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「生きる」 黒澤明監督コミュの忘れがたき場面

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私個人としては此の映画を観るには辛いものがあり、正直言えば、再見したい映画ではありません。しかし、やはり此の映画はここに挙げるべきでしょう。
私が此の映画を観たのは既に半世紀程前ですが、銀座の街裏の小さな映画小屋で観たことは今でも明瞭に覚えています。

その映画小屋で一度観たきりの映画ですが、今でも忘れえぬ三つの場面があります。
なにぶん半世紀程観たきりなので、この映画は今や私の中で脚色されているに相違なく、以下に書く此の映画の場面は正確さ欠けるでしょう。だから以下は<私の>『生きる』の忘れがたき三つの場面です。
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ダンスホールでの場面。黒装束の作家:伊東雄之助に誘惑され、ダンスホールで酔っ払っていた志村喬は、ふと、寝ぼけから醒めたように顔をもちあげ、『ゴンドラの唄』をぶつぶつと呻(うめ)くように歌いだす。この突然の異様さに圧倒された周りの遊び人達は、後ずさりしつつ、いぶかしげに志村喬を見つめる。 

カメラはその様子を映しているのですが、ぶつぶつと歌う志村喬の顔 (なんとも寂しげな顔) をクローズ・アップし、そのままカメラは少しずつ後退していく。そしてダンスホールの入り口の玉スダレを越してダンスホールを出てゆくのだが、志村喬の『ゴンドラの唄』をBGMとして、揺れる玉スダレをカメラは映し続ける。この揺れる玉スダレが印象的でした。

(志村喬の『ゴンドラの唄』の良さも、さることながら、それに合わせた此の場面の一連のカメラワークが、私はとても好きです。)
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雪の夕暮れ、誰もいない公園のブランコに独り乗りながら志村喬が『ゴンドラの唄』を歌う有名な場面。 ちらつく雪の中で田村喬はブランコに乗りながら、満足気に『ゴンドラの唄』を歌う。カメラは、その姿を中心として、静かに、ゆつくりと周る。

(実に、しみじみとした静謐な場面で、ここでのカメラワークも、とてもいい。)
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ラストシーン。帽子を、まぶかにかぶった日守真一が、夕暮れの公園を遠くから、じっと見おろしている。そして暫くして、淋しそうに、とぼとぼと去っていく。カメラは、遠景でそれを公園側から静かに見つめている。

(この場面も、雪のブランコの場面同様に静謐で、しみじみとして余韻があり、とてもよい幕切れでした。観終わって席を立つのに私は少し時間がかかりました。
「生きる」ということが、どういうことなのかを声高に訴えるのでなく、志村崇の『ゴンドラの唄』の歌詞が、それを雄弁に語っており、やはり名画と言えるでしょう。)

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