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IRAコミュのあの頃、IRAと

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 それは涼しい風が心地よい、ある秋のことだった。

二学期になって久し振りに会ったクラスのみんなは、
再会を大げさに喜ぶかのようにはしゃいでいた。
夏休みは部活ばっかりやっていて毎日学校へ来ていた僕は、
普段と変わらない日常にみんなと同じような気持ちを持つことはできなかった。

「お前、焼けたな、ハワイでも行って来たの?」

友達というよりも悪友といった方がいいだろう、中島がそう話かけてきた。

「なワケね〜じゃん、部活焼けだよ」

「あらら、かわいそうに。あ、清水さんキレイになったじゃん、あれあれこの夏、恋しちゃったとか?」

中島はクラスの女子に話かけていた。
あいつはいつもそうだ、世渡り上手、悪く言えばただのお調子者。
小学生のころから変わらない。
それにしても清水、キレイなったかも。恋か・・・

別にそれがうらやましいと思ったわけではなく、
夏の間、僕を悩ませていた問題がそれだったからだ。

「あれ、さ、うん、その、忘れてね、アタシの気の迷いみたいなものだからさ」

清水が話かけてきた。噛み過ぎだろうが。

「オレは忘れられない、かも。今だってオマエのこと気になるし」
夏の間ずっと考えていた言葉がそれだった。ずっと友達だと思っていた、そんな気持ちを抱くことなんて無かったのに・・・。

「ほ、本当?」
「中島のこと清水どう思う?」
「え?」


「あいつさ、好きなんだぜお前のこと」




綴るリレー小説
『あの頃、IRAと』
続きはまかせます

設定とか
大幅に変更してかまいません
SFとかもおもしろそう

書き逃げ魚

コメント(56)

だははっうれしい顔朝っぱらからアツいね〜ウッシッシ
俺も北へ旅行したことをネタに下手な紀行文でも書こうと思ってますむふっ
只今準備中なのでしばしお待ちあれウインク

それにしても文章書くって案外難しいのねあせあせ(飛び散る汗)
あらヤスさん、お恥ずかしい兄弟喧嘩を晒してしまい、申し訳ありません。
北アイルランド行ってきたんですね羨ましいるんるん

紀行文楽しみ〜
思いを文章に起こすのって難しいですよね、分かります涙
トモさんはそういうの上手ですよ。僕はよく参考にしてますよ、ええ。
最近は、音楽と実況配信とHP作成にかかりきりで、文章を書く余裕がありません。創作するって点では、どれも似たようなもんで、こちとら身を削っての作業なので、幾ら暇人でも、同時にこなすのは非常に困難です。

「ロボットだけど一応完成したわ」

その外見、質感、たしかにヒトのようだった

「21世紀だぜ?クローンでも良かったじゃん」

ボクは少しだけ不満気に言う

「そのクローンが大人になったころ、アタシはおばあちゃんじゃない。そんなの、いやだったから…」

うつむいて前髪が頬にかかる、悲しみの表情はやがて一筋の光明に覆われる

「さて、これでアタシの未来も完璧ね」

そんな嘘は聞きたくなかった

「そんなにこいつのこと愛していたの?」

彼女の、唯一の拠り所にボクは常に疑問に思っていた

「昔ね、愛してた。今はちょっと違うかも」

彼女はしっかりと未来を見据えていた。ボクはタバコに火をつけ、深く煙を吸い込んだ

「こいつが羨ましいよ、それにキミを尊敬する」
「え?」
「色々あったんだろなと思って」
「そりゃ、ねぇ」

冷蔵庫、といっても保存されているほとんどはシャーレとビーカーだったが、奥に入れておいた深い緑色の瓶を取り出し、コルクを勢いよく抜いた

「シャンパンなんて隠して、また教授に怒られるわよ」
「いいさ、別に。それよりグラスを」
「これフラスコ、なんだけど」
「まあまあ」

鮮やかなゴールドの液体はうっすらと白い煙を吐き出しているように見えた。妖しい色を放つその液体をボク達は一気に飲み干した。
「なぁ、お願いだからその男を処刑しないでくれ。彼は悪くないんだ」

手に持った剣を一度鞘に閉まった

「革命とは何か。お前には分かるか?」

大きな丸太の策に手をかけ、こちらを凝視しているそいつに言った

「オレにはそんな難しいことは分からない。だけどさ処刑人、アンタが処刑しようとしているその男には愛する女がいる。たしかにその男は自分の父親を殺した」

処刑を見物している連中から、ただならぬ雰囲気を感じた

「愛する女がその男の父親に辱められるのを止めに入っただけなんだ。殺すつもりはなかった。後ろ手に投げたハンマーがたまたま父親のこめかみにぶつかった、事故だったんだ」

丸太の策が軋み、破壊された
一人が罪人を持ち上げ運んで逃げた

周りを先ほどまで見物していた連中に囲まれた
人数が多過ぎて、とても太刀打ちできそうにない
殺されるのだろうか

「みんな、処刑人は悪くない。彼は職務に忠実だった、それだけだ。彼を通してやってくれ」

囲んでいた人々が一斉に引いた

「こんな私に敬意を払って頂いて感謝する。ありがとう、助かった」

男はニヤリと笑って言った

「あんたにはまだ仕事が残っている。今はまだ死ぬ時じゃない」

私はその男を見据えて言った

「処刑する罪人がいるようだな」

男は背後に建つ城を眺めて言った

「ああそうだ。罪人は国王だ。その時は処刑人のあんたに俺達が依頼する」

私は手を差し出した

「引き受けよう。私もその依頼を待っていた」


最終電車が遅れている
駅のベンチに座って、夜空をぼんやりと眺めていた
何かがひらひらと落ちてきた
それは一枚の手紙だった
駅に隣接するビルから落ちてきたのだろうか
ビルの窓はどこも真っ暗だった

手紙を読んだ

to you

初めて会った時、いきなりのことで戸惑ってしまい
睨みつけてゴメンなさい
ホントは笑顔のアナタに見とれてしまいました

それから何度か挨拶をしてくれてありがとうございます
冷たい態度をとってしまい、やっぱりゴメンなさい

なかなか素直に気持ちを伝えられないので
手紙を書くことにしました

フランスへデザインの勉強に行くとアナタから聞いた時
すごいびっくりしました。すごいな!!って思いました
少しだけ、寂しい気持ちになりました

夢、絶対に叶えてくださいね!!応援しています
ずっと僕は美咲さんのことが、好きでした
今度会う時はフランス人なんか目じゃないくらい格好良くなっていたいと思います

お元気でお体にお気をつけ下さい

それでは


from mizuki


「最終電車はもう来ませんよ」

その言葉で我に帰る。駅員ではなさそうだ。
グレーのコートを着て背が高く、長髪でお洒落なメガネをかけた男が立っていた
酔っているのだろうか、少しお酒臭い
その男の手元を見るとガーベラの花束を持っていた

「あ、これ?実は今日、同僚の送別会でして。同僚に渡すはずだったのに、なんだか結局渡せなくて…。オレ、花なんて送るような柄じゃないし…」

私は黙って花束を見つめた

「綺麗なオレンジのガーベラですね」
「え?あっそうだ、よかったらこれ差し上げます。はいどうぞ」

男は花束を私の膝元にのせた

「実は手紙をその花束に入れておいたのですが、さっきどこかで落としてしまって。もう、どうでもいいんですけどね。ガーベラはお好きですか?」
「私がもしあんな手紙をもらったら…そうですね、フランスになんて行くのを止めてしまいそうです。とっても素敵な手紙だと思いました」
「ええっ、まさか!?あなた」
私は彼にポケットから取り出した手紙をひらひらと振ってみせた


つづく
レールが刻むリズムに、いつしかまどろんでいたらしい。

ミニッツリピーターのスライドレバーを引くと、
左腕が澄んだ鐘の音で時を告げた。

都心を後にした二時間前、家路を急ぐ通勤客を
あふれんばかりに乗せた近郊線が並走していた車窓は、
すっかり漆黒に塗り込められている。

目を凝らすと、遠くに二つ、灯りが瞬いている。
おそらく国道の信号機だろう。

だが、

滲み、揺れる様が、まるで星のかけらが周囲の闇を照らそうと
身を焦がしているように見えるのだ。

今、時代という名の列車は
出口の見えないトンネルの中を走っているのかもしれない。
だが、そんな時こそ、ささやかでも胸の内に何かを灯すことに懸命でありたいと思う。

そう、

あの光のように。

そしてこんな時こそ、順調な日々には忘れがちなことをじっくり自問する絶好の機会だと思うのだ。
なぜ日々に汗するのか。ほんとうの成功とは何か。
若さがあふれていた頃、遠くを見つめ、この両手でつかもうとしていたものは何だったのか…

湧き上がる思いが、誰かのささやきのように感じた。
ふと車窓に映った自分を眺める。
深い笑みをたたえた顔が問いかけている。

「キミの夢は元気かい」

12時の方角の小窓に現れた星々が
1秒毎に数を増し、尾を引きながら流れていく。
見失いかけたものへと、私を導くかのように。

「空に青が集まる瞬間が、オレは好きなんだ」

昇はよくそう言っていた。

「なぁ優衣、空の絵って描いたことあるだろ?」
「え?うん、あるよ」
「最初に水色を一面に塗る。でもなんだか薄っぺらくてリアリティに欠ける」
「そうそう。空の色って一色じゃないよね」

私達はよく二人で空を眺めた。
昇はずっと空を見つめていた。
私はそんな彼の横顔を見つめるのが好きだった。

「blue momentって言うんだ」
「空に青が集まる瞬間のこと?」
「そう。優衣、オレさカメラマンの助手に採用された」
「そうなんだ。よかったじゃん。また夢に近づけたね」

昇がカメラマンになりたいという事は知っていた。
私はその夢を心から応援してあげる事はできなかった。
空に青色が集まる場所を求めて、きっと昇は一人で何処か遠くに行ってしまうに違いない。

私はふてくされて、空を見上げるのもなんだかつまらなかった。
ため息ばかりをついていた私に、昇は言った。

「優衣、もしオレが一端のカメラマンになったらさ…その、なんというか…」
「なんというか、何よ」

空を眺めていた昇が私を見つめた。
その顔はなんだか真剣過ぎて、笑えた。

「モデルになってもらいたい、オレの撮る写真の」
「空の写真を撮るのに、なんであたしなの?」

「blue momentを眺める優衣が、一番好きだから」
「高いわよ、モデル料」

「そんなぁ〜、そこはマケテよ」
「ずっと一緒にいてくれる?それならタダでも良いよ」

昇は一瞬考えた。
もう、こういう事は男が言うことなのに…。

「仕事は仕事。家庭は家庭。だから、モデル料はたとえ高くてもきっちり払うよ」
「…分かった」

あれ?いまのって、もしかしてプロポーズ?
私、分かったとか言っちゃった。

恥ずかしくてすごく照れくさくて、私は下を向いた。
そしたら昇にいきなりキスをされた。

目を閉じる瞬間に見えた空に集まった青色を、きっと私は一生忘れないだろう。
「今年も独りか…」
グラスに注がれたウィスキーの氷が虚しい音をたてた。

「メリークリスマス。あなたの願い事は何かね?」
目の前に現れた、白髭の老人はボクにそう言った。

「僕はこんな素敵な夜でさえ独りで飲んだくれている。そうだ、向いの家に体が弱い少女がいます。彼女の願い事を聞いてやってください」

「分かりました。それでは」
彼はそう言って消えていった。

☆

「はぁ…、私は来年生きているのかな」
凍える手足をベットの中で温めながら、そう呟いた。

「メリークリスマス。あなたの願い事は何かね?」
赤いコートを着た初老の紳士が、私の目の前に突然現れた。

「本当にいたのですね。私の願い事は貴方に会うことでした。そういえば教会に貴方を必要としている人が隠れています。彼の願い事を聞いてあげてください」

「分かりました。それでは」
にこにこと笑いながら彼は消えた。

★

「ここまでか…」
逃げて辿り着いた教会は静まり返っていた。

「メリークリスマス。あなたの願い事は何かね?」
追っ手かと警戒したが、どうやら違うようだ。

「なぁ、あんた。この世界を消してくれるか?」
「それがあなたの願い事ですか?いいでしょう」

「いや、待った。やっぱりやめる。そうか…、あんた本当にいたんだな。何もオレなんかの前に現れなくてもよかったのに」
「ある少女にあなたの願い事を聞くように頼まれました」

「オレなんかを気にかけてくれる人がいたんだな。また来年もう一度来てくれないか?願い事はそれまでに考えておくから」
「それがあなたの願い事ですか?いいでしょう」

♪
トナカイのそりに揺られる自宅への帰り道
サンタクロースは思った
今宵もっとも幸せなプレゼントをもらったのは自分だと。
Cross the Border -1-

電車を乗り換えて十数分したところが終点、今夜の目的地だった。

Portrushという名の小さな港町。ガイドブックによると、夏場は観光客も多く小規模ながら遊園地もあり、活気に溢れているようだが、この季節に訪れてみたものの寂れた最果ての地という感が拭えなかった。

宿のあてはない。ガイドブックに載っている手近な宿を探そうと、駅と線路に沿って延びる道路を渡るとB&Bがあった。VACANCYの文字があったが、こちとら英語が得意ではないのでわからない。家の明かりもついていない。泊めてもらえるだろうか…。

入口のドアを開けると玄関があり、さらにドアによって廊下と隔てられていた。もう一つのドアには鍵がかかっており、諦めかけて家を出ようとしたところ、ドアの向こうから人が近づいて来るのがわかった。どうやら物音に気付いてくれたらしい。ドアを開けてくれたのは50歳を少し過ぎたくらいだろうか、このB&Bを運営しているであろう女将だった。

見知らぬ東洋人が玄関に立っていたので少々訝しげな表情だったが、あらかじめ電子辞書で調べておいたフレーズを武器に自分はこう尋ねた。
「今夜は部屋が空いていますか?」
「ええ、もちろん。こちらへどうぞ」
そう言って廊下の突当りにある部屋の前まで来ると、折畳み式の机を準備しながら会話を続ける。

「どちらから来られたの?」
「日本です。」
「まぁ、日本から。今夜はどちらか行って来られたの?ギガス・バンクとか…」
「いえ、ここにはさっき着いたばかりで、明日行ってみる予定です。バスの時刻表を教えて貰えますか?」
実際にはこう流暢に話せた訳ではないが、自分としてはこういった感じの意図で話かけていたのだ。
「わからないのよ。季節によって時刻表も変わるの。」
そう聞いた時、観光シーズン以外はバスの本数が少なくなる、とガイドブック載っていたことを思い出した。
「さて、先にお代を頂いてよろしいかしら。25£だけど…あら、細かいのはある?ちょっと待ってて。その間にここへ名前と住所を書いてちょうだい」
そう言って台帳を取り出すと、奥の部屋へいったん姿を消した。

日本からこの大陸へ渡って来て約二ヵ月になり、ようやく通貨の支払に慣れてきたところなのだが、国境を越えてこの国に来る前に両替をしたところ、また一から違う通貨を覚え直すことになった。二枚の使い慣れない紙幣を渡すと、お釣として珍しい紙幣が戻ってきた。
この国のこの北地域は特殊な状況にあり、本国と違う島に位置している。北地域は自治権が認められているため、紙幣も現地の銀行が発行している。本国とは違ったデザインの紙幣なので、本国でも使用できなくはないのだがあまり歓迎されないのだという。珍しい紙幣には誇らしげに「スターオル銀行」の文字が印刷されてあった。

明朝の食事の時間は9時から、部屋のは4号室で鍵はこれ、○×△□…、おそらくシャワーやトイレのことについて説明してくれたと思うのだが、こちらの能力不十分な為に完全に理解出来なかった。
女将が部屋を開けると早速暖房の栓を捻り、テレビのリモコンを取ってくると言い残し、またどこかへ消えていった。

部屋には洗面台がついており、セミダブルのベッドにクローゼット、戸棚が二つに椅子が一つと一人が泊まるには十分な部屋だった。
ただガイドブックにかいてあったのは、全9部屋の内、1部屋はバス・トイレが部屋の外にあります、とのこと。この部屋のことか、と納得し荷物を置いてから一息ついた。

女将がリモコンを持ってきてくれたので受け取り、テレビをつけながら荷物を展開する。時間はまだ6時前、取り合えずシャワーでも浴びてこようか…。
ノックが聞こえたのでドアを開けると、再び女将。
「10時にバスが出るわ。バス停の場所はご存知?宿を出て左を真っ直ぐ行き…」
わざわざ時間を確認してくれたのか…。説明を聞きつつ女将の温かさに感謝した。
フェリーに乗ってアイラ・モルトで有名なアイラ島を訪れたんだが、観光客慣れしているためか、島の人たちは皆親切で是非紹介したいエピソードを1つ。

観光客が多いとは言え、やはり人口の少ない島なので唯一の交通機関であるバスの本数も極めて少なく、また全域にわたっている訳ではない。
バスの終着地点から徒歩30分以上の蒸留所へ行きたかったから、テクテクと田舎の1本道を歩いていった。
その日は天気が良かったが、時折雪が降ったりと気まぐれな天候なのは海が近いからか。
後ろから何台か車が追い抜いていったが15分程歩いたところ、1台のSUZUKIの車が僕を追い抜いたあと、10数メートル先でブレーキをかけて停車。

「どこへ行くんだ?」
「ラフロイグ蒸留所へ行きたいんだ。」
「途中だから乗って行きな。」

親切なおじさんに蒸留所まで乗っけてもらうことに。数分行くと、

「ここを右に曲がればラフロイグだ。ラガヴーリンはどうかね?」
「是非行きたいです。」

ラガヴーリンは六本木にあるスコティッシュ・パブのスコットランド人オーナーにサービスで呑ませてもらったことがあり、
今回も是非行きたかった蒸留所の一つだったが、ラフロイグよりさらに奥にあるのと、バス時間の関係で行くのを諦めていたところだった。
さらに数分行くと、

「ここがラガヴーリンだ。アードベッグはどうかね?そこにはレストランとバーが併設されていて、そこへ食事に行く途中なんだ。」
「う〜ん、いや、こちらで結構です。どうもありがとう。」

あまり馴染みのないブランドなのと、これ以上行くとバスの時間に間に合わなそうなので、今回は諦めた。
ラガヴーリンの蒸留所の周りを歩くと、ほのかにウィスキーの薫りが漂ってきた。ここであのスモーキーなフレーバーを産み出しているのか。
蒸留所内の見学を予約していなかったので、10分程周りを眺めた後、ラフロイグを目指して来た道を戻り始めた。
数分程歩くと急に天候が変わり吹雪き始めた。う〜ん、寒い…。
後ろから僕を追い抜いた車が10メートル程先でまた停車。

「どこへ行くの?」
「ラフロイグまで行きたいんです。」
「乗って行きなさいよ。」

今度は30代くらいの親切な女性の車に乗せてもらうことに。吹雪いている中だったからとてもありがたい。
着いた頃には親切に受付の場所まで説明して下さった。

ラフロイグのでは腕に入れ墨の入った大柄なおじさんから、丁寧な説明を聞きながらウィスキーを注いでもらい呑み比べ。
カウンターの後ろにレジがあったから呑み代がいくらか聞いたら、
「とんでもない、フリーだよ。」
「どうもありがとう。」
「大歓迎さ。」

ラフロイグから帰る途中に時計を見た。思ったより長くいたせいで、帰りのバスに間に合わないかも…。ヤバい、少し走るか。
20メートル程走った後、後ろから来た車が僕の横でまたストップ。
「どこまで行くの?」
「ポートエレンのバス停留所まで行きたいんです。ありがとう。」

3度目にはもうすっかり乗る気満々で、親切なおばさんの言っている言葉が終わらない内にお礼を言っていました。
親切な島民に感服すると共に、誕生日にいい思い出ができました。

強く握られた手を離して欲しくなかった。
そのまま掴んでいてくれたら、
私はきっと貴女を好きになった。


「大丈夫だよ」
最近よく聞く言葉。

そんなに心配そうにしていただろうか。
気を使わせているとしたら、ごめんなさい。

それとも、これは勝手な考えだけど、

つらいヒトほど、何か悩みを抱えているヒトほど、

「大丈夫だよ」
と言う気がする。

いいよ、別に。
ホントは、よくない。

素直に生きているヒトは、羨ましい。
考えすぎだと言われても、人間だからしょうがない。


またね、元気で。
ポケットに突っ込んだ左手が、
ちょっとだけ寂しかった。


とある繁華街のショットバーで、そんなことを考えていた。

「だいぶお疲れのようですね」
と、バーテンダーは言った。
襟付きのシャツをきちっと着た、品のある男だった。

「すみません、今日ちょっと混んでいて。もう少しお待ちください」
彼が目の前で作っているのは、
後ろの大きなテーブルに座っていた、団体の客のお酒だ。

その店に入った時には既にテーブル席は満席で、
カウンターだけしか空いてなかった。

入ってすぐお酒を注文したのだが、
既に二十分は経っていた。

「大丈夫ですよ。ゆっくりで」

ここは二軒目だ。

一軒目の店で飲んだ友人に、気を使い過ぎて、疲れていた。

まるで自分の隠れ家に帰ってくるかのように、
私はこの店に逃げ込んだのだ。

「おまたせいたしました」
バーテンダーは私の前にそっとギムレットを置いた。

ひとくち飲んだ。

「美味しい」
私は思わずそう言った。

「あたしにも飲ませて」
一軒目の会話が頭をよぎる。

「このカクテルは可愛くない。キミには似合わないよ」
心の中でそう呟いて、ギムレットを飲み干した。

「おかわりですか?」
バーテンダーが言った。

「ウィスキーはなにがありますか?」
「それではラフロイグ・クオーターカスクなんていかがでしょうか」

私はラフロイグのロックを注文した。
ストレートのほうが美味しいのだが、そんな気分ではなかった。

団体客が帰り、店内は静寂に包まれた。
繁華街の喧噪がその店には聞こえてこなかった。

私はラフロイグをゆっくりと飲んだ。
だいぶ気持ちが落ち着いた。
やがて夜は更けていった。

「いいお店ですね、また来ます。今日はこれで帰ります」
「ありがとうございます。お気をつけて」

帰り道、ポケットの中の左手は寂しさを忘れていた。
酔っ払ったからなのかもしれない。

しかし、その言い訳は悪くないと、
私は思った。
雨の降りしきる中を外に出て、深夜に手巻煙草をふかす…。
思い出したのはマンチェスターのとある酒場での出来事。

その日も1杯のエールをオーダーした後、煙草を巻き始めた。
一人の坊やが興味深そうに手元を見つめている。
出来あがった煙草を口にくわえ、一服しようとテラスへ出た。

独り紫煙を燻らせていると、どこからともなく子供の群れが…。
「さっき見てたんだ。どうやって煙草を作ってるの?」
「見せてやるよ。さぁ、こっちに座って」

ベンチに腰掛け、煙草を巻き始めようとすると、
「おーい、煙草を作るのを見せてもらおうよ」
さらに小僧達が増え、そのギャラリーの中、決して上手いとは言えない作業内容を見せることになった。

「まず紙とフィルターをセットして、次に葉っぱを乗せて上に下に、上に下に…」
巻いている最中に先程の坊やが、
「煙草を吸うと早く死んじゃうんだよ」ご忠告ありがとうよ。
「なのになんで吸ってるの」「理由は簡単。早く死にたいからさ」
大人の理由を子供に説明してもしょうがない。適当にあしらっていると不格好な手巻煙草が一つ出来あがった。

「僕も出来るかな?」「あぁ、やってみな」
紙とフィルター、煙草の入ったパッケージを投げてやると、さっき見た通りに一生懸命作り始めた。

不格好な煙草に火を点けようとライターを取り出すと、子供達が欲しがり始める。
そんなに珍しい物でもあるまいに。一人の坊主に渡すと、火を点けたがって取り合いになる。今では当たり前の様に着火できるが、この年の頃は結構な力が必要なようだ。両手で抱えて必死になって親指に力を入れている。

その内の一人が上手く点けられるようになると、
「僕が火を点けてあげるよ」カチッ!!
「ありがとうよ」
煙を深く吸いこんで吐き出すと羨望の眼差しが向けられた。

さっきご丁寧に忠告をくれた坊やが煙を吸い込むまい、と両手で口を塞ぎ込む。
悪い悪い、配慮が足らなかったな。
一人の少年が言う。「鼻から煙を出せる?」
やってみせろ、ってか!?ご要望にお応えして見せた。
「カッコいい…」どこがだ。

初めての煙草作りに挑戦していた子供が、
「出来ないや」作品を投げ出した。
こらこら、もったいない。テーブルに散乱した煙草をパッケージにしまいこんだ。

渡したままのライターをおもちゃに、小僧どもは色々な物に火が点くか試みている。
「もうお終いだ。そろそろキックオフの時間だからな」
そう言ってライターを返してもらい、試合中継を見ようと酒場の中へ戻った。
【Beautiful Blue Bullet】 メモ1
(ホラー、エロ、エコ、、、etc)

背後に目を向けるとうっすらと人間の顔らしきモノが写っていた。
女、だろうか。
表情はとても哀しげだった。

一枚目の画像。

「アタシ不倫とか反対派だったのに…Kさんと出会うまでは…」

マヒルというHNの女は、
上半身はだかでこちらに悩ましげな顔を向けていた。

二枚目の画像。

「開発されるってこういうことなんですね…アタシ毎日毎日Kさんのことばかり考えてしまって…」

背後に写った哀しげな顔をした女は、マヒルのすぐ後ろにいた。
その女の視線はマヒルに向けられていた。

マヒルは笑顔をこちらに向けていた。
おそらく彼女は、背後に迫った女のことに気がついていない。

三枚目の画像。

「元彼もセフレなんです。安心感があるからつい…」

自身の右手を股間部にあてがったマヒルは
恍惚の表情を浮かべていた。

しかし、

マヒルの後ろにいた哀しげな顔をした女は
マヒルの首をその両手で締め上げていた。

その女の顔は、恨みに変わっていた。

眼がつり上がり、
口元は力いっぱい歯を食いしばっていて、
まるでマヒルを絞め殺そうとしているように見えた。

その女が見える者には、
マヒルの表情は恍惚ではなく、
もがき苦しんでいるように見える。

・・・

・・・・・・

呪い殺された?

いや、まさか・・・。

三枚の画像をアップロードした直後、
マヒルのホームページの更新は止まっていた。

このマヒルという女、ある政治家の秘書だった。
名前は金城真美。
彼女の捜索願が出されたのは、彼女が失踪した三か月後のことだった。

paceは背後に写った女の顔をじっと眺めた。

「ねぇ、pace。この女性、どこかで会ったことあるよね?」

どこだっただろうか?
たしかに一度会ったことがあるとpaceは思った。


つづく
【3B】→【Bottom10】メモ2
(ホラー、エゴ、エコ・・・etc)

ガチャガチャ

ドアの鍵を開ける音が聞こえてきた。反射的に目を開ける。
「おい、もう起きろ。朝飯の時間だぞ」
右半身が痛い。起き上がることができない。
転んでそのまま気を失ったのか・・・。
「打撲じゃない。お前は床に寝てた。そのせいだ」
今度は頭の中に声が響く。
「おい、大丈夫かよ、まったく・・・。朝飯、ここに置いとくぞ」
その声に答えようとした。
「う、う、う・・・・・・」

「落ち着け、嘘じゃない。だから今はまかせろ」
頭の中に響いた言葉が、いまは耳元で囁くように言った。
「それでは私はこれで失礼する。また昼飯の時に来るからな」

ガチャガチャ

ドアの鍵が閉まる音が聞こえた。あきらめて目を閉じ一度深く呼吸をする。今が朝だということは先ほどの看守の声で分かった。ただ今日が何月の何日の何曜日かが分からなかった。ここに入れられてどれくらい経ったのだろう。もう出ることはできないのだろうか。いや夢なのかもしれない。そうだこれは夢だ。もう一度寝れば、またもとの日常に戻っているはずだ。朝飯?お腹が減ってはいるが夢から覚めたら食べれば良い。さぁ寝よう・・・。それにしても牢獄の硬い床に寝ているなんて・・・・・・、なんて酷い夢なのだ・・・・・・。
夢の中の硬い床に右半身を下にして眠りについた・・・。

「今年は平成二十三年。今日は七月七日。曜日は木曜だ」
囁きが背後から聞こえてくる。分かったよ、うるさいな。もう寝るんだよ。
「夢じゃない」
嘘だよ。これは酷い夢だ。悪夢だよ。
「嘘じゃない。悪夢、かもしれないが・・・」
「おまえ腹減ってんだろ?」
ああ、夢の中でも腹って減るものなんだな。
「まだ分からないのか」
分からない?分かってるから寝てるんだろ。

「じゃあ早く起きて看守が持ってきた朝飯を食べろ。いいかこれは現実だ。私は・・・まぁ悪夢の続きみたいなものだが・・・」

背筋に僅かな寒気を感じた。我に返る。全身から冷たい汗が流れてきた。
「ピース、やっと起きたか。私の声が聞こえるか?」
「ああ、聞こえているよ。ごめん、ちょっと眠っていた」
「まさかこんな所にぶち込まれるとは思ってもいなかった」

強張った体を無理やり起こす。左手で頭を掻く。右目で今日の朝食を見る。今日の朝食はしょうが焼きだ。朝だというのに肉か・・・。ピースはぶつぶつ独り言をいいながらその朝食を食べ始めた。

「豚肉はビタミン。生姜は根菜。スタミナがついて体が温まる。朝の目覚めには具合が良いじゃないか」
「胃の具合はかなり良くない」
「まったくここはお前の故郷じゃないんだぞ。贅沢をいうな」
「故郷は油が違う。この国の油にはまだ慣れていないだけだ。それに贅沢なんて言ってない。この国じゃ朝っぱらからしょうが焼きを食べる奴を沢山見たが、あいつらはみんな胃もたれしながら我慢して食べているんだな」
「みそ汁とサラダがつくからバランスは良いんじゃないか」
「良くないだろ。朝から塩分とり過ぎだ。ドMだな。それか修行僧」
「いいからよく噛んでゆっくりはやく食べろ」
「どっちだよ」

「どっちでもいいからとにかく食べろ。おまえ死にたいのか?」
「朝から穏やかなじゃない言葉を使うね」
「それによくもまぁべらべら喋る」
「なんとかに口無し。と、でも言いたいのか?」
「あ、うまい。しょうが焼き。サラダもみそ汁もある。白いご飯に麦飯を混ぜるとは、ここの料理長は分かっているねぇ」

ふっ、と鼻を鳴らす音が聞こえた気がした。ピースはまたぶつぶつと独り言を言いながら朝からしょうが焼きも悪くないと思った。


Bottom10

三作目は消滅のお話です。
何かが消滅します。
暇だったから色々と考えていたらラストが見えました。
たぶんハッピーエンドだと思います。
どうぞ気長にご期待下さい。
でもなんかつまらないから結末書いてしまおう。
結末のあらすじをばらしちゃう。
いいやありあり。
こんな時代だからまあご容赦下さい。
ちと長くなりますがここをお借り致します。

ちなみに消滅の後は沈黙です。



※本当にこうなるかどうかは分かりません。
あとあまり面白い話ではございません。
自己満足です。

誤字脱字を気にしちゃ先には進めません。

大人気ないということでひとつ。

ではでは結末の始まりはじまり。

Bottom 10

社会を動かす中の10%は遊びにふけり勉強もままならなく、スポーツや恋に勤んでいる者達だ。

しかしそんな奴等が実は大事な存在である。

テーマはジョブ。
ドラクエのダーマ神殿を御想像できたら幸いだ。
サガとかもあり。笑


三部目はお話しの続き。

全員集合です。


で、ラスト予想としては永見祐(ユウ)と鐘矢朋大(かねや ともひろ)等が経営するLC―Loverに、新たに【遠藤京子】【高村信治(巷で神と呼ばれている。半地下でダーツバー兼、探偵をしている)】の二人が加わった、
新生ダイニングバーがBottom 10とUpper 10の溜まり場になれば良いかなと。

Middle 80はつまり普通の人々。要するにお客様です。

これは冗談ですが彼等つまりMiddle 80はLC-Loverに入ることができない。
→なぜなら会員制だから
→は冗談で
→実のところloverがみんなにとっては気持ちわるい、怪しげな飲み屋にしか見えないから、
逆に入ってこない…(オーマイ…)
hope、wish、prayは組織を運営している。
ちなみにprayがボス。hope、wishの二人はボスには頭が上がらない。
組織名はMagic No.3に変更される。
ハワイ、オワフ島がアジト本拠地。
日本に立ち寄る際は真っ先にLC-loverに来る。
hopeは永見祐にお酒を、
prayは鐘矢朋大さんにワインを、
wishは高村信治さんに座禅グッズを
(wishは私用で日本にきた時、高村と座禅に行く。本人曰く健康のためにちょうど良いとか。)、

暁(patriot)は遠藤京子にタバコとオムライスを(最近は電子タバコを勧めている)、
それぞれにそれぞれがお土産を持ってくる。


蛍日は高村の裏稼業の秘書。
たまにLC-Loverを手伝う。ごくたまに。

暁、

暁は

・・・・・・・

ん〜
暁はあるモノを探している。
それは自分自身を殺すための刃。
(本人は切腹か何かと勘違いをしたのであろう…)
ついにそれが手に入り、
Bottom 10とUpper 10(因みに社会の上層部)の2つを結ぶとともに自らが犠牲になり死を覚悟する。

暁は後悔していた。
かつてのボス、長瀬詩織を殺してしまったことを。
しかし、長瀬詩織の死因の真相は暁に拳銃で撃たれたからではない。
彼女は末期のガンを患っていた。
それを知っていたのは姉妹の長瀬静香だけ。
よって暁は長瀬詩織を殺してはいない。(銃で撃ったが死因ではない)

真相を知った【pray】がhopeに伝え、
【hope】が永見、
【永見】が遠藤に伝え、
hopeと遠藤京子が暁を説得し、
暁は自ら命を絶つこと、
つまり『消滅』することをやめる。


・・・・・・・

LC-loverの皆さん、
Magic No.3、
Bottom 10、
Upper 10、
Middle 80、

すべてがうまいこと絡んでみんな仲良くなり、エンド。

やがて、ひとつの会社を企業する。

その名前は・・・・・・(まだ秘密)。

(実際に私を知っている方々だけにこっそり教えます。にやり)


あとがき

あとがき

そんな会社が
小さくて良いから
ほんの少しだけ時代を牽引できたら、面白い。

それが作者、つまり中二病丸出しな私が目指すことです。


そんな愚かな私と、ともに歩んでくれる方々がいたとしたら、

彼等、彼女等に深く感謝したいです。


現実は小説よりも奇なり。


いまできることをひとつひとつ丁寧に楔打っていけば、

大丈夫かなと。


次は沈黙です。


以上

Bottom 10の結末でした。

ここに出てこなかった。ピースやらアストロやら、
ベチバー(new!!)やら
スペード(new!!・・・でもないか)やらが

主人公達です。

もう書く時間ないかも。
書かないかも。

暇つぶしに書いてはいますが、ええ。


全員のプロフィールも公開しちゃいます。

なにせ
msn

クラウドコンピューティングシステムですから!!

スカイドライブにて

後悔

公開いたします。


痛いです。色々と。一段と。

LC-loverは

レイモンド・チャンドラー愛好家って意味です。

RCだとなんかいまいちだったから当時はLCとした記憶があります。

けして間違えた訳ではありません。


RCってなんかタミヤっぽいじゃん。

ミニ四駆っぽいじゃないですか。


レイモンド・チャンドラーは

偉大なる作家です。

読んでおいて損はありません。

藤原伊織が好きな方々には楽しめる洋書です。

ハヤカワで出てるから読んでみて下さい。


できたら清水俊二さんの翻訳のほうが良いと思います。


村上春樹さんの翻訳は・・・・・・。


bookは良い作品だと思います!!()


ではではそんな感じで〜す。
Bottom 10 アストロ
ホラー?エゴ?エコ?
メモ3

※震災で亡くなられた方々にお悔やみ申上げます。

これも3.11の資料のひとつから抜粋しております。

慎んで、ええ。

3
2
1


drop it.


「私はもういい。充分生きた。アストロ、娘を連れてここを離れなさい」

岩場に建つ鳥居の前で、男は静かな微笑みとともにそう言った。
「ええ・・・」
いつになくアストロの返事は生半可だ。
「私は、ですねぇ・・・、誘拐犯ではありませんよ」
「ただの占い師」

そうです。
と、アストロは心の中でひとりごちた。
「分かっている。お前が結局どう占っても、私を助けたいというその気持ち。分かっている」

つづく

ザザーッ、と白波が辺りを包み込む。
男は黙って岩場に立ちながら、鳥居をじっと見つめている。
アストロはその後ろで片膝をつき男の背中を鳥居とともに見ていた。
アストロは思った。
この男は遣いなのだと。
遣いの役目を果たすために、この場所を離れないのだと。
「独り、恰好つけ過ぎですよ」
アストロはいつになく自信なさげに呟いた。
「では・・・」
え?
男が何かを言った。
アストロには聴こえた。
「では私を占って下さい。アストロ」と。

「長くなりますよ」
「どれくらい?」
「そうですね。あと10年、いや、おそらく30年以上。あなたが天に召されるその時まで占いを続けなくてはいけない」
「高くつきますね」
「そうですね」
男は笑った。
アストロにはそう観えた。
その時、大きな波が二人を包み込んだ。
一瞬、海の中に引きずり込まれた。
大波のうねりの中で、アストロとその男はある体験をともにした。
それは、今は言えない。
しかし確実に感じた。

そして二人は岩場に戻された。
二人はずぶ濡れのまま元の位置にいた。
鳥居は相変わらずそこにじっと立ち続けている。
「なめるな。アストロ」

アストロは反射的に、吐き出すようにその言葉に答えた。

「最初から、分かっていました。OK、大丈夫です。貴方も私も今は死ぬ時ではない、らしいです。占うまでも・・・」
「まて」
「は?」
アストロの言葉を男は遮った。
そしてアストロをやっと観た。
男はずぶ濡れの袴を二度、右手でパンッ、パンッとはたいた。
「何年かかっても構わない」
アストロは何かを言おうとした。
いつものようにすらすらと。


つづく

しかし、舌が痺れて思うように言葉が出せなかった。
な、なんだと?
と心の中で呟くのが精一杯だった。
アストロは初めて観念した。
これまで生きてきて自分がそうだと勘違いをした己を恥じた。
次の瞬間、
ふっと体が軽くなった。
そしてジワリと体が暖かくなった。

「貴方が・・・、いや、ええ、あ、口がきけた。そ、そうですね。高いですよお値段。それに・・・」

「分かっている。というか、私にもたったいま分かった」

「何が、ですか?」

「お互いまだ役目を果たしていない。だから・・・」
「だから?」

「まだ死ぬ運命ではない」


つづく


ふっ、と鼻から息を吐くとアストロは宮司に向き直り、
また改めて立て膝をついた。

「以前、そのような言葉をどこかで言った事がありまして、そのなんというか・・・」

アストロは左手で頭を掻いた。

「なぜキミ達は右のこめかみ付近を左手で隠す?」
宮司はにやりと笑った。
アストロは一瞬ハッとした。

「暗号」
「ああ、なるほど」
「ではありませんよ。恰好つけです。そこに意味はありません」
「ああ、なるほど」

冷や汗が全身を伝う。

「笑い話では'すまなそう'ですね」
「はっはっはっ」
宮司は笑った。

「すまない・・・ですか・・・。もう少しはっきりおっしゃって頂きたい」
「どうも、すみませんでした」
「ふっ、それだけですか?」
「これからもどうぞよろしくお願い致します」
「はっ、はっ、はっ」
「アストロ」
「はい」
「本気でその仕事をやりなさい。覚悟がないならば、すぐに辞めなさい」
「そんな・・・。覚悟なんて・・・。私はただ・・・」


つづく

「冗談です。だから早く娘を連れてここを離れなさい。ここは危険だ。光子発散領域をぎりぎり逃れていない」

「貴方は大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫です。まったくしつこい占い師だ。だから商売が繁盛しないんですよ。貴方みたいなお人好しは・・・」

アストロは笑おうと試みた。
しかし、それができなかった。

「分かりました。今回は貴方の意見に従います」
「しかし・・・」

「しかし、いつか、私を使って、世界を操りたい?愚かなことを・・・」

「いえ・・・私はそんなつもりは・・・」

「言うな。もういい。大丈夫だ。お前はまだ死ぬ運命ではない」

宮司は、はははと小さく笑って左手で右のこめかみを掻いた。

「どうやら私も生かされるみたいです」

二人は小さく溜め息をついた。

「仕える者も、利用して生業にしている者も・・・。全てお見通し、ですか・・・」
「罰当たりですね、お互い」

二人はともに今度は大きく笑い合った。




メモ3おわり
「ねぇウィッシュ」

レストラン。
いつものように気楽に入ることができる。
何も変わらない。
それが良い。

ウィッシュはタバコに火をつけた。

「おにぎりがあるよウィッシュ」

「いらっしゃませ」
店員が近づいてきて、そう言った。

「いつものある?」

「サボテンステーキ?今、在庫がなくて・・・」

ふっとウィッシュ微笑んだ。
煙を吐き出す。


「目玉焼きとおにぎり、それとバーボン」

店員は少しだけむっとした表情をする

「また昼間からお酒ですか?ウィッシュ」

「おかえりなさい」

注文入りま〜す。

ウィッシュはコックと目が合った。柔らかな瞳だった。







つづく
あれから月日が流れた。
心に隙間風が吹くのはどうしてだろうか…。
街はずれのバー。
今日は何にしようか…。
壁には古い絵が飾られている。

「大人になった。どう思いますその言葉?」
「私には分かりかねます」
「ギムレット下さい」
「ドライ?それとも……」
「お任せいたします」


バーテンダーはホープの目の前にロウソクを二つばかり置いた。


「いえねえ本で読んだだけ、なんです」
何気なくジガーを取り出す。

「大人になった…。ねぇ…」
「龍の話、聞かせて下さい」
「あれは…暗号なのですよ」
「聞きたいなあ」


にやりと笑いホープの前にカクテルを置いた。


「何と交換しますか?」
「ドライブで橋を飛んだ話に変更してもよろしいですか?」
「それではご搭乗の皆様シートベルトをお締め下さい」
「ビール、飲んで下さい」
「頂けません。私は車ですから…」
「代行でお願い致します」

バーテンダーはにやりとまた笑いビールの蓋を空ける。


「それではご搭乗の皆様、空の旅をお楽しみ下さい」


二人はグラスを上に掲げた。
そして一口飲んだ。


「これが大人だとしたらどう致します?」
「さて、龍の話でもしますかね」

そして、二人は笑い合った。

本部。しんと静まり返っている。
この空気。だいぶ埃が少ない。
明かりをつける。写真が飾られてある。

「プライさん。コーヒーが入りました」

窓からみえる景色。
良い朝だ。

「ギョウジさん。行って下さいますか、日本へ?」
「え?」

ぽかんとした表情をする。そして、左手で右のこめかみを掻いた。


「リョウゴク・・・ですか・・・やはり・・・」

「いえ、いえねえ、H市にお花とお菓子を届けに・・・。やはり、、お店のオープンですもの」


行司は静かに頷いて言った。

「私はあまり甘い物が好きではありません」


プライは困った顔をした。

「甘い物は苦手でしたねギョウジさん。それではこれを届けて下さいますか?」

プライは一つの瓶を取り出した。

「イエガーマイスターですか。薬、みたいなお酒ですね」

「ええ」

プライはにこりと微笑み、そう言った。
BOTTOM-10



drop it.


遠藤京子とアストロは喫茶店を出た。
夕暮れである。
同時に呟いた、暁という言葉がお互いに気になっていた。

「もう一軒行きませんか?」
アストロが片言の日本語で遠藤京子を誘った。

「それってナンパですか?いいでしょう乗りましょう」

アストロは困った表情で答える。
「いえ、一人では心細いのです」

「占い師さんも一人では寂しい時もあるのですね」

夕焼けが辺りを包み込んだ。

「あの・・・」
二人同時にそう呟いた。

「とても懐かしい人の名前を先程聞いたのですが・・・」
「私はあまり良い思い出はありませんが・・・」

遠藤京子はタバコ屋に立ち寄りタバコを買った。

「禁煙、失敗か・・・」

と、残念そうにタバコに火をつけた。

「お香だと思えば良いです」

アストロは微笑んだ。

「アカツキか・・・。なるほど、悪くない」

遠藤京子は目覚めたかのように目をはっきり開けそう言った。


つづく
Bottom-10


電話が鳴った。
「もしもし、うちは魚屋じゃないと言ったら・・・。これで何度目なんだ?まったく・・・」
「お元気ですか?ファルコンさん」

女の声だ。
ダーツバーの準備は着々と進んでいた。
しかし、細々とした雑務が残っていた。


「飴屋か・・・。いらねぇよそんな甘ったるい菓子なんて・・・」

女はケラケラと笑った。

「飴屋のMagic No.3です。ファルコンさん」
高村信治は鼻から息を吐いた。

「それで御用件は・・・プライ」

プライはせき払いをして答える。

「彼女は元気ですか?」
「ああ」

プライは何かを言おうとした。
高村はそれを遮る様に言った。
「駄目だ。彼女はもう組織の人間じゃないんだ」

彼女。
長瀬詩織は今深い眠りについている。

プライはゆっくりとそれに答える。

「ピースとアストロも何とかして下さいよ」
「いや、それは暁に頼むつもりだ」
「なぜ、ですか?」
「俺も困っているんだ・・・。ところで、ドロボー達は元気か?」
「元気ですよ。まったくちょっと聞いて下さいよ!!」
その時、鐘矢朋大が中に入ってきた。

「ん?取り込み中か?高村、昼メシにしようや」
高村は電話に応答した。
「あめ・・・もらっとくよ。一応、サンプルだけ・・・」

そして、高村は電話を切った。
プライの愚痴は続きそうだったが・・・。

「いいじゃねぇか。飴ぐらい。業者もこの不景気だ。大変なんだよ」

高村は苦笑いを浮かべる。
「そうですねぇ」

高村はため息をひとつはいた。






つづく

【三時のオリオン】


あれから私達は結婚した。
昇は仕事が忙しく、家を空ける事多かった。


「なぁ優衣」

「ん?」

「こんなに遅くまで起きていちゃダメだろう」


私はタバコを吸うようになっていた。

これは寂しさからなのだろうか。

「西の空を見てみなよ」

「分かった」

窓をあける。
私は空を眺めた。

「オレからのプレゼント」

そこには大きなオリオン座が輝いていた。

「貴方から、なの?」

私達はすれ違うことが多くなっていた。

「え?そうだよ」

昇は相変わらず、夢ばかり追いかけている。

「オバケが出るかも」

「UFOでしょ、そこは」

「なぁ優衣」

「なに?」


「いつもありがとうございます」

「いえいえ」

心があたたかくなった。
私は別に何もしていない。
それなのに、だ。


「今度さ、帰ってきたらさ」

私は願うようにそう言った。

「いや、まだ長くかかりそうだ」

昇は寂しそうな声でそう言った。

「だから帰ってきたらって言ってるじゃない!!」

突然大きな声を出してしまった。
こんな時間だ。
隣人は眠っているだろう。


「どうした?急に大きな声を出して・・・」


ガーッ、ガッーと雑音が入る。
向こうの電波が悪いのだろうか・・・。
私はまた大きな声で電話に向かって言った。

「昇が帰ってきたら、二人で一緒に、三時のオリオンを見ようね!!」


ガタッと音がする。
隣の住人が起きたかもしれない。

「分かった。愛してるよ優衣」


久しぶりに聞いた声だった。
思わず流れてくる涙はきっと嬉しい涙だろう。

私は空に広がっているオリオンをもう一度眺めた。

この空をきっと私は忘れないだろう。



つづく




東京の空もだいぶ星を眺める事ができます。
気持ちに余裕ができたのかもしれません。
ここでひとつ深呼吸。

そうだ今日も星を眺めよう。

なんちゃって♪


ホープはその日、博物館にいた。
静けさの中に落ち着きがあり、
しんと静まり返った空間がそこにはあった。

いつもの癖で監視カメラをチェックしてしまう。
一つの壷に目が止まる。
唐草模様の様な青の色彩に、
爪を車輪のように開いた龍が描かれていた。

「なかなか貴重」
ホープは小声でそう呟いた。

「失礼ですが」
一人の紳士が近づいてきて、ホープにそう言った。

「はい」

幸いなことに平日で客もまばらだったので、
その空間にはホープと男の二人きりだった。

男は名刺を取り出しホープに差し出した。
そこには男の名前と役職が書かれていた。

「博物館の館長がこんなどこの馬の骨か分からない輩に何のご用ですか?」

ホープは目の前の壷から目を離さず、そう言った。

「実は、その、依頼したいことがございまして」

館長は改まった表情でそう言った。

「ちょっと待って下さい。私は貴方からの依頼を受けられるかわかりませんよ。それに・・・」

男は僅かに微笑みホープの言葉を遮る。

「貴方が何者か・・・。私はこの世界が長いのです。経験から貴方が何者か分かります」

ホープはにやりと笑った。

「ふっ、高いですよ」
「五爪の龍と言います。この龍」
「ほう」
「昔、中国では皇帝が使っていました。民衆がこれらを使う時には、爪を削って使ったといわれています」

館長は表情を変えずに続ける。

「イギリスのある博物館に、略奪された壷があります」

ホープはまたか、という顔をした。

「私にまさか盗ってこいなどとは言いませんよね?」

男は驚いた顔をホープに向けた。








つづく

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