ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

HELLSING二次創作小隊コミュの外伝序章勝手に作ってみました。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ウォルターは、娼婦と何処の誰かも分からない父親との間に生まれた。
幼少時代に母は流行病で命を落とし、死線を彷徨っていた所を保護され、孤児院に引き取られた。だが、周囲とは一切溶け込む努力もせず、一人で居る事が多かった。
醒めていた。
大人も、周りの子供も皆嫌いだった。触れるモノ全てに鋭い毒を含んだ言葉を吐き捨て、時には暴力を振るい、すぐに少年院に放り込まれた。
薄っぺらで嘘つきな奴等なんかに媚売って笑ってられるか。反吐が出る!といつも思っていた。
だが、そんなウォルターの類い稀な運動神経、反射神経と瞬発力に一つの機関が目をつけた。
世界中が不穏な空気に包まれ、ここイギリスでもドイツによる侵攻により国内は動乱に満ち、人々は攻撃に怯えて暮らしていた。いつ奴等が此処を占領下に置くか分からないと人々は口々に喚き、嘆いていた。
ある日の深夜、街を煙草を咥えてほっつき歩いていると、突然黒服の男達に取り囲まれた。
ウォルターは持ち前の俊敏さで彼らを飛び越え逃げようとしたが、飛び越えた先に緋色の瞳を湛えた白衣の少女に底知れぬ恐怖を感じ、着地して対峙した。
不敵に笑うその美少女は、長くて艶やかな黒髪を靡かせて言った。
「我が主に依頼されてお主を連れに来た。街でうろついてるよりも、楽しい事が待っておるぞ」
「はぁ?別に楽しい事なんか要らねえよ。他を当たれ」
「まあ、そう言うでない。毎日毎日目の前にいる人間を殴って生きていくより、ずっとずっと楽しいぞ。何せ相手はミディアン、フリークスだからのう」
「はぁ!?オマエ、頭大丈夫か?医者行って診て貰え」
「…いちいち面倒な奴じゃのう。お主ら、下がっておれ」
少女は黒服の男達に手を翳して下がらせると、手袋に魔法陣を浮かび上がらせた。踵を返して逃げようとしたウォルターの周囲に蝙蝠が舞い、足元の石の床から漆黒の無数の手が這い出してウォルターを掴む。
「…なッ、う、動けねぇッ!お、お前…一体…何者、だ」
「わらわはアーカード。吸血鬼じゃ。少々強引な手段を使わせて貰うたが、暴れるお主にはやむを得んじゃろうて」
やがて、ウォルターが足元の魔法陣に手によって引き摺り込まれ、姿を消した。
「ヘルシング邸に先に移送させたが、後は我が主の腕の見せ所じゃのう。わらわ達も帰るぞ。車を出せ」
「…はっ」
「いい兵器になるぞ、あやつは…。人間にしておくのが勿体ないが、吸血鬼に出来んのが惜しい限りじゃが、それもまた奴の運命かの」
アーカードは煙草を取り出すと、黒服が火をつけようとしたが制止し自分で点けて吸った。
「ウォルター・クム・ドルネーズ。ロンドン郊外のスラム街出身。母は流行病、父はアルコール中毒による肝不全で死亡。素行不良、粗暴で協調性無し。あのような者を果たして当主に仕切れるでしょうか」
「ははは、アーサーは確実に奴に丸め込まれるじゃろうな!だが逆を返せば愛情に飢えた餓鬼じゃ。強がっておる所も見え隠れしておる。情の篤いアーサーならボロボロにされてもなんとか奴を飼い慣らせるじゃろう。…いや、闘争を求める奴なら必然的に機関に属する。面白い相手じゃからのう。ただの兵士ではない。狂った男達が計画する化け物量産計画。闘争を満たしてくれる最高の場じゃぞ?」
笑いながら捲くし立てるアーカードを、男達はただ無言で眺めているだけだった。


コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

HELLSING二次創作小隊 更新情報

HELLSING二次創作小隊のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング