ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

懐かしのF1レーサー達コミュのF1GPのエントリーが40台に迫った1989年、FISAは予選出場者を決定する予備予選、プレ・クオリファイを設定した。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
予備予選・凝縮の1時間
 金曜日午前8時、グランプリの興奮はまだ序盤の朝。だが、予備予選を走るドライバーにとっては、そこですべてが終わるかもしれない、せっぱ詰まった時間である。
 コースに出られる最大数は30台と決まっている。1989年は39台というグランプリ史上最大のメンバーが顔を揃えた。F1GPを統括するFISAは、金曜日の10時から始まる本番、公式スケジュール出走許可を、昨年の実績を主な選考基準とする26台に絞った。あぶれたのは13台。この中から予選を走れるのはわずか4台だけである。彼らに与えられるのはわずか1時間。この間に全てが決まるのである。 初めて予備予選が行われたブラジルGPのパドックは、バラック風のほったて小屋、モナコGPのパドックは、本番組と500mも離れた隔絶世界であった。
 グランプリの歴史の重さを物語る階級社会。早朝から1時間余計に走る厳しさ以前に、予備予選組には辛い現実がのしかかっている。
 また、モナコGPの駐車場難は有名だが、当然、参加者には優先して立地条件のよい駐車場のパスが配られる。しかし、予備予選ドライバーには、1チーム1枚しか割り当てがないのである。予備予選組ドライバーは二人一緒に会場入りするようにFISAは指導した。FISAは完全に彼らを「半人前」としか扱っていなかったのである。
グランプリのコースは平均して約1周1分30秒である。しかし、ピット・アウトしてタイヤのウオーム・アップを行う周は約2分必要だ。ピット・インすると少なくとも30秒のロスとなり、3回のピット・インで済んだとして、これらで7分が消える。20周走れたとして30分かかるから、残りはわずか23分、それ以前に、本番なら用意されるフリー・プラクティスの時間もなく、ぶっつけ本番だから、セッティングの確認で10分は消費する。つまり、サスペンションやエンジンの調整に残されるのはわずか13分しかないということになる。コースのデータを完全に持っていて、ドラブルがなく、かつコースに慣れたドライバーの三拍子揃ったチームでなければ、予備予選通過はおぼつかないであろう。
かくして、予備予選は、非常に凝縮した1時間となる。僅か1時間ですべて(あらゆる意味で全てである。)が決められるのだ。大げさに言うと、そこに関わっている全員が、まるで死んでもいいと思っているような、ピーンと張りつめたムードが、金曜日の8時にサーキットを包む。ほぼ30分を経過した時点で、そのエネルギーは頂点に達し、残りの30分でゆっくり下降を始める。9時まで残り10分になったころ、ひとつの方向に向いていたムードは、はっきりと明と暗に分けられてゆく。そして9時。晴れてトップ4になったチームには、本番のさらに厳しい予選が待っていて浮かれている余裕はないけれど、振り落とされたチームには、絶望的な悲壮感しかない。予備予選は、確かに、もうひとつのグランプリである。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

懐かしのF1レーサー達 更新情報

懐かしのF1レーサー達のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング