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アジアン・ミーティング大阪2009コミュのさて韓国インディペンデント映画史です。 チョンさんの原稿

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【韓国独立映画の過去、現在 そして未来】
  韓国で“独立映画=インディペンデント映画”は時代とともにその意味と定義が変わってきたが、初めて“独立映画”が注目を浴びたのは1984年であった。「韓国映画は忠武路/チュンムロ(注1)にだけではなく、私たちが生きている現実の中にある!」「資本家の大金だけではなく、小銭を集めても作られるものだ!」「軍部独裁政権側に日和った映画だけではなく、軍部独裁政権に踏み躙られた人間たちの側からでも映画が作られるべきだ!」と言うモットーで「小さい映画 (チャーグン・ニョンファ)」を守るべきだ、と言う考えから韓国最初のインディペンデント映画祭が始ったのが1984年の春であった。

 このように、1980年代の韓国の独立映画は運動の延長線上で誕生した。そしてこの時期の独立映画は運動のための映画であったから個人の作業よりは集団製作の映画が多かったのも一つの特徴でもある。大学で学生運動をやっていた人たちを中心に作られたソウル映像集団、チャンサンゴンメなどによって作られた、1987年の6月の民主化闘争を扱っていた『その日が来ると(1987)』、『インジェのために(1987)』、80年の「光州事件」をアメリカとの連関性の中で考えている『五月 夢の国(1989)』、労働者たちの要求を現実的に描いた『ストライキ前夜(1990)』などが1980年代の代表的な独立“運動”映画である(注2)。この時期の独立映画は映画自体よりは時代を反映する媒体、抑圧的な社会に対抗する媒体として使われたと言える。そして、これらの映画は作品としては高い評価を得る事はなかったが、資本家によって同じ映画ばかりが作られていた1980年の韓国の映画界で、資本家に従属することなく自由に自分が言いたいテーマを映画で表現する事が出来る下地を作ったと言う点では大きな意味をもつと言える。

1984年には韓国インディペンデント映画だけではなく韓国映画界全体に影響を及ぼすもう一つの出来事があった。韓国映画アカデミーの誕生である。現在は2年制に成ったが当時は1年制であった映画アカデミーは、一種の映画専門学校であった。このアカデミーを通して『八月のクリスマス(1998)』のホ・ジノとか『殺人の追憶(2003)』のボン・ジュノのように、後で忠武路とは違う自分のスタイルを持つ監督が育ったとも言える

  独立映画祭が開かれた1984年から10年後の1994年、韓国にはもう一つの映画祭がインディペンデント映画の歴史に新しい流れを作るようになる。1994年サムスン社(注3)が主体になった「ソウル短編映画祭」が始まり、今まで劇場で上映されることのなかった短編映画が一般上映される事が出来るようになったのである。
 これは今まで劇場公開される映画たけではなく違う種類の映画も存在している事を一般大衆に知らせるきっかけになった。これはまた運動としての独立映画とは違う意味の新しい映画と出合う機会であったし、今まで徒弟制度で運営されてきた忠武路からではなく、海外留学経験のある新しい監督達が発見されるきっかけにもなった。

 そして「ソウル短編映画祭」によってインディペンデント映画でも一般観客に見せるチャンスが出来るようになると何人かの監督達は集まって、大企業が投資する短編映画祭ではなく独立映画人が主体になる新しいインディペンデント映画祭を始める。これが1995年の「インディフォルム」である。「インディフォルム」は映画の上映だけではなくインディペンデント映画の企画と批評も並行して進め、多様な方向からインディペンデント映画が育つようにしたと言う点で注目すべきことであった。「インディフォルム」を通して紹介された1990年代後半の映画監督たちは2000年代新しい韓国のインディペンデント映画ブームを作る重要な監督になっていたという点でも韓国映画史をについて語る時「インディフォルム」は無視できない。
 高校生の目で見つめた日常の倦怠と息苦しさを真空状態のような夏の日の空気で表現したパク・チャノク(注4)の『ゆるい夏(1998)』、経済不況時に起こった一家心中劇を通して時代の悲劇と暴力性を叙情的に描いたソン・イルゴン(注5)の『ピクニック(1999)』、貧しくて犬が飼えない子供の夢を通して世の中の非情さと生きることの辛さを成長と記憶という人間の日常の普遍的な情緒で表現したノ・ドンソク(注6)の『チョロンと私(2001)』は1980年代の運動的な独立映画とは違って日常生活を自分なりの映像原語で表現した1990年代の代表的な映画である。当時、批評家だけではなく観客からも大きい支持を受けたこの監督達は2000年以後長編映画でもう一度 韓国のインディペンデント映画が注目を浴びる切っ掛けを作るようになるという点でも重要である。
 これだけではなく1990年代後半からのインディペンデント映画は物語(ストーリー)だけではなく形式(スタイル)も重要視する傾向もあった。この傾向はインディペンデント映画界に劇映画だけではなく実験映画も作られる雰囲気を作り出した。分節的な人生を断続的なイメージで描き、原形的な映画的経験に衝撃を与えたキム・ユンテの『ダウジン(1996)』、重なった記憶の層の断面を表象する多層的なイメージの流れを通して情緒的な経験を促進しているイ・ヒョンジンの『ドリフト(2000)』などは形式的なを実験を試みた1990年代の代表作である。

1984年の独立映画際から20年に経た2004年にはまた韓国の独立映画史に新しいブームが始った。少しずつ作られてきたデジタル長編映画がいきなりブームになって話題になった。デジタル・ビデオカメラが短編とドキュメンタリー制作には活発に使われたが、最近デジタル映像は長編のインディペンデント映画人に新しい媒体として使われはじめている。
 そんな中、このようなデジタルがメインストリームの映画に取って代われるという関心は2004年ノ・ドンソクの『マイ・ジェネレーション』で即発された。同時代の若い人たちの生きている姿をデジタルで凝視するこの作品は全州映画祭などの各地の映画祭で上映され批評家と観客からも高く評価され、映画振興委員会などの配給支援によって劇場上映が出来るようになった。これはこれからのインディペンデント映画界にデジタルの新しい可能性を見せる良い機会となった。
 これをきっかけにして今後は多様なデジタル映画が作られるようになると思われる。実際に高校の先生であるアン・ スルギの監督した『ファイブ・イズ・トゥー・メニー(2005)』のような作品が劇場で上映されたり、フェイク・ドキュメンタリーである『モトキビデオ(2004)』等の多様なジャンルの映画も作られはじめている。
 それだけではなく最近はLJとかCJのような大きい映画会社によって企画される小さな独立映画も注目すべきである。イ・ユンギの『チャーミング・ガール(2004)』は監督の才能と会社の企画力とお金が誕生させた新しいタイプのインディペンデント映画である。
このような状況は、これまで作り手だけを優先していた韓国のインディペンデント映画が、観客を選択することによって、作品を多様化できるようになった事を示している。これからの韓国インディペンデント映画は、作り手と観客がお互い協調しながら育っていくことを望んでいる。

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(注1)昔から韓国で忠武路は商業映画をつくる大きい映画会社が集まっていた映画人の町であった。今は独立映画と違って商業映画を作る映画システム全体を称する言葉になっている。

(注2)『五月 夢の国』『ストライキ前夜』などチャンサンゴンメの作品はかつて日本でも上映された。

(注3)サムスン社:韓国最大の電気機器メーカー

(注4) パク・チャノク:1968年生まれの女性監督。2002年に監督した長篇の第一作『嫉妬は私の力/ Jealousy Is My Middle Name』は2003年の第16回 東京国際映画祭/スペシャル・メンションで上映された。

(注5) ソン・イルゴン:1971年生まれ。2001年の長篇デビュー作『フラワー・アイランド/Flower Island』は2001年釜山国際映画祭及び第2回 東京フィルメックスで最優秀作品賞を受賞し最新作2004年の『スパイダー・フォレスト 懺悔』は今年日本でも公開最新作『マジシャンズ』は今年の東京フィルメックスで上映されたばかり。

(注6) ノ・ドンソク:1973年生まれ。2004年『マイ・ジェネレーション』で注目されている。短編の第二作で韓国映画アカデミー2003年卒業制作作品『わんちゃん/Dogg』はPFFで上映された。

コメント(2)

『スパイダー・フォレスト 懺悔』は
見ます。たぶん。
『マジシャンズ』も気になりますね。
パンフのスチールだけで・・
『スパイダー・フォレスト 懺悔』は リンチ風なのよね。
それにカット割過ぎな気はするがフレームへの意識はなかなか才能を感じますよ。

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