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小説二人旅since2008コミュの小説第2段「宇宙"人"とは限らない」(2)

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 今回で完結です。くそ長いです。先週の月曜には出来てたんですが、諸般の事情でUPが遅くなりました。"笑い"が少ないので、半分の点数でしょうか。

 力作?ですので、ぜひ読んでください。



「宇宙"人"とは限らない」(2)


「で、仲間からの連絡はまだ無いのか。そもそもどうやって連絡を取るんだ」
「連絡はまだないな。何、袋のネズミだよ。大きさからしてそう遠くに行けるわけじゃない。連絡の方法は、ミミだな。私たちはミミがいいんだ。自分たちの星でも音波を特定の周波数にして通信している。各個人で一番遠くまで聞こえるチャンネルが決まっていてね。それに合わせて通信しているというわけだ」
「なるほどな。なかなか面白いな。イルカなども海中で音波で意思疎通するらしい。コウモリは超音波で距離を把握しているらしい。案外どこの星も同じなのかも知れないな」
「物質との衝突による拡散と真空では使えないところさえ我慢すれば、便利なものだよ」
「今も私に聞こえない通信が入っているかも知れないんだろ」
「ああ。そうだ。なに、めぼしい情報はまだ無いさ。気になるんならミミに注目するといいかも知れないな。かすかにミミが動くらしい。仲間にそう言われた。」
「クセか。誰にでもあるものだな。少し注目してみるよ」
「まぁ、別に時間に追われているわけじゃない、ゆっくり探せばいいさ。さあ、もう少し歩こう」
「悠長なことを言っている。付き合う身にもなってくれ」
私はウサギの身勝手さを嘆いた。
「そういえば、ウサギとカメの話を知っているか」
ウサギのミミがピクリと動いた、ように見えた。一瞬だったので確信は無い。
「何か通信が入ったのか。耳が動いたように見えたが」
「いや、何でもない。続けてくれ」
「そうか。ならいいが。大した話ではなくて、まあこの星の者ならみんな知っているような童話だ。ある日ウサギとカメが競争をしたんだ。確か山の上までだったかな。よーいドンとともにウサギは勢いよく駆けだしたわけだ。それに比べてカメはノロノロ。あの足だから仕方ない。あっという間にウサギは山頂付近まで登ってきてしまった。後ろを振り返っても全然カメが来る気配がない。ウサギは近くにあった木の下で昼寝を始めたんだ。起きてからでも逆転できるだろうと踏んでな。ところがだ、ウサギが起きた時、カメはもう少しで山頂というとことまで迫っていた。ウサギは必死になって追いかけた。ところがカメも必至だ。最後は激しい競争になったが、ホンの少し、カメが早かった。カメの勝ちだ。まだまだ時間はあると油断したウサギの怠慢が勝負を分けたんだ」
「何が言いたい」
ウサギが少し怒ったように言った。
「そんな悠長な構えでいると、誰かに先に拾われてしまうかもしれないぞ」
「それはこの星の童話だろ。私たちはそんなミスはしない」
「ならいいんだが。さあ、商店街の近くに着いたぞ。次はどうするんだ」
「中を通るとさすがに目立つな。少し見てきてくれないか。あんたならそう目立たない」
「お前はどうする」
「ここで人目につかないように待っているさ」
「わかった。大人しく待っていろよ」
「ああ」
私は商店街を見渡した。人影はまばらだ。繁華街とは言え、日が沈んでもうだいぶ経つ。ウサギの歩く速さに合わせていたらこんな時間になってしまった。
まったく、どこの星でもウサギの性格は同じなのか。それに商店街を見てこいと言われても、何を探せばいいのかもわからないではないか。商店街はほとんどの店がシャッターを下ろしている。
商店街も終わりに差しかかり、折り返して戻ろうとしたとき、何かが聞こえた。それは水の流れる音に混じって聞こえてきた。
「こっちに来て。お願い」
それは近くに行って初めて聞き取れるような、小さな声だった。
声のする方には川が流れていた。コンクリートの護岸の下、草が少しはえているところに、光る点を見た。
「そう、その点です。その点が私」
川べりに降りていくと、そこに居たのはカメだった。
「よかった、あなたに会えて。私は追われているの。助けてくれませんか」
このカメもまた宇宙人、いや宇宙カメである。私と話しているのだから。
「あっと、どういうことかな」
一日で二人もの宇宙生物に会うのは偶然ではない気がする。
「私はある国の次期王女で、それに反対する者にとらわれてしまったの。なんとかこの星に逃げ出すことができて」
「ふむ。それは大変ですな。そして、私にどうしろと」
「私、背中に発信器を付けられてしまっているの。逃げ出しても居場所がわかるように。だからそれを壊してほしいの。背中の光る点。私じゃ手足が短くて届かないのよ」
「わかった。それだけでいいならお安い御用だ」
その光点を壊そうとすると、聞きなれた声が近付いてきた。
「待ってもらおうか」
今日一日を共にしていたウサギだった。
「やっと会えましたね、王女様」
「あなた…どうして」
カメの声には悲愴な色が出ている。
「どういうことだ」
私は混乱していた。落し物を探してほしいと話しかけてきたウサギ。反対派に追われているというカメ。そして二人ともが私に話しかけてきた。
「つまり、そういうことだ。私がカメを追っていた。迂闊にも逃がしてしまってね。発信器を付けていたはいいけど、精度がアバウトでね。どうせこの星では王女1人では何もできない。そこで、必ずあんたに連絡を取ると思っていたんだ、宇宙バトのあんたにな。だから最初にあんたに接触して、商店街へ導いた。あとはカメさんが連絡を取るのを待つだけ。自慢のミミでどんな小さな音も逃さない」
「ちょっと待て。お前は始めから私を利用していたのか。それに…ウサギの姿はお前の本当の姿なのか」
「ああ、そうだ。ウサギとカメの話をされた時はひやりとしたがな。気づいているのかとひやひやしたよ。だが何のことはない、案の定連絡を取ってくれて、目論みどおりだ。さあ、王女様、船へ帰りましょうか」
「だれが素直に従うものですか」
王女は敵意むき出しで反抗した。
私は地球の監視員として派遣されていたが、退役して自由に暮らしていた。もう本星へ帰ろうという気も無くなっていて、この星で生をまっとうしようと思っていた。ところがだ、この騒動に巻き込まれた。そして一人の王女を危険にさらそうとしている。
このままでは、終われない。
「王女さん、つかまりな」
「えっ」
「背中につかまれと言っている。こういう展開に責任を感じないでもない」
「いえ、あなたは何も悪くはない。私たちに巻き込まれただけです」
「人のやる気に水を差すんじゃない。久々に燃えてきたところだ。あんたを逃がしてやるさ」
王女は私の背中につかまった。
「さて、そうそううまくいくかな」
ウサギはどこまでも余裕だ。それもそのはず、仲間の船が後ろに浮かんでいた。
「用意周到じゃないか。王女さん、あんたいったいどうやって抜け出したんだ」
「機械に細工をしたんですが…。もう直してしまったのですね」
「あの船、何か攻撃できるものは積んでいるのか」
「はい。レーザーみたいなものは積んでます。でも、あれが効いていれば…」
「何か希望があるのか」
王女は確信に満ちてうなずく。
「はい」
「ならあんたを信じよう。行くぞ、きちんとつかまっていろよ」
私は羽を大きく上下させた。カメの王女様ぐらいなら何とか乗せて羽ばたける。王女様が痩せていてくれてよかった。もう少し重ければ羽ばたけないところだった。
私はウサギの船とは逆の方向に飛び立った。この町は飛び慣れている。そう、私には地の利がある。カメを乗せて空を飛んでいる光景は異様で、人間が見ていれば大騒ぎになるだろう。だが、もう関係ない。この星でどんなに騒ぎが起きようが、私がそれを目にすることはもうないのだから。
ビルの谷間の暗闇を滑空する。相変わらずウサギの船は追ってくる。だが、打ってはこない。狙いを定めているのか、何かトラブルがあったのか。
「王女さん、あんたいったい何をしたんだ」
「何って、少し運行系に細工をしただけですよ。こう見えても機械系の知識は少しありまして。この星に降りたのも、半ば不時着ですからね。飛べるようにはなっても、ビームと大気圏脱出を果たす技術は彼らにはないんじゃないかしら」
「今頃は機内で大慌てということか。出ると思ってたビームが出ないんだからな。油断するからこういうことになるんだよ」
「ウサギとカメの話ですか」
「どうして知っているんだ」
「私の星で流行ったんですよ。この星の童話が。それが気に食わなかったというわけでもないんでしょうけど、カメの次期王女が許せなかった。元々の対立に拍車をかけたんじゃ…飛躍しすぎですね」
「何とも頼もしいお嬢さんだ。さあ、もうすぐだ」
「もうすぐって、この後どうするんですか」
「この星では頼れるハトは私しかいないんだろ。だったら任せておきなさい」
少しクサいかなとも思ったが言い切った。
「よし、少し手荒くなるが、つかまっていろよ」
私は大きな弧を描いて旋回して、町の中心の時計台に舵を取った。時計台の一番上、駆動部への出入りにのために開けられている穴を目指す。今は木製の扉で蓋をされているが、何分古い建物だ。私がこの地にやってきた当時からあるのだから、かれこれ半世紀以上は過ぎている。外気に触れる部分だから老朽化は著しく、ハトの体当たりでもなんとか壊せそうになっている。
私は肩から思いきりぶつかった。
ドドドッ、と派手に私の体は転げた。王女も同様だ。
「王女さん、無事か」
「はい。甲羅は割れてないようです。あと、発信器の違和感もなくなりました」
王女の背中に目をやると、先ほどまで光っていた点がなくなっている。
「なんだ、発信器を壊す手間が省けたな。これでやつらはあんたをロストしたってわけだ」
「はい。でも、ここに居たんじゃすぐに追いつかれてしまいますよ」
痛い思いをしてここまでやってきたんだ。それなりのものは用意してある。
「王女さん、そこを見てみな」
「これは、型は古いようですが船ですね」
時計台の駆動部の一角に私が乗ってきた船を隠してあった。
「さすが機械に強いだけのことはある。本当を言うと、こいつはもう使うことはないと思ってたんだがな。また厄介になることにするか」
「なんだかすいません。穏やかに暮らしてらっしゃったのに、私のせいで乱してしまって」
確かに、ウサギとカメと出会わなければこの星で穏やかに暮らしていただろう。だが、この出会いは、私の中の何かを呼び覚ました。
「まぁ何だ、この星での生活にも飽きていたところだ。それに、この騒動でウサギに見下ろされて生きるのが嫌になってね。月の見えない星で生活するさ。久々に本星に帰ってみるのも面白い」
話していて、心に活気が満ちてくるのがわかる。
王女が少し不安そうな顔をした。
「心配しなくてもいい。あんたをきちんと送り届けてからだ。それから、旅にでるとするよ」
「ありがとうございます」
「こちらこそ、こんな気持ちを思い出させてくれてありがとう。この星に派遣されてきたころは冒険心旺盛だったのが、この星で精神的に歳をとってしまったからな。丁度いい刺激だった。さあ、乗りな。最後の仕上げと行こうじゃないか」
二人で船に乗り込んだ。ぶち破った扉にウサギの船が近づくのを待つ。もう少しで時計台に侵入してくるというところで、勢いよく時計台を飛び出した。ウサギの船をかすめて、一気に上昇する。ウサギはバランスを崩して時計代に激突していた。
「これで完璧だな。当分は追ってこない。あんたの星にもだ」
「本当にありがとうございました」
王女は深々と頭を下げた。カメの首を精一杯伸ばして。
「まだ終わってはないぞ。無事あんたの星にたどりついたときに、最後の礼を言ってくれ」
王女の精一杯の感謝に、照れ臭くなる。
「少しスピードを上げるぞ。一気に大気圏を出る。今夜は嫌味なくらいにまん丸な月が出ているな」
満月が南の空に明々と輝いていた。
「知ってるか。月のウサギはな、この国だけなんだ。他の国に行ったら蟹とか、女の横顔とかになっちまうんだぜ。あんたの星のウサギも接し方を変えれば、分かり合えるかもしれないな。ま、向こうにその気があればだが」
王女は大きく頷いている。
「さあ、あまり快適とは言えんが、あんたの星まで旅を楽しむとするか」
私たちは青く輝く地球を後にして、黄金色に輝く月にも別れを告げて、遥かなる宇宙へと再び旅を始めた。

コメント(9)

感想言っても良い?

主人公が鳩なのには驚いた。人間だとずっと思っていたから。

前の作品もそうだったんだけど、なんか「なんともいいがたい」。
前回のも設定は面白いんだけど、旨味がない。ハニーさん的にちくわの入ってないおでんを食べているようなもの。なんかこう、「らしさ」が出てないのが残念。


僕も書きました。もうちょっと待ってください。
あと、蛇足なんだが(2)ってタイトルに入れない方が良い。

()は抜かないと、コメントが来た時のと被るからわかりにくい。
ふむ、おもしろかった。
設定が良い。好きだな、こういう雰囲気。
とくに前半のハトとウサギのやりとりは雰囲気出てた。
後半カメが出てきてから子どもっぽい雰囲気に変調したのは個人的に残念。

ウサギとカメの昔話のところが長過ぎるのが気になるけど、
昔話や月のウサギを絡めることで読者が理解し易いつくりになっているのは好感がもてる。

あと、「ロストした」っていう言葉は全体の統一感を考えると違和感がある。

お題にはあまり沿ってないけど、お題はあくまで目安に過ぎないから
評価は★★★★☆(星4つ)
のんたさん に習って

評価は★★☆☆☆(星2つ)
評価ありがとうございます。

そねさん
自分らしさってよくわかんないんだよね。そう抽象的に言われても。具体的に頼む。
ハトの件は奈良公園で思いついた。鹿とハトが並んでて、コイツら実はしゃべってんじゃねーの、みたいな。

のんたさん
甘め採点、ですかな?
前半はスラスラ書けた。落とし物辺りから悩んだね。発信機の展開はチープかとも思ったけど、ハトにも見せ場が欲しかった。というより書きやすいように書いたからだろうな。
最初は宇宙ハトとウサギが人間社会を冒険、みたいな物語考えてたから。それが頓挫して今回のカメ救出作戦です。
うーん、具体的に言えることじゃないかな。
誰が書いたってのがはっきりしない文だと思う。どんな文でも、その人が書いた「意志」的なものが作品に入って見え隠れすると思うのだけど、それが薄いのかな。
甘めというか、対アマチュア用採点基準だね。
プロと同じ基準では評価してないよ。
対アマ基準で★5つを何度もとれるようなら対プロ基準に切り替えるぜよ。
なるほど。厳しいご指摘です。

コンスタントに5つとれるように頑張る。

でも1つがだいぶハードル高いんではないかと思われます。

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