ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

讀賣新聞・編集手帳コミュの2005.10.21

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「山のあなたの空遠く/『幸』住むと人のいふ…」。愛唱する詩歌を問われて、ドイツの詩人カール・ブッセの「山のあなた」を挙げる人は多いだろう◆詩人の川崎洋さんはベルリンを訪れた折、地元の大学生との集まりでこの詩について語ったところ、皆きょとんとした。ブッセって誰ですかと聞かれて驚いたと、「感じる日本語」(思潮社)に書いている◆遠い異国で「山のアナ、アナ…」と落語にもなった詩の作者は、故国ではあまり知られていないらしい。美しい調べで作品に永遠の灯をともしてくれた翻訳者に、詩人は感謝しているかも知れない◆「山のあなた」を収めた上田敏の訳詩集「海潮音」が刊行されたのは、1905年(明治38年)10月、ちょうど100年前のことである。本の扉には獅子舞歌の一節が引かれている。「大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりてあまぐもとなる、あまぐもとなる」◆この訳詩集が北原白秋や三木露風に与えた影響は大きい。細い煙がやがては詩壇の雨雲になり、多くの人の心を潤したことを思えば、ブッセのみならず日本人にとっても恵みの一冊であっただろう◆「げにわれは/うらぶれて/こゝかしこ/さだめなく/とび散らふ/落葉かな」。街角で、公園で、ベルレーヌ「落葉」の一節を口ずさみたくなる季節もそう遠くない。(2005年10月21日1時33分 読売新聞)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

讀賣新聞・編集手帳 更新情報

讀賣新聞・編集手帳のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング