長崎県長崎市平野町
2008年07月28日、名勝関係登録記念物に指定。
2016年10月03日、「祈りのゾーン」が史跡に指定。
https:/
平和公園は、平和祈念像のある「願いのゾーン」、爆心地の「祈りのゾーン」、長崎原爆資料館のある「学びのゾーン」、長崎ビッグNスタジアム等のある「スポーツのゾーン」、長崎市営松山陸上競技場等のある「広場のゾーン」から成る約18.6haの市営公園ですが、このうち「願いのゾーン」「祈りのゾーン」「学びのゾーン」が名勝関係登録記念物になっています。
「願いのゾーン」は長崎刑務所浦上刑務支所跡です。昭和２(1927)年に雑木林を造成して設けられた施設で、敷地面積20000�屐δ�舎面積13000�屬�13の庁舎が建ち並び、周囲は高さ４ｍ・幅0.25ｍの鉄筋コンクリート製の塀で取り囲まれていました。収監者の中には朝鮮半島等で抗日運動を行って治安維持法違反で逮捕された半島人テロリストもおり、また、九州管内の死刑囚は執行までの間、全て当所に集められていたとされます。
昭和20(1945)年８月９日1102時の原爆投下によって、爆心地から最短100ｍに位置していた支所は一瞬にして瓦解、被爆時に所内にいた職員18人・官舎住居者35人・受刑者及び被告人81の計134人は全員瞬殺されました。
昭和25(1950)年、浦上刑務支所跡は長崎市立公園「国際平和公園」として整備され、昭和30(199)年には平和祈念像が設けられました。長崎出身の彫刻家北村西望(ｷﾀﾑﾗｾｲﾎﾞｳ；1884〜1987)の作で、高さ約9.7ｍ・重さ約30ｔの青銅製で、「右手は原爆を示し、左手は平和を、顔は戦争犠牲者の冥福を祈る」と作者の言葉が台座の裏に刻まれています。平成11(1999)年度に大規模な修復工事、平成31(2019)年に塗り直しが行われています。
一般的には「願いのゾーン」を平和公園、「祈りのゾーン」を爆心地公園と呼ぶ場合が多いようです。
「学びのゾーン」にある長崎原爆資料館の前身は、昭和24(1949)年に爆心地近くへ設けられた長崎市原爆資料館ですが、同年に成立した戦災復興に関する特別法”長崎国際文化都市建設法”に基づいて一層本格的な原爆資料施設の建設が計画され、昭和30(1955)年に長崎国際文化会館がオープン、その中に原爆資料センターが設けられて長崎市原爆資料館の資料が移されました。
同会館は元早稲田大教授で建築音響工学の先駆者とされる佐藤武夫(1899〜1972)の設計で、ニューヨークの国連本部ビルを模した地上六階・地下一階建の鉄筋コンクリート建築物でした。 爆心地を望む丘の上で眺望が良く、大きな窓を格子状に配置した、当時としては斬新な建築物であったため、市民や観光客に親しまれました。館内は二階から五階までが被爆資料の展示室、六階部分が図書室でした。
しかし、平成時代に入ると建物の老朽化に加えて、展示スペースが手狭になった事から、被爆50周年事業として同会館は取り壊され、その南側に平成８(1996)年、現在の長崎原爆資料館が開館したのです。
爆心地を臨む高台に位置する地上二階・地下二階から成り、爆心地周辺の景観を害さないよう設計されたため、地下部分が有効活用されており、屋上部分は庭園化されています。玄関は地下一階、展示スペースは地下二階に設けられており、入館者は螺旋(ﾗｾﾝ)状の通路を下って行く形になります。地上階には、反米イヴェントで活用される事が多いホールや図書室、長崎市の事務室等が設けられています。
長崎原爆資料館の東隣には国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館があります。平成15(2003)年、長崎市に於ける初の国の原爆犠牲者追悼施設として設けられ、財団法人長崎平和推進協会が運営・管理を行っています。入館は無料です。長い名前なので、一般には単に追悼平和祈念館と呼ばれています。館内の至る所に水盤を配置し、原子爆弾による灼熱の中で水を渇望しながら息絶えた犠牲者を悼んでいます。
長崎市平和会館も長崎原爆資料館に隣接しています。昭和56(1981)年にオープンした施設で、地下一階には長崎市歴史民俗資料館、一階には長崎市野口彌太郎記念美術館が入っており、三・四階は716人収容の平和会館ホールになっています。
長崎市野口彌太郎記念美術館は、平成５(1993)年に旧長崎英国領事館〔重要文化財〕《https:/
日本を代表する洋画家の一人である野口彌太郎(1899〜1976)は、第一銀行行員で後に常務取締役となる野口弥三の子として東京で生まれましたが、12歳になった明治44(1911)年に虚弱な体質を案じた父が父方の祖母宅である長崎県北高来郡小野村(現；長崎県諫早市小野町)へ転居させました。その直後に父の神戸転勤に伴って彌太郎も神戸に転居、関西学院中等部へ入学しました。
関学中等部卒業後、川端画塾に学び、大正11(1922)に二科展で初入選、大正15(1926)年には「一九三〇年協会」会員となります。昭和４(1929)年にフランス共和国へ渡り、サロン・ドートンヌに出品、昭和８(1933)年に帰国して独立美術協会会員となりました。
戦後、昭和24(1949)年から昭和45(1970)年まで日本大学芸術学部教授を務め、昭和50(1975)年には日本芸術院会員に選出されています。
彌太郎が長崎で暮らしたのは僅かな期間でしたが、彼は長崎の光景と人情を非常に好んで、日大教授時代は頻繁に長崎を訪れて多くの作品を描き、地元の画壇と交流を持ちました。彼は「長崎のよさは、のんびりした土地と同時にのんびりした気質だと思う。これは、いつも長崎駅に降り立った時に風のように空気のように感じることである。長崎が特に画材に適している理由は、古い木造洋館が自然とよく調和した風景美を持っているからである」と語っています。
＊長崎原爆遺跡
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2008年07月28日、名勝関係登録記念物に指定。
2016年10月03日、「祈りのゾーン」が史跡に指定。
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平和公園は、平和祈念像のある「願いのゾーン」、爆心地の「祈りのゾーン」、長崎原爆資料館のある「学びのゾーン」、長崎ビッグNスタジアム等のある「スポーツのゾーン」、長崎市営松山陸上競技場等のある「広場のゾーン」から成る約18.6haの市営公園ですが、このうち「願いのゾーン」「祈りのゾーン」「学びのゾーン」が名勝関係登録記念物になっています。
「願いのゾーン」は長崎刑務所浦上刑務支所跡です。昭和２(1927)年に雑木林を造成して設けられた施設で、敷地面積20000�屐δ�舎面積13000�屬�13の庁舎が建ち並び、周囲は高さ４ｍ・幅0.25ｍの鉄筋コンクリート製の塀で取り囲まれていました。収監者の中には朝鮮半島等で抗日運動を行って治安維持法違反で逮捕された半島人テロリストもおり、また、九州管内の死刑囚は執行までの間、全て当所に集められていたとされます。
昭和20(1945)年８月９日1102時の原爆投下によって、爆心地から最短100ｍに位置していた支所は一瞬にして瓦解、被爆時に所内にいた職員18人・官舎住居者35人・受刑者及び被告人81の計134人は全員瞬殺されました。
昭和25(1950)年、浦上刑務支所跡は長崎市立公園「国際平和公園」として整備され、昭和30(199)年には平和祈念像が設けられました。長崎出身の彫刻家北村西望(ｷﾀﾑﾗｾｲﾎﾞｳ；1884〜1987)の作で、高さ約9.7ｍ・重さ約30ｔの青銅製で、「右手は原爆を示し、左手は平和を、顔は戦争犠牲者の冥福を祈る」と作者の言葉が台座の裏に刻まれています。平成11(1999)年度に大規模な修復工事、平成31(2019)年に塗り直しが行われています。
一般的には「願いのゾーン」を平和公園、「祈りのゾーン」を爆心地公園と呼ぶ場合が多いようです。
「学びのゾーン」にある長崎原爆資料館の前身は、昭和24(1949)年に爆心地近くへ設けられた長崎市原爆資料館ですが、同年に成立した戦災復興に関する特別法”長崎国際文化都市建設法”に基づいて一層本格的な原爆資料施設の建設が計画され、昭和30(1955)年に長崎国際文化会館がオープン、その中に原爆資料センターが設けられて長崎市原爆資料館の資料が移されました。
同会館は元早稲田大教授で建築音響工学の先駆者とされる佐藤武夫(1899〜1972)の設計で、ニューヨークの国連本部ビルを模した地上六階・地下一階建の鉄筋コンクリート建築物でした。 爆心地を望む丘の上で眺望が良く、大きな窓を格子状に配置した、当時としては斬新な建築物であったため、市民や観光客に親しまれました。館内は二階から五階までが被爆資料の展示室、六階部分が図書室でした。
しかし、平成時代に入ると建物の老朽化に加えて、展示スペースが手狭になった事から、被爆50周年事業として同会館は取り壊され、その南側に平成８(1996)年、現在の長崎原爆資料館が開館したのです。
爆心地を臨む高台に位置する地上二階・地下二階から成り、爆心地周辺の景観を害さないよう設計されたため、地下部分が有効活用されており、屋上部分は庭園化されています。玄関は地下一階、展示スペースは地下二階に設けられており、入館者は螺旋(ﾗｾﾝ)状の通路を下って行く形になります。地上階には、反米イヴェントで活用される事が多いホールや図書室、長崎市の事務室等が設けられています。
長崎原爆資料館の東隣には国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館があります。平成15(2003)年、長崎市に於ける初の国の原爆犠牲者追悼施設として設けられ、財団法人長崎平和推進協会が運営・管理を行っています。入館は無料です。長い名前なので、一般には単に追悼平和祈念館と呼ばれています。館内の至る所に水盤を配置し、原子爆弾による灼熱の中で水を渇望しながら息絶えた犠牲者を悼んでいます。
長崎市平和会館も長崎原爆資料館に隣接しています。昭和56(1981)年にオープンした施設で、地下一階には長崎市歴史民俗資料館、一階には長崎市野口彌太郎記念美術館が入っており、三・四階は716人収容の平和会館ホールになっています。
長崎市野口彌太郎記念美術館は、平成５(1993)年に旧長崎英国領事館〔重要文化財〕《https:/
日本を代表する洋画家の一人である野口彌太郎(1899〜1976)は、第一銀行行員で後に常務取締役となる野口弥三の子として東京で生まれましたが、12歳になった明治44(1911)年に虚弱な体質を案じた父が父方の祖母宅である長崎県北高来郡小野村(現；長崎県諫早市小野町)へ転居させました。その直後に父の神戸転勤に伴って彌太郎も神戸に転居、関西学院中等部へ入学しました。
関学中等部卒業後、川端画塾に学び、大正11(1922)に二科展で初入選、大正15(1926)年には「一九三〇年協会」会員となります。昭和４(1929)年にフランス共和国へ渡り、サロン・ドートンヌに出品、昭和８(1933)年に帰国して独立美術協会会員となりました。
戦後、昭和24(1949)年から昭和45(1970)年まで日本大学芸術学部教授を務め、昭和50(1975)年には日本芸術院会員に選出されています。
彌太郎が長崎で暮らしたのは僅かな期間でしたが、彼は長崎の光景と人情を非常に好んで、日大教授時代は頻繁に長崎を訪れて多くの作品を描き、地元の画壇と交流を持ちました。彼は「長崎のよさは、のんびりした土地と同時にのんびりした気質だと思う。これは、いつも長崎駅に降り立った時に風のように空気のように感じることである。長崎が特に画材に適している理由は、古い木造洋館が自然とよく調和した風景美を持っているからである」と語っています。
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