いじめの加害者たちコミュのなぜ、君が不合格で　　なぜ、彼が合格なんだ

　読んだわけでないので、どんなことが書かれてあるかわからないが『顔を見ただけでわかる』という本があったように思う。

　誠、人はお互いに「顔」を見て「わかり合って」生活していて、困ることはほとんどない。
教師もそう、学校の中で一緒に仕事をしていれば、他の教師のプラスもマイナスもほとんどわかる。初対面でおおよその見当はついて、その「勘」が外れたこともない。

　何より子どもたちの目、教師の人としての性質やその「指導力」を見分ける判断力の鋭さ、子どもゆえの公平さは大人（教師）の比でない。

　教師と子どもは「教え・学ぶ」者として上下の関係、平等でないし、平等なら教室の秩序が保てない。
学ぶ者としての子どもは、教える者としての教師に、ほぼ絶対の「服従」を強いられる関係だから、子どもによる教師の「観察・評価」は、必然、鋭くならざるを得ないし、そのゆえ「公平」でもある。

　教師が仲間の教師を「評価」するとき、そういう子どもたちの目を通した評価でもある。
自分の学級で授業をする「教科」担当の教師は、学級の子どもたちが「評価」している。他のクラスに授業に行けば、その学級の子どもたちが「担任」としての教師を評価している。

　そんな子どもたちの「本音」がわかる位置に自分を置けば、教師の評価を通して、子どもたちが何を持って良しとしているかもわかる。
教師の仕事は、子どもとの「関係」にはじまって、子どもとの「関係」で終る、そのくり返しに過ぎない。

　「でも・しか先生」が子どもたちに強くて、「高偏差値」教師が弱いのは、子どもたちの「関係」をつくれるかどうか、にかかっていたし、今もそれは同じである。

　八〇年代、この「高偏差値」教師が教育現場に登場したとき、「教壇に立つだけで、足がふるえる」と半月ほどで辞めてしまうと教師が続いて驚かされたことがある。

　そして、「なんか、変だな」と改めて思うようになったのが九〇年代、「派遣社員」とか「派遣会社」といわれるようになるのとほぼ同じ頃であった。

　教育現場に、「期限付採用」教師が増えていく。「臨時」の教師なんだけれど、退職教師が「非常勤」として仕事をするのとは違って「常勤」、担任や部活を持つし、校務分掌も担当する。
仕事の内容は「正規」に採用された教師と同じだから、臨時採用としてはそれなりに待遇もいい。
しかし、再雇用されなければそれで終り、ただの「失業者」に戻るのだから切ない。

　九〇年代からの、教育現場の一つの特徴は、教師がどんどん「若返っていく」ということだった。
そして、職員室に、二通りの「若い」教師がいることとなった。
ほぼストレートか、二、三年で「採用試験」に合格して、「正規」に採用された教師。
一方に、四、五年とか七、八年、ひどいのは十年以上も合格できないまま「期限付採用」で、一年毎に違う学校で仕事をしている「渡り鳥先生」ともいうべき「期限付採用」の「教師」たち。

　ところがよく見ていると、「どうも変だ」という例がいくらでもある。
どう見たって「期限付採用」教師に指導力があって、子どもたちの「反応」も明らかにそのことを示している。
経験も実力もあるのに、「なぜ」合格できないの、合格させてもらえないの、もう受験の必要さえない、この学校の先生皆で「推薦」してやれば決まりだ、と思うことが何度もあった。
しかし、「何」が「どう」試されたかさえわからない「教員採用試験」が彼らをはばむ。

　一方で、「教壇に立っただけで、足がふるえる」というのは流石（さすが）になくなったが、そういう「軟羽」さを隠し持っているような人物がほぼストレートに合格して「正規」に採用されてくる。

　北海道の教員採用試験では、一次の「筆記」試験で落ちるようなら仕方ない、「あきらめなさいよ」だった。
そして、二次の「面接」が勝負だといわれてきた。
しかし、その二次「面接」の「傾向と対策」そのもののような「資料」が、面接官でもある「校長」を通して「流出」していたというのが、大分県の「贈収賄」に先立って明らかになった北海道の「教員採用」疑惑であった。

　ところが、大分県では、一次の「筆記」試験で合格者の点数を削り、不合格者の点数に下駄を履かせていたというのだから、県教委「お墨付き」の「合格者」は面接など素通りするようなものであったろう。