球のたわごとコミュの2Z-DH3A(芝真）

2Z-DH3Aとはなんて面白い型番だと思います。

普通6Z-DH3Aの2.5Vヒーターなら3Z-DH3Aと表記されています。3W-C5も同じです。
中間にハイフンが入っているこの名称制度についてはABWさんが別トピックで説明されています。
重複しますが私なりの文章で記載します。なお記載にミスがありましたら、ご指摘ください。

①日本の名称制度は938年(昭和13年)のC-7001号規格から始まります。
　名称の最初の数字はヒーター電圧を採用
2V～2.4Ｖは２を、2.5Ｖから3.9Ｖを3としました。
　これは米国の名称制度RMA(1933年）の模倣からきたものです。
　 6Z-DH3Aや6W-C5の2.5V版は1952年頃の発売ですから
　 3Z-DH3Aはその制度に沿った名称ということになります。

②ところが米国が1941年に米国はRMAを改訂、RETMAとします。
　この時の修正で最初の数字（ヒーター電圧範囲）が変更になります。
　数字の２は2V～2.4Vから2V～2.5Ｖになり、それにつられて3は2.6Vから3.5Vとなります。
　日本も準じてC-7001を修正しますが時期は遅れて1956年(昭和31年）から実施となります。

　③名称制度の改訂時期が日米で同じであればよかったのですが、
　　このズレにより2.5V版は3Z-DH3Aとなり、一世代前の名称となってしまいました.。
　　その後も名称改訂（新規登録）は行われず、3Z-DH3Aのままで普及が進みました。

③ここからは推測です。
　表題の2Z-DH3Aには　52-06Ｎ　の印字があり、おそらく1952年の生産品なのでしょう。
　メーカーはRETMAの情報を入手しており、これに倣えば　2Z-DH3Aとなります。
　メーカーは「これはRETMA時代の発売だから２です。
　おってC-7001号も改訂されるだろう」との思いだったのでしょう。
　確かにC-7001号は後年修正されましたが既発売品種の名称変更には踏み切りませんでした。
　メーカーの思惑で名付けられたであろう2Z-DH3Aは幻の珍名称と言ってもいいでしょう。