Poe-TriコミュのPoe-Tri Vol.9 朗読テキスト

３月４日（水）のPoe-Tri　Vol.9、出演者の皆様、お疲れ様でした＆ありがとうございました。

差し支えなければ、当日朗読したテキストのURLまたは本文をこちらに貼り付けてゆきましょう。

まず私から。

「卒業式」は自作。
http://www1.odn.ne.jp/goingthedistance/sot.html

アイリッシュ・トラッドの「キルケリー」は、これ↓
http://www.amazon.co.jp/Green-Fields-America-Live-Concert/dp/B000005CNS/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=music&qid=1236348882&sr=1-2
に収録されているのが良いです。ステージで詠んだ日本語訳は、私がてきとうに訳したものです。細部は間違いの可能性が・・・

キルケリー、アイルランド　1860年　
愛する息子ジョンへ
おまえの友達の、学校の先生をしているパット・マクナマラが、
私の言うことを代筆してくれている。
おまえの弟たちは皆、イングランドへ仕事を探しに行った。
家はがらんとして寂しい。
ジャガイモは、みな伝染病にやられ、半分から3分の1はだめだ。
それから、おまえの妹のブリジッドとパトリック・オドナルドが
6月に結婚することになった。
母さんが、鉄道工事の仕事はするなと言っている。
できるだけ早く、帰ってくるように。

キルケリー、アイルランド　1870年　
愛する息子ジョンへ
おまえの奥さんと4人の子供たちによろしく。
みんな元気で、健康に育ちますように
マイケルは、つまらないトラブルを起こした
まったく成長しない男だ。
湿気がひどくて炭に火もつかず
家はもう燃やすものもない。
ブリジッドだが、おまえが娘の名付け親になってくれて喜んでいる。
あいつの子供もこれで６人目だ
おまえは仕事を見つけたというが、どんな仕事か書いてないな。
いつになったら帰ってくるのかも。

キルケリー、アイルランド　1880年　
愛する息子、マイケルとジョンへ
こんな悲しい知らせをしなければならないことはとても辛い
母さんが死んだ。
キルケリーの教会に母さんを埋葬した。
おまえたちの弟たちと、ブリジットと一緒に
心配しなくていい、母さんは本当にすうっと死んだ
お祈りをするときは、母さんを思い出せ。
そして、マイケルが金を持って帰ってきて
土地を買うのだと聞いたが、それはとてもいいことだ。
収穫は何年もずっと悪く、みんな、値段に関わらず
土地を売りたがっているのだから。

キルケリー、アイルランド、1890年　
愛する息子ジョンへ
八十歳になったら、私もきっと店じまいだろう
おまえが行ってしまってから、もう30年経ったな。
おまえが金を送ってくれるおかげで
私はなんとか人に世話にならずに済んでいる。
マイケルは自分で立派な家を建てたし、
ブリジットの娘たちも大きくなった。
おまえの家族の写真を送ってくれてありがとう
みんな素晴らしい若者になったな。
こっちへ遊びにくるかも知れないと書いていたが
おまえに会えたらどんなに嬉しいだろう。

キルケリー、アイルランド、1892年　
愛するジョン兄さんへ
すぐに手紙が書けなかったことをお詫びします
父さんが亡くなりました。
父さんはブリジットと一緒に住んでいましたが、最後まで明るく元気だったそうです。
ああ、父さんが、兄さんの友達の、パット・マクナマラと一緒に
孫たちと遊ぶところを、兄さんに見せたかった。
キルケリーの教会の
母さんの隣に、父さんを埋葬しました。
父さんは強く、勝ち気な人でした。
自分の人生はとても辛いものだったと思っていました。
いつも、おかしいくらい兄さんのことばかり話し、
息をひきとるとき、兄さんを呼んでいました。
ねえ、どうして遊びに来てくれないのですか
私たちはみんな、兄さんと会いたくてたまらないのに。