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【詩】を書く人。コミュの◎オリジナル詩集 その34

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コメント(1000)

『夜の始まり』

夕陽が沈んだら

夜が始まる

ほっと出来るか

闇に飲まれるか

毎日二択なんだ

闇は苦しいから

ほっと出来る夜の方が

いいに決まってるのに

昼と夜のはざまに

街灯が灯る

くたくたに疲れたら

案外ほっと出来るんだけど

心がくたくたになると

闇が忍び寄って来るんだ

闇が黒のままで赤くならないように

街灯をたよりに家に帰ろう


アルルのゴッホ


ヴァン・ゴッホが
行きたい場所の筆頭にあげていたのは
日本だった
それはたぶんゴッホの祖国オランダが
古くから日本と交易があったことと無関係ではない
ゴッホにとっての日本文化
なかでも浮世絵の影響を
無視するわけには行かないだろう
日本へ行きたい
だが日本と言う国は 西洋人にはまだ遠く
貧しいゴッホには行けそうもない土地
ゴッホが次に行きたいと言っていたのが
南フランスのアルルだった
テオへの手紙で
アルルは日本に似ているというようなことを
言っていた気がする
なぜそんな所感を
抱いていたのかぼくにはわからない
はね橋などに 広重の世界を
思い描いたのかも知れない
ともかくもゴッホはここアルルで
200点以上の油彩画を描いた
ゴッホによると アルルは陽射しが強く
季節風(ミストラル)がひっきりなしに吹きつける
そんな土地柄だったらしい
ゴッホが描いたアルルの風景画と言うと
麦畑 そして糸杉
静物画では向日葵を多く描いた
それにしても 麦秋の麦畑の
これでもかとでもいうような
黄色の洪水には 圧倒される
糸杉の画(え)の 実物よりも生き生きとした
渦巻くような繁りよう
星月夜(ほしづくよ)の画の夜空も
まるで生きもののように星々を描いている
向日葵のある静物画は向日葵だけでなく背景も黄色
そこに描かれた向日葵の
大きな貌のような花は
てんでに好きな方を向いていて
ひとのようにしかめっ面しているのもあれば
ひとりはしゃいでいるようなのもある
放縦(ほうじゅう)さというか奔放さというか
そんな飄逸(ひょういつ)な印象を受ける
アルルのゴッホは貧しく
パン一個で一日を暮らすような日も あったようだ
また 理解者も居らず
ただ黙々と画家としての活動に励んだ
淋しいときはテオに手紙を書いた
エミル・ベルナールのような若い後輩には
兄のように接したゴッホ
彼は次第に 画家が数人で共同生活を行う
そんな活動を夢見はじめていた
それはやがて
ポール・ゴーギャンとの共同生活で現実のものとなるが
個性の強い画家同士が
互いに表現エゴを剝き出しにして
自身の言い分をわめきあったところで
どちらかが譲歩しなければ
結論など出るはずもない
ベルナールが加われば
何とかなったかもしれないが
ゴーギャンはゴッホを見下しており
彼の画に理解など示さなかった
そうなることは冷静に考えれば
予測もできたはずだが
ゴッホは理想ばかりを追い求め
現実を見なかった
ゴッホの情熱が マイナスのベクトルと化すとき
その攻撃の矛先は彼自身に向いた
親愛なるゴッホよ
あなたの画はどこまでも肯定的で正しいが
あなたがご自分を否定した時
テオが身近にいなかったことが
あなたを破滅への道へ 進ませるきっかけになった
弟はそれを悔い 自分を責めたはずです
あなたにはどうあっても 生きてほしかった
なぜならあなたの心には太陽がある
それが死の太陽と化すことだけは
させてはならなかった
アルルの黄色い太陽 あなたの太陽は
あなたを肯定していたはずです
サン・レミの精神病院で
患者たちの叫び声に魘(うな)されていたあなたは
あるとき自分も患者たちと同じ叫び声を
あげていることに気づいて戦慄した
自分が病んでいることに自覚的になったあなたは
民がなぜ 自分をおそれ攻撃するのかが
わからなかった
自分は狂ってなんかいない
ただ 病んでいるだけだ
そう叫んでいるうち 次第に
追いつめられていったのだろうか
遺書となったオーヴェル・シュール・オワーズからの
テオへの手紙の最後には
「どうすればいい」と書かれてある
やるべきはやった 手は尽くした
それでもどうやっても事態を打開できない
どうすればいいのか
教えてほしいとテオに言いたかったのだろうか
だがこの手紙 ゴッホは投函しなかった
どう結論を出したのだろう
拳銃の引き金をひいた ヴァン・ゴッホは
翌日の夜ふけ 苦しんだ末に死んだ。


指田悠志
『バス停とペットボトルと待つ女」


蓋がかたかた鳴っている
私は真夏のペットボトル
日陰の無いバス停に佇み
寒暖差に軋んでいる

心が凍えている
この炎天下に
しまいに瞳が結露する

時刻表を何度も確認する
「待つのは辛い」
来ると分かっているバスでさえこの有様だ
来るか来ないか分からない人を待つなんて
それはもう小さな地獄だろう

遅鳴きの蝉
歪むアスファルトの大気
愛しさと苦しさ
空は紺碧のマンテルブロー
何か美しい言葉を続けとするけど
あとは呪詛しか浮かばない

「想うことは罪なの?それとも罰なの?」

沈黙する空
答えるの蝉だけ
翻訳できないミーンミーン
私を嗤っているだけかも

だぶんこのまま一生
バスは来ない
私は待つ女
雨女みたいな半妖怪
私が待つものは何であれ来なくなるのだ

この暑さも永遠に続く
次の季節は
地球の裏側に張り付いたまま

あの人はたぶん今頃
ブラジルで拘束されている
『新世界』

ため息じゃなくて深呼吸

涙は嬉しい事があった時だけ

大笑いじゃなくても微笑みを

繰り返し来る朝に

「良かったね」って

寝ぼけまなこで言うんだ

外はもう新世界

元には戻れないから

新しい世界は生まれたて

平和な方へ育てたいね

苦しさや哀しさを

たくさん経験したけど

新しい世界には

そんなのはちょっぴりでいいよね

【Noisy Drip】

噛み切れよ そんな皮膚はさ
肉ごと手首から 血液は神聖なんだぜって
そんな事くらい解るだろ? 隣で眠っているゾンビが馬鹿みたいに舌舐めずり
何時迄経っても変わりやしないって 誰もが知っているんだけれど
こいつを見れば終われるんだって叫べばいい
狂っているのが何かだなんて問題じゃなくて
必要なのは傷口の痛みとちぎれたブレインバーガー
中身が飛び出してあの気分になれるぜ ストーミングチェリー貪る
依存症を貫いて気分はドロドロ それもまた嘔吐すれば笑ってくれるさ
プリミティブピンク 火をつけて悶えたイノセンスミート生焼けのまま
これ迄通り続くはずだぜ 地平線が腹を抱えて
Are you ready teddy boy トカゲの自由って一体何?
思いつかなけりゃ一緒に自殺しようよなんてさ
素敵な事柄だって真剣に考えていたあいつはもう居ない
潰れた脳味噌とパイナップルが繋ぐものなんだ
未来は見えないよ 未来は見えないから
この先はもう何も無いから
スモーキーアート バンクシーチキン シシリアンノイズ ルーズウェイルート
ただ飛ぶだけ ただ渇くだけ

喰いちぎれよ そんな爪はさ
神経と恐怖ごと ひび割れは美しいって
そんな事くらい常識なんだろ? 足元這いずる蝙蝠が馬鹿みたいにもがいてる
何処迄行っても変わり続けてるって どいつも知っているんだけれど
こいつを潰せば終われるんだって喚けばいい
狂っているのが何かっていうのが大切な事で
不必要なのは病気と痛みと腐ったインテリジェンスパイプ
中身が無くなってあの気分になれるぜ トリッピンベリー頬張る
悪夢を貫いて気持ちはグシャグシャ それもまた歌えば笑ってくれるさ
ソニックユース 響いて悶えたリターントゥクリア焼け焦げたまま
今迄通り続くはずだぜ 世界中が腹を抱えて
Are you ready teddy boy トカゲの自由って一体何?
思いついたら手を繋いで一緒に飛び降りようなんてさ
真剣な事柄だって本気で考えていたあいつはもう居ない
痺れた心臓とストロベリーが繋ぐものなんだ
未来は見えているよ 未来は見えているから
この先はもう何も無いから
プリンセスローズ ファッキンファスト レモネードパンク ドランカーボンテージ
ただ飛ぶだけ ただ渇くだけ

Are you ready? Are you ready?
Rock'n roll dead skinny
Rock'n roll dead skinny
【Dream & Evil】

どうしようもないなんて言葉をくしゃくしゃにして 丸めて投げ捨てる
チェリードロップ舐めて 歌おうよ
渡してあげるから 光の在り処 抱き締めるみたいな幸せに包まれる瞬間は彩る針の先端
耳に刺したらそれは傷なんかじゃなくて
必要な宝物になる筈の夢見がちな病み方
空に飲み込まれない様に
雲に攫われない様に
確かなものだけを心に爪痕にしたら
出掛けよう 手は繋いだまま
歩く事だけで感じるのは一体何なのか
わかるんだけど わからないのが気持ちってやつだから
ジャマイカンラムの瓶を開けて喉に流し込むと
行き先が不思議と見えてきた
野良猫について行けば良い
僕達が向かいたいのは 綺麗なままの空虚な矛盾なんだ
足取りはふらついたまま 薬を飲んで歩こう
それしか無いんだから
生きるってやつだから
それが祈りに通じる一筋の道程
故郷の事はもう忘れたね 死ぬ場所だけが安息の場所になる
それが正しい病気で それが正しい生き方と死に方
鳴き声 真実 アニスシードの香り 鬱病の悪魔は羽根を閉じたまま
Sleeping madness
Sleeping madness
もうこれで良いよね
もうこれで向こう側へ
【Create Dust】
反吐が出るぜ ストライプメメントモリ
尻尾を振ってヘルベントダンス
毒と薬はもう飽きたから
飛んでいく精神にはもう届かない
どうにかなりそうで手を伸ばしたけれど
ガラスの向こうの熊の人形ほつれているだけ
キャッチャーインザライ オーヴァードーズもう消えた
何処だって良いから出て行こうって想像したけれど
全部それは頭の中の出来事で
此処にしか居れないのも解ってた
グリーンの空き瓶アスファルトで割れて
残りもしないのに追いかけるのさ
無駄だって言う奴は切り刻め
どうしようもない事を振り回せ
胃の中はアルコールで満たされたまま
吐き気だけが実感で残ってたりもして
憂鬱なココナッツがぐるぐるしてるよ
嘲笑っている気がするんだ この世の中
全部棄てたいけれど 全部欲しくて
だから嘔吐しようぜ だから空っぽにしようぜ
反響している正常な病み方が物語になりそう
何でもいいからそいつを形に 何でもいいからそいつを産み出せ
ヘッドシェイクドリップ ブラックミルキーウェイ サンダルウッドデビー ノイズメーカーシルエット
【Abortion】
夢を見る事が唯一で全てだから
感情は其処に在るものを汚して
ドロドロに落としていくものになる
その中に少しだけ見えるのが遺せる気持ち
僕達それを追いかけて眠るのさ
心が正常に働かないね 逃げようか
プラネットシープ ゆらゆら歩いて
掻き消そうとしている 暗い足跡
感性に疾患が在るのが解るよ
胸が粘土みたいにくずれていった
誰かに見て欲しいけれど 振り向いたら空虚だけだった
ひとつだけ確かな事柄が響いたんだけれど
美しいものは其処からしか産まれないって
綺麗なものは其処にしか受精しないって
僕達が起きる頃には 暗闇のゲージに天使が
僕達が起きる頃には 産声あげる双子の天使が
【レモンシェイク】
天使を殺す事を決めた日は 酷く天気が良くて
だから僕は目を向けてみようと思ったんだ
モンテカルロシェイク ヴィヴィアン シトロンギモーヴ スイートな眠気が脳髄を染めた
誰かが言ってた 何処かは天国で 誰かにとっては希望なのかもしれないけれど
誰かにとっては転げ落ちる為のルートだってさ
そんな事ばかり考えてる奴等を撃ち抜いてやろうって信じる
それだけの思考回路 何にもならないかもなんてさ
産まれる筈だった光は嘘っぱちだったなんて 見せつけられる
そんな世界を信じるの?
そんな世界を過ごせてる?
ノー フューチャー バッド グルーヴ ポストパンク
煙に包まれた肺の中で 叫んでみたら喉が引き裂かれた
そんな日々を過ごすには 必要なんだ ビューティフル カルチャー デッドエンド モーヴァン
少しだけで良いんだよ 気持ちの落とし所なんてさ
フラグメント ストリートキッズ チェーン短くて
少しだけで良いんだよ 破滅への道標なんてさ
プリティ・ヴァガント パラソルソニック ドラッグ パンクス 短くて サヴァイヴィングライフ 溶けて無くなった

悪魔を殺す事を決めた日は酷く天気が良くて
だから僕は目を背けてみようと思ったんだ
ヴェルヴェッツ ロシアン・ルーレット モンブランスモーク ビターな感じで目が覚めた
誰かが言ってた 何処かは地獄で 誰かにとっては絶望なのかもしれないけれど
誰かにとっては登りつめる為のルートだってさ
そんな事ばかり考えてる奴等を抱きしめてやろうって信じる
それだけの思考回路 何にもならないかもなんてさ
死んでいく筈だった暗闇は真実だったなんて 見せつけられる
そんな世界を愛してる
そんな世界を生き抜いてる
デッドロック ファンキートリップ フリーダムパンサー
少しだけで良いんだよ 心の落とし所なんてさ
ボサノヴァ クレイジーファンク ドリッパーワイン 少しだけ ルナシー・アリス短くて シュヴァンクマイエル 溶けて無くなった

シュールなヴィヴィアン ロックディスタウン ロマンティシィズム 何処かへ行くんだ
ウッドベース響いて 何だかドリップ
ドリップ ドリップ ドリップ ドリップ
美しい ドリップ…
【否定の中の妊娠】
アイロニカルなブルドッグ チョコレートの海に飛び込んで溺れ死んだ
命は何処に行ったのかな
青空冷たくて 雲が運んだ
記憶が悲しみになっていった
どうして世界には宿るんだろう
悲しみだとか 光だとか
儚いものが穢されるのに
どうして世界は開くんだろう
苦しみだとか 奇跡だとか
綺麗なものが堕とされるのに
パーフェクショリズム 棄てられたらどれだけ救われるんだろう
考えていないでよなんて 言わないでミセス・ネロリ
従って生きていく事が難しいだなんて 感じるしかなくて
それだけじゃ芽生えない音が在る
それだけじゃ芽生えない色が在る

メランコリックなブルドッグ 生クリームの森で襲われ生き埋めになった
心は何処に行ったのかな
霧は晴れて 木々は揺れた
傷痕が宝物になっていった
どうして世界には広がるんだろう
殺意だとか 救いだとか
美的なものが穢されるのに
どうして世界には伝わるんだろう
喜びだとか 暗闇だとか
理屈じゃないものが撃ち抜かれるのに
パーフェクショリズム 棄てられなくて抱えてた絶望感はもう要らない
考えていないでよなんて 言わないでミセス・ネロリ
反発して死んでいく事が難しいだなんて 感じるしかなくて
それだけじゃ芽生えない音が在る
それだけじゃ芽生えない色が在る

それだけじゃなくて 心が産まれる何かが在る
それだけじゃなくて 心が産まれる何かが在る

それだけじゃなくて 心が産まれる何かがあるんだ
【Rainy Rainy】
こんな日だったかな 透明な音が響いてた
空気は沈んでいたけれど ひどく暗い日だったけれど
愛してるだなんて気持ちがふと生まれたりだとか
そんな気分になる時間もあって
囁きにも聴こえてくるって思うんだ
繋がっているんだよ この世界
流れているのは落ちて濁っていくのかもしれないね
スリーピングムーディー 微睡みの中で信じれば良い
ドローンが一緒に包んでくれるよ 片隅でも良い
信じ合うって行為 神聖な事さ
いつかの風景 僕達と共に変わっていくんだ
イラショナル・ビリーフ 暗闇の中で感じられたならば
アンビエントが抱き締めてくれるよ 其処に居る
見つめ合うって行為 美しい事さ
いつかの想い出 君達と共に永遠に在るんだ
クリアリングゲシュタルト ティトゥリービュー スパイラルヒエラルキー ペパーミントピュア
エメラルドグリーンの雨音が響く日の午後
エメラルドグリーンの記憶が瞬く日の午後

こんな日だったかな 透明な音が溶けていた
風は孤独だったけれど ひどく深い汚れだったけれど
愛しているだなんて気持ちがふと終わったりだとか
そんな時間が来る事もわかっていて
囁きにも聴こえてくるって思うんだ
繋がっているんだよ この世界
落ちているのは汚れて澱んでいくのかもしれないけれど
バッドトリップビューティー 微睡みの中で感じられたら良い
マルベリーが一緒に添ってくれるよ 片隅でも良い
信じ合うって思い 神聖な事さ
いつかの風景 君達と共に変わっていくんだ
オルタナティヴ グランジ 暗闇の中で信じられたならば
モナンモヒートが抱き締めてくれるよ 此処に居る
見つめ合うって行為 美しい事さ
いつかの想い出 世界と共に永遠に在るんだ
バタフライピーセンシュアル リアリストラビット ベースノートパチュリー センシティブバルサム
エメラルドグリーンの記憶が響く日の午後
エメラルドグリーンの記憶が瞬く日の午後

記憶が瞬く
記憶が瞬く

エメラルドグリーンはずっと降り注ぐ
エメラルドグリーンはずっと降り注ぐ

午後は永遠に続いていく
『意味』

生きてる事に意味ってあるのかなぁ

死んでしまったら出来ない事いっぱい

思い出という名の過去に

存在そのものが置き去りにされる

生きてると初めましての人に

たくさん出会えたりする

そしてちょっぴり欠けた所を

うめてくれたりするんだ

生きる意味は明日にならないと

わからないんだ

今日の君と昨日の君は

今日の経験の分だけ違うから

とりあえず明日の君に

エールを送っておくよ

意味がはっきりわかるまで

明日は続くから

あの子


秋には
ちいさなものがいる
ちいさなものって
�爐△了勠瓩世�
おおきな声だと 行ってしまう
ちいさな声なら
寄ってくるんだよ
あの子
淋しがりやで
目にみえない
�爐△了勠瓩鮓討鵑�
あそぼ。


指田悠志
『シグナル』

信号機みたいに

ヒトにもあればいいのに

一目でわかるシグナル

赤 黄 青ってさ

青なのに進め無いなら

一周待ったりして

赤の点滅は気をつけてって

そしたら青じゃない人には

攻撃して来ないでっていう

メッセージになるでしょ?

自分でも鏡で見えるし

うまく話せない時だって

黄色だからちょっと

待っててくださいって

そしたら闇に飲み込まれないって

そう思うんだよ


「祖父」

あなたはカンナの角で僕の頭を殴った

刃の戻し方が分からず刃をこぼしてしまったから


あなたは戦争で一人も殺さなかったと自慢した

あの時代には言えなかった言葉がぽつりと落ちた


あなたは死ぬ前に婆さんの墓に入りたいと

信じていないものに改宗してこの世を去った



ヨセフと彫られた墓石の前に

夏の夕の落とした影を

僕は丁寧に地面に擦り付けた
きっちゃん


きっちゃん
と 呼んでみた
誰のでもない
妹でもない

きっちゃん を さがした
街角で たずねた
「あの きっちゃん て 知りませんか」
誰も応えてくれない

いつか
ひとりっきりで あそんでいたら
ともだちになってくれた

ひとりで泣いていたら
いっしょに泣いてくれた

きっちゃんは
おそうしきに なってしまった
生まれてきて
こんなに哀しかったことって ほかにない

あきらめるんだ と 言われた
そんな子は
最初からいなかった

きっちゃん
と 呼んでみた
校舎にこだまする なまえ


指田悠志
『まんなか』

自分の心のまんなか

それは居心地のいいどこか

それは夢を見る直前のお布団の中

ここじゃないどこか

まんなかは大事だから

守らないといけない

君の素敵さを殺さないで

誰の言うが正しいかなんて

わからないんだから

自分の心のまんなかの居場所

一つあれば逃げ込める

それは居心地のいいどこか

それは夢を見る直前のお布団の中

ここじゃないどこか


僕の道
沢山の差別が寝転がっている
偶に僕の頭や腕や胴体や脚を
掴んでは噛み付いてきたりする

僕の道
沢山のイケメンがいる
沢山の美人がいる
だけど誰もが僕に反抗的である

僕の道
沢山の物がある
沢山のゴミがある
無残に野原を覆い尽くしている

僕の道
命を大切にするものがいる
信じた後に涙が流れる
沢山の痛みが夕日のようである

君は甘いものが好きだから
人間が骨になることも知らなかったよね
あの時僕が君を責めたのは
君が余りにも甘いものが好きだからだよ
上を見れば妬み
下を見れば侮る
横を見れば連んで
裏で舌を出す
いと浅ましき
人の習わし
別に「真実」など知らなくても
そこら辺に転がっている
誰かが垂れ流している
「真実」らしきもので満足してしまう
本当の「真実」を知ってしまった所で
夕飯が旨くなる訳でも
給料が上がる訳でもない
そういう世間知が巷の常識である
そしておおよそ「真実」とは
苦い味がするものなのだ
あやふやでいかがわしい
常識に安住する事を
人々は好むものなのである
『優しくなりたい』

いつまでも続く暑さとコロナと

閉塞感にストレスMAX

そんなのただの言い訳で

ワタシが優しくないだけ

ウィルスは軽々と国境を越えるのに

優しさは中々広がらないね

ワタシは優しくなりたい

波紋のように同心円状に

優しさが広がって

いつしか地球丸ごと包んで

そんな世界なら

ワタシの居場所も見つかるかしら

自分に優しくなって

周りの人にも優しくなって

この地球全部全部全部

優しさで包みたいの



急に雨が降ってきた
傘の持ち主‥困ってるだろなぁ〜
玄関脇に,微妙な立ち位置で置き去りにされた傘
どんなメッセージが‥隠されているんだろぅ‥‥
かすかな記憶と
薄らいだ感情が
もがきはじめた‥‥
厄介な妄想ょ
雨と一緒に流して
静かな愛情ほど‥‥‥‥
未解決にしたくないと
敏腕刑事は‥時効を気にする‥‥‥о


「真っ逆さまに落ちる」


そらをみていた

上には雲が浮かんでいた

そらをずっとみつめた

雲は含羞の端を少しずつ切り離していた



そらをみていた

雲の上は白く下の方は黒くうかんでいた

雲は恥ずかしそうにかたちを変えた

切り離された一顆の涙が地面に向かった



あしもとをみていた

うつくしいほどの影の濃さのなかに

生命の色が映っていた

涙と言うものは一瞬にして足元の色を変えた




『マキシマムマキシンギング』


 若い女の子がレジをしている。
 ジャスミンティーとシークワーサーアイスを台に置く。外は残暑?猛暑だろこれ。何でもいいからさわやかなものを詰め込んでから、次の仕事場に向かいたい。そうしないと心が先に熱射病になっちまう。

 お札の代わりに小銭を受け取る。指先が触れた。ほんの微かに。いつもならその小さな温もりに、ささやかな癒やしを感じる一般おじさんなのだが、そうそうに車に乗り込み、二枚もらったお絞りを一つ開け、指先を拭った。寝ぼけたエアコンの生ぬるい風に湿った指をあてがう。

「あ〜あやんなっちゃうな〜♪」

 マスクにこもるやるせなさ、蝉がハモれば死に損ないのデュオ。
 アイスと同時にアクセルを踏む。
『カノジョの瞳の制空権』



撃墜されないように慎重に視界に侵入し
僕はぎこちなく「やあ」と言う
関節があちこちオイル切れ
彼女が気怠く「おはよう」を落っことす

気のないそぶりと言い聞かせ
昨日見たYouTubeの話を振る
「見てない」と彼女

食べログ評判店のランチを紹介
ダイエットの話題で返される

ジャニーズの話でにじり寄るが
「そう」と素っ気なく弾かれる

「今日も暑いね」と言うと
「そんなでもないよ」
ようやく笑った

これで僕は今日1日幸せだ
この積み重ねで脊柱筋を補強して
どうにか僕は立っている

明日は猫の話をしよう
『ダンボールが君でいっぱい』



ことばを仕分けする
ダンボール二つ並べ
美しい言葉は右に
そうでない言葉は左に

右のダンボールは
君の名前でいっぱいになったよ
左のダンボールには
世界中のあらゆる言葉が入っている

でも君のダンボールに
僕の名前は無いんだね?
僕のダンボールは君でいっぱいなのにさ
この「悲しい」は左のダンボール?
君は答えてくれない

だから引っ越すことに決めたよ
ダンボールと一緒に
二つとも持って行くつもりだ
でもたぶんきっと
右のダンボールにもう言葉は入らない

終わりにして、また次を作る

詩人は、詩を作るのさ

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