MATV ムービーアジアコミュの８テールのゴールド

原題：八両金/八兩金/衣錦還鄉(Eight Tales of Gold)
香港　マーベリック･フィルムズ作品　89年　97分　カラー　日本劇場未公開
製作：ジョン･シャム　監督：メイベル･チャン　脚本：アレックス･ロウ、メイベル･チャン　撮影：ビル･ウォン　音楽：ロー･ターヨウ、リチャード･ロー　　
出演：サモ･ハン･キンポー／シルビア･チェン／ツェー･ワイホン／クー･ファイ

―解説―
アメリカから中国の故郷へ戻って来た男が､美しく成長した従妹と再会し心が揺れ動く姿を描いたドラマ。出演は『おじいちゃんはデブゴン』(2016年)などのサモ･ハン･キンポー(洪金寶)､『香港､華麗なるオフィス･ライフ』(2015年)などのシルビア･チェン(張艾嘉)､ツェー･ワイホン(謝偉雄)､『七小福』(88年)に出演していた子役クー･ファイ(顧輝)ほか。『失われた龍の系譜トレース･オブ･ア･ドラゴン』(2003年)などのメイベル･チャン(張婉婷)監督､89年作。

―物語―
文化大革命の時中国を脱出し､アメリカでタクシー運転手として暮らすおサル(洪金寶)は､16年ぶりに帰郷を決意した。わずかな貯えと友人から拝借した貴金属を身に付け､故郷の澳頭村へ戻ったおサルは､旧友からトリ婆と呼んでいた従妹が婚約したと聞く。トリ婆はジェニー(張艾嘉)と名乗り､おしゃべりだが美しい女性に成長していた。それぞれ別の目的で台山へジェニーと向かったおサルは､大騒動の末家族と再会する。愛犬の死や妹の出産など､歳月の流れにショックを受けつつ暮らすうち､父が自分になり変わって母へ手紙を書いていたのを知った。そしてジェニーへの想いにも気付くが､春になり彼女が婚約者の下へ旅立つ日が来る…。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 07月11日 11:19

香港映画界において､アン･ホイ(許鞍華)監督と並ぶ国際的に評価の高い女流監督として知られるメイベル･チャン(張婉婷･画面左)監督の作品です。
彼女はそのキャリアの初期､自身のニューヨークでの学生生活の経験をもとに"移民３部作"と呼ばれる３作品を制作します。香港や日本でも大ヒットとなった『誰かがあなたを愛してる』(87年)はその第２作にあたり､今回ご紹介する本作は第３作目にあたります。一時期日本の映画雑誌でも注目作として紹介されていましたが､残念ながら未公開に終わりました。
『誰かがあなたを愛してる』(87年)でチョウ･ユンファ(周潤發)が演じたチンピラ風情の男を今回はサモ･ハン･キンポー(洪金寶･画面中)が演じています。メイベル監督が『誰かがあなたを愛してる』を撮った87年､サモは自らダイエットを課して全精力を注ぎこんだ超大作『イースタン･コンドル』(87年､映画祭のみ)が興行的失敗に終わり､かつての威信も失われていました。そんなサモに演技者として新境地を拓かせたのが､メイベル監督のパートナーであるアレックス･ロウ(羅啟鋭)監督作『七小福』(88年)でした。この作品でメイベル監督が脚本を担当したことで縁が生まれ､サモは本作の主演を快諾しました。盟友ジャッキー･チェン(成龍)が未だ成し遂げていないアクション無の文芸作品の主役を､サモは30年近く前に実現させていたのです。
相手役はシルビア･チェン(張艾嘉･画面右)。台湾出身のバイリンガルで､監督､プロデューサー､そして女優もこなし長年香港･台湾の映画界で活躍してきた才女です。サモとはこの作品の前に『十福星』(86年､映画祭)で本格共演を果たしています。
本作は序盤のみアメリカ､その後は中国大陸でオール･ロケを敢行しており､特に大陸の素朴な田園風景の美しさは圧巻です。前中半はややコミカルなタッチのロード･ムービーとして展開していきますが､後半はアメリカから故郷へ戻って来た男(サモ)と､故郷からアメリカへ出ていく女(シルビア)との､あまりに切ないラブ･ストーリーへと移っていきます。
原題を直訳した邦題の｢８テールのゴールド｣は､劇中冒頭でサモが豪語する｢男が故郷へ帰る時には黄金を８テール(約303g)分身に付けるものだ｣という台詞から取られています。中国にあることわざなのかもしれないですね。

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