いじめの加害者たちコミュの平成の田舎芝居　大分県　教員採用をめぐる「贈収賄」

　腐敗の底なし沼。
　これほど耳目に心地よくひびくフレーズもない。
　世間にうっ積している「憤懣やるかたなし」の気分を一掃してくれるキャッチフレーズとして最高、ワイドショー「ネタ」としてもこれ以上のものはないだろう。

　しかし、どこかもの悲しくもある。
　内部告発があって、もう逃れようがないと悟ったらしい校長と教頭が、市教委の職員に付き添われて警察に出頭して元々、というのが「大分スキャンダル」の発端であった。

　連日テレビに映される校長や教頭、県教委のお偉いさんたち。
　一方の取り調べる「県警」の捜査官たち。
　なんか「変だな」と思えてきた。結局「悪い奴ほどよく眠る」で、「告発」しようのない相手、「告発」しても「ケガ」さえしない相手がいて、今「捜査」している大分「県警」もそうだ。

　県警や道警の「裏金問題」というのがあった。
　告発したのは「警察署長」クラスの幹部だった。
　恐らくは全国の都道府県警のすべてで、一つの例外もなくなされてきて、今後もなくなることはないと思われる「裏金」づくりであるのに、「そんな事実はなかった」で終わってしまった。

　四十七都道府県という。
　四十七の自治体が同じ「立場」で、同じ「地位」が与えられているということなんだけれど、「大分県」の人口はわずかに１２１万人（２００５年国勢調査、以下同じ）。
　知事の人気で、テレビの「お笑い」がそのまま引っ越してしまったかのようになってしまった宮崎県が１１５万人。
　もう一つ注目してほしかったのが熊本県で、ここが１８４万人だから、少しにぎやかだ。
　三県合わせても人口は４２０万人、北海道は５６２万人だから福岡県とほぼ同じ。一つの「島」として比べれば北海道はもっと少ないともいえるのだけれど。

　政令指定都市の横浜市が３５８万人。
　大阪市が２６３万人。
　名古屋市が２２１万人と続いて、日本の「チベット」（昔、岩手県がそう呼ばれた）ともいうべき北海道が誇るべき政令指定都市「札幌」でさえ、大分県よりはるかに多い１８８万人もの人が生活しているんですぜ。

　都道府県があって、その「下」に市町村があることにはなっている。
　しかし「大分」や「宮崎」、「熊本」を日本全体の中で眺めれば、せいぜい「町・村」のようなもの、「町」でさえなくて「村」、失礼をかえりみずにいえば「限界集落」といってもいいくらいの人しか住んでいないともいえる。

　そんな「集落」で、教員を４０人採用して、１０人以上が「贈収賄」の「恩恵」をこうむっていた。それはそれで大変なこと、許されることではないが、そんな騒ぎの中で「日本」の「巨悪」は惰眠をむさぼっていられるということも忘れてならないのでないか。

　そこで、熊本県。
　文科省のいじめ調査は「デタラメ」だと先に書いた。
　人一倍気が小さい「カツオ先生」が、なんで、そんな大胆なことを口にできるかといえば、「証拠」が山ほどあるからだ。

　証拠の一つ。
　文科省の最新の調査は、二〇〇七年四月以降に行った「二〇〇六年度」のもの。
　二〇〇六年度、全国の小中高・私立国立学校のいじめは、二〇〇五年度の「６倍・１２万件」だった。ところが同じ調査で熊本県は「１１２０５件」だった。
　つまり全国で「１２万件」のいじめの、実に「１０分の１」が熊本県で起っていたというのである。
　人口わずか１８４万人の熊本県で、全国のいじめの「１０件に１件」が起っていたというのだから、「開いた口が塞がらない」というしかないではないか。

　もちろん、人口と「いじめ件数」が比例するわけではない。
　しかしそのことをいうなら、むしろ逆で、熊本県のような過疎の地域は「少子・高齢化」、政令指定都市があるような大都市圏より、子どもの割合ははるかに少ない。
　そんなところで全国の「１０件に１件」のいじめが起っていたといわれても、頭を狂わせでもしなければ信じられるようなことでない。

　文科省の「調査」というけれど、市町村―都道府県の教育委員会から順次「報告」された数値を集計しているだけ、調査そのものは「学校（教師）」が行っている「はず」である。
　そのゆえ「デタラメ」は「学校（教師）」のことだ、といえなくはない。
　しかしそうなれば、超エリート官僚が仕事をなさっている文科省というところは、「デタラメ」な「数値」を集計することしかできないどころか、といわれても仕方がないことになってしまう。

　大分県の「贈収賄」騒動が「田舎芝居」なら、文科省のこのていたらくぶりは、何にたとえればいいのであろうか。