください。
Sean27 検視官室外・廊下
松本、奈良の挙動が目に入り気になる
松本「奈良さん…、何か?」
奈良「うん」


Sean28 プラザスカイビル管理人室
管理人に話を聞く奈良と松本
管理人「てっきりアルバイトの子だと思ってました。それなら時々来てましたよ、小さなバイクに乗って」
奈良「来てた」
管理人「ええ、あれ息子さんだったんですか?」
松本「あの事件当夜はどうでした?」
管理人「そういえば…、外でバイクの音が」
奈良「何時ころですか?それは」
管理人「ええ、毎週見てる時代劇は始まって、最初のコマーシャルが終わった時ですから、8時15,6分過ぎでした」
松本、奈良、顔を見合わせる


Sean29 田園プラザにし高等学校・校門前
奈良、松本、下校時出てくる生徒をチェックしてる
出てきた雪沢一郎を捕まえる
奈良「一郎くんだね、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
ブルを突き飛ばし逃げる一郎、カバンを捨てて走る
松本「あ痛!こら、こら、こら!」
奈良、ブルの肩をたたき、追跡を指示する
松本「あ、はい」カバンを拾って走って行く
奈良、車に乗り込む。車で追跡

交差点を曲がり、階段を昇って逃げる
ブルは追いかけるが、奈良は車のため追跡出来ない
車を回転させ、先回りを試みる

追いかけるブル
松本「こらーー」

走る奈良の車

一郎の前を塞ぐ奈良の車
追い詰めるブル
松本「(一郎の肩をたたき)ほら、忘れ物」
カバンを一郎に返す
松本「あんた早いわ」と、吐きそうになる
奈良、一郎の肩をおさえ
奈良「さあ行こうか」


( × × CM × × )


Sean30 97分署・取調べ室
一郎「僕です。僕がやったんです」
一郎を取り調べる奈良。側に立つブル
奈良「君が?」
一郎「親父が許せなかったんです…。これ以上、僕らの生活を邪魔されたくなかったんです」
一郎「親父が姉さんを呼び出したのは僕知っていました。親父はあまりに勝手すぎます。だから…殺してやったんです」
松本「君の指紋、あの部屋から検出されてなかったんだよね」
一郎「オートバイの手袋してました」
暫し沈黙
奈良「どうやってお父さんを殺したの?」
一郎「コーヒーにあの毒物を入れて飲ましたんです」
奈良「粉を入れて…、かき混ぜてかい」
一郎「はい…、そうです」
ためいきをつくブル。微笑む奈良
取調べ室の電話が鳴る
ブル、受話器を取る
松本「はい…、あっハイ。奈良さん」
奈良「ん?」
松本「検視官」受話器を渡す
奈良「(立ち上がり、受話器をとり)はい替わりました。ええ…、あそうですか、あそれは是非拝見しないと。いやこっちはね、コーヒーに粉末を入れたって言い張ってるんですよ、ええ」


Sean31 検視官室
MSXの前で先ほど紙を広げて榊と奈良が向かい合っている
榊「このスプレーシートをコンピューターにインプットしてみました」
MSXに入力する榊
CRTに部屋の様子、そこに点が散らばる
榊「アミノ酸、醤油ですね」
榊「(また別の点が散らばる)ドレッシング」
榊「(また別の点が散らばる)マヨネーズ」
榊「(また別の点が散らばる)これが牛乳です」
最後に大きな赤い点が出る
奈良「なんですか、これ?」
榊「アンチモンです。水で溶かされたアンチモンの痕」
考え込む奈良
榊「一郎くん、誰かを庇ってるんですね」


Sean32 97分署・取調べ室
一郎と対峙するブル、お互い言葉に困ってる
奈良が入ってくる
奈良「一郎くん、君はあそこで誰かを見たんだよね」
顔をそむける一郎
奈良「そうだろ」
黙る一郎
奈良「そうだね!誰を見たんだ」
一郎「姉さんです」
奈良「見たとおり話してくれるね」


Sean33 プラザスカイビル前・夜景(回想)
原付で乗りつける一郎
非常口が見える場所に停める
非常口から女性が出てくる
とっさに身を潜める一郎
女性はすぐ走り去る


Sean34 97分署・取調べ室外の廊下
ブルと奈良が出てくる
松本「奈良さん、雪沢和子にはちゃんとしたアリバイがあります。なのに8時15分頃、一郎くんが姉さんを見たってのは…」
奈良「つまりあのマンションにね、雪沢和子と全く同じ格好をした女がいたということやね」
Sean35 97分署内・滝村の机のまわり
滝村「(うなずいてから)消去法で一人だけ残ったってわけか」
滝村を囲む奈良、九十九、ブル、順子
奈良「ええ、雪沢和子が父親に会いに来ることを知ってたのは、社員の中野文江だけなんです。まあ彼女なら自殺に見せかけて自殺に見せかけて船越を殺すことは可能ですよね」
九十九「しかし、彼女は管理人に声をかけて6時にマンションを出てるんですよね」
松本「もう一度、管理人に確認してみましょうよ」
九十九「うん」
仁科「でも相当計画的な犯行みたいだけど…、彼女の動機は?」
奈良「いやだからさ…、わからないのよ」
橘「(off)課長!」橘と田島が帰ってくる
滝村「ふん」
橘「最初に動機ありきです」
滝村「ふん」
橘「船越は中小企業共済組合の従業員保険に入ってました」
滝村「従業員保険?」
田島「はい、社長の船越が死亡すると社員の中野文江に保険が支払われ、中野が死亡すると船越に支払われるという2,000万円の総合保険です」
橘「これで彼女の動機は完璧ですね」


Sean36 プラザスカイビル内・廊下
ブルと管理人が歩いてくる
管理人「この間まで船越さん、こちらの部屋も使っておられましてね」
松本「はあ」
鍵をあける管理人
管理人「今、空いとりますけね」


Sean37 プラザスカイビル内・別室
入ってくるブルと管理人
大量のパイプ椅子が置いてある
松本「なるほどね。じゃあ部屋の鍵はもう返されたんですね」
管理人「ええ。それが二つお渡ししたんですがね、一つは失くされたとかで」
松本「(振り返り)へぇ」
九十九「(off)おーい、松本くん」


Sean38 船越商事の中
九十九が社長の机を漁っている
松本が入ってくる
松本「はいっ」
九十九「おお、見落としがねえかなと面ってな、机の中引っ掻き回してたらな、こんなもんが出てきちゃったよ」紙片を一枚持って松本のところへ
松本「書留ですか」書留郵便物受領証(船越芳雄名義)
九十九「ふん、ちょっとあたってみっか」
うなずくブル


Sean39 おたふく
奈良、和子、一郎の3人
奈良「一郎くんは8時15分をちょっと過ぎてから、あの部屋に入ったんだね」
うなずく一郎


Sean40 船越商事の中(回想)
ソファーで死んでいる船越、揺り起こす一郎
一郎「お父さん、おと…」死んでいる事に気がつく
呆然とする


Sean41 おたふく
奈良「お父さんが死んでいるのを見た時、階段を降りてったのがお姉さんだと信じ込んでしまったんだよ」
奈良「だけどね、その時間にお姉さんはここへ帰ってたんだよ」
ハッとして顔を上げる一郎
奈良「あれはお姉さんじゃないんだ。別人だ」
和子「変だと思ったのよ、遺体を引き取るだなんて言い出して。私に内緒であの男に会ってたのね」
気まずくまた下をむく一郎
和子「私への当てつけに死んだのかと思ってたわ。殺されたなんて」
一郎「姉さん悪いんだ!親父を許していれば殺されずに済んだんだ」
駆け出してゆく一郎
考え込む和子


( × × CM × × )


Sean42 路上
お店から紙袋を持って出てくる中野文江
橘、田島が待ち伏せる
中野「あら?」
田島「中野さん、ちょっと署でお話を伺いたいんですが」
中野「何のですの?」
橘「もちろん、殺人についてです」
田島「参考人ということでお願いします。そのままで構いませんから」
橘「さあ参りましょう」
田島「どうぞ」
中野を連行する二人


Sean43 中野文江の自宅
管理人「どうぞ」
管理人に鍵を開けてもらい中に入る奈良と順子
奈良「あっ、どうもすみません」
奈良「順子ちゃん」
仁科「はい」
奈良「台所の中調べて」
仁科「はい」ダイニングテーブルの上から調べ始める
奈良は下駄箱を開け、靴を引っ張り出す
靴の裏を見て、何か閃く


Sean44 97分署・取調べ室
中野「どうして私が社長を殺さなければいけないんですか?」
取り調べ机に対峙する礼子とブル。側に立つオサム
橘「中野さん、あなたの生活はとても派手ですね。クレジットの支払いだけでも大変な金額だわ。
中野「そんなこと…、あなた方に関係ありません」
橘「あなたはお金が必要だった。船越さんが加入していた2,000万の共済保険」
中野「私は看護婦代わりに雇われただけなんです。そういう経理のことは存じません」
田島「保険に加入していた貯金通帳、どこへ隠した」
中野「知りませんよ、そんなもの」
橘「あなたが保険のこと知らないはずないわよ」
ため息をつく中野
松本「あの日あんたは6時に管理人に声をかけ、帰ると見せかけてマンションを出た」
Sean45 プラザスカイビル前・夜景(ブルの想像)
ビルから出てくる中野
ビルの角を曲がり非常口側の路地へ
非常口の鍵を開け、中へ入る
船越商事の隣の部屋(以前借りていた部屋)の鍵を開け入る
松本「(off)失くしたといった鍵で隣の部屋に入り、雪沢和子さんが来るのを待った」
松本「(off)7時35分に彼女が帰った。あなたは計画を実行した」


Sean46 船越商事の中(ブルの想像)
応接セットのソファーにうなだれて座っている船越
キッチンからコーヒーを持ってくる中野
中野「コーヒー入れ替えましたから、温かいのをどうぞ」
船越「ああ、ありがとう」
それを飲む船越
急に震えだし、のどを押さえる
訴えかけるように手を伸ばし、息絶える船越
脅えながら後ずさる中野

社長の机から赤い空の薬包紙をピンセットでつまみ出す
松本「それから偽装工作をした」
赤い空の薬包紙を応接テーブルに置き、中の入った薬包紙を替わりに取る
松本「船越さんがテーブルに出しておいた薬は、あなたが大分前にすり替えておいた、ただの白い粉だったんだ」


Sean47 97分署・取調べ室
松本「そしてあんたは8時15分過ぎに、また同じ非常口から外へ出た」
中野「(怒りながら)作文もいい加減にして下さい、バカバカしい」
田島「あんたを見ていた者がいるんだよ。目撃者がいるの」
田島と橘で中野を取り囲み、圧力をかける
橘「中野さん、あなた、あの晩、雪沢和子さんとそっくり同じ格好をしていたそうですね。彼女はいつも黒い服を着てお店に出ることで有名な人。それは船越さんから聞いて…」


Sean48 船越商事の隣の空き部屋(橘の想像)
黒い服に着替える中野
橘「(off)誰かに見られるかもしれないということを十分計算した上で、隣の部屋で黒いコートを羽織り、彼女に成りすまして逃げ去った」


Sean49 97分署・取調べ室
橘「そういうことですね」
中野「私が社長を殺したという証拠でもあるんですか?」


Sean50 中野文江の自宅
冷蔵庫わきの屑篭を漁っている順子
小さな液体入れを見つける
中にほんの微量、液体が残っている


Sean51 97分署・取調べ室
メンバーが松本、奈良、清水と中野に変更している
MSXが持ち込まれている
奈良「中野さん、あなたはアンチモンをすり替えて持ってましたね」
中野の隣に座る
奈良「そしてそれをすぐ使えるように、あらかじめ溶かしておいた」
中野「あたしは何もしておりません」
奈良「いえいえ冷蔵庫の前でね、アンチモンの溶液をこぼしたはずですよ」
中野、急に黙る
奈良「覚えてらっしゃるでしょう」
中野、目が泳ぐ
松本、奈良、清水と中野


Sean52 船越商事の中(奈良の想像)
キッチンの前でコーヒーにアンチモンの水溶液を垂らしている中野
少しこぼしてしまう


Sean53 97分署・取調べ室
奈良「中野さん、それじゃあね、これを見てください。あゆみちゃん」
清水「はい」中野の隣に座りMSXの電源を入れる
Sean31のCG画像を表示する
奈良「これがその床にこぼれたアンチモンの痕です」
中野、愕然として言葉もない
それを見定めて、後ろから黒い袋をとってくる
奈良「この靴はあなたがその時、履いてたものです」袋から靴を出す
奈良「この靴の裏もインプットしてもらいました。あゆみちゃん」
清水「はい」MSXを操作する
靴底が赤くなる
奈良「やはりアンチモンが付着してました」
中野、目を見開く
奈良「船越さんを殺したのは、あなたですね」
中野、泣き崩れる


Sean54 97分署・検視官室
榊「ご苦労さん」清水が榊に書類の束を渡し、立ち去る
榊と奈良の二人
奈良「やはり犯人は中野文江でしたねぇ。父と娘の関係を知った文江が殺人を計画したって訳ですね」
榊「それにしてもね、龍さん。あの兄弟の仲たがい…、なんとかなりませんかね」
奈良「ええ、それなんですけどね」
戸が開き、九十九が入ってくる
九十九「あ、どうも」
奈良「お!」
九十九「奈良さん、あの船越の部屋から書留の証書が出てきまして。え、辿ってみたら、この、変なものが出てきたんですよ」
九十九「変なものって、これなんですがね」封筒から書類を出し渡す
奈良「何これ?」
九十九「これは童話です」
奈良「童話?」
九十九「はぁ、船越は去年童話大賞に応募してた。それがこれなんですよ」
奈良「(書類の表題を読む)天国への地図」
九十九「は、ま読んでみればすぐわかるんですけど、これは船越が子供たちに宛てた、一種の親父の詫び状だと思うんですがね」
奈良、ある程度、読み進める
奈良「ふん…、ん、榊さん」
榊も読んでみる
榊「いいものを見つけましたね…、龍さん、これで何とかなりそうですな」
Sean55 おたふく
奈良と和子、一郎
奈良、童話の原稿を出す
奈良「この童話はね、大分いいところまで行ったんだけども…。結局残念ながら佳作にもならなかったそうだ」
奈良「おそらく船越さんとしては、もしこれが入選でもしたら、君たちのところへ送って、それを機会に父親として認めてもらおうと思ってたんじゃないのかな」
奈良「ちょっと読んでみようか。『天国への地図』ていうんだけどね」
奈良「和子と一郎が、時々天国に遊びに来れるように、
パパは地図を残しておくことにしました。
これはなかなかどうして大変なものなのです。
何故って、そりゃそう
生きている人間が、まだ一度も来たことのない
天国への道標だからです
パパに会いたくなったら、お婆さんが座ってる煙草屋さんの角を曲がって
そこから数えて三つ目の角を左に曲がる
また、そこから数えて七つ目の、
今度は右の角の階段を上ると、綺麗な虹が出ているはずです
その虹を渡って、必ず一つ目の入道雲に乗ってください
(初めて船越芳雄がおたふくに来たときの映像がインサート)
以前、パパは二つ目の雷雲に乗ってしまい
君たちのところへ帰れなくなったことがありました
どうしてあんな雷雲にのってしまったのか
いくら考えても、今でもわからないのです
(和子に水をかけられる船越)
本当に和子と一郎には申し訳がないことをしと思っています
(会社で詰め将棋をする船越)
突然いなくなったパパを君たちはどんなに怨んだことでしょう
(船越に小遣いを貰う一郎)
許してください(和子を前に赤い薬包紙を出す船越)
天国にいるパパはもう大丈夫です。
どうしてって、オリオン座の左肩のぺラトリックスのところで
(死んでいる船越の体をゆする一郎)
ママと一緒に住んでいるからです
一郎はママの事を覚えていないだろうけど
ママは和子のように、ちょっと気が強く、
そのクセとても優しく綺麗だった
しっかりした女性だからです」

奈良「船越さんをお母さんのお墓に入れてあげたら。一人にしといちゃ可哀相だよ」
和子「(涙目で)ええ」
一郎はもう泣いている


Sean56 97分署・検視官室
奈良「いくら怨んでいたとはいえ、そこはやはり親子ですからね」
奈良「これで兄弟の仲もうまくいくでしょう」
榊「うん」
榊、橘、奈良、松本
松本「いやぁ、これで父親殺しだなんてことになってたら目も当てられませんからね。ま、もっとも僕は最初に彼女に会った時から、バッチリ直感てものがありましたけども、ハハハハ」
奈良「またまたまたまた、いつもの一目惚れだろうが」
橘「え、なんだ直感てそういうのなの!私はてっきり刑事としての職業的な勘だと思ってたわ」
奈良「いやいや、とんでもない、ハハハハ」
奈良「この人の持病はね、榊さんが作ったどんな薬でも絶対効き目がないっていうね、そういう病気だもんね」
松本「はぁ」
榊「ブルさん、ふてないふてない」とブルの腿をたたく
榊、奈良、橘、思いっきり笑う
松本、恨めしそうな顔をする

清水が入ってきて、皆に会釈する
清水「検視官、今夜、和子さんのおでん屋へ行こうって」松本を指す
清水「こちらの松本さんから提案があったんです」
奈良「ますます重病だね、これ」
礼子、笑いながら頭をかかえる
松本「ええ、ええ」
榊「おでんね、熱燗でいいね、みんなで行きましょうよ」
清水「(飛び上がって)うわーー、行こう、行こう、行こう」
松本「行こう、行こう」
榊「どうです、礼子さんも一緒に」
橘「そうですね、たまには両手に花と行きますか」
榊、奈良を見る
奈良、目線をそむける
榊「龍さんタイプでしょ、おまかせ」
奈良「いえいえ」


(END)
キャスト

千野弘美

吉野由樹子

小林勝彦

石渡康浩
中島 元

熊谷雄二
新野秀樹
渡辺 貢

喬樹美沙
寺戸千恵美
中島由美子

鳥井千恵
小田切和美
国際プロ

日本児童
東俳
東京宝映

プロデューサー
稲垣健司(テレビ朝日)
菅原郷史
森川一雄(国際放映)

オープニングテーマ「ハート燃えて愛になれ」
エンディングテーマ「涙色のイアリング」
演奏 ザ・ワイルド・ワンズ(ファンハウス)

撮影 増島勝彦
照明 椎野 茂
録音 塩原政勝

美術 小林正義
編集 原 桂一
助監督 崎田憲一

整音 黒丸治夫
選音 長沼 寛
記録 内野敬子
効果 小島良雄

制作主任 福塚孝哉
擬斗 高倉英二
音楽コーディネーター 田村進一朗

美建興業
高津装飾美術
カクタ・X-ONE
明星電気(株)
アロカ(株)

京都衣装
司産業(株)
D.BLOOM
(株)サン・レオナール
川口美粧
Imagica

協力
日産自動車
ヤマハ発動機

制作
テレビ朝日
国際放映

(エンドタイトルより)
ほんとは月曜に全部拾い終わってたんですが
その後、飲みに行っちゃって…
で、その翌日からウチのパソコンがトラブって…
しゃあないから、会社のパソコンからアップです


日頃の行いが表されております、ホントに
で、とりあえず完結です

お蔵の原因ですが
当時、私は一郎が窪塚だと勘違いしてたので
(フラッシュマンだったのね)
それが原因だと思ってました。違うのね

当時は国際放映に限らず、コンピューターというものが何か
を理解してるスタッフなど皆無で

  実際、当時、某・大泉の撮影所で、いろいろ説明したのですが…
  全く聞く気のない奴と、このドラマのようなありえない勘違いをして
  俺は詳しいから!といきがる人の2種類しかいませんでした
  …一応、情報工学科の学生だったもので

当時の映画人の理解力なんてこんなもんでしょう


あと、アンチモンの扱いのデタラメさ加減は
該当団体があれば、即刻抹殺ものでしょうけど

これぐらいでダメだったら、
太陽にほえろ!で再放送出来るエピソードなんてなくなっちゃうでしょう
というわけで
お蔵入りの理由がわかりません
最後の一手
マスターをカビさせちゃった、という奥の手の可能性もあったりして
はじめまして。楽しく懐かしく読ませていただきました。
この回はフィルムがない・・・という噂を聞きましたが。
もし需要があったら他の話数も拾おっかな〜
自分で書いときながら言うのも何ですが
シナリオ読むの大好きなんです
お疲れ様です。大変ですよね。自分も何年か前にこのコミュでシナリオ形式でアップしたことがあったので楽しく読ませていただきましたわーい(嬉しい顔)

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