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東アジア世界−歴史と現在コミュの【文献紹介】台湾

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台湾に関する文献を紹介するトピックです。

既読,未読を問いません。

最低限,著者名,書名,出版社は挙げてください。

内容の簡単な紹介,感想などを述べていただけると,ありがたいです。

コメント(3)

伊藤潔「台湾」(中公新書)

「大航海時代の波濤が台湾にも押しよせてきて,すでに4世紀半の歳月が流れた。その間,台湾はオランダ(スペイン),鄭氏政権,清国,日本,そして国民党政権という,いずれも「外来政権」に支配されてきた。それぞれの支配期間に長短はあるが,支配者の交代にともなう諸々の変転の複雑さは推して知るべしであろう。これを新書1冊にまとめることは難しく,当然ながら割愛せざるを得ない部分も多く,小著では政治と経済に比重をおいている。一言でいえば,1624年のオランダ支配に始まる台湾の歴史は,いわば「外来政権」による抑圧と住民の抵抗の記録である」(「あとがき」より)

大航海時代以前の倭寇や海賊の巣窟だった時代に始まり,オランダ統治下,鄭成功政権下,清国統治下,日本統治下,国民党政権下を経て,台湾独立派が台頭する現代に至る台湾史のパノラマを描いている。その中で,日本の台湾統治については,台湾統治開始期の住民の抵抗に対する徹底的な武力鎮圧を指弾する一方で,その台湾近代化政策について,教育整備や産業振興が独立後の台湾発展の土台となったことを率直に評価し,1935年の中国国民党政権による台湾使節団が「他山の石」「わずか40年の経営で,台湾と中国の格差は驚くばかり」と日本の台湾統治を絶賛したことを紹介しているなど,中庸を得た評価を下している。他方,国民党政権については,その貪官汚吏ぶりや2・28事件に代表される強権政治を厳しく批判し,こうした国民党政治を批判して台頭してきた台湾独立派の運動を肯定的に描いている。

 こうした著者の見解は,台湾問題を考察する際の一つの典型をなすものであるが,傾聴され,評価されるべき立場の一つであろう。ここでは,若干の点について感想を記しておきたい。

 台湾は大航海時代以前は中国圏の中に包摂されておらず,辺境の「化外の地」に止まっており,清国領有後も,反乱の絶えない辺境の地であり続けた。その後の約半世紀にわたる日本統治時代,大陸中共政権と分断された国民党政権時代をも含めて,台湾は大陸の漢族社会に完全に包括されない,独自の歴史空間を経験してきた。こうした歴史経験は,台湾をして大陸中国とは相対的に区別された,政治共同体たらしめている。

 民進党に結集した台湾の独立派は,外省人中心の国民党政権に対する本省人の抵抗運動という性格を持っており,その運動は台湾の民主化に大きく寄与した。こうした台湾独立派の性格は,正確に認識されなければならない。台湾独立派の性格を考える場合,ほぼ同時期の韓国民主化運動と比較してみると,両者の大きな違いとして,韓国の民主化運動は,少なくともその一部に,親北朝鮮・反米的立場を内包しているのに対し,台湾独立派の場合は基本的にアメリカ・日本の庇護下に運動を構築し,大陸中国と対立する立場が鮮明である。両者のこうした違いは,究極的には,台湾が大陸中国と長きにわたって異なる歴史空間を生きてきて,大陸の「祖国」に遂に親近感を持ち得ないでいる(その生きた実例が大陸から渡ってきた外省人主体の国民党政権である)ことの反映であろう。

 著者は日本に帰化した台湾出身の東アジア政治史学者。台湾名劉明修。元杏林大学教授。台湾独立建国連盟日本本部に所属し,台湾独立運動に献身した。著書に「李登輝伝」などがある。2006年没。
若林正丈「台湾−変容し躊躇するアイデンティティ」(ちくま新書)

「巨視的に見れば,台湾史とは,『海のアジア』と『陸のアジア』の『気圧の谷間』が台湾という場所を行ったり来たりした歴史であると比喩することができるだろう。こうした力学が,オランダ,中国,日本,さらにはアメリカの影響が強く交錯する台湾史を形作り,人々はその重層的周縁性を生きてきたのである」(紹介文)

伊藤潔「台湾」と並び,新書本で読める,台湾史を通覧するのに最適な通史と言えます。伊藤本に比べるとより中立的な立場から書かれています。
その中で,著者の立場を示すものは,副題と上に挙げた紹介文の内容ということになりましょう。

著者は東京大学大学院総合文化研究科教授。社会学博士。地域文化研究専攻。
若林正丈編「矢内原忠雄「帝国主義下の台湾」精読」(岩波現代文庫)

「「古典」と称されるからには当然といえば当然ではあるが、戦前の1929年初版の『帝国主義下の台湾』は、すこぶる息の長い書物である。後述するように矢内原は、新渡戸稲造の後を襲って東京帝国大学経済学部の「植民政策」講座の担当となったが、その著者が1927年度の講義を整理して学会誌(『国家学会雑誌』と『経済学論集』)に掲載の後、岩波書店から単行本として刊行したのが本書である。時に著者36歳。これも後に詳しく見るように、当時台湾総督府は本書を台湾移入禁止としたが、戦前、日本本国に留学した植民地台湾の学生たちは、図書館や研究室を探し回って「台湾人インテリのバイブル」としてむさぼり読んだという。」(訳者解説より)

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