ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

おいしさを科学するコミュの【番外編】世の中面白研究所

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著作とか壮大なことを言っておきながら、いきなり番外編ですみません・・・


NHKラジオ第一で、6月23日オンエアの「世の中面白研究所」について、
私が作成した台本原稿をここに貼り付けておきます。
(放送時はこれを元にフリートークをしたので詳細や順序は違っています。)


聞けなかった方、正確な情報を確認したいかた、どうぞ! ^^

====================================

小堺  世の中面白研究所、改めまして、私、所長の小堺一機です。

青木  青木裕子でございます。

小堺  さて、続いては?

青木  今週もお呼びしました。最近気になる、世の中で話題の人物、
「キニナル人」を。

小堺  (受けて)

青木  今週のキニナル人は、黄金の舌を持つと言われる味覚のスペシャリスト、
おいしさ鑑定士の福田洋一郎さんです。

福田  (挨拶)

青木  福田さんのお仕事は、食べ物を「官能評価」することです。
これまでに調べた品目はなんと3万5千品目!

小堺  ※官能評価とは?

福田  (説明/以下同様のパターン)
人間の体を使って調べて点数をつけることを、学術上で「官能評価」と言う。
例えば、私が行なっている味見もそうだし、衣服の肌触りを着て確かめるのも、
新しい自動車に試乗して居住感などをカラダで確かめるのも、
広い意味では官能評価と言える。
味を細かく調査して、企業に新しい味の提案や調整をアドバイスしている。


小堺  Q:今までにどんな調査を?

最初に入社したのがコンビニエンスストアだったので、
売場に並ぶ商品を片っ端から味見するところから。
他には、ある地域の喫茶店のコーヒー全てとか、
ボジョレーヌーボーを解禁日に40本とか・・・
皆様が思うほど楽ではありません(笑)
焼酎を一度に200種類以上調べた時には、さすがに倒れそうになりました。


小堺  Q:どんなアドバイスを?

企業ではどうしても、50代〜60代の役職者の意見が通ってしまう。
でも、それが若い女性のために開発される食品ならば、
味もそのターゲットに向けたものにしなければならないので、
そのあたりの微調整をアドバイスしたり・・・
それなら誰にでもできる仕事になってしまいますが、一応、プロとしては、
具体的に、製造工程の中で、加熱時間を数秒延ばしたら良いとか、
原材料の構成比率を変更した方が良いとか、そのようなアドバイスを送ります。


小堺  Q:この仕事を始められたきっかけは?

先ほど申し上げたコンビニエンスストアの仕事がきっかけですね。
そのあと、食品メーカーや外食産業に転職する間に、
気づけばいつも「味見担当」になっていました。
「おいしさ鑑定士」という肩書きは、おいしさの科学研究所という社団法人が
主催するセミナーを受講して、資格を頂いたものです。


小堺  Q:特別な訓練をされたんですか?

実は何もしていないんですよ。
「おいしさ鑑定士」という資格を取るために専門的な知識を学ばせて頂いたので、
例えば、人間が味覚を感じる仕組みとか、知識として知っていますが、
自分の味覚を研ぎ澄ますための訓練と言えるものは・・・
強いて挙げるならば、
「普段の飲食の場面でも、印象的な味に出会ったら、それを覚えるように、
味覚の記憶を整理していくことじゃないでしょうかね?」
そうすると、ある味に出会った時、頭の中のスクリーンに、味の地図が広がって、
その味がどのあたりの位置づけなのかということがイメージとできる。
有名なソムリエの方と仕事したことがあるのですが、
その方も、似たような感覚をお持ちでした。


小堺  Q:今までにされた「官能評価」で難しかったものは?

簡単なものは無いですね。突き詰めると単純そうなものでも全て難しい。
その食品に生活を賭けている方々、生産業者、加工業者、販売業者、
そのご苦労を存じ上げているので、本当に難しいです。
単純な味見ならば、誰でもできることなんですが、
その食品を作り上げた方がどんな想いを込めて誕生したものなのか、
それを味から察してあげるのは、本当に難しいです。
音楽を聴いて、作詞者や作曲者の意図を想像していくのに似ていますね。
食品も、一つの作品ですからね。


小堺  Q:そういえば、牛乳の産地がわかると聞いたのですが?

牛乳は、牛が食べた草が生えている土壌や気候で味が変わります。
一般で言われているように寒い地域の方が、脂肪分が豊かなのは事実です。
脂肪分が多い方が、クリーミーでまろやかな味になります。
ただ、同じ北海道産でも味が違うんですね。
内陸地よりも海に近い地域の方が、ミネラルがより多く含まれています。
首都圏で作られたものは、北日本に比べるとあっさりした味になりますね。
牛乳には濃い薄いだけではなく、脂肪分とミネラル分という二つの軸があって、
その二つにより、ビールやワインのようにコクが強いかキレが強いかも分かれているので
平面的な味の広がりがあるということなんです。
牛乳の味の評価は、ソムリエに似ているかもしれませんね。
土壌、品種で見極めますので。
ただ、ブドウという植物からできるワインと違って、牛乳は牛という動物からできるので
その意味では、日々、味が違うことも事実です。
なので、牛乳の味で産地を当てるのは、難しいと思いますよ。


小堺  Q:今までの調査で楽しかったことは?
多くの食品に出会えることと、それを生んだ方々に出会えることです。
食品は人のカラダやイノチを作るものですから、
生んだ方々も、皆さん、心の温かい素敵な方ばかりです。
そして、調査を通じて、新商品、すなわち新しい味が誕生した瞬間が、
この上ない喜びですね。


小堺  Q:黄金の舌を保つためにしていることは?
先ほど申し上げた、「普段の飲食から意識的に味を見ていくことです」
実は、それ以外には特に何もしていないんです。


小堺  Q:いつごろからご自分の「舌」に自信をもたれていたんですか?
うーん・・・ 今でも自信は無いですねぇ。。。
単純な味覚の敏感さで言えば、若い人の方が有利ですし、
業務の都合上、強いお酒の味も、タバコの味も、調査しているので、
舌に自信と言うよりも、「味の記憶のストックをたくさん持っていて、
それが頭の中で引き出しのようなものに整理されている感覚」ですね。


小堺  Q:ちなみに今週の前半で特集した「納豆」の調査は?
      (福田さんは納豆お好きですか?

ものすごく好きなんですよ!!!(興奮)
本当に納豆が好きなので、直径10センチくらいの納豆ボールがあったら
どんなに幸せかと思いますよ! 納豆にかじりつきたい。。。
普段買うのも、流行の小粒ではなく、大粒の納豆を買うんです。
奥歯で納豆をかみ締める感覚、旨味がにじみ出てくる感覚、大好きですね!

小堺・青木 (受けて)

福田  ところでお二人は、そもそも味覚は何種類あるかご存じですか?

小堺・青木  (お考えください)

福田  正解は・・・
酸味・苦味・甘味・塩味・旨味
○5つの味覚は、人間が生きていくうえで必要な「シグナル」なんですね。
・ 酸味=腐っているという証拠
・ 苦味=主に植物に由来する毒の存在の証拠(摂取量を間違えると死に至る)
・ 甘味=エネルギーになる糖分が存在する証拠
・ 塩味=体液のバランスを保つナトリウムが存在する証拠
・ 旨味=たんぱく質、アミノ酸が存在する証拠
本能に影響するものばかりで、特に甘味はどの生物も好む!
母乳も練乳のように甘い。原始的な味覚は甘味と言える。
○ さらに、甘味、塩味、旨みを摂取すると快感を覚えることもわかっている。
なので摂取量の基準値を越えてしまいがち。
そのために、人は、生活習慣病になってしまうのでは。
○ちなみに、辛味、渋味は5味覚に入らない。味覚細胞がないため。
○辛味は火傷状態、渋味は味覚細胞を破壊する。
○渋柿を食べると、他の食材の味がしばらくわからなくなる・・・

小堺・青木  (感想を)

小堺  福田さん、「旨味」という味が最近世界でも注目されているとか?・・・

福田  
○旨味は日本人が特に敏感に感じることのできる味覚のようですね。
○欧米人にはなかなか判別できない味だった。塩味と甘味など、
  他の味がブレンドされてできるものと言われていたりした。
○砂糖と塩をブレンドしても、鰹だしにはならないのに・・・
○1908年に日本人の研究者が5番目の味覚に挙げるよう学会で提唱したが、
  理解されずに、80年近くなって1985年にようやく認定された。
○旨味は、そのままアルファベットでUmamiと表記される。
○どうして欧米人に理解されなかったのかというと・・・(説明)
▼和食の出汁文化に理由があるのではないか。
▼薄味のお吸い物などで幼児期から味を覚えさせる「食育」の賜物ではないか。
▼和食はそもそも、鰹だしやいりこだしなどが味の基本。
▼出汁には旨味成分のグルタミン酸ナトリウムや、イノシン酸ナトリウムが含まれる。
▼舌の「味蕾(みらい)」という器官に存在する味覚細胞は、胎児の頃から形成され
生まれてから3歳くらいまでそれが続くと言われていて、その時期に味わったものが
その人のその後の味覚に大きな影響を与えているのではないかと思われます。
お母さんの味噌汁を味わって育った日本人の舌は世界に誇れるものだと思いますよ。
▼料理やソムリエ、パティシエの世界大会でも日本人が優勝する理由は、
そんな背景が理由なのかもしれませんねぇ〜 (※ ここは断定できないです)


小堺・青木  (受けて)

福田  
▼最近の日本人の味覚は、壊れてきていると言われています。
▼昔ながらの食生活が失われつつあるのも一つの理由かもしれません。
▼例えば、今どきの食卓を思い返してみると・・・
おじいちゃん・おばあちゃんは和食、
お父さんはビールにおつまみ、お母さんはダイエットでサラダ、
子どもたちはハンバーグやスパゲティなどの洋食。。。
家族それぞれが自分の好きなものを別々に食べてしまっている。
同じ料理を囲むことが減っているのでは?

小堺・青木 (お二人のご家庭ではいかがですか?)

福田   
○昭和30〜40年代には、家族全員同じものを食べていたはず。
○核家族化、個食が進むと日本人がせっかく築いてきた食文化が
  世代間で継承されなくなってしまうんですね。
○たまには、家族一緒に同じ料理を味わってみてはいかが?

小堺  (感想)

青木  今週のキニナル人は、おいしさ鑑定士の福田洋一郎さんでした。
    ありがとうございました。

コメント(5)

福田さん 
かっこいいですね。
納得する部分がたくさんありました。
3歳までに旨みを味わっている日本人文化は大切にしたいですね。

鑑定士の資格取得は可能ですか?
かっこいいかどうか、よくわかりませんが(苦笑)


おいしさ鑑定士の資格取得ですが、問題は2つでしょう。

1.費用
私が受講していた頃は、1回(午後+翌日の午前と午後)で、5万円でした。
自己負担などできるはずもなく、全額会社負担でした。

2.時間
上記のような1日半の時間を、平日に取れるかどうか。
多忙な会社員だとかなり厳しいかもしれません。


あと、私は農学部農芸化学科出身なので、それほど苦にしなかったのですが、
認定試験のレベルは、食品化学系の大学院の修士課程の入試くらいです。

主に、食品化学・食品保存学・食品衛生学・食品物理学・栄養学・遺伝子工学が中心ですが、
医学および歯学の知識を必要とする、味を感知する人体構造の仕組みの理解など、
かなり難解なものも、試験の内容に含まれます。
(例:大脳辺縁系における脳内麻薬物質や報酬系が食欲を亢進する機能など)

よって、文系の方が受講する際には、
高校化学(基礎科学・熱化学・有機化学)と
高校生物(消化と酵素・細胞の仕組みと遺伝子)あたりは、
マスターしなければ、講義が理解できない可能性が高いと思います。

理系の場合でも、物理と化学で大学に入った方は、少し苦労するかもしれません。


認定試験は、論文10種類(各1000〜1500字)くらいで、
講義資料を見ながら書けることは有難いのですが、私で12時間ほどを要しました。
科学的知識が無いと、これは数日を要するのかもしれません。
う・・・受けてみようかな。。。
でも論文キライだな・・・
ひょろさんなら、簡単に合格しそうです! ^^
味の記憶、和の食文化と旨味論。共感します。

家庭で出来ない日本の団欒をお店で少しお手伝い出来ないものかなぁ。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

おいしさを科学する 更新情報

おいしさを科学するのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。