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mixi小説 愛の物語コミュの第5章 〜挨拶〜

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明くる日の朝

唯が俺の体を揺さぶり起こしてきた

『修也!修也く〜ん
朝ですよ〜』

俺は眠たい目を擦りながらなんとか起きた

『ん…あぁ、もう朝か
ん?なんかいい匂いがする』

朝ご飯が用意してあった
ちょっと底の焦げた目玉焼きと食パンに牛乳

何気ないありふれた朝食

でも俺はそれが堪らなく美味しく感じた

『ん〜ウマイ』

俺は評論家のように目をつむりながら言う

『ただの目玉焼きとパンだし!』

朝から笑いあっていた
俺も唯も食べ終わったぐらいに陣が起きてきて目玉焼きを突く

陣は食に興味があまりないのかほとんど食べない
無理に食べさせようとしても泣くだけなので仕方ないと思っていた

俺が用意を終え
玄関に向かうと
唯と陣もちょこちょこついてきて「いってらっしゃい」と言い唯が俺にキスをす


唯と俺が仲良さそうにしていると陣は不機嫌になり唯をポカポカ叩く

やきもち妬いてんだ
それが面白くて2人でイジメることもある
あまりやりすぎると陣はスネてしまい部屋の隅でしゃがみ込み目を潤ませてしま
うことがある

『ゴメンゴメ〜ン!』

と俺が陣に顔を近付けて謝ると
陣にビンタされる

その手の感触が小さくて、柔らかくてとても愛しい

幸せって何気ない所にあるんだな。


『修也!?何ヘラヘラしてんだよ気持ち悪い』

俺に罵声を浴びせているのは小学校の時から中がよかったヤスだ

『いやぁ〜俺今ちょー幸せなんだって』

『あぁ、彼女とうまくいってんだ?』

ヤスにはよく彼女の話をしているから状況はよく知ってる

『そーなんだよ〜俺結婚すっかも!』

『マジかよ!?
だって相手子持ちだろ?
お前スゲーな』

『何がスゲーんだよ?
好きになった相手がたまたま子持ちだっただけじゃん?』

『いやぁ、俺には無理だからさ…』

俺にはヤスが無理って言うことが不思議だった
ヤス変わってんだなぁ

でも変わってんのは俺だったみたいだ

色んな人に批判された
それがやけにイライラして心中穏やかではなかった

将来絶対しんどい
だとか

自分の子供ができた時どうすんの?
だとか

途中で別れたら可哀想
だとか

皆好き放題言ってくる

『子持ち!?辞めときな!女なんか星の数程いんじゃん!絶対別れたほうがいい
って』

昔知り合った先輩にそう言われた時我慢の限界がきた

『あんたに何が分かんですか!?俺の彼女のことちょっとでも知ってんですか!
?何にもわかんねーくせに分かったような口きかないで下さいよ!』

皆で飲みに行った居酒屋だったけど俺はその勢いで店を出た

『クソッ!なんで皆して否定すんだ!
俺が幸せだって思ってんだからいいじゃねーか!』

イライラが止まらない。

そのまま家に帰り苛立ちを胸にしたまま俺は眠りについた。

次の日の朝

目覚めが悪い

『最悪…』

それでも仕事にいかなければならないのでシャワーを浴び少しスッキリした気持
ちで母親が飯の支度をしているリビングにいく

タンタンタンと爽快な音を立てて朝食を作る母さんが一瞬手を止めた

『もうすぐできるから朝食べて行きなさいよ』

『あぁうん
……なぁ、俺がさぁ
子持ちの子と付き合ってるって言ったら反対する?』

この時なんで言ったのかは自分でもよくわからない

『えぇ?あんた子持ちの子と付き合ってんの?』

『うん
で、どーなんだよ』

『まぁ、どーゆーつもりで付き合ってんのかは知らないけど、あんたは昔から1
度言いだしたら聞かない子だからね
で、結婚でもする気なの?』

『子供のこともあるし、のちに結婚しようと思ってる』

『あっそ
まだどうなるか分からないし頑張ったらいいんじゃない?』

この母さんの言葉が嬉しかった
母親だったら反対すんのが普通かもしれない
でもホントに俺のことを解ってくれてるんだ

ありがとう。

まだ言葉に出せる程大人じゃない俺だけど昔から感謝はしてる
いつかは面と向かって言いたいな。


翌週の月曜日

『修也〜マジで行くのぉ?』

今にも泣き出しそうな声でそう言う唯

今日は唯と陣を両親に合わせる為に前もって親にも言ってある

『早く行くよ〜』

唯の不安をよそに平然とする俺

家に着きリビングに向かう
『おっ!お邪魔します!』

少し裏返りながら挨拶をする唯に小学校の時から飼っている愛犬チェリーがお出
迎え

「ウゥーワンワン!」

吠えまくるチェリーに動揺する唯とは対照的に陣が大喜びしている

『うわぁ!ワンワン!』

陣にとって犬は怖い存在でもなんでもなくいきなり追いかけ回している

『すっすいません!
陣!辞めなさい!』

焦る唯に母親は何事もなかったように晩ご飯の準備をしている

『いらっしゃい
まぁ座って』

そう言われどこに座っていいのか分からずオドオドする唯

『はぁー疲れた〜』

と言いながら俺が椅子に座ると唯は陣をひっ捕まえて俺の横にちょこんと座る

なんか可愛い唯。

晩ご飯の準備ができ親父も帰って来た

皆で食卓を囲みながら母親は唯に質問をしている

『陣くんは今何才?』

『2才と半年です!』

『唯ちゃんは働いてるんだよね?陣くんは保育園に預けてるの?』

『いえ、私が仕事の時は母が見てくれています』

そんな会話のやりとりをしながらご飯を食べ終え俺の部屋に行くことに

『ふぁぁぁ〜緊張したぁ〜』

気の抜けた声で唯が言った

『やっぱ女でも緊張するもんなんだ』

『そりゃそーだよ!彼氏の両親と会うんだよ!?
あぁ〜お母さんに絶対嫌な印象ついたよぉ』

唯は不安そうに弱音をもらすが俺はそんなことないと思った

母親は昔から口はよくないし愛想も悪いけど嫌いな人間とは口もきかない

だから唯にあれこれ質問していたのは母親なりに親睦を深めようとしていたと思
うし
真剣に考えてくれているんだと思う。

そう思うと自然と笑みがこぼれる

『何笑ってんのよ!今度仕返ししてやるから!』

『は?仕返しって唯のお母さんとはもう何回も会ってんじゃん』

陣を預けていることもあり唯のお母さんとは実際何度も会っていた
真剣な付き合いだってことを理解してくれ
俺によくしてくれている

実は唯のお母さんも唯と同じようにシングルマザーだった

唯と違うと言えば唯のお母さんは1度結婚していて離婚するのも唯と唯の妹があ
る程度大きくなってからだった

だから俺は油断していた…

『私のお父さんと会ってもらうからね!』

ゲゲゲ!
マジかよ!?聞いてねーよ!

『ま…まじ?』

引きつった顔で唯に問い掛ける

『大マジ♪』

大きくうなずいて
どうだ!って顔で俺を見る唯

『実は前から日にちも決まってるんだ!
お父さんが会わせてくれってしつこく言うもんだから黙って約束しちゃった』

ひぇ〜
マジかよ…お父さんはマジきつい…

どうか殴られませんように!

そんなことを思いながら約束の日がきた

『唯!俺はら痛ぇわ!
病院行くから今日無理だ』

『はいはい
早く行くよ!』

仮病を使う俺を軽く流し玄関でまだかまだかと俺を急かす

ずっと前に付き合ってた子のお父さんに挨拶に行ったことがある

その時はかなり不機嫌そうなお父さんに彼氏、とは認めてもらえず友達、とずっ
と言われていた。

そんな苦い思い出が蘇る

約束の場所に着いた
唯の家から車で15分程行った所にある焼き肉屋さんだ

ドキドキして破裂しそうな心臓を抑えて店内に入る

店の中はあまり人がいない

どの人が唯のお父さんなんだろうと目をギョロギョロさせる俺

『あれ?お父さんまだかなぁ?』

『なんだそれ!俺の緊張返せ!』

この言葉で一気に力が抜けた
のもつかの間だった
すぐにお父さんがきた

『あっ!は…初めまして!牧野修也と申します!』

『あぁ初めまして』

ビックリしたのは意外にも柔らかい感じの人だった

その後は普通に会話をし
唯も陣も楽しんでいるようだった

お父さんも俺にどんどん食えと肉をいっぱいよそってくれた

そして唯がトイレに立った時だった

お父さんの儚い気持ちを知ることになったのは

『修也くん
娘のことをどう思う?』

この問いかけに今までとは違う真剣な空気を感じ取った

『娘さんは本当にいい子です
今どき珍しいぐらいに純粋で真っ直ぐな女性だと思います』

俺は真剣に答えた

『じゃあ陣のことはどう思う?』

『正直初めは戸惑った部分もあります
でも接しているうちにどんどん陣のことが可愛く思えてきて今では自分の息子の
ように思ってます!』

お父さんはゆっくり瞬きをしながら話し出した

『そうか…
唯は昔から意地っ張りな所もあるし生意気な娘だ
でも本当に心の優しいいい子なんだ
修也くん……
唯を…頼むな?』

そう言ったお父さんの顔は微笑んでいたけど、どこか淋しそうな顔をしていた

離婚して離ればなれになってしまったと言ってもやっぱり娘は可愛いはずだよな
その娘が未婚の母になり女手1つで子供を育てるなんて辛い道を歩ませたくない
はずだ

でも自分にはどうすることもできない歯痒さがあり赤の他人に娘を託すお父さん
の心境はどんなに苦しいだろう

俺はお父さんの目を真っ直ぐ見て返事をした。

『はい!絶対幸せにします!』

そんな会話のやりとりがあったことを知るはずもない唯がトイレから帰ってきた

『何話してたの?』

『別になんでもねーよ』

『何それ〜どうせ私の悪口でも言ってたんでしょ!』

そう言いながら口を尖らせている唯にお父さんが口を開いた

『唯、修也くんはいい子だな』

その言葉に唯も俺も目をまん丸にして見つめあった


お父さん
この時の約束
守れなくてゴメンなさい。





永遠

君に出会った時から

周りの景色が違って見えた

僕の見る景色に

鮮やかな色をくれた君に

永遠の愛を捧げます。

コメント(2)

恋愛って絶頂期が一番楽しくて幸せで。

ますます、この小説に惹かれていきます。

愛した人の父親との約束を守れない…
そんな時
本当に胸が痛くなるんです冷や汗
幸せが始まると同時に、必ず悲しみも始まるもんですねわーい(嬉しい顔)あせあせ(飛び散る汗)

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