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野田正彰コミュのハンセン病問題が教えるもの

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3月24日(金)
今日の視角 
ハンセン病問題が教えるもの

日本のハンセン病隔離政策についての反省は、いつも差別偏見をなくすという成句と結びついている。だが政策への反省が、なぜ市民の差別偏見に置き換えられるのか。

政策は政府、自治体、権力者が行ったものであり、市民が行ったのではない。たしかに市民の差別偏見が政策を支えてきた面もあるが、それ以上に政府の政策によって差別偏見が植えつけられてきたことを隠してはいけない。

政策であったことから問題をそらさなければ、隔離政策の日常の意識とは市民の差別偏見でなく、家父長的な温情主義(パターナリズム)であるのは明白である。

瀬戸内の島にある国立療養所「長島愛生園」を歩くと、至るところに石碑がある。1930年に隔離の島をつくった光田健輔園長の胸像は、人びとが行き交う愛生園の中心に建っている。

第2代から第6代の前園長まで、巨大な顕彰碑が要所要所に建っている。たたみ1畳を超える厚い石に、名前と経歴が彫り込まれている。

そして大正天皇妃の貞明皇后の歌碑「つれづれの友となりても慰めよゆくこと難きわれにかはりて」が建つ。職員や園を訪ねる臣民は、われにかわって隔離された人びとをなぐさめなさい、と命じている。

この歌は「恵(めぐみ)の鐘」という鐘の表にも彫られている。恩賜会館といった名称の建物、皇室の方々のお手植えの木もある。「恵の鐘」の銘板は浄土真宗西本願寺大谷尊由猊下(げいか)の染筆であり、鐘は仏教婦人会の贈り物である。納骨堂の塔の碑は東本願寺大谷光暢法主の染筆である。

メモしていけば限りがない。1歩1歩、隔離した病者を愛する皇室、医師、宗教教団の門主らの温情、恵み、保護がふりそそいでくる。入所者は感謝あるのみ、権利を主張した「長島事件」の碑はもちろんない。

老いた病者、元病者はなお国立療養所に住み、パターナリズムの装置のなかで暮らしている。パターナリズムに気付かないで生きている市民も、保護と強いられた感謝のなかで自立できないままではないのか。

ハンセン病問題はそれを教えている。

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