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コメント(1)

なんでも、北大と東北大の対校戦は、50周年を迎えるらしいです。(迎えたらしい?)。それを記念して、北大の後援会組織「茨水会(しすいかい)」の会報に、「対校戦への想い」との特集を組み、寄稿文を載せるらしいです。以下、その寄稿文。From杉藤氏。(何でも、この企画は、北大&東北大の共同企画らしく、南を図る「図南会報」にも同時掲載するらしい。)

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北大よ、東北大よ、孤高を保て

〜現役選手へのメッセージ〜

プロフェッショナルコーチ
杉藤 洋志
北大昭和63年入学、90年・91年対校エイト整調

 私にとって東北大学のクルー、そして漕艇部の組織は、いまでも大いなる壁であり、そして多くの示唆を与えてくれる模範であり、また自らの人生に影響を与える存在(友や仲間、ときに先生であったりする)を生み出し続ける存在です。定期戦においては、私は、不名誉な連敗記録を更新したクルーの一員でした。しかし、自分個人は負けてない!と強がること、組織で負けても、自分だけは絶対に負けるもんか、と素直に負けを認められない幼稚 画さを今でも持っています。こんな思いがあればこそ、現在のように無鉄砲な暮らしができるのかもしれません。組織力を誇る東北大に対して、北大は突き抜けた個性を生み出すことに長けていると個人的に感じています。そのせめぎあいが高いレベルでの争いを生み出し続けることを期待しています。年齢を重ね、個々の能力だけでは勝負はできないこと、自分の至らなさを無責任に組織のせいにする浅はかさに気付き、個性あふれる集団からなる組織を強くするために個々が責任を持つことがいかに大事か、それを教えてくれたのも、やはりこの定期戦であったように思います。
 私が漕艇競技と出会ったのは愛知県の高校でした。浪人の末入学した北海道大学の漕艇部、そのつぎに出会った組織が東北大漕艇部でした。運良く代表に選出され、「日本代表ボートチーム」という組織、そして選手として、またコーチとして、日本各地また世界各国のいろいろな形態のクラブやチーム、そしてそれに携わる人々に出会ってきました。それを思うにつけ、私はいまのところ、まことに恵まれた、運のよいオアズマン生活を送っていると感じます。
 多くのボート漕ぎの現場で感じたことは、「神は細部に宿る」ということです。クルーが速いかどうか、は、コーチとして恥ずかしいことながら、そのクルーを一見しただけでは評価を間違えることもあります。見苦しいですが、自らの名誉のために言えば、内外のトップコーチたちもよく同じ間違いを犯します。「下馬評・土手評」のたぐいがいかにいい加減なものかおわかりいただければ、と思います。人間の脳は比較でしかものごとを認識できないのだそうです。ですから、目で見た情報ごときで艇速や技術のよしあしの究極の絶対評価を下すのは不可能なのでしょう。ましてや、魔法のようにボートを速くする華やかな「新テクニック」が存在すると考えることは間違いです。しかし、陸上での選手やコーチのしぐさや、艇庫の様子から、そのチームの現状がよく見えることがあります。もちろんそんなことから、「このエイトは5分50秒」などという評価は下せません。しかし、ほぼ間違えることのない、チームの状況が見えるのです。
 ボートを速くしたい、という目的のもとに集結した人間たちの組織です。その目的は、フェアプレイ精神にもとづいて達せられなければならない以上、自分たちを見つめ、追い込んでいく作業です。謙虚に、しかし自分たちにはやれるという自信を持って、改善すべきは改善し、必要なものは痛みを乗り越えて手に入れ、不要なものは大胆に切り捨てる。その努力をできる人間の集団であるかどうかは、たとえばボートを一見するとわかることが多いのです。磨耗した部品がそのままになっていたり、汚れが拭き取りにくいところにゴミが溜まっていたり、自分の大学の後輩たちがそんなことをしていると、ついつい怒ってしまう自分は、そのクルーに負けず劣らずまだまだ未熟ですね。そういえば、掃除すれば速くなるんですか?と聞かれたことがあります。もちろんそんなことはありません。しかしながら、これほどまでに単純な競技において、自分の身の回りを律することの大切さがわからない選手が、強くなる可能性はゼロに近いですね。
 自分たちを見つめる目を持って、そして自分の居るその場所を掘り下げてください。ハンディを口にしないで!それは他者への羨望ですらなく、自分のために用意した逃げ道でしかありません。北大・東北大ともに、強力な個人そして強力なクルーを過去にもそして現在も生み出し続けてきました。惑うことなく、卑屈にならずに。寒冷地であることも、競技経験者がなかなか入って来ないことも、嘆く必要はありません。それはハンディではなく特性です。長所と短所は多くの場合表裏一体です。それを克服する方法を考えればいいのです。その思考力があなたがた独自のパワーを授けてくれます。国内に立ちはだかる敵だけに惑わされないで。世界にはたくさんの先進的な取り組みをしている人たちが居ます。強いナショナルチームを生み出している国にはふたつの共通点があります。国内の力を結集していること、地域性や国民性にみあうスタイルを確立していること。前者を「組織力」、そして後者を「孤高」と私なりにキーワードとしています。相反するようですが、ふたつの概念はとても密接に関連しています。当たり前のことを、当たり前にやることは、とても勇気と闘志を必要とするのです。
 大学生選手諸君の今後のさらなる健闘を期待します。

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