TRPGサークル ludusコミュのNumenera（ニューメネラ）：第九世界の解説（トピック④：13～16）

＞第九世界の解説（トピック④）

■13　第九世界の服装
　ステッドファストの人々の服装は千差万別だ。大抵の人々は古代の遺跡から衣服や、その切れ端を発見し、つなぎあわせ、縫製し、それぞれの嗜好、信条、“形状”にしたがって服を着る。荒野ではなく都市の人間が経済動物から衣服をそっくりそのまま作り出すことはまれだ。ほとんどの衣服は、持ち主の職能や身分をあらわす。たとえば農夫は簡素で作業に便利な布に近い性質の上着、ズボン、ベルト、履物を組み合せる。貴族は絢爛豪華な“過去”の素材を組み合せ、特注の“現代”にもない、奇妙で華麗な服を発注する。共通している部分は、それらの多くの衣服が“過去”のテクノロジーの再生産品であるということだ。ただ、ほとんどの人々の衣服はステッドファストの赤味をおびた強い太陽から身を守るために、ゆったりとしたラフな服装であることが多い。ひろつばの帽子やフード（トーガ）をまとう。もちろん寒冷や熱帯の地方ではそのかぎりではないだろう。

■14　第九世界の言語
　10億年後の舞台を理解するとき、言語は、ゲームプレイのうえで人々が興味を抱く複雑な話題だ。ファンタジーや中世が舞台のフィクションでは、お約束で全員がリア王風の英国方式で会話するのが典型だ。だが、このお約束の方法も『ニューメネラ』では適当ではない。第九世界の人々は英語でやりとりなどしないからだ。たとえば「ポープ（pope）」「シンセ（synth）」といった単語の発音は英語に近い。第九世界の「ポープ」は“教皇”“法皇”“父”“神”を意味し、中世ヨーロッパの言語へ出自が関係している。だが「シンセ」は中世ヨーロッパとはなんの関係もない言葉と意味だ。ところが第九世界の言語は奇妙な性質を抱き、その音声は人工の発声かつ単純だというのに意味を力強く伝達する。21世紀の我々でも理解できるように――。その意志伝達のために、言葉の条件が何百と選択されたのだろう。 *1 以下はステッドファストを代表する言語だ。

▼14－１　トゥルース（真語）：　イオン・プリーストらは、この合理と知性からなる言語を伝えて教える。その名前――トゥルース――は第九世界で“真実”を話す意味がある。名前と意味の両方の一致（“真実”の意味）は、“真教”の意思が組み込まれるゆえだ。トゥルースの文法は単純かつ素直で、伝えて教えるのが簡単で、なおかつ学習するのも簡単だ。トゥルースはステッドファストの主要言語で、人口のおよそ80％がトゥルースを話す。都市では１00％に近く、ビヨンド（beyond）の人々でも60％が理解する。ただ、孤立した地域では独自の言語があることはめずらしくない。また、読み書きについては以下の「■15　第九世界の読み書き」を参照にすること。

▼14－２　シントーク（罪語）：　品物を評価し、取り引きと勘定に関係した言語で荒々しく単純な言葉が多い。シントークはトゥルースより歴史が古い。だが広く一般に使用されない。シントークはステッドファストの通貨単位“シン”と強く関係している。そのため商人や店主が好（よ）く使用する。また、裏取引や裏稼業の人間も取り引きの符牒に好む。

▼14－３　言語（そのほか）：　５00の完全に別種の言語が、第九世界では確認され、使用もされている。彼らには彼らだけの独自の言語が存在するため、旅人がビヨンドの小さな村で会話できないということはめずらしくもない。これらのトラブルは“普通”のことのため、人々は言語を使用せず、苦労しながら身振り手振りで交流するのに慣れている。

※1　おそらく第九世界以前の世界で“言葉”の性質が解明され、その解明を利用した言語が整理・編纂されたはずだ。“言霊”に近いものもあるかもしれない。

■15　第九世界の読み書き
　第九世界のほとんどの人々は読み書きができない。トゥルース（真語）にかぎっていえばステッドファストのおおむね50％の人々が平均的な読み書き能力をもっている。また、だれでも約款（やっかん）や、本のなかの２、３の言葉を知っており読むことができるだろう。都市生活では文面を読むことが日常的なために、大きな都市の人々の読み書き能力は70％を超え、反対に小さな村や町の読み書き能力は40％を割る。孤立した集落では10％以下になるだろう。ビヨンドの人々の、トゥルース（真語）の平均的な読み書き能力は50％で、アルディア（Aldeia）では10％～20％ぐらいだ。ただ、トゥルース（真語）以外の主要言語が存在する場合、読み書き能力の割合はいちじるしく変化する。

■16　第九世界の宗教
　第九世界の宗教は多種多様だ。人々は宇宙の力と、過去と未来、真実の崇拝を探求するため宗教を作り出す。ただ、第九世界の宗教は、地域や共同、あるいは数人のための宗教とバラバラだ。まとまりがない多神教的世界ともいえるだろう。唯一、普及しているのは真教だ。数多くの人々が存在を知り、各地共同には伝道を行うイオン・プリーストが席を置く。プリーストらは共同の知恵者で相談役でもある。

　最初に説明したように第九世界の宗教はバラバラだ。たとえば、ある地域の宗教は我々の知る神話の物語を踏襲するかもしれない。ある地域では世界に残存したAI（人工知能）を信仰するかもしれない。一部宗教は絶対で熱心だが、一方では、ほとんどはさりげなく生活習慣に取り込まれている。また、宗教の“概念”すらない場所もステッドファストには存在する。まず彼らは信仰を理解しないだろう。

　注意してほしいことはモチーフはよしとしても、第九世界の宗教は、キリスト教、イスラム教、仏教など、現在の宗教の教義と概念を形成しないところである。また、それらの宗教も生き残ってはいない。現在の一般常識と道徳を形成する宗教の教義が、第九世界の信念や道義を形成しているわけではないのだ。とはいえ基本的に宗教は善性を追求し、そのわかりやすい教義を持つ宗教が人々の人気を得る。