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銀土魂コミュの妄想垂れ流していいですか?2

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明日、銀魂の映画が封切されますね揺れるハート
あわせて妄想を垂れ流させていただこうと思っていたのですが、
まだ、書き終わっていませんあせあせ(飛び散る汗)
何とか明日中にはアップしきりたいと思います。

くだらない妄想の上、1の焼き直しなのですがあせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)
お楽しみいただければ幸いですexclamation ×2

コメント(24)

「おやぁ?お花ちゃん、何してんの?」
「あら銀さん、この間は助かったわ。個人的にお礼したいと思ってたところなのよ。」
空よりもネオンがまぶしくなる時間帯に巡察していると 時々、こういう光景に出くわす。
「何なに?個人的にお礼?うれしいねぇ。銀さんちょうど甘いものが切れててさぁ。もう禁断症状?みたいな。」
「やーね、もうっ。すぐにケーキやパフェなんだからぁ。じゃぁ・・・」
一人として相手は同じ女ではなかったが、たいてい流れは同じだ。
ヒソヒソと耳打ちする女の話を聞いてる万事屋の顔が微妙に緩む。
「へえー、マジ?最近はそんなとこあんの?」
「どう?気に入った?」
「食べ放題なの?そこ。」
「もちろんよぉ。”あ・た・し”もね。」
「よーし銀さん、はりきっちゃおっかなぁー。そっちもそういえばご無沙汰だったしねー。」
にかっと笑うと腕に纏わりついた女と人ごみに消えていった。

「あっ!副長ーっ。ひどいですよぉー置いていくなんてぇー。」
我に返り、くわえたままつける事を忘れていたタバコに火をつけ振り返った。
「おめェが遅いのが悪ィ。」
おかげで胸クソ悪ィモン見ちまったじゃねえか。ひとりごちて
とりあえず山崎を殴っておく。
「?」
(――――胸クソ悪い?なんで?何が?)
ふっと浮かんだ疑問が携帯の音にまぎれる。
「ハイ土方―。」
「ザキ、すぐそこで喧嘩だ、行くぞ。」
「は、ハイィ!」
酔っ払いの喧嘩だったが抜刀しながらとのことだったので見物人を割りながら近づいてみると

「目玉焼きには醤油だろーがぁぁああ!!」
「ウルセェ!味覚音痴がァ!!塩コショウで決まってんだよォ!!ウルァ!」

めまいがしそうなくだらない喧嘩の内容にさっさと抜刀するやいなや、回し蹴りで蹴り倒し二人とも仕留めて抜身の切っ先を突きつけながら

「オイ。目玉焼きだろーが出し巻きだろーがマヨネーズが決まりだァ!それででいいな?オラァ!」

ゴゴゴゴゴッとでも音のしそうな暗黒オーラを纏いながら一応喧嘩の仲裁を片付けた。
遅れて到着した隊員に後を任せ
「山崎、巡察にもどるぞ。」
元のルートに戻ろうとしたとたん、再び携帯が鳴り、結局あっちこっちに振り回されている間に気がつけば定時をとっくに過ぎてしまっていた。
「山崎、お前もう上がっていいぞ。」
「えっ、副長はどうするんですか?」
「俺ァ一回りしたら帰る。」
「そんなこといって厄介ごとに巻き込まれないでくださいね。」
「うるセェ、いいからとっとと帰れ。」
監察の山崎を連れまわして肝心なときに使えないようでは困るのだ。
副長の自分にもそれが当てはまるとの自覚は微塵もなかったが。
「ふぁっ―・・・あぁんっ あっ、あぁ、」
銀時とて男であるからして放っておいても溜まるものは溜まるのだ。いつも厠で処理をしていては虚しくもなるというもの。後腐れない相手と肌を合わせるのは嫌いではない。背負い込むのが面倒なだけに一人に絞ることは避けている。なんせいつのまにか万事屋はメンバーも増えたし、そもそも自分には何かを守ることなどできはしないのだ。ぺろりと首筋に舌を這わせながら、跡が残らないように吸い付いた。やわらかい身体が縋りついてくると、ふっと笑みをこぼし人肌を堪能する。快楽はお互いが溺れるものでイーブンだ。それだけでいい。

「銀さん、堂々と朝帰りですか?」
すでに来ていた新八がひそかに眉根を寄せる。
「いやぁ〜、この前、ストーカー浪士に付きまとわれてたお花ちゃんがさぁー、銀さんにどーっしても個人的にお礼がしたいっていうからね?最近糖分不足だって言ったら、奢ってくれたのよ。
ケーキバイキングで食べ放題!久しぶりに堪能したなぁ。」
「銀ちゃん、なんでワタシに声かけなかったアルカ!おなかいっぱい食べられるチャンスなんてそうないネ!」
ふくれっ面しながら押入れから出てきた神楽に
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜、個人的なお礼に呼べるわけないでしょ?対象は銀さんだけなのっ!」
「なんで銀ちゃんだけアルカ?それ、3人でした仕事だったはずネ。」
「そりゃお前、お花ちゃんのストーカー撃退の話だけだろ?
銀さんはねぇ、お花ちゃんの彼氏のフォローまでちゃあんとして仕上げたわけよ。
商人にゃ切った張ったは無理だろ?だけど無理でも何でも彼女を守ろうとした心意気はあったわけでね?それをお花ちゃんに伝えて人の仲を取り持ったわけなの!
そういう細やかなサービスのお礼な。つーことでお前と新八ははずされたわけ。」
嘘は言っていない。もちろん言ってないことはあるけど、子供とも呼べる年齢の二人には話さないほうがいいこともある、それだけだ。
「あんまり爛れた生活してるといつか後悔しても知りませんからね。」
聡い新八はそれでも何か気づいてはいるようだが、聞こえないふりでジャンプを読むことにした。

昼過ぎに貞治の散歩がてら3人でぶらついていると見知った顔を遠くに見かけた。黒のそれは昼間見るには少し周りから浮いて見える。
(そういやあんときゃあ あいつが近くにいたんだっけ)
もちろん気がついていたが、あの時はいつもの隙のない顔つきとどこか違った。その証拠に場所を離れるまで、くわえていたものに火が灯ることがなかったのだから。
「あっ沖田さーん、土方さーん。お仕事ですか?」
目の悪い新八が気がついて手を振る。続いて神楽が朝のやり取りの不満をぶつけに走った。
「ちょっと聞くヨロシ マヨラー!銀ちゃん昨日一人で甘いものたらふく喰ったネ!」
「ちょっと神楽ちゃん!まだそのこと根にもってんの?!」
幼さの残る二人にいったい何爛れたこと吹き込んでやがんだ?
そう思いながら聞いてみると、どうやらそうではないらしい。仕事熱心なタダの美談である。
が、昨日の様子を知っている土方にはとうていそうは思えない。

「ふーん、旦那もたまにはまともに仕事してるんですねィ。」
「たまにはって何?!銀さんはいつもいつもまじめに仕事してるよ?」
「そうですよ。受けた仕事はなんだかんだいって結構まともにしてますよね、銀さんは。」
「ソウネ。仕事が少ないからウチは貧乏アルヨ。」
「仕事とってくんのも仕事のうちだろうがよ・・・。ったく。
しかしここいらに24時間営業の甘味所があるたぁ知らなかったが、どこなんだ?それ。」
ニィと笑いながら聞いてみる。まぁ、教える野郎じゃねえだろうとは思いつつ・・・。
「何?副長さん興味あんの?めずらしーねー。なんでもかんでもマヨまみれにするくせに。
言っとくけど聖なる食べ物をマヨネーズまみれにするなら教えないよ、銀さんは。」
「ほぉー、じゃ何か?マヨネーズかけないっつったら教えんのか?」
(どーだ教えられねーだろ?)
「んー・・・。どうしようかなぁ?だって?副長さんいっつもマヨ携帯してるじゃん?
いざ実食って時にだいなしにされたら銀さん泣いちゃうかもしんないし?」
(コノヤロウ・・・のらりくらりとごまかしやがって!)
「じゃあ万事屋。俺の奢りで携帯しているマヨは全部ここで置いていくっつったらどうだ?」
もうここまできたら意地だ。あふれんばかりの甘味にゃまったく興味がわかねぇ。が、のらりくらりとかわされていること自体に腹が立ってきた。
(ぜってぇチャイナとメガネを連れてそこへ行ってやる。)
「あー・・・・・・。」
(ケッ。困ってやがる。そーだよなぁ?どーせガキ連れて入れるところじゃねぇんだろ?)
「しゃーねぇなぁ。教えるよ。」
(は?)
「ただし、予約がいるしペア限定だが 副長さんがそこまでいうんならそれでいいよな?」
「銀ちゃんズルイネ!!また一人でおなかいっぱいアルカ?!」
「はいはい、神楽ちゃんー。今度は山ほど持ち帰ってやっから安心しな。」
「本当か?本当アルネ?キャッホーーーイッ!」
(な、な、な、な、なんでそうなるっ!)
「銀さん、持ち帰れるんなら僕も姉上のために少しお願いします。
ああみえて、仕事は結構ハードみたいですし、甘いものでも食べてほっとしてもらいたいんですよ。」
「おーよ。新八、まかせとけ。」
あれよあれよと話が予想を裏切る形で進んでゆく中、
「良かったですねィ、副長ー。これで少しは味覚が蘇りゃバンバンザイでさァ。」
総吾が悪魔の顔でニヤリと哂う。今すぐ掻っ捌いてやりてぇ。
「あー。もしもしぃー?予約したいんですけどー。」
いつの間に抜き取ったのか、俺の携帯で万事屋はその場所に予約入れてやがる。くるりと振り向きニヤニヤしながら携帯を手渡しながら
「今日は8時からなら大丈夫だってよ。予約入れたから時間前にウチに来てね。」
そう言うと
「楽しみだなぁー。」
耳元に心底面白がった声でささやかれた。チクショウッ!!ハメられたッ!!
総吾の前で予約まで入れられてしまった以上、無視はできない。が、さっきから嫌な予感が止まらない。嬉しそうに腕にまとわりついてた女の姿が、気を抜くと自分にすり替わっていて、慌てて背筋に走る寒気とともに打ち消すことの繰り返しを続けている。
時間はそこまで迫ってきているが、普段の仕事の半分も終えていない。
「しかたねぇっ。」
さすがに隊服で出歩くのは目に付くだろうと私服の着流しに着替え、いつも袖に忍ばせているマヨたちを文机の上に並べると、潔く障子を開けた。

やはりというか、そこには見慣れたアイマスクがいた。
「早くしねぇと遅刻ですぜィ。」
「まだ7時半だろが。」
「万事屋から移動すんならその時間も計算に入れないといけないんじゃねぇですかィ?」
「っ!――いいんだよ。どうせ俺持ちの飯だ。」
「飯ねぇ・・・。まぁせいぜい楽しんできて下せィ。山崎のほうは俺から言っときやすんで。」

足取り重く階段を上がると、計ったように銀時が出てきた。
「テメーは動物か。」
「いやいやいやいや、ここ安普請だし?誰か来るとある程度わかんのっ。来客の予定は副長さんだけだったから出て来ただけだよ。」
なんか背中にバカでかい風呂敷包み背負ってやがるが無視だ、無視。
「まぁいいや。んで、どこなんだその24時間営業の甘味所とやらは。」
「その前にチェックね。」
「アァ?チェックだぁ?」
「そ、マヨ持ってきてないか、のチェック。」
袂を探られ、着流しの合わせを探られ、後ろに手が回ったとたん体がはねた。どう見ても抱きしめられているようにしか見えない。頭を掠める腕に纏わりつく自分。ぺたぺたと背中を探る手になぜか息ができない。最後に股間に手をぐっと押し付けられ思わず手が出てしまった。
「テメー!!アホかぁーっ!!!!」
「???何なに?なんなの???」
「何さり気にセクハラしてやがるっ!!」
「はあぁ?こっちはマヨがないかチェックしてただけですけど?なんでセクハラよ??」
確かに、ふんどしなら仕込めるサイズがあるのは知っていたが、普段の消費量が量だけにお世話になったことがなかったから、すっかり頭からすっぽ抜けていた。というか背中のチェックの時点で半分パニクッていたが、よく考えればそもそもここは万事屋の玄関先だ。ガキ二人もまだ中に居るようだし、ナニかがあるはずがないのだ。
あるとしたら―――・・・・・・・・・・・・・・・・考えるのはやめよう。
「あいにくだが、股間に隠れる量なんか一瞬でなくなっちまうだろうが。たったそれだけの量でテメーにあとあとまでのネタを提供するつもりはない。もういいだろーが。さっさと行かねえと予約が台無しだ。」
「あいよ。そんじゃ神楽、新八、土産期待してろー。」
「行ってらっしゃい銀さん。」
「明日楽しみにしてるアルヨー。」

(明日ッつったか今?つうことは今晩この野郎と二人で過ごせってか?ありえねぇ。なんでこんなことになったんだ?チクショウ!)
うきうきと足取りも軽く街を歩く銀時の隣で、真っ黒なオーラを垂れ流しつつ歩幅にまかせて何とか歩いてゆくのであった。20分も歩いただろうか、すでにエネルギーの大半を使い切ってマヨネーズ王国にでも逃げようかと考え出していた土方は、あからさまなネオンの前に到着した。


”SWEET DREAM”

そう掲げた看板どおり、ピンクのお菓子の家がそびえ立っている。ネズミの国に出てきそうな外観を、さらにデコレーションして し過ぎました、ゴメンナサイ。とでもいうような、ある種の異様な毒々しさをはなつ趣であるが、とりあえずここがゴールらしい。
入り口の横にあるベルの紐を引っ張ると、蝶ネクタイをした執事風の人間が出てきて名前を告げるとにこやかに案内された。ついてゆくとチョコレート細工のような螺旋階段がありグルグルひたすら登って到着したのはドアの前だった。クッキーに見えそうなそれは明らかにドアで、銀時はまるで子供のようなはしゃぎようだ。いそいそと中に入ったヤツに続いて嫌々ドアをくぐると、甘ったるい匂いとともにめまいを覚える内装が迎えた。

思わず渾身の力で殴ってしまったのは仕方がないだろう。銀時は風呂敷包みを放り投げてうずくまりっている。

「・・・ってぇなーオイ!なにすんだよ!」

デコラティブルなテーブルもクッキーのようなキルトのソファもこの際いい。クッキーに間違えそうな壁もウェハースみたいな天井も気にしないでおく。
が、なんで当たり前のようにキングサイズのベッドが鎮座してんだ!!!

「ただのラブホテルじゃねぇかぁぁあああ!!!!」

マヨネーズを取り上げてられてまで連れてこられたのがキングサイズベッドの鎮座する部屋。
(何の嫌がらせだ、こりゃあ。いったいここで俺に何をさせる気だ!アァ?)
怒り怒髪天をつく勢いの土方を相手に、何を言ってるか分からないといった風に銀時は答えた。
「何言ってんのお前?ここはれっきとしたホテルだよ?」
「あぁん!!?」
「だーかーらぁー、ラブホテルじゃなくてホ・テ・ル。わかる?
男と女の爛れた欲望のためだけに存在するんじゃなくてぇ、ちゃんとした宿泊施設なの。
お前はどうだか知んないけどね、子供の頃に全部お菓子でできた家に住んでみたいなーとか
思ったやつってのが結構な数いるわけよ。そういう夢を天人の文明が入ってきたおかげで叶えるチャンスができた、それがSWEET DREAMだ。
もちろん?金のある夫婦が子供の夢叶えるために泊まったりもしてる。いたって健全な宿なわけ。
神楽は確かにそりゃあよく食べるけどね?味にはまぁーなんつーか、こだわらない子だし?新八はそもそも甘いもんをそんなに喰えるわけじゃないからねぇ。だから万事屋全員で押しかけて家族用の部屋使って喰い散らかすよりも俺ら2人のほうが宿に迷惑がかかんないし料金も安いから2人用の部屋にしたわけ。ツインの部屋もあるっちゃあるが数が少ないうえに予約で今回は埋まってたんだわ。
で、ここの目玉に食べられるお菓子の家の代わりに24時間ケーキ食べ放題のバイキングがあるわけ。わかった?」
長々とした説明にようやく頭に上った血が引いてくれたのはいいが、
「・・・・オイ、甘いもの意外はねぇのか?」
「ん?あるよ。別料金だけどね。聞かなきゃわからんが大概の物は揃ってんじゃないの?
もうちっと時間が早けりゃレストラン的なモンも営業してんだけど、利用客は少ないね。
なんせ自分の夢の世界を満喫するためにあるようなもんだし、ここって。」
くらくらするが、確かに銀時に礼をするなら”うってつけ”の場所であるだろう事は理解できた。落ち着いて見回してみるとそこかしこに菓子をモチーフにした飾りがちりばめられている。カーテンをとめているのがキャンディだったり、電話の横にあるペンはスティック状の焼き菓子に似ているし、ベッド横のライトはイチゴとチョコのパフェがひとつづつ。見ているだけで胸焼けしてきそうだ。
それでも下卑た感じはなくむしろ上品かつ落ち着けるような、それでいて別世界の雰囲気を漂わせているのは夢を買いにここを訪れる人々のためであろう。
「さーてそんじゃまずはー・・・」
おもむろに受話器を取ると早速バイキングを申し込んでいる。
「そう、二人分ね。」
「オイィ!なに勝手に二人分頼んでんだよ!」
「何?副長さんはここにきたかったんだよね?ここの目玉を試すために来たんじゃなかったの?
それともほかに何か目的でもあった?」
「ぐっ・・・」
ニヤニヤしながら聞いてくる銀時に、読まれてたことに今更気がついた。悔しいが認めるくらいなら甘いもんに窒息させられたほうがましだ。

コンコン

ノックの音に待ってましたとばかりにドアを開いて従業員たちを招き入れる。ワゴンの数4台がそれぞれ三段重ねで所狭しと甘味を並べている。保冷のためかドライアイスの煙が凝った作りのワゴンから夢の世界のように絶え間なくゆらいで落ちている。
「本日の新作をメインにしております。皿が空きましたらご要望のテイストでご用意いたしますので。
それとこちらはルームサービスのメニューとなっております。」
そういって差し出された落ち着いた雰囲気の薄いノートらしきものをうけとると、一同がすっと一礼して音もなく速やかに去っていった。
「ほい」
と渡されたグラスに銀色の液体が注がれる。
「なんだ?これ。」
「ウェルカムドリンクだよ。天人製らしいが甘くなりすぎた口を適度に洗ってくれる。
おかげでいくら食べようがきちんとどれも美味しくいただけるって代物だ。
んじゃ乾杯。」
「乾杯って何にだ?」
「んー、土方くんのスウィーツ王国入国に?」
「・・・・いつの間に入国したんだ。」
ぶちぶちと文句を言いつつも一口飲んでみてなるほどと思った。確かにさっぱりとした炭酸に口の中が洗われるようだ。
さて、と覚悟を決めて3段重ねのワゴンを見る。と、手際よく3種類盛り付けられた皿がスッと渡された。
「甘いもの初心者は、まずはあっさりしていて生果の多いのと食べやすくて定番の焼き菓子から」
それなら多少はいけそうだと、まずはイチゴのタルトを口に運んでみる。マヨの味のまったくしないものを口にすること自体が久しぶりだった。
「へえ。」
美味い。確かにそれを売りにしてるだけあってなかなかのものだ。
「どう?」
「悪かねぇ。」
素直にほめるのは癪に障ったのでそう言いながら食べた。
「そうか。」
ふっと銀時が顔を緩めた。
「なんだよ。」
「いやね?初めて俺が好きなもん副長さんが口にしてるのみてると嬉しくなっちゃってさぁ。
悪かねぇって事はアレでしょ?不味くないわけでなんかホッとしたわ。」
へラリと笑ってる万事屋を見ているのがむず痒くなってつい目をそらしながら
「・・・さすがにこれ全部は無理だぞ。」
「おー、まかしとけってんだ!後2、3回は頼むしな。」
「はァ?食べ放題だからってテメーどんだけ喰うつもりだ?!しかも昨日も喰ったんだろ?!」
「いやいやいやいや!!そっちは土産がメインなの!神楽は銀さんの3倍は食べるし?
新八の姉ちゃんは量より質だろうからこの辺りの新作に手が出せない。
新作も まぁ、ちょこっとつまむだろうけどそんくらいよ?
ってか昨日見てたのってやっぱ俺のことだったのねー。」
しまったと思っても口から出た言葉は戻ってこない。言い訳しようにも言葉は出てこず背中を向けてこんどは酒の香りのするケーキに手を出す。ナッツ類が入っているせいか少し香ばしく酒の香りと混ざり複雑だがどこか素朴な味がした。結局チョコレートケーキもそのままの流れで食べてしまい、皿は空になった。口直しのドリンクを飲んでると、
「もうちょい食べる?」
すいっと背中越しに皿を差し出されたので見てみると2種類に減らしてある上にどうやら馴染み深そうな味のものらしい。少し躊躇したがまだいけそうだったので、素直に受け取りスプーンを持つ。緑色のムースを掬って口に入れると、ほろ苦い抹茶の味がする。ふわりと溶け、風味と苦味と甘さがちょうどいい。最後のは白と黒のコントラストがきれいなモザイクゼリー。器から行儀悪くザラット口に滑らせると、コントラストどおりにコーヒーとミルクの味が混ざりながら消えていく。
「っそーさん」
そろそろ塩気が恋しくなってきたころあいだったのでルームサービスメニューを眺める。
後ろでは一定のよどみない間隔での咀嚼音と皿のカチャカチャ鳴る音。見ると4台ともほとんど残っていない。残っているのは土産用なのだろう。余ったドライアイスがそこに集められている。つまみの盛り合わせと酒を頼んだら万事屋からバイキング2人分追加も頼まれた。テイストは”王道”だそうな。
さほど届くまで時間がかからないようだが、今日は私服に着替えただけで風呂に入っていない。ついでだから入ってしまおうかと風呂場を覗くも、この部屋に入った時と同レベルの驚愕に銀時を呼んだ。
全面ジェリービーンズのタイルにドーナツを重ねた椅子。どう見ても蜂蜜の瓶にしか見えないものが4つ。シャワーはあるが、石鹸、手ぬぐいの類はない。掃除用にしてはかわいらし過ぎるペロペロキャンディ型のブラシが一本。勝手が違いすぎて何をどうするのか想像すらできない。
「ああそれな、体用、頭用1、頭用2、風呂用、の液体だよ。」
「風呂用ってなぁなんだ?」
「温泉の素みたいなもん?体にいいとか疲れが取れるとかいうねぇ。」
「でこっちのブラシは体を洗うときに使うもの。柔らかいタワシに柄をつけたようなかんじね。
背中とかだと普通のタワシじゃ届きにくいやつもいるからね。」
「なんか、見るからに使いにくそうだな。」
「実用性はこの際あんまり気にしないの。」
「あぁ、そうそう。ほい。」
ぱしっ。飛んできたものをつかむと蜂蜜瓶の小さいヤツだった。
「それが顔用ね。体用で顔洗うとひでぇめに会うらしいからそっちおいときな。」
「はァ?顔専用?んなもん石鹸ひとつで両方いけんのになんでそんなもんが・・・?」
「ハイハイー、ここはそういうこと気にしちゃ負けな場所なのー。石鹸はないんだからあきらめなさい。」
一通り教わり終えた頃ちょうどノックの音が聞こえた。

さすがに二度目ともなると、驚きもさほどではないと思っていたが4台のワゴンは予想を裏切ってくれた。ワゴン自体が先ほどとはまったく違う装飾を施されているのだ。しかも、
「・・・オイ。上に乗ってるモン。・・・もしかして全部さっきと違うやつか?」
「ん?うん。ちがうねぇ、全部。」
「マジか?!いったい何種類常備してんだこの宿!」
「さぁー?でもこれが売りだから。気合入ってて当たり前じゃないの?」
こともなげに言う銀時に、もう何も言う気が失せ届いたつまみを掴んだ。
「ゥあちっ!揚げたてじゃねえのコレ!?どっから運んでやがんだよ一体。」
確かに揚げ物からは挙げたてのジュウという音がまだかすかに聞こえる。
「なんだかサービスに執念とか感じるちゃうねー。いやーすごいわほんと。」
せっかくだから熱いうちにと土方はつまみを口へ放り込む。
「さて、さくさくやりましょうかね。」
言うが早いか銀時は持参してきた風呂敷を広げた。中から転がりでたのは空の密閉容器。そこへ先ほど到着したばかりの菓子を手際よく詰めていく。
「オイ。えらく慣れてんな、しょっちゅうこういうことやってんじゃねぇだろうな。」
「んなわけないでしょー。ここに神楽連れてきて宿がつぶれたら困るからやってんの。
普段は喰い放題ならたいてい一緒ですぅー。
喰えりゃいいってヤツなんか連れてきても意味ない場所だし?
とっておきの場所だからそうそう誰にでも教えられないわけよ。」
そう言いながらも手は休めない。残す分に早くありつきたいのだ。
「だからあんなに教えるの渋ってたのか?」
銀時のとっておきの場所・・・。
「まぁそれもあるけど?昨日見られてたしねー。」
まぁ、女をじゃれ付かせながらきた場所でもあるわけだし、そう特別なわけ、ない。・・・だろうけど。4分の3ほど詰め終えてからおもむろに受話器を取り上げるとなにやら注文し、満足そうな顔で戻ってきた。ワゴンに残っているのは保存に失敗すると腐りそうなものと時間が経つと溶けてどうにもならなくなるものだけだ。
「さあそれではいただきますかっ!」
やはり好物らしく、真っ先に手が伸びたのはパフェだった。
「テメーはやっぱそれか。」
向かいのソファに半分体を預けながら見慣れた光景にふと口元が緩む。揚げ物をつまみながらぼんやりと味わってみる。美味くねぇわけじゃないが、やはりマヨネーズがないと一味足りない気がする。
「どした?」
酒を注ぎながら銀時が聞いてきたが、今さらマヨネーズがほしいとも言えないわけで
「何でもねぇよ。」
と注がれた酒をクイッと飲み干す。
「ふーん。」
しばらくは一人で飲んでいたはずだが、銀時が2個目のパフェに取り掛かりだした辺りだろうか。カチャカチャとパフェをつつく合間に手酌で酒を飲みだしたのでさすがにムッとした。
「おい、俺はマヨ取り上げられてるってぇのになんでテメーだけ好物と一緒に酒飲んでんだ?あぁ?」
胸倉につかみかかりかけたその時―――

コンコン

「はいはーい。」
すっ飛んでいった銀時に、またバイキングか?と、イラッとしながら目をやると
「じゃーん!」
手には土方のつまみのちょうど半分くらいに小さく盛り合わせられたつまみと業務用マヨネーズ。
「はいよ。」
と手渡され思わず見上げる。
「ま、どっちにしろ副長さんの金なんだけど?
甘いモンにかけるんじゃないなら銀さんとしては許せるわけだし?
嗜好は片寄ってっけど、まともな味覚もあるみたいだから安心しました。心置きなく堪能してくださーい。
で、こっちのは銀さん用ってことでマヨはぶっ掛けないでね?」

っぶちゅうううぅぅ

銀時がそう言うなり盛り合わせ(大)は薄黄色の海となった。

クイッと猪口をあおり少し斜めの視界で訊ねる。
「・・・なんで解禁にしたんだ?」
マヨまみれですでに何かわからなくなったものをパクリと咥えながら聞く。
「んー?土方くん甘いもの食べてるときちゃんと味わってる顔してたし?」
土方スペシャルのマヨの海からちょいっとかすめとって自分のつまみのアクセントにしながら答える。
「別に銀さんもマヨネーズ自体嫌いなわけでもないし?土方くんがぁつまみ喰いながらぁちょーっと物足りなさそうにしてんのとか見てたらぁ銀さんだけ幸せってのはどうかなーって思っただけですーー」
クイッと猪口を空けひっくり返して置く。立ち上がり銀時は風呂場へ向かった。

「そろそろ湯張っていーい?」
「おぅ。」
風呂場へ向かうと土方がついてきた。
「温泉の素入れるとこが見てぇ。」
勢いよく注がれる湯に適当な量の入浴剤を流し込むと蜂蜜色だったそれは白く変わり広がっていく。
「へぇ。にごり湯か。効きそうだな。」
そういってふらりと元のソファになだれるように体を預けた。今日は銀時のほうがお土産準備のために明らかに酒量が少ない。

あんな状態で風呂に入れてもいいものかと逡巡するくらいはまともである。そうこうしているうちに湯は溜まったし、声をかけて寝ているようなら自分だけ入ろうと決めて
「ひーじーかったくん、お風呂入ったけどどーするーー?」
「入るに決まってんだろ。」
ムクリと体を起こしふらふらと風呂場に向かう。なんかすっごいあぶなそうなんですけど、どうしましょうか・・・迷いつつ無事風呂につかるまでせめてと見守っていると

ヨロッ

「っとぉ。」
はっしとつかんだ手を引き戻す。引き戻されついでにぽすんと銀時の肩に頭を着ける。
「ぅあ?ゆれたぁ〜。」
さらりと首筋を土方の髪がくすぐる。だいぶ朦朧としているとはいえ自分が入るなと言えば意地でも入ろうとするだろう。両肩を支えながら、さてどーしたもんかね と、ひとりごちた。
「しゃーねーなあー、オイ。」
ため息をつきながら、さすがに濡れるのはごめんなので、まず自分の服から脱いでしまうことにした。脱いでる間にもよろける土方を時々捕まえながらなのでまさに脱ぎ散らかしだ。土方の着物は自分と違い単純だから脱がせるのは簡単だ。さっさと脱がしてしまう。
「後はこけないように連れていって入れてしまうだけだ」
なるべく気付かれないようそおっとフォローする。気付かれて暴れられちゃ厄介だかんな。
「おーい、湯に浸かれー。」
声をかけてやっと足が持ち上がるが無事着陸するまでは油断できない。結局、自分もバランスのために足を湯につけることになる。備えあれば憂いなしってのは本当かもねーなどとつぶやきながら結局同じ湯船に浸かることになってしまった。
赤い顔を湯船の縁にもたれかからせて、目を閉じている所為か酔いの所為か普段の切っ先のような雰囲気が随分と和らいで見える。
「あー気持ちいー熔けそー」
などとつぶやいているのを眺めるのはなんだか面白いし可愛いのとでもいう表現がしっくり来るのだが長湯しすぎてのぼせられても困る。
「はいーそろそろ上がるから顔上げてしゃんとしろよー?」
「うーもうちょっとー。」
「だめだめー、ゆだっちゃうから、ゆだっちゃうからね?おーきーてー」
「う゛ー・・・・・・」
まるで聞き分けのない子供のように駄々をこねる。
鬼と普段呼ばれているとは到底思えない無防備さだ。
何とか立たせたものの本人に湯船から出る気がなさそうだったので、しかたないからそのまま縁に座らせ頭を洗うことにした。頭を洗えば多少はシャキッとするはずだ。と、シャワーをかけまんべんなく濡らし、頭用1でわしゃわしゃと洗ってみる。自分のままならない髪の毛に比べ、シャンプーですらスルスルと指どおりが良い。痛みなどまったくないに違いない。洗う方としても気持ちいい髪だ。
途中「うー?うん・・・」などの呟きから察するに向こうもどうやら気持ちいいらしいのだが、少しは目が覚めてくれただろうか。頭用2を使用するが果たしてこの髪に必要なのかはなはだ疑問に思いつつもコンディショナーを濯いで終了し再び声をかけてみる。
「おーい、体はさすがにそのままじゃ無理だから出てきてくんない?」
「うん、うー・・・」
返事とともに、のそのそと動き出す。ぜんぜんシャキッとしてなーい!体まで俺が洗うんですかー?
湯船から出たはいいがそのままゆらりと上体が傾いだ。
「おっとぉ。」
とっさに体で受け止めると、火照った頬を摺りつけるようにして今度はそのまま体を預けてしまう。
無防備に預けられた身体はたしかに自分と同じ男のものだ。柔らかさなどどこにもないはずなのに心臓の音がやけに大きくうるさい。無意識に腕をまわしそうになっていることに気がつき慌てて引き戻す。
身体を支え、何とかドーナツのいすに座らせることに成功した。体用をブラシにつけてわしわしと適当にこすりだす。腕を持ち上げわしわしこする。背中から項へわしわしこする。上背は変わらないが自分と比べればやや細身に見える体格はそれでもきれいに筋肉がついていて傷痕も少ない。天人の技術を取り入れた成果の一つだ。ほんの十数年前には死につながった傷が今や痕を残すことさえ減っている。
カクンと前のめりになっているのを引っぱり、肩口へ頭を預けさせる。極力肌が触れないように胸と腹をわしわしと洗うことだけに専念しようとする。が、位置が位置なだけに酔いのせいで熱い頬や息が首筋にかかり、その度に何かを必死でこらえるはめに。
( あれー?なんかおかしくないですかー?銀さんー?ちょっと変じゃないですかー?銀さんーっ!)
自分の理性に必死で呼びかけている間にようやく腹まで洗い終えた。
再びゆっくり前のめりの体制に戻し、わしわしとブラシを動かしながら足のほうへと移動して思わず目を見張った。本当にあのゴリラの仲間かと思うほどつるつるの足なのである。頭のどこかで激しく警報が鳴り響き続ける中わしわしと足をこすっていたら
「んぁ?」
ピクッと肩が揺れた。どうやらやっと目が覚めてくれたようだ。
「よ、起きた?ちょうど良かったわ。あとは自分で洗ってくれ。」
手にポンとブラシを渡すと何事もなかったようにさっさと湯船にもぐった。

すっかり冷めてしまった湯船に湯を足しながら、ひたすら十四郎を視界の外へ追い出す。
早く頭を洗おう。洗って洗って妙な雑念を追い払うんだ。ひたすら自分が頭を洗うことを考え続けた。
土方が湯船に向かう気配を感じたとたん立ち上がり、シャワーの勢いを最大にして湯をかぶった。
風呂に入るつもりだったのはたしかだ。風呂場に向かい、そこでふつっと記憶が途切れ、気がついたら体中泡まみれで万事屋にブラシをポイッと渡された。
だが、見れば洗ってないのは顔と残りは一箇所だけだ。
酔って風呂に入るとでも意地を張ったのか?その上もしかしたら万事屋に頭も体も洗わせたのか?
もしそうだとしてもいつものヤツなら文句の100個くらいは言ってるはずなんだが・・・。
何がどうなってるのかさっぱりわからねぇっ。
事情を聞こうにも肝心の万事屋はあさっての方向を向いている。ついでに何か考え事でもしているようで、聞き取れはしないがぶつぶつと口を動かし続けている。
流し終わったら差し向かいで聞いてみるか?イヤ、からかわれるのがオチか?体を洗いきり、顔専用で顔も洗ってしまってからシャワーをかぶる。グルグルと混乱する頭で泡が流れきるまで考えたが、わからねぇもんはわからねぇということがわかったくらいだ。
立ち上がり湯船に向かいかけると、万事屋も立ち上がりシャワーのコックを全開にしてガッシガッシと頭を洗い始めた。
銀時が湯を足しておいてくれたおかげでちょうどいい湯加減だな。などとのんきにしてる場合ではないが、一心不乱という状態で頭を洗っている万事屋に声をかけるわけにもいかない。そうしているうちにいい加減ゆだってのぼせそうになってきたから、仕方なく風呂場を出て・・・驚いた。

まさに脱ぎ散らかしの見本版のような有様だった。・・・おそらく俺のせいだろう。
しかたなしに身体を拭き備え付けの寝巻きに着替えたあと、二人分の服をきちんと畳んでソファの上に片付け、下着はクリーニングに出した。
向かいのソファに座って一息つく。風呂上りの一腹もなかなかのもんだ。記憶は飛んだが、風呂のおかげですっかり酔いが冷めてしまったようだ。今度は飲み過ぎないようにチビリチビリと猪口の酒を飲む。前回の酒でもそうだったが、ヤツといるとどうしてもペースが上がってしまうのだ。今回は・・・まぁ、万事屋の珍しい顔を何やかやでたくさん見た気がする。ヤツらの中じゃ普通の顔かもしんねぇけど、あそこで引き下がっていたら絶対俺には向けてこないような顔見たよな。知らず口元が緩み、パクリとつまみをくわえる。ゆっくりゆっくりと酒を飲む。あいつが風呂から上がってくるまで・・・

思うさま頭を洗い、ようやく自分を取り戻した銀時はシャワーのコックをひねりシャンプーを流す。コンディショナーで洗いすぎた髪に癒しを与えてやってるうちに先ほどまでの動揺がゆっくり引いてゆくのを感じた。後は体洗って気合入れたら飲みなおしだっ!
ザッと体を流すと湯船にはつからず栓を抜いて風呂から上がった。

腰タオル一枚で部屋へ戻ってみると 脱ぎ散らかした二人分の着物は片付けられ、
「そこのかごに寝巻きがあるぜ。」
ソファの向こうから立ち上る紫煙と一緒に声をかけられた。 普段着ているじんべではなかったが浴衣を着ると辺りを見回した。 下着がない。 キョロキョロしていると
「下着ならクリーニングに出した。朝には間に合う。」
どうやら向こうも酔いは覚めたらしく、猪口を片手にチビリチビリと飲みなおしているらしい。 ホッとしながら横に座り酌をしてもらう。

「なんか風呂入る辺りから記憶が飛んじまっててな、悪りぃ。迷惑かけたんだろ?」
「あー、気にすんな。っつーか、気ぃつけろ。
寝込み襲われるより酔ってるとき襲われるほうが確率高いから。」
土方は屯所で寝起きしているから、寝込みを襲われることはまずないだろう。
「だな。普段飲まねぇからつい忘れんだわ。」
近藤さんがそういう作業に向いてない分、非番の日でもたいてい書類に目を通して一日が終わることが珍しくない。だから酒はめったに飲まないのだ。
「何?真撰組ってそんな忙しいわけ?」
決して暇ではないことは、ニュースを見ればわかるが、それでも平穏な日がないわけではない。
「いや、忙しさはまちまちだな。 ついてる役職にもよるけど総吾みてぇに万年サボりのヤツもいるし。
俺の場合は性分みてぇなもんだ。 やれることやっとかねぇと落ちつかねぇんだわ。」
ふぅーっと紫煙を吐き出す。
「たまにゃあ息抜かねぇとそのうちポッキリ折れちまうよ?」
ふいっと土方を見て銀時はズサッ!と後ずさった。 合わせの乱れた浴衣からは肌はさらし放題な上、足先をひざに乗せているもんだから裾も開きまくっている。 ほんのり上気した頬は酒のせいか風呂のせいか定かではないが、無防備すぎる。
「おい?」
挙動不審な万事屋におもわず身を乗り出しさらに肌が露になる。

先ほど風呂場で触れた感覚が一気に蘇り次々と溢れ出す。
ヤバイ ヤバイ ヤバイ ヤバイ ヤバイ ヤバイ ヤバイ ヤバイ・・・・・・
頭の中いっぱいに激しく警報が鳴り響くが もう遅かった――――
ここからやおいシーン突入です。
よろしければコチラからどうぞ

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通報しないでね?
外に出したほうが後始末も簡単だし、身体への負担も少ないのだが、我慢しなかった。
「ぃてーなー、ぉぃ。」
噛み痕から滲んだ血に顔をしかめながら荒い息で銀時がのしかかっていると
「どけ。」
一言そう言うと、土方はベッドから降りた。ふらつく足で風呂場へ向かう。
気だるげに見送ると、白濁で汚れてしまったキルトのベッドカバーを取り払い丸めて部屋の隅へ投げる。さすがにこのまま寝るのは嫌だ。

男は初めてだったが、悪くないどころか最高だった。
今度があれば、ぜひお相手してもらいたいと思う。
ま、あの副長さんじゃ無理かもしんないけどねー。

ずいぶん時間をかけてのシャワーから出てきた土方と入れ違いで風呂場へ入る。
おそらく自分で銀時の放ったものを処理したために時間がかかったのだろう。
手伝えばよかったか?と頭を掠めたが、どうせ断られていただろうということに落ち着いた。

ざっと汗を流すと上がり身体を拭きながら見ると、一気に飲んだのであろう。
酒瓶を握りベッドの布団の上へ倒れこむように土方が寝ていた。
そっと抱き上げ、布団の中へ寝かしつけると、自分も横へもぐりこんだ。
朝早く、3度目のバイキングにファミリーテイストを頼み、残りの密閉容器を埋めてしまうと、使われていたドライアイス全てを妙用の容器に入れ、風呂敷で包むと2人でチェックアウトした。

「じゃあな、ごっそーさん。」
「おう。」

結局、2人がそれから交わした会話はそれだけだった。


「うーす。神楽ー新八ー、ただいまー。」
「お帰りなさい、銀さん。」
「銀ちゃんおかえりっお土産は?」
待ちかねたといわんばかりに神楽は聞いてきた。
「はいはいあるよー。ほい、新八。これ姉ちゃんの分な。
冷蔵庫で冷やしとけー。残りは神楽の分!好きなだけ喰えー。」
「キャホーーーイッ!これ全部食べていいアルカ?やっぱり銀ちゃんはやるときはやるネ!」
大喜びで早速食べ始める神楽。
見ていると、本当に味わっているのかどうか、やはり疑問に思ってしまう。
いや、味わってないだろうことは多分間違いない。
あいつにとってはご飯ですよのほうが価値があるのだろう。
しかし、喜んでることには変わりない。それで十分だ。
「ありがとうございます。銀さん。姉上もきっと喜んでくれると思います。銀さんは楽しかったですか?」
新八も、いつも心配ばかりかけている姉へのお土産にうれしそうだ。
「ああ?まぁーな。ヤツにも意外とまともな味覚があるみたいで驚いた、くらいかな。」
「そうなんですか、良かったですね。」
「んー。」
ごろりとソファに横になると、ジャンプを読み始める。
特においしい仕事が転がりこんでくるでもなく、厄介ごとに巻き込まれることもない。
一日中ジャンプを読んで自堕落に過ごす。そんないつもと変わらない万事屋の風景であった。
銀時の心情を除いて、は。


姉への土産を持ってうれしそうに帰る新八を見送ると、天井を見上げた。
うちに帰ってからずっと頭の中は土方だらけだ。潤んだ瞳、染まった頬、赤い唇から覗く舌、汗の浮いた肌の感触、首筋に噛み付いてきた時の痛み、そんなものがエンドレスで脳内再生され続けている。
おかしなことに、それが今まで抱いてきたどの女よりもよほどゾクリとさせられる。・・・イカレちまったのかねぇ、俺ァ。胸の辺りがザワザワする。
(・・・飲み込んじまおう。こんなわけわかんねぇ気分は飲み込んじまうにかぎる。今までだって色んなこたぁ あったが飲み込んできたんだ。大丈夫だ、わけねぇことだ。)

「ぅおしっ!」

勢いよく起き上がり風呂に向かう。
「神楽ー、今日は銀さんが先に風呂行くからねー。」
「えぇー。銀ちゃんの後のお風呂はなんかお湯が濁ってて嫌アルヨー。」
「うっさい!土産持って帰ってきてやっただろうがっ。
オメーは銀さんのエキスたっぷりの湯に浸かっとけってんだ。」
「銀ちゃんのエキスっ?!いっつもそんなもん出してたのかオマエ コノヤローっ!!
マダオになったらどうするアルカっ!責任とれヤ コノヤロー!」
「アァ?銀さんのエキス舐めんな?
お肌とかツルツルのピチピチで体なんかボイーンでキュッでバイーンだよ?」
「うそアルネ!それがホントならワタシとっくの昔に目もくらむような美女ネ!
うそつきっ銀ちゃんのうそつきー!」
「あぁあーっ もぅ!うるさいっ うっせーよお前!もういいよ!先入って!・・・ったく。さっさと出ろよ。」
「わかればいいアル。」
「やれやれ。」
こうして表面上の普通の夜は過ぎていくのだった。
屯所に帰って部屋へ戻ろうとしていると、またあのアイマスクがいた。
「お帰りなせェ、土方さん。昨日はどうでした?」
「・・・久しぶりにマヨネーズの味がしねぇもんを喰った。そんだけだ。」
「それはそれは。アンタの舌じゃァちっとばかり辛かったんじゃねぇですかィ?」
「別に。ちっとばかし甘いもん喰っただけだ。たいしたことじゃねぇよ。」
実際には途中からマヨネーズが解禁になったことは黙っておく。話すと碌なことがねぇからな。
「そりゃ残念。俺りゃぁてっきりマヨネーズ切れで暴れだしたりして、店のモンに襲いかかってると思ってましたゼ。」
店・・・そうか、総吾は店だと思ってるんだった。何を言われるかわかったもんじゃねぇから余計なことは言わないでおこう。
「んなわけあるか!アホッ!テメーと話してるとアホが感染る。さっさと仕事しろ。」
そう言い置いて背を向ける。今日は久しぶりの非番だ。しかし、溜まっている書類を片付けている間にたぶん一日は終わってしまうだろう。昨日は調子が狂って書類の片付きが遅れたがちょうどよかった、さっさと片付けてしまおう。

部屋に戻り文机に向かうが、手は昨日よりもさらに進まない。やはり昨日の負担が少し尾を引いているようだ腰がだるい。いったん切り上げ床を延べ横になろう。

続きになっている寝室に向かい、布団を敷いて横になった。やはり体に負担がかかっていたのがわかる。目を閉じ、眠ろうとするが普段起きている時間に寝るのはかえって寝付けないものだ。
閉じた目に浮かび上がってくるのは昨夜のことばかりだ。熱を持ったあの目や腕が幾度も浮かび上がっては消える。寝返りを何度もうちなおし、ようやくとろとろと浅い眠りに入り 目が覚めると昼もすっかり過ぎてしまった時間だった。
慌てて、飛び起き書類に向かう。体はすっかりいつもどおりの調子を取り戻したが犠牲にした時間はかなり惜しいことをしてしまった。無駄にした時間の分も集中して黙々と書類を片付けていると山崎が呼びに来た。

「副長、いいですか?」
「何だ、山崎。」
「はい、もう晩飯の時間です。今日は副長、朝も昼も抜いてらっしゃるので呼びにきたんです。」
「そうか、もうそんな時間か。」
そう言われて見上げると、とっぷりと日が暮れて月が昇っている。明かりも灯さず書類に向かっていたのだ。暗くなったことにすら気がつかなかったのかと少々自分に呆れながら立ち上がる。
「副長、体調でも悪いんですか?」
「ん?」
「昼間めずらしく寝ていらっしゃったみたいだから・・・。」
「いや、ただの気分転換だ。」
「そうだったんですかぁ。副長も非番の日くらいは気を抜いて休まれたほうがいいですもんね。
でも、飯はちゃんと食べてくださいね?体を壊します。」
「あぁ、気ぃつけるよ。」

食事を済ませた後も、明かりを灯し書類を片付ける。暗くなったことにすら気づかずに集中したせいかようやく遅れを取り戻せた。予定どおり今日中に片付きそうだ。
ほっと肩の力を抜き月を眺めると、ケーキを喰った時のうれしそうな万事屋の顔を思い出してしまった。とたんツキリと胸が痛む。ふるりと顔を振って頭からヤツの顔を追い出し、再び書類に向かった。
ようやく溜まった書類を片付け終わったころにはすっかり夜も更けていた。明日からまた仕事ださっさと寝よう。

昼間しいたままにしていた布団へごろりと横になる。やはりヤツの顔が浮かんでくる。昨日見た様々な表情が浮かんでは消えていく。
(―なあ、俺と息抜きしねぇ?)
その言葉を思い出し胸がまたツキリと痛む。グッと掌を握り締め、痛みに耐えるようにきつくまぶたを閉じた。




しばらく2人は顔を合わせることがなかった。攘夷浪士のテロがいくつかあったこともあるが、意図的に土方のほうが歌舞伎町の巡察を避け別の地区をまわっていたせいでもある。顔を見なければ胸も疼かないようになるはず、そう思っての選択だ。
一方万事屋はいつもどおりいたって平穏で、時折ニュースで見かける土方は相変わらず瞳孔が開き気味でやはり胸の辺りがざわつく銀時であったが、それ以外は変わりない日々を過ごしていた。。

ついてないときはついてないもので、メンバーがどうしても足りないからと1人で足を向けた歌舞伎町でばったりと銀時に出くわしてしまった。町を巡察していても会わないことのほうが多いのに何で今回に限って・・・天に向かって文句を垂れてしまいそうだ。だが、会ってしまったものは仕方がない。なるべくいつもどおりに相手をするよう心がけるだけだ。勝手に騒ぎ立てる胸は無視すればいい。
「・・・よお、無職。」
「なぁに言ってんだ、副長さんよー。銀さんは無職じゃねーよ。
そりゃね、公務員のお前さんらに比べりゃちっとばかし稼ぎは少ないけど。
ちゃんとまっとうに働いてるんだからね?」
「そのまっとうに働いてるヤツが、こんな真昼間から何してんだ?」
「んー・・・パチンコ行ってスッちまった。パフェ奢ってくんねぇ?」
パフェ、と聞いてあの時真っ先に手を伸ばしたことを思い出し、一瞬言葉に詰まる。
そしてそのことに苛立つ。
「っ!アホか!何で俺がテメーに奢ってやらにゃいかねぇんだ!やっぱ無職と変わんねぇじゃねぇかっ!
死ね!いっぺん死んでその糖分でできた脳ミソ取り替えてもらえ!」
「いいじゃないかー。パフェくらいー。高給取りなんだからさぁー。」
「・・・ルセェ。・・・ちょうどいい。世のため人のために俺が今すぐその息の根止めてやらぁ。」
地の底を這うような声で言い殺気を漲らせ柄に手をやり力を入れようとした時、スッと思わぬ身のこなしで柄頭を抑えられる。
「なぁにカリカリしてんの?こんな往来で抜刀したら危ないでしょうがー。」
技量では銀時のほうが勝るのだ。本人はいたってのんきな声でそう言うと、
「こんなとこで立ち話もなんだからちょっと付き合ってよ。」
言うなり、土方の腕をつかむと歩き出してしまった。
「オイッ!俺ァ仕事中だぞっ!」
「いいからいいから。」
土方の言うことなどまったく聞いてない様子でてくてくと歩いてゆく。
途中、腕をつかまれて連行される真撰組隊員に往来を行く人の好奇の目が痛かったが、それ以上に自分の心臓がうるさい。
大体なんで律儀にコイツに引っ張られてるんだ?そうは思うが手を振りはらうことはためらわれて。
胸の騒ぎのほうを何とかしようと必死になっていたせいで気がつくとひと気のない路地裏に連れ込まれていた。
「おい・・・。なんのつもりだ万事――」
土方が文句を言おうとしたら突然抱きしめられた。

「・・・こうしたかったから。」

耳元で答えられたその言葉は意外なものだった。
再びやおい部分です。自己責任でお願いします。
短いですがそれでもよければどうぞ。

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通報は勘弁してねexclamation & questionハート達(複数ハート)
土方は壁にもたれかかり銀時を見送るとずるずると座り込み、タバコを取り出し気持ちが落ち着くまでの間ひたすら吸い続けた。
(――こうしたかったから。)
銀時の思わぬ言葉に、あの熱い目にいつまでたっても動揺が収まらない。思わず頭を抱え蹲る。
「なんだってんだよ、チクショウ・・・。」
そうつぶやいても答えは返ってこない。

――惚れたほうが負けなのだ。

いやおうなくそのことを思い知らされた。相手は物陰で事を済ませて満足なのだ。
俺1人の想いなんだ。ようやく自分の気持ちを自覚し、立ち上がる。
すぐ脇に先ほどの残滓が2人分くるまれたスカーフが転がっている。何事もなかったように立ち去ったせなかを思い出して溜息が出る。拾い上げては見たが、結局見るヤツが見たら真撰組の物と分かってしまうし、洗って使う気にもなれなかったので、焼いて抹殺し予備を屯所に取りに戻った。
運の悪い山崎が居合わせ、
「副長、何かあったんですか?いつも服装はきっちりしてるのに。」
などと言うもんだから、とりあえず殴っておく。
隊服を整えたが今から巡察に出直す気にもならず、とりあえず書類の山と向き合うことにする。決して銀時に「すっげぇ顔してる」と言われたせいではない。ぜってぇ違うと自分に言い聞かせながら、仕事に没頭する。
ザッザッと歩きながら銀時は動揺を押さえる。
いつものプラプラした歩き方でないことからも彼を知るものが見れば普通でないことが分かるほど動揺しているのだ。
(・・・あの顔は反則だろ、おいー。・・・ヤバかった。かなりヤバかった。よく我慢した、俺!)
思わずその場で事をおっぱじめそうになるところをギリギリで踏み止まったのだ。
いつものようにパチンコで負けてふらふらしてるところに、たまたま土方に出くわしたまではよかった。
首筋の噛み痕も消えて、普通に接するつもりだったのだ。
事を終えた後の態度からしてそれが一番いいと思ったからだが・・・。
途中から妙に殺気立ってきやがるし
――いや、いつも俺を見るとすぐ抜刀するけど?そんなじゃれあいじゃぁなかった。
――コイツ銀さんのこと意識してる?――
とか思ったらそれ以上不毛な言い合いをしてるのがもったいなくなって・・・
気がついたら手近な路地裏で抱きしめていたのだ。
(確かに抱きしめたいと思ったけどさぁ・・・。)
土方はまったく抵抗のそぶりを見せず、唇を奪うとあろう事か自ら受け入れたのだ。
あの警戒心の塊のような男が、だ。
事が終わり改めて顔を見てぎょっとした、目元は染まっているし瞳は潤んでるしでとてもじゃないが他人の目に晒す気になれなかったが、これ以上そこにいると自分のほうが何をしでかすかわからない状態だったので逃げるように去ってきたのだ。

団子屋まで戻ってくると、いつものようにツケで団子を頼み空を見上げる。
ようやく落ち着いてきた気持ちででっかい溜息をつく。
確かによく見ると整った小綺麗な顔をしているが、間違えようのないくらい男だ。
沖田なら女顔の美少年だしまだ理解できるが・・・
(いやいやいやいや、男だしS同士だし有り得ないんだけど!)
よりによって鬼とか呼ばれてるヤツだ。
(あぁぁぁあああ!余計有り得ねぇだろーが・・・!)
「なんでこうなるのかねぇー。」
「どうしたんで?旦那。」
銀時のつぶやきに団子を運んできた気のいい店主が訊ねる。
「いや、なんでもねぇよ。貧乏神とどうお付き合いするか悩んでただけだから。」
半分嘘で半分本当だ。相手は自分の気持ちだけど、どうお付き合いしていいのか皆目見当がつかなくて頭を抱えているのは本当だ。まさかこういう形で誰かに執着するなんて今まで考えもしなかったのだ。
団子を片手についぼんやりしてしまう。

「相当深刻そうですねえ、旦那が団子片手にボケッとするところなんてはじめて見ましたよ。」
「いやいや、そんな悩んでないからっ。」
ぱくりと団子をほおばるが、腕を組んだ店主が言い募る。
「何を悩んでるのか知りやせんが、当たって砕けろですよ旦那。」
「いやいやいやいや、砕けたら困るでしょうが!うちには大喰らいの酢コンブ娘もいるしー?」

砕けるどころか、抵抗すらなかった。男は俺が初めてなのは最初に抱いたときに気づいた。だからそういう趣味でないことは分かっている。けど、それじゃ何で抵抗しねぇんだ?いやいや、抵抗してくれなくて大いに万歳だけどっ!あーもうっ!わけわかんねぇよっ!!

なんのかんのとくっちゃべっていると少しは気が晴れて店主に礼をいい店を後にした。
今日は団子をサービスにしてくれた。曰く
「元気のない旦那に食べられちゃあ団子がかわいそうだからねぇ。」
だそうな。



自分の気持ちに振り回された憂さを晴らすために飲みに出た。
うっかりヤツと鉢合わせないようにわざわざ馴染みの店を避けて少し離れた店に入る。
が、入り口でしゃがみこみそうになる。またこのパターンだ。
いっつもいっつもいっつもいっつもっ!行く先々になんでコイツぁいるんだっ!!無視だ無視っ!
そう決め込んで離れてカウンターに腰を落ち着ける。
酒と一緒につまみを頼むと、数人が店に入ってきた。
「お客さ〜ん、すいやせんがちょっくら詰めてもられませんか〜?」
店主にそう言われては断るわけにもいかず、結局黒の着流しと隣同士で飲むことになってしまった。
「ハイヨ!お銚子とおはぎね!」
「・・・言っとくけど、狙ったわけでもなんでもないからね。わざとじゃないからね?」
「・・・わざわざ言わなくてもそれくらい分ぁってるよ。」
「ならいいけどさ・・・。」
相変わらずの土方スペシャルをつまみに黙々と飲んでいるので、銀時もつられて黙々と飲む。
(( なんでこうなるんだ・・・っ。))
互いにそうは思っているのだが、口を開くと余計なことが起こりそうな気がして迂闊に口もきけない。
そうなると自然つまみを突つくか飲むかしかなくなるわけで2人して黙々とつまみ黙々と飲む。
周りはわいわいと楽しげであるが、2人だけ揃ってお通夜のように飲み続ける。
いい加減気が滅入ってきて席を立とうとすると、また申し合わせたように腰を浮かせることになる。
顔を見合わせ互いに溜息をつき座りなおすと、
「だんまり決め込んで酒かっくらってても美味くねぇし普通に飲まねぇ?」
「だな。」
銀時が銚子を傾け、
「ほらよ。」
「おう。テメーも飲め。」
互いに注ぎ合いようやく落ち着いた雰囲気になる。
と、外でパラパラと音がしだし突然雨が降ってきた。
暫くすると店の外からの音はザーザーと変わり本降りになったようだ。当分止みそうにないかも。
傘持ってきてねぇよ。そう思いつつ隣を見ると、席の横にはきちんと傘が立ててある。
「なに?副長さん雨降るって知ってたの?」
「ん?あぁ、これか。山崎が振りそうだって言うもんだからよ。」
「ちょうどいいや。善良な市民を家まで送って♪」
「善良な市民ってなぁどこのどいつの事だ?」
「ここ、ここっ!目の前にいるでしょうがっ。なんですかー?その顔についてる目玉は飾りですかぁーっ?」
「公務執行妨害を公然とやるヤツは善良な市民とはいわねぇよ。」
そう言われてグッと詰まる。確かに昼間したことは仕事の邪魔だった。
「しゃーねぇーなー。当分止みそうにねぇから濡れて帰るしかねぇーかぁー。」
「・・・別に、入れねぇとは言ってねぇぞ、無職。」
「えっ!入れてくれんの?!ラッキー!!」
ぱっと土方の方を見やると、酔いのせいかまたは別の何かのせいか、頬を染めて目を逸らすように前を見ている。
(ヤベー、超他人に見せたくないんですけど・・・。)
酒のせいで普段の険が取れて柔らかく見える表情も染まった頬も全て独り占めにしておきたくなる。
さて、どうしようか。しばらく舐めるように酒を飲みながら考えて
「そろそろ出ねぇ?雨はやみそうにないしさ。」
「ん?帰るのか?」
「帰るっつーか・・・もちっとゆっくり飲めるところ行かねぇ?」
「まぁ・・・いいが。遠くになると濡れるぞ?」
(・・・濡れても気になんねぇ所に行くんだけどねー。ハハッ。)
勘定を済ませ、揃って店を出る。
「オイッ!くっつくなって!」
「だってー、くっつかないと濡れちゃうじゃんよぉー。」
「だからってくっつき過ぎだろ!」
酔いに任せてじゃれあうように腰に手を回す。
「テメッ!何してやがんだっ!」
「気にすんなってぇ〜」
「動きづれぇだろーが!離しやがれっ!」
ぎゃあぎゃあ言い合っていたが、

ラブホテルの前で立ち止まると、
「・・・こないだの噛み痕と引っかき傷の借り、返してくれる?」
グッと腰を引き寄せ、耳元で囁いた。
「っ!」
ビクッと肩を揺らし土方は固まった。
ニヤリと笑い見つめると腰から辿るように手を上げ肩を抱く。言葉もないが抵抗もない。
うつむいて黙る土方をそのまま連れ込んだ。
またまたやおい部分です。自己責任でどうぞ。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1470015037&owner_id=126118

通報しないでね〜exclamation ×2揺れるハート
2人してベッドへ横たわり、荒い息で顔を合わせる。
「よぉ、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。」
ちゅっと銀時は土方にキスをする。

しばらく考え込んでいた銀時がふと土方の目を見る。
「・・・責任とってくれる?」
いきなりの話に面食らう。一体何の責任だよ。
「? 何のだ?」
わけが分からないといった顔で銀時を見る。
「どうやら俺、お前に惚れたみてぇだから、これから面倒見てくれ。」
「な・・・っ!!テメッ!!」
ガバッと起き上がろうとして、腰に痛みが走る。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
伏せながら、今言われたことを反芻する。
(惚れた?俺に?今確かにそう言ったよな。何なんだ?ただの息抜きじゃねぇのか?ええぇぇえ?!)
頭を枕に埋めグルグルしていると、
「嘘でも冗談でもねぇから。覚悟しろよ?俺ぁ、しつこいぞ。」
「〜〜〜わかった。」
”俺も惚れてるよ”とは言えなかった。 いつか・・・言える時が来るのだろうか。

まぁ、それまではせいぜい口説かれておこう。
くすりと笑い、ちゅっと土方は銀時にキスをした。


                                           fin
ぴかぴか(新しい)最後までのお付き合いありがとうございましたぴかぴか(新しい)
ハート達(複数ハート)なんとか24日までにアップし切ることができてよかったですハート達(複数ハート)

感想とか、足跡帳にもらえたら幸いですうまい!

揺れるハート映画版”紅桜偏”楽しみですね揺れるハート
明日を思うと眠れそうにないです揺れるハートハート達(複数ハート)
何気なく読みきってしまいました(笑)ww
面白かったですよ♪

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