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仮面ライダー chroMコミュのmasked rider chrom VOL 1

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【 皆既level─III 】





タッ タタタタ、‥‥


バクッ

「ヨシ、‥‥‥行こう」



uh──woo

ヒィ-コ─ ヒィ-コ─ ヒィコ─ォォ

‥‥


血相を変えた3名の救急
隊員がそれぞれ緊急車両
に乗り込むと、サイレン
の音は騒然とした現場か
ら遠ざかっていった

そして ‥‥


慌ただしく、車が去った
あとのアスファルトには、
一滴落としていった赤い
染みだけが残った






masked rider chroM



仮面ライダー 原案
石ノ森 章太郎












   woo ──ooh

ヒィ-コ─ ヒィコ─ォォ


その
音色は急を告げていた ‥


11月09日 その時刻は、
正午

 ・‥10数分前、


それはのちに、起こした
規模や施設とその建物の
被害状況から、一様に、
奇跡的だと報じられた ‥

‥それによる、死者1名。
爆音とその衝撃によって
その時、‥地震のように
地面は揺れたという‥‥
それらの、
一体どこに奇跡があった
のだろうか、

はじめに、──

この言葉に終わりを置く
報道の在り方へ問題提起
し、奇跡ではなく、仮に
何らかの奇跡であったな
らば、それが何であり拠
って悲しい出来事となっ
たこのことが、‥ ──
───




東海新聞社
水崎記者の手記より ──









uh──woo

ヒィ-コ─ ヒィ-コ─ ヒィコ─ォォ




「‥‥‥‥‥」

‥‥‥、‥


静かにたたずむ
工業地帯からその周辺の
集合住宅地を縫うように、
一台の緊急車両は先を急
ぎ、広い通りを目指して
速度を上げていた

閑静な地域に暮らす人々
は、その日常を裂くよう
に鳴り響いたサイレンと、
象徴的な赤い灯に ‥
顔を見合わせ

その不安を囁き合った







x x x



同日、正午前
東海大学医学部付属病院



Pu─、Pu─、Pu─ ‥‥

高度救命救急センターに
緊急車両からの一報が届
いた


ハイ。‥‥‥

「‥緊急車両から傷病者の
搬送です」
「わかった。‥
急げよ救急傷病者入るぞ、
‥‥

発生状況と状態の確認を
お願いします‥」

ハイ。‥‥‥


「急いで、‥‥」
  ハイ。‥‥スミマセン







同、正午前
搬送先に向かう緊急車両

車内 ‥



uh──woo
ヒィ-コ─ ヒィ-コ─ ヒィコ─ォォ


「‥‥‥‥‥」


無線を口元に当てた救急
隊員は、救護を行う仲間
が併発する状況に手を尽
くせず、混乱にもにた騒
動であることに一度振り
返った


意識レベルIII-3
熱傷深達性III度、熱傷部
位は体幹前面・右下肢‥
熱傷面積40%
上腕部からの右上肢欠損
爆傷による
気胸、熱と薬品による
重症熱傷です‥

急ぎます、お願いします





   ウウ──── ゥゥ
── uh──woo

ヒィ-コ─ ‥‥


大通りの交差点を裂くよ
うに、サイレンが抜けて
ゆく ‥






同、
東海大学医学部付属病院


「 ‥ ‥‥‥」


       ‥ オイ、

噛んだままの火のついて
いない煙草を医者は口元
から離した

「‥‥意識レベルIII-3
熱傷III度、右上肢欠損に
熱傷面積40%‥ 、オイオイ
オイオイ
‥‥何があった、?」


エ!?。‥‥‥ハ、ハイ



「半導体製造工場での化学
薬品による爆発事故だそ
うです‥‥」
 ──────、!!

「二次的な被害による救急
患者もあるぞ、病床確保
とセンターへ連絡、急げ
バカヤロゥゥ‥大事にな
るぞ、‥」

「‥‥‥ハ、ハイ」







x x x


‥‥同刻・某所

路上 ‥




ひッ、────


ドタ、ッ ‥‥‥


背中を向けたスーツ姿の
男が地面へと腰を落とす
と、その男の前に立つ二
人組の男性が姿を現した


黒のスーツ姿、ひとりは
白髭の渋めな中年の紳士、
もうひとりは若い官僚く
ずれの組員といった風体
に、しばらくの間無言で
相手を見下ろしていた


ザッ、‥‥‥‥


「公安調査庁長官だなぁ‥
その姿、貴様だなぁ」

「し、知らん、人違いだ‥」






「‥‥‥!?、‥」


地面に座り込んで後退り
する男は、若い方の男が
後ろの人物へ駆け寄って
耳打ちする姿を注意深く
窺っていた


「パパ、‥容姿からの判断
を含むもので恐縮ですが、
自らの不祥事とそれに及
ぶ事件の機密性から、ひ
とりの護衛も無く ──

これほど歳も若いとは?」




「‥‥ では、任そう」


男はその声のあとに一礼
をして、元の位置へと俯
きながら足を進めた

「ま、待てよ何なんだよ、
‥何者だよ、アンタ達は」




コッ コ コ コ コ‥‥

「‥・知って、どうする?」

「ああ、‥‥アンタ達こそ
私をどうする気だ!?」


 ザッ、‥‥‥

「俺かい?、んー‥では、
名前だけでも、小笠原大
‥‥」
ああ、‥あっ

「知ってる、あんたは読売
巨人軍の‥‥ だろ?‥」

「‥ そう、そう俺ってさ
パ・リーグの頃、2度
2002・2003と、首位打者
獲ってんだよねー、
外へ逃げる低い
ボール球ナンデヤネン‥誰が、」

「‥‥‥‥‥」




ズザ、 ッ‥‥‥‥‥
ギョヒヒ、ギギギ ギョヒ─ ィ

「俺様は、小笠原大蝙蝠だ」


ぐば───ァァ ガビュ


‥ギィイイ─ぃがあああ!


       ァァァァ ‥

           ‥






x x x


同、正午前
搬送先に向かう緊急車両

車内 ‥



uh──woo
ヒィ-コ─ ヒィ-コ─ ヒィコ─ォォ


「‥迂回しよう、‥そこを
信号左、道なりに直進」

仲間の指示に、ハンドル
を握る男は強くアクセル
を踏み込んだ ‥‥
グイッ ‥‥・‥ 、



グワワッ── ブオブゥゥ─

uh──woo

ヒィ-コ─ ヒィ-コ─ ヒィコ─ォォ




「‥‥うわわッ、何だよ!」
「‥‥なッ!!
うァァ──あ 化け物ッ!?」


‥ ギャバッ
ギュュワワワッ ──ァ
Gussh──AAM !!







‥‥コツン、

uh── ゥゥ
 oo‥w uh-woo ‥




飛散した車のウインカー
の一部が自動販売機を打
ったあと、不規則で歪ん
だサイレンの音が弱々し
く路上に響いた ‥‥





x x x








ポツ  ポツ、ポツ‥‥


「・‥どうやら、雨のよう
ですね」






前部が大破した緊急車両
の前に佇んだままの、官
僚くずれの若い男の姿 ‥





「‥‥‥‥‥」


ちらりと空を見上げたあ
と、死に凄惨なあとを残
しひび割れて崩れた、車
のフロントガラスを見て
男は目を細めた

‥‥
そのあと、ブツブツと呟
き始める彼の心は、どこ
へ投げ掛けるわけでなく
沸々とした何かによって、
声へと形を変え連なった


それは、──

「‥‥倫理であれ、宗教、
精神、法律、なんであれ、
意義深い言葉のその共通
する意味は、‥‥‥
変わらないはずだ。

今歴史の上に立つ、人類
の共有財産であるにほか
ならない ‥‥」


元より成してなければ ‥
別にかまわぬ、

人は歴史を繰り返すだけ
のこと‥‥ か、

uh── ゥゥ
 oo‥w uh-woo ‥
‥ガガ




「‥そのことを扱うときに
は皆、口々に発する尊い
という言葉は‥‥
本物であるのならば何故、
これほどまで身直に死が
溢れている、‥‥生と死
は互いに斥力をもって離
れてゆくべきだ‥‥

命はなによりも重いと言
うのなら、」


ジャリ、‥‥‥‥



官僚くずれの風体の男は、
大破した車に歩み寄ると
地面に手を伸ばし、フロ
ントガラスの欠片を拾い
上げ、指でつまんだまま
曇り空へとかざし、光に
透かして眺めていた




「地球の大きさは、このぐ
らいかなぁ‥‥」


律動、‥地球というこの
目でその全体を捉えられ
ぬ存在さえも、例外では
ない。その環に沿って正
しく繰り返して来たのだ

「‥・‥パパ!?、‥」


オマエが抱いた悲しみを、
私は忘れず心に刻んでお
く、オマエたちとともに
生きてゆくために、‥‥



「‥ハイ、‥」


「私は幸せ者だ。‥
お前たちがいて、摂理に
悩める‥力と使命を得た」



答えは、無い‥

自らで辿り着かねばなら
ない


ガキンっ‥‥



ガガン、
ガガッラ─── ァァン



白髭の紳士は、大破した
緊急車両の後部ハッチを
引きちぎって投げ捨てる
と、そのなかで死の淵に
ある人物を大きな白い布
に包み、抱き上げていた



「パパ、一体、何を?‥‥」

「息子よ、‥
与えられたのだ。‥今、」


白髭の紳士は白い包みを
片手で胸に抱き、右手で
空を指差した



「‥‥ああ、あ──ァァ」


差した先を見上げた官僚
くずれの風体の男は、声
を上げた ‥‥
曇り空に一点、丸く抜き
取ったように光りが差す
場所を眺めたまま、膝を
震わせていた


「我々によるものでなく
彼にとって、必然によっ
て‥‥」




官僚くずれの風体の男は、
膝をついて白髭の紳士に
手を差し出した

「どうか、‥‥私に
運びの使命を授け下さい
‥‥」







進化を待つには、時の流
れが速すぎる
既に、人はその環を外れ
置いていかれてしまった

自らの力だけで、その生
命力によって
生き残るということが
不可能だ




ポツ  ポツ、ポツ‥‥


「パパ ‥‥また、雨が、」


「そのようだ。」




変身を遂げるには変化が
必要だ
従って‥‥
変化とは、望まれている
万象

あとは生物としての目的
に向かえて支えと苦しみ
なる

正しい姿だ ‥生命として

なれば ‥



木の実を口にすることは

破滅であって例外は無い




「彼は、聴いていただろう
か?」

「ハイ‥‥」


ヒュウ ───ゥゥウ ‥ゥ

バサッ、ババ‥


白い布が音を立ててはた
めき ‥‥
パラつく雨は吹き始めた
風によって、差し込むよ
うな雨に変わりはじめた

「変わらぬ、あの時もまた
同じ。はじめ我らがあと
に続いたのは、風 ‥」




自らで辿り着かねばなら
ない
答えは、無いのだ‥

因とは、果を超えるため
在る、‥‥




「サァ 帰ろう、息子たちよ

‥‥‥‥‥」









end.

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