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☆だぶるわいいずむ☆コミュの「だぶるわいずむ」本編バックナンバー。

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どうも。

「だぶるわいいずむ」執筆者のDouble Yです。

この度はコミュニティ参加あざぁーす(´皿`)

失礼。



ココには過去に書いてきた「だぶるわいいずむ」のバックナンバーをのっけていきますんで、ご意見&ご感想&質問&その他諸々は他の板にお願いしますね。





TOPの説明文にもある様に、「だぶるわいいずむ」はアタクシの過去を120%ノンフィクション・無脚色・無香料・化学調味料一切使用せずに書き殴っております。

俺の記憶だけを頼りに書いてるので、書き逃してるエピソードや、「こんな感じやったかな」で書いてるトコも多々あります。

カッコえぇ話もありゃ、泣ける話、情けない話、汚い話、エゲツナイ話、書いたらアカン話…個人名以外はほぼ伏字無しで書いてます。

読んだ後に俺をどう思うかは皆さんの自己責任ですよ。





俺個人の日記にて最新話を書いた後、気ぃ向いたらココにのっけます。

「最新話はすぐにチェックしたい!!」って方は気軽に俺にマイミク申請下さい。

http://mixi.jp/show_friend.pl?id=12111395




んでは、稚拙な文章ですがお楽しみ下さい(´皿`)

コメント(65)

高校二年、二学期。



昌吾は佐川急便で働き始めました。

俺もたまに手伝いに行ったりしてました。



高校生生活も中盤に差し掛かった頃、一大イベントが近づいて来ました。

修学旅行。

ウチは私立なので金がかかってます。


オーストラリア三日間の旅。


前年に9.11テロが起こってしまったので国内への変更も考えられましたが、「まぁいけるやろ」という男子校ならではの適当加減で例年通りオーストラリアへ決まりました。



が、一つの重大なミスが発覚します。



ウチの高校の授業料は、教材費込み60万円。

つまり、三年間で180万円です。

育英会からの奨学金は3年間で120万円。

三年の内の一年は自分でどうにかしろor年間20万円は自分でどうにかしろって事ですね。

まぁそれは問題無いんですよ。



「積立金」ってご存知ですか??

多分、どこの学校も修学旅行のタメに毎月5千円とかの積立をしてるんですよ。

修学旅行までに20数万円の積み立てをしておく必要がありました。

アタシそんなんまったく気付いて無かったんですよね。

「二年間は育英会が出してくれるから、三年生の授業料だけ自分で納めたらえぇわ」なんて考えてました。

当然オカンも積み立てなんてしてくれてるワケがありません。



その事実を知った時に俺は修学旅行に参加しない事に決めました。


オカンが言いました。


「行きなさい。絶対後悔するから。先生と相談してちゃんと行ける様にしたから」


正直、その時の俺には修学旅行までに20数万円を出せる余裕もあったし、めっちゃ行きたい気持ちもありました。

それまでは普通に行けるもんやと思ってましたからね。


そん時は今以上に子供やった事もありました。

いっぺん「行かん」って言うてしまうと引っ込みがつかんくなるんですよね。


「もうえぇって。行かんから。金も無いクセに無理して行く必要無いわ」


「お願いやから行って…アンタが自分で行きたくて行った高校やろ?ちゃんと皆と同じ行事に参加して、同じ様に卒業して」


「ひつこいねん!誰のせいで行かれへんくなったんじゃ!」


別に全部が全部オカンの責任や無かったんですけどねw

しかも行ける様に先生と話してくれたのにw


手に負えんと思ったオカンは二年生時の担任のN夜先生に説得する様に頼みました。

夜の8時ごろN夜先生から電話があり、学校に来る様に言われます。
学校に着き職員室に入ると、一年生時の担任のS藤先生とN夜先生がいました。


「ヨシアキ、お前は”右か?左か?”って聞かれたら、すぐに”右や!”って言うてまう性格やからな、気持ちは分からんでもあれへん。家庭の事情も分かっとる。せやけどな、お母ちゃんの気持ちも酌んだらなアカンわ。いつまでも子供や無いんやから。それにな、今までお前をかばい続けて来たワシらの気持ちも分からんか?ワシもS藤もお前が可愛いんや。皆と同じ様に”ちゃんと”卒業させてやりたいんや」


一年の二学期で退学のリーチがかかった時にS藤先生は言いました。


「もうかばいきられへんぞ」「次に何か問題起こしたら、どんなちっちゃい事でも退学やぞ」


そう言われたにも関わらず俺は色んな問題を起こしました。


タバコなんて何度も見つかりました。

他校の生徒と大きい喧嘩も起こしました。

ちっちゃい揉め事なんかしょっちゅうです。

電車を止めてしまった事もあります。


俺がそんな問題を起こす度にS藤先生とN夜先生は、「お前、三日間学校くんな。ほんで作文用紙10枚に反省文書いてこい」と自主謹慎を命じました。

一切学校での会議にはかけず、全て自分の懐で揉み消してくれました。

S藤先生やN夜先生だけじゃありません。

授業や行事で関わった全ての先生がです。

こんな俺のどこを買ってくれていたのかは分かりません。

世間一般では教師のえこ贔屓は許されへんモノなんかも知れません。

ただ俺にとっては温かいモノでした。



俺は素直に修学旅行に参加する事になりました。
が!


奇跡的なトラブルメーカー体質の俺が、悪魔の寵愛を一身に受けるこの俺が、そんなトントン拍子に事が運ぶワケがありません。


そうです。


クドい顔面を見たら分かる通り、アタシ外人なんです。


正確に言うとクオーター(4分の1が外人の血)なんですが、pt.1にも書いた様に不倫で出来た子です。

日本人であるオトンの認知を受けていれば楽に日本国籍を取得する事も出来たのですが、私生児なんでそれが出来ません。

またオカンもそうゆう手続きを一切してないので、「俺という存在」は非常にややこしいのです。


国籍は外国。

戸籍は日本。

祖国に戸籍は無し。

祖国的には「親がウチの国の人間やから国籍はあげるけど、よその国で生まれたんやからウチの国の戸籍はあげません。」

日本的には「ウチで生まれてもうてるから戸籍はあげるけど、日本人のお父さんに認めてもろてへんねやったらウチの国の国籍はあげません」


ちゅう事です。

俺が日本に帰化するとなると、まず祖国に俺とオカンの戸籍を作るタメに領事館に山ほどの書類を祖国語で書いて提出せんといけません。

それが受理されて初めて、「ウチの国の人ですよ」と認めてもらえます。

そっからまた日本人に帰化するタメの手続きをしなければいけません。


「それ何がマズイの??」と言いますと、日本国からのパスポートも祖国からのパスポートも発行してもらえないんです。



オカンと先生は方法を探しました。

一つだけ方法が見つかります。


「再入国許可証」


「アンタはウチの国の人間ちゃうけど、永住権持ってんねやったらもう一回だけウチの国に入ってえぇですよ」っていう事です。



領事館、区役所、学校を行った来たりしながらそれは発行してもらえました。
が!!



諸悪の根源のこの俺が、負のブラックホールと言われるこの俺が、その程度で許してもらえるハズもありませんでした。



オーストラリア渡航の三日前、俺は淡路島に居ました。

俺は二日間学校を休み、泊り込みでテキ屋をしていました。

一日目の商売が終わりホテルのベッドで眠りにつきます。


翌朝、N夜先生の着信で目を覚ましました。


「もしもし??」


「ヨシアキ、お前貯金いくらある?」


「は??いきなり何よ??」


「お前は日本人ちゃうから、口座に50万以上の預金が無かったらオーストラリアが入国を認めへんのや」




「日本人は裕福で行儀えぇけど、貧乏人の外人はウチの国で悪さするから入って来んといて」っちゅう事です。




俺もかなり稼いではいましたが、典型的な成金なんで湯水の如く金を使い「宵越しのゼニは持たん」を地で行ってました。



「10万あるか無いかくらいかな…」


「お前今どこおんねん?」


「淡路島w」


「アホか!wすぐ戻って来い!」


「えぇ!?仕事やしなぁ」


「そんなん言うてる場合か!時間無いんやぞ!」



一緒に来てたN谷さんに相談しました。


「それはしゃーないわ、俺の車で行こか」


快く協力してくれます。

U本のオバハンは違いました。


「高い人件費払って雇ってんのに…〜中略〜…こんなんで抜けられたらかなんわホンマ…ブツブツ…」


N谷さんが女性に怒鳴るのを初めて見ました。


「オノレが学校休ましてまで頼んで来てもろとんねやろがぁ!!商売までには戻って来る、それで文句あらへんなぁ!?」



「無駄な動きさせてしもてすんません…」

一銭の金にもならず、まして余計な交通費まで出させる事を申し訳なく思いました。


「オバハンの言う事なんか気にせんでえぇからな。学生やねんから学校優先したらえぇねん」

N谷さんは学校に向かう車内で気遣ってくれました。



片道3時間半をかけて学校に到着しました。

皆下校し出す時間です。

正門前に横付けしたベンツから出てくる俺を見て皆ドン引きでした。



職員室に入るとN夜先生が銭勘定をしていました。


「コレ50あるから、お前の口座に預け入れして通帳のコピーとって、また引き出して持って来い」


「オッケー、一番人気を単勝一点買いで倍にして返したらえぇんやな??w」


「殺すぞ」


冗談で言うたにも関わらず目が本気でした。



なにはともあれ、やっと俺は修学旅行に行ける事になったのです。
高校二年、二学期末。



俺は関西国際空港内の喫茶店に居ました。

テーブルの上には、吸殻で山盛りになった灰皿と5センチ程に切られたストローとパケ。

「吸い溜め」してました。


集合時間になり、集合場所で座っていると案の定”持ち物検査”が始まります。

いくら大阪一お馬鹿な高校といえど、修学旅行を棒に振る奴はおりませんでした。

スムーズに出国ゲートへ。


各クラスごとに並び、金属探知機でカラダをまさぐられ、X線での手荷物検査を受けます。

ベルト等で引っかかる奴等もいましたが、特に問題も起こらず俺の番が来ました。


金属探知機による検査は女性が行ってたんですが、俺と目が合った瞬間にまずメンチを切られました。


「何で!?w」


「ハイ、両手挙げて下さい」


俺の疑問を無視し、淡々とした口調で女性は検査を続けました。


「ピーッピーッ」


金属探知機が反応しました。

ベルトです。

女性はさらに俺にメンチを切ります。


「あぁ、ベルトやんw」


ベルトを外し、もう一度検査されます。

当然反応はありません。

納得がいかない様で、女性は俺のポケットまでも調べ出しました。

その様子を見た男の係員が駆け寄って来ました。

いくらテロ問題で警戒してるいうても、修学旅行生ですよ??

段々と腹が立ってきます。

しかしココで怒ったりして事を荒立ててしまうと、バレんでえぇ事までバレてしまう恐れがあります。

約20分に及ぶボディチェックに耐えました。

周りの生徒や先生達は終始ニヤつきながらそれを見守っていました。



高校二年生、当時16歳のだぶるわいさん。









ボディチェックから解放された俺の肩に手を置き、N夜先生は言いました。


「…しゃーないなw」


所詮”世の中は見た目”と強く思い知らされましたorz





途中、売店などにより機内へ。

だぶるわいさん初飛行機です。



機内での俺は大人しいもんでした。

友達と騒ぐ事も無く、金髪のスチュワーデスさんに絡む事も無く、シャブのせいで寝れる事も無く、席に備え付けのヘッドフォンから流れる音楽に身を任せていました。



8時間後、オーストラリア到着。

日本を出たのが夜の8時頃。

オーストラリアは朝の7時頃でした。
「オーストラリア来たどぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」



機外へ出ると同時に切れ目を迎えた俺は何故か雄叫びを上げました。

ふと横に目をやると、先生達が一列に並びスチュワーデスさん達に頭を下げていました。

特に気にせず、初めての外国の空気を堪能しているとN夜先生が俺の所に来ました。


「ちょっと来い」


「え??何??」


引っ張られるままに着いて行くと、先生連中に囲まれます。


「アホがっ」

「退学にすんぞ」

「ホンマどないしようも無いやっちゃなぁ」


罵声を浴びせられながら何故かゲンコツを喰らい続けました。


「ちょ、何!?何で!?」


「そんなしょーもない事すんのはお前しかおらんのじゃ!」


「ちゃうってw何を怒ってんか知らんけど、俺なんもしてない!w」


どうやら、機内でスチュワーデスさんのお尻やオッパイを触りまくる生徒がいたらしいのです。

それで先生連中はスチュワーデスさん達に謝っていたのです。


「違う!wそれ俺じゃない!!w」


ゲンコツを喰らいながら無実を訴えました。


「…うるさい!とりあえず謝れ!」


真犯人を見つける気は無いようです。


「ちょw何で!?w痛っ、分かった!ごめん!w」


バスに乗り込む頃には切れ目とは関係の無い頭痛に悩まされていました。




お昼前、ホテルに到着。

名前は忘れましたが相当でかいリゾートホテルでした。


宿泊中の注意点やホテル内でのマナー等の説明を受け、出発前に決めた6人づつの各班ごとに部屋の鍵をもらい荷物を降ろしに行きました。


「部屋を空ける時はハウスキーパーのタメに必ず枕の所に1ドル程度のチップを置いて出る様に」


部屋を出る前にそんな事を言われたのを思い出しました。

俺は集合場所では無く、バスガイドの元へ向かいます。

俺のクラスのバスガイドはオーストラリア在住の日本人女性。

待機中のバスガイドを捕まえ、言いました。



「この紙に”タバコ買って来て枕元に置いといて!御釣りは俺等からの気持ち”って書いてくれ!」



中々、話の分かるバスガイドで「君、賢いねw」なんて言いながらすんなり書いてくれました。

部屋に戻り、残っていた奴に言いました。


「お前らタバコ吸いたい??」

「吸いたいけど無理やろ、売店も見張られてるし」

「何とかしたるから10ドルづつ出せ!上手い事行ったらタバコ吸い放題やぞw」


俺の分を含めた40ドルとバスガイドに書いてもらった紙をクリップで挟み、枕元に置いて集合場所へ向かいました。
修学旅行一日目の予定は「ワニ&カンガルー&コアラと遊ぼう」です。

バスに乗り込み、1時間ほどで到着しました。


集合時間・場所説明の後、自由散策。

仲良しグループの十数名で一通り回る事になりました。


そこの看板娘(息子?)は世界最大級の8メートルのワニ、「ジョニー君」

他のワニは同じ目線で見れたのですが、ジョニー君はでか過ぎるタメに桟橋みたいなトコから覗き込む形でしか見れないのです。


横から見た図を絵にするとこんな感じ。

*画像1参照


ちなみに桟橋とジョニー君との距離は2〜3メートルほど。


「でかいな〜」なんて皆で眺めていると、男子校特有の悪ノリが始まりました。

ツバを落とす奴、小石を投げる奴…。


「ジョニー、コルァッ!!」

「びびってんのか!?来いや!来いや!」


他の観光客の視線が突き刺さります。

ふと俺が気付いてしまいました。


「おい!wお前らやめろ!!w」


「なんや、ヨシアキが止めるとか珍しいなw恐いんけ?w」


「アホか、お前ら冷静に考えてみろ!」


ジョニー君の体長は8メートル、桟橋とジョニー君との距離は2〜3メートルほど、桟橋は木造。




ジョニー君がキレて暴れ出せば、運が悪いとこうなりますよねw

*画像2参照






「お前ら並べ」


「ジョニーさん、すんませんでしたぁ!!」

「すんませんでしたぁ!!」


オーストラリアまで来ても俺等は相変わらずお馬鹿でした。




次に見に行ったのはカンガルー。

カンガルーはワニとは違い、放し飼いにされてるので触ったりも出来ました。


自分より小さい生き物に安心したのか、またもや悪ノリ発動。


「うりwうりw」


一人が子供のカンガルーを突付いてイジメていました。


「やめたれやw」なんて言いながら笑っていると、ソイツの背後に大きな影が近づいて来ました。


明らかに成人男性ほどはあるカンガルー。

子供カンガルーの親か、カンガルー達のボスでしょう。


「おい!後ろ!!w」


「え?…うわぁー!」


いくらコチラに非が有るとはいえ、友達を見殺しにするワケにはいきません。



「お前の腹のポケット、小銭入れにしたらぁ」



だぶるわいさんVS巨大カンガルーのゴングが鳴りました。

”カンガルー=ボクシング”みたいなイメージあるでしょ??

アレ、完全に間違いですからね。

アイツら手なんか一切使いませんよ。

全部蹴り。


俺もそれまでは”カンガルー=ボクシング”のイメージがあったから、当然ボクシングの構えを取りました。


ホンマに殴る気なんて無いので、友達を助けた後は「シュッ!シュッ!」なんて遊んでました。




バチィッ!!




「…ッアァッー!!」


「ヨシアキがカンガルーにやられた!!www」


ローキック一発で崩れ落ちた俺に満足したのか、追撃は無くボスカンガルーは去って行きました。


一回ガチで戦ってみたいなぁ(´皿`)




ラストはコアラです。

















コアラはクサイ。

以上。
5時過ぎ頃、ホテルへ戻りました。

七時頃に食堂に集合との事で、それまでは自由時間になりました。


やっとタバコが吸える!!

部屋へダッシュ。

カードキーでドアを開け、ベッドの枕元に目をやります。

タバコは無く、一枚のメモ用紙が置かれていました。

クセの有る筆記体で誰も読めず、再びバスガイドの元へ行きました。


「コレ何て書いてある??」




「それは出来ないな、協力した事がバレて怒られたら嫌だしね!君もバレるとマズイんだろ?この計画の口止め料としてお金はもらっておくよ!」




クソが。


飯はマズイ、ネタどころかタバコも無い。

俺も皆も少しづつ不機嫌になって行きました。


「あ!!」


俺はある事を思い出しました。

「どないしたん?」

同じ部屋にいた慎太郎という1歳年上のデブが反応しました。


「ナイトマーケット行くぞ!!w」


”ナイトマーケット”というのは、夜にだけ開かれる市場の事です。

オカンの店の客に「ナイトマーケットで”カンガルーの金玉で出来た精力剤”買って来てくれ」とお小遣いをもらっていたのを思い出したのです。

ナイトマーケットやったらタバコはもちろん、あわよくば何かしらのネタも…なんて期待を膨らませました。


仲良しグループがやってたウノにも参加せず、静かに消灯時間を待ちました。

23時頃、「もう自分の部屋戻って寝ろよー」とN夜先生が各部屋を回って行きました。


同じ部屋に一人だけおった地味グループの子に言います。

「お前は俺等が帰って来るまで絶対起きとけ。もし見回りに来た先生が俺等がおらん事に気付いてもうたら、”大事なモン無くしたみたいで探しに行きました”って言え」

ベタに枕や服でベッドに膨らみを作りました。



実行部隊は三人。

偵察部隊は二人。


俺、慎太郎、マメの三人はナイトマーケットで物資調達。

修、テルは俺等が先生に見つからずにホテルから出るタメの偵察。


フロントまで出るのにも一苦労でした。

リゾートホテルやからなんせ広いんです。

しかもフロントに辿り着くには先生連中がたむろしている喫煙所を通らなくてはいけません。

なぜフロントにこだわるかと言うと、ナイトマーケットへの行き方を聞くタメです。

当然、フロントまで辿り着けても教えてくれるという保証は一切ありません。

賭けでした。


偵察部隊の二人が先に部屋を出て、地図を見ながら”先生に見つからないルートでのフロントまでの最短距離”を探します。


30分後、部屋に戻った修からGOサインが出ました。


なるべく音を立てず、一般の宿泊客に会釈をし、最短距離を走りました。



問題の喫煙所です。

先生が二人。

S藤先生とN夜先生です。

かなりの強敵。


あらかじめテルがスタンバイしていました。


「先生、めっちゃ腹痛いねんけど…」


「お前それベタ過ぎるwww」と思いながらも上手い事俺等が見えへん位置に立ってくれます。

運良く、数名の一般の客が通りました。


私服に身を包んだ俺等はあえて急がず、一般の客に溶け込みました。



喫煙所突破。



「テル、グッジョブ!w」

さぁここからが問題です。


フロント係は小柄な黒人女性と白人男性。

喫煙所からは見えへん位置に身を隠し、軽く壁を叩いたり手を振ったりしてフロントに合図を送りました。


コチラに気付いた黒人女性は微笑みながら手をヒラヒラとさせます。

俺は口に指を当て、「シーッ!」と言いながら手招きしました。

空気を読んでくれたのか、黒人女性は喫煙所をチラリと見てサッと俺等の方に来てくれました。


カタコトの英語で聞きます。


「俺等、ナイトマーケット行きたいんやけどドコにあんの??」


「ふふふ、悪ぃ子達ねwナィトマーケットゎ道路沿ぃに真っ直ぐ行けば着くけど、歩ぃてだと1時間ぐらぃかかるゎょ?」


そんなニュアンスやったと思います。


「おぉきに」


彼女の手に10ドル札を握らせ、おでこにキスをして俺等はホテルを後にしました。
ホテルを出た俺とマメと慎太郎の三人はひたすら走りました。

日本の様にあちこちにコンビニがある訳でもなく、広大な土地では月明かりのみが街灯代わりでした。

ホテルのフロント係の女性の「アッチに真っ直ぐ」という言葉と、わずかに見える賑やかそうな光のみを頼りに、ひたすら暗闇の中を走りました。



時刻は現地時間で深夜0時前。


高めのテンションで走り続けていたマメが口を開きました。

「なぁヨシアキ…明かり消えてってない?」


そうなんです。

いくら”ナイトマーケット”と呼ばれていても、朝まで営業ってワケでは無いんです。


「黙って走れ!!」


せめてタバコだけでも、そう思い三人は走りました。

慎太郎は120キロの巨漢ですが、元ラガーマンの意地か、何とか俺とマメに着いてきています。



深夜0時過ぎ。



残っていた明かりはわずかでした。



「やっと…着いた…」

一時間ほど走り続けた三人は汗だくでした。

慎太郎に至っては、もはや瀕死です。


「ヒュゥッヒュゥッ、お、れ、ココ…ゼヒュッ、で待ってって、んがっ…ひぃひぃ、良…い?」


どうやら「俺、ココで待ってて良い?」と言いたい様です。


「はぁはぁ…役立たずが…」


冷たいセリフを言い残し、俺とマメはまだ開いている店を回る事にしました。

よく考えれば、一番動かれへんであろうデブの慎太郎を連れてきた俺の人選ミスですねw



ショッピングモールや商店街の様にも見えるエリアに足を踏み入れると、3分の2の店は閉まってんのに大勢の人で賑わっていました。


「とりあえず、タバコやな」


俺とマメはお互いに確認し合います。

レジ前にタバコを並べている雑貨屋(?)に入りました。


店員が笑顔で何か喋りかけて来ましたが、何言うてるか分からんので笑顔を返すだけで済ませました。

目の前には日本では見た事の無いタバコばかり。


「Winston」


確かそんな名前やったと思います。

日本でもお馴染みのマルボロに似たパッケージのタバコとライターを買いました。


精算している時&店を出る時も、また笑顔で何か喋りかけてきましたが、やはり俺等は笑顔を返すだけでした。

何よりも「早くタバコを吸いたい」という気持ちが勝っていたのもあります。

オカンの客に頼まれた”カンガルーの金玉で出来た精力剤”なんて完全に忘れていました。


「流石にこの喜びは分かち合ってやろう」と慎太郎のトコロへ戻るまではタバコに手をつけませんでした。

慎太郎と別れた場所に戻ると、植え込みの様なトコに慎太郎は座り込んでいました。
「ヒュゥッヒュゥッ、タ、バコ…んぎゅ…買え、た?」



10分ほどの時間があったにも関わらず、慎太郎はまだ瀕死でした。



「お前、呼吸整うまで吸うな」

何故かイラっとして言うてしまいました。


瀕死で半泣きの慎太郎を尻目に、俺とマメはタバコに火を点けます。

ヤニクラ覚悟で胸いっぱいに久しぶりの煙を吸い込みました。





「マッズゥゥゥゥゥ!!!!」

マメと顔を見合わせ叫びました。



何かね、辛いんです。

辛くて苦い。

しかし、ナンボ不味くても背に腹は代えられません。

無いよりはマシです。

三人でクソ不味いタバコをふかしながら来た道を戻りました。



帰路についてすぐにトラブルが起きます。



来る時には誰もおらんかった場所で地元のヤンキーらしき集団と遭遇してしまいました。


集団はコチラを見てニヤニヤしています。

何をしてくるか分からんので目だけは逸らさずに祈りました。


「頼む…絡んでくるな!何も起きるな!オーストラリアまで来て喧嘩で帰国とかダサ過ぎる…!」






「ヘイ!ヘイ、ジャップ!」



”終わった”

そんな考えが頭によぎりました。

向こうは5人。

こっちは3人。

慎太郎はタダのデブのへタレ、マメは最初っから戦力外。


「人選ミスったぁぁぁぁorz」


”えぇわ、もうここまで来たら俺が全員殺ったらぁ”


当時、”イキリが服着て歩いてる様”やった俺に火が点いてしまいました。


「さっきから何をニヤニヤしてコッチ見てんなコルァ!!」


マメが俺の腕を掴みます。

「ちょ!もうほっといて行こうや!」


「ジャパニーズ舐めとったらいてまうどクソOGコルァッ!!」

一度、火の点いたイキリは止まりません。


相変わらずニヤついた集団の中からリーダー格らしき男が近づいて来ました。


「ヘイ、ジャップw」


「何やコルァ!!さっきからジャップジャップって、俺ホンマはジャップちゃうぞコルァ!!」


激怒する俺を見てリーダー格の男は後ろを振り返り、「ハハハッw」と仲間達と笑いました。



プッチーン。



人間って二段階でキレるんですよね。

一段階目はまだ手出るん抑えれるんですけど、二段階目までいってまうと理性も何もかも吹き飛んでしまいます。


腕を掴むマメを振りほどいて俺はリーダー格の男に近付いていきました。


リーダー格の男はニヤニヤとした顔を崩さず、ポケットの”何か”を取り出すタメにポケットに手を突っ込みます。




「ナイフか??まさか銃か??関係あらへん、殺られる前に殺ったる」

二段階目まで火の点いた”イキリ”はビビるとかの感情もシャットダウンされてしまいます。


「この距離やったら銃かナイフか確認してからでもタックル間に合う」


そう確信した俺はゆっくりと足を止めずに近付きました。

リーダー格の男はゆっくりとポケットから手を抜きます。



「銃か!?ナイフか!?」



俺に突きつけられたのは一本のジョイントでした。



「…へ??」



「ヘイ、ジャップ!カミン!」


どうやらこの集団、「見ろよ、ジャップだぜ!ちょっとからかってやるか!ハハハ!」という意味でニヤついていたのではなく、ただ単に草吸うてブリってただけみたいでした。


ちなみに”ジョイント”というのは、マリファナを専用の巻紙で巻いてタバコ状に加工した物。

パイプなんかの道具を使わずに草を吸えるんです。



敵意が無い事が分かってからは皆でブリブリでした。

慎太郎とマメはドラッグ初体験。

俺もこんな形でオーストラリアでネタ食えるなんて思っても無かったんでいつもよりハイでした。



一通りのドラッグを経験した上で、俺はドラッグ肯定派ではありません。

むしろ今は否定派です。

でも、この時キマって見上げた夜空はとてもキレイなモノでした。



ほとんどニュアンスのみでの会話。

それでも別れる頃には固い握手を交わし、再会を誓い合いました。


ホテルに戻ると先生達の姿も無く、フロントの女性のおでこに再びキスをし、ニヤついたままベッドに入りました。
オーストラリア二日目。


二日目の予定は「アボリジニ(インディアン)の村&グレートバリアリーフ観光」です。

アボリジニの村では前日の俺の努力が全て無駄やった事が発覚します。


皆で寝起きの一服と朝食を済まし、バスに揺られ1時間ほど、ロープウェイで30分ほど。

アボリジニの村に到着しました。

2時間ほどの自由散策です。


















普通に売店でタバコが買えましたorz

マメと苦笑いしか出来ませんでした。


売店の裏の汚い公衆便所で10人ほどで一服していると、ハルオが走って来ました。


「どないしたん??」


「ボブ・マーリィがおるwww」


「はぁ??w」


ハルオに連れられて売店裏路地のオープンカフェの様な民家に行くと、確かにボブ・マーリィそっくりの黒人がいました。

満面の笑みで喋りかけてきます



「ヤーマン!w」



「コイツ、何てベタなwww」と思いながらも「ヤーマンw」と返し握手を交わしました。


偽ボブ・マーリィは握手した手を離さず、もう片方の手を俺に差し出しました。


「ん??」


差し出されたモノはまたもや”ジョイント”。


「ヤーマン!w」


偽ボブ・マーリィは相変わらず満面の笑みです。



「何やコレw俺を退学にするタメの罠か!?w」と勘繰りましたが、当時の俺が断るワケも無く、ブリブリのままグレートバリアリーフへ向かう事になるのでした。






再びロープウェイ→バス→船でグレートバリアリーフに到着。


船上ではお決まりの”タイタニック”。

澄んだ海、青い空、ブリブリの俺。


気分は完全にジャマイカでした。



グレートバリアリーフではシュノーケリング体験の予定です。

足ヒレやシュノーケルを装備して海で遊べ、との事でした。

インストラクターからの説明を受け、道具をもらい、いざ海へ!




いや、マジで凄いねん。

あんなキレイな海がある事を初めて知りました。

砂の粒が数えれるくらい透明。

ブリってる数人と「この海見てるだけでイケるかも…w」なんてお馬鹿な事を言うてました。



そんな俺等の隙間を通り抜けて行く魚影がありました。


小型のサメです。


人間慣れしてるのか、膝ぐらいまでの深さのトコロを行ったり来たりしていました。





「なぁ…フカヒレ食いたくない??」





サメ捕獲チームの誕生です。


追い込み班3人。

待ち伏せ捕獲班5人。


シャツを結んで作った罠の上に追い込んで、上を通る瞬間にシャツの端を持ち上げ、捕獲するという作戦です。


でもサメってめっちゃ速いんですよね。

小型と言えどもミニ四駆ぐらいのスピードは出てました。

捕まえられへんかってもおもろかったらえぇわって感じやったんです。



「追い込め追い込め!」


「おい!そっち行ったぞ!」


「オッシャw任せとけ!!w」




「うるぁっ!!w」



ザバァッ





捕まえちゃったんですよねw


シャツに包んで砂浜に連れて行き、鑑賞会。


見つめ合う俺とサメ。




「お前、意外と可愛らしい顔してんなぁ…」

とりあえずキスしました。

おとなしくなるサメ。



「なぁ、名前つけようや」


「ん〜、鮫肌次郎」


「ダサッ!wてか日本人なんやw」


「ジョージ・”シャーク”・ウィンストン」


「それドコの格闘家??w」


なんてお馬鹿な会話をしていると、次郎は見る見る内に弱っていきました。



「アカン!活きのイイ内にさばかな!」


「お前ホンマに食う気なんやwww」



マジで食いかねへんお馬鹿達を尻目に、俺は次郎に別れを告げました。


「俺とお前はこの海で繋がってるから。いつかでかくなったら日本来いよ」


もう一度キスをし、次郎を海に戻しました。





そんな、遠く離れたオーストラリアのサメと日本の青年との小さな恋物語。
鮫肌次郎との淡い恋物語を終えた俺は昼食として用意されたバーベキューには目もくれず、一人でボーっと海を眺めていました。


「ヨシアキ、食わんの?」


お馬鹿の一人が俺に聞きました。


「肉マズイねん…」


偽ボブマーリィにもらった草も抜け、少し不機嫌なまま返事をしました。

俺の不機嫌の理由はそれだけではありません。

この後の予定に原因がありました。



”バンジージャンプ体験”



バンジージャンプの名所に訪れ、各クラスの代表者一人がバンジージャンプをするというモノです。



そうなんです。

俺は絶叫系が完全に無理な人なんです。

俺がこの世で唯一と言っていいほどに恐れるモノが絶叫系なんです。

遊園地デート中に俺をジェットコースターに乗せようとした元嫁にマジギレをし、真剣に別れる事を考える程です。

高所恐怖症なワケでは無く、落ちる時の金玉らへんが”フワッ”となるアレが無理なんです。

自分で車を運転してて、少し勾配のキツイ坂を登り切って下りる時の”フワッ”ですら鳥肌が立つんです。




「どうしよ…どうしよ…!?俺、学級代表や…しかもキャラ的に絶対アイツら(担任&クラスメイト)俺に行けとか言いよる…」

クールに黄昏れてるフリをしながらも、俺の頭の中では”頑張ってイキリとしてのプライドを守るか、素直にごめんなさいするか”の葛藤中でした。


「あ、待てよ…1クラス40人もおんねんから一人くらいは絶叫系大好き!って奴がおるハズや…俺が気配を消してる間にソイツが立候補してくれる事を祈ろう」

希望の光を見出した俺は少し明るい表情で船とバスに揺られていました。







「…アレ??…何で??」








現在位置は20メートルはあろうかという木造の建物の最上階。

目の前に広がるのは暗黒の崖に消えていく滝。

髭剃りのCMに起用されそうな白人男性に何らかの説明を受ける俺。

背後には殺人現場を見る様な表情のクラスメイト達と満面の笑みのN夜先生。



−10分程前−



木造の建物を登りながら俺達は談笑していました。

(ゥヮァァァァァァ〜…)

「俺、絶叫系めっちゃ好きやねん!w」

(ギャァァァァァァ〜…)

「じゃあお前行けよw」

(ィィィィィァァァ〜…)

「任せとけ、男の生き様見したらぁ!w」

(ゥォォォォォォォ〜…)

先に登ったクラスの奴等が滝つぼへと落ちる悲鳴が響き渡っていました。



「何も聞こえへん何も聞こえへん何も聞こえへんナニモキコエヘン…大丈夫や俺、もう絶叫系好きな奴おったやんけ…!俺が飛ぶ事は無い…!」



頂上にたどり着き、皆が一斉に柵から顔を出し暗黒の崖を見下ろします。


「何やねんコレ…こんなもん絶対”フワッ”ちゃうやんけ…。”ヴルルルゥワァッ!!”や…。絶対無理。死ぬ。死んでまう。体中の穴っちゅう穴から色んなモン出る。でもアイツが飛ぶから大丈夫や…」



先ほど”絶叫系好き”を公言していた奴を探しました。





柱にすがり付く産まれたての仔鹿が居ました。


「お前wwwww」

「無理、無理…」


「それ、通販で買うたん??w」ってぐらいに膝が震えてる友達に気を取られていると、いつの間にか辺りは静まり返っています。

同時に背後に”魔”の気配を感じました。



ポンっと俺の肩に置かれる分厚い手。

「この手は…いつもボクの頭を優しく撫でてくれるお父さ…N夜ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

振り向くと、満面の笑みのN夜先生。



−10分後に戻る−



「こんなん絶対認めへんぞ!!職権乱用や!!訴えるぞ、訴えたるからなぁぁっ!!」

「HAHAHA!w」

叫ぶ俺を無視し着々と準備を続ける白人男性。


「何笑とんねん!!殺すぞ!?ファック!!ファァァァァァッック!!」

「HAHAHA!w」


もうどうしようも無い状況に追い込まれつつも俺の頭は”飛びたくない”という思いで一杯でした。


「どうしたら飛ばんで済むねん!?無理無理!!マジでマジで、無ぅぅぅ理ぃぃぃ!!!!」

もうイキリとしてのプライドもクソもありません。



相変わらず満面の笑みのN夜先生と気の毒そうな表情のクラスメイト達。

普段やったら爆笑してるであろうこの光景も、「下手に騒いで目立ったりしたら自分が標的になってしまうかもしれん」という思いからか誰一人として口を開きませんでした。



「てかお前ら何で無言やねん!!お前ら覚えとけよ!?てかN夜、お前が飛べやぁぁぁ!!」

飛びたくない一心で苦し紛れに放った一言です。



「ホンマや、先生飛びやw」

無言やった生徒達がにわかに活気付きます。
「キタコレ!!wこの期を逃すワケにはイカン!!」

自分が助かりたい一心で皆を煽りました。



「○っかっや!○っかっや!○っかっや!」


ヤンキーグループ、パシリグループ、イジメラレッコグループ…

壁が崩れ、皆の気持ちが一つになった瞬間でした。


「HAHAHA!!w」

相変わらず白人は笑っています。







(ホヮァァァァァァァァァ〜…!!)

一際大きな悲鳴が滝つぼに響き渡りました。





「ホンマに飛んだwww」

他クラスも混じった生徒一同は歓喜と共にN夜先生を迎えました。


「先生お疲れ〜!w」

「どやった!?w」






「そんな大した事無かったわ!」

N夜先生の右の鼻の穴からは年季を感じさせる鼻水が垂れていました。


恐かったんかい!!www



その日の晩、俺は仲良しグループ数十名でのUNOに興じていました。

”ラスト一枚になれば「ウノ!」と宣言する。それを忘れてまうと場に出てる捨て札を全部手札に加えなくてはいけない”というのが通常のルールですよね??

その時のルールは、”ラスト一枚になればホテルの部屋から出て「ウゥゥゥノォォォォオオオオオオ!!!!」と叫ばなければいけない。それを忘れるとUNOに参加してない奴も含めた部屋におる全員から袋叩きにされる”というモノでした。

勘のえぇ方はもう気付いてるかも知れませんが、ルールを守って部屋から出て叫んだとしてもエライ目にあうんです。

時刻は夜10時過ぎ。

ホテルには当然、一般の客も宿泊しています。

そんな中で叫ぶのですから、先生連中も黙ってるワケがありません。

一般客からの苦情が入ろうものなら血祭りモノです。



ただ…当時の俺らはそこはかとなく”お馬鹿”でした。

楽しけりゃえぇんです。

その後の事なんか何も考えちゃいません。

まさに、”今を生きる”って感じでした。

UNOだけに限らず、大富豪なんかの全ての罰ゲームが人道から外れたモノでした。



*大富豪のエピソードは「だぶるわいいずむ番外編」に収録してます*



そんな状況でするUNO。

一種の狂気染みた楽しさがありました。


もう何ゲーム目かも分からなくなった頃、俺の手札が一枚だけになりました。

皆がある種の期待を持った瞳で俺を見つめます。


「格の違い見せたらぁw」



ご存知の通り俺は声がデカイです。

トットリ君の家でレコーディングしてる最中に、俺の声がデカ過ぎて向かいのマンションの住人に石を投げられ、窓が割られた程です。

カラオケ店の機械も声のデカさで二度壊した事があります。

ツナキと行った某女子高の文化祭の大声コンテストでは”測定不能”を叩き出しました。



そんな俺が叫ぶのです。

皆も期待せずにはいれなかったのでしょう。


意気揚々と部屋の外に出る俺。

一度全ての息を吐き出し、深く息を吸い込みました。







「ゥゥウウ…「何しとんねん」






雄叫びを遮る酒焼けした低い声。

「この声…いつもボクに優しく教えてくれるお父さ…N夜ぁぁぁぁぁぁぁ!!」


俺の渾身の雄叫びは、見回りに来たN夜先生によって阻止されました。



「さっきからギャァギャァやかましい思ったらお前かい。ワシ今飲んどるから加減でけへんどぉ…」




”コロサレル”


「ヨシアキ連れて行かれたwww」

騒ぎ立てる部屋内の連中には目もくれず、N夜先生は俺の首を掴んで自分の部屋へと引きずって行きました。





「ゴツンッ!!」

ゲンコツ。


「お前は大体なぁ…」

説教。


「まぁ飲めぇ…」

酒。


延々と繰り返される無限ループ。






−翌朝−



ホテルのロビーにて、”おでこの腫れ上がった酒臭い高校生”の遺体が発見されました。
−修学旅行最終日−



最終日の予定は、「ラフティング」と呼ばれる急流下りとショッピングです。

どちらも俺が一番楽しみにしていたイベントです。

前夜のゲンコツと酒による頭痛に苛まれながらも、俺のテンションは徐々に上向いていきました。



−バスに揺られる事、小1時間−


川の名前は覚えていませんが、かなりの大きさ。

川幅も200メートルほどありました。



各クラスごとにインストラクターからの説明を受けた後、5〜6名の班ごとに分かれライフジャケット等の装備を受け取ります。

先発の班が出発してから10分ほどの間隔をあけ、俺等もボートに乗り込み出発しました。



各ボートにはインストラクターが一人ずつ同乗します。

俺等の担当は陽気な白人男性で、「HAHAHA!w」と笑いながら生徒と小突き合っていました。

各々がオールを一本ずつ持ち、ボートもスピードに乗ってきたその時です。








「YA−HA−!!w」






突如、インストラクターが奇声を上げました。


同時に聞こえる同じ班のヤツの「助けてぇ〜w」という声。



小突き合いがエスカレートし、インストラクターが生徒を川へと突き落としたのです。


ライフジャケットを着ている限り溺れはしませんが、川の流れは相当激しいモノ。

運が悪ければ岩なんかにぶつかって怪我をするかも知れません。



オールを差し出して川に落ちたクラスメイトを救出し、俺は言いました。




「そうゆうのアリなんやw」



元々、悪ノリはこちらの土俵。

“興國高校生の悪ノリは世界でも五本の指に入る”と言われるほどです。



「ちょ、インストラクター落とそうや」



日本語を理解出来るハズの無いインストラクターは相変わらず締まりの無い笑顔。




インストラクターの両脇にいた生徒がオールを奪い、俺が両足をちゃぶ台返しの要領でひっくり返し、川へ叩き落としてやりました。



しかし、ライフジャケットを着込み、さらに泳ぎ慣れしているインストラクターは「WO〜!w」と叫びながらいとも簡単にボートへ戻ってきてしまいます。

仕返しとばかりに他の生徒を突き落とし、笑っているインストラクターを見て俺は言いました。






「よし、ライフジャケット脱がすぞwww」


インストラクターの両脇の生徒が腕を一本ずつ押さえ、俺が両足を押さえました。


「はよ脱がせろ!!w」


ライフジャケットの留め具はバイクのメット等と同じタイプ。

簡単に全ての留め具を外し、また別の生徒が一気にライフジャケットを剥ぎ取ります。

聞き取れない単語を叫びながら暴れるインストラクターに言います。






「…ほなねw」


さっきと同じ要領で足をひっくり返し、バク転の体勢で川へ落ちるインストラクター。



しかし彼も必死です。

流石にライフジャケット無しでこの激流に落ちるのは怖いのでしょう。

右腕でオールの棒部分を通す金具を掴み、落ちるのを拒みました。

ボートへ戻ろうと必死にもがく彼を見下ろし、今度は彼にも理解が出来る様に囁きました。





「グッドラックwww」




彼の右腕に優しく振り下ろされる俺のオール。



川に飲み込まれた彼の叫びは余り聞き取れませんでしたが、「F○○K!!」という単語だけは聞き取れました。



彼は先発のボートに追いつき無事救助されましたが、下手したら死んでましたねwww



当然、N夜先生はインストラクターの会社から怒られ、俺の班の奴等は帰りのバスの座席間の通路で正座でした。
ホテルに戻り、荷物をまとめ、初日のハウスキーパーへの恨みを忘れていなかった俺は「呪」とだけ書いたメモをベッドに残し、チェックアウトしました。





−またバスに揺られ小1時間−



都市部へと来た俺等には3時間の自由時間が与えられました。

それぞれが仲良しグループでお土産等を物色。


俺もお小遣いをくれたオカンのお客さんへのお土産や、当時のセフレ達へのお土産を選んでいました。



お客さんへの適当なお菓子(一個5ドルくらい。手渡す時に「ごめん、頼まれてたヤツ無かったわぁ」ってセリフ付き)を数個。

セフレ達へのオーストラリア特産のオパールのアクセサリー(一個30ドルくらい。手渡す時に「お前に似合うと思って…」ってセリフ付き)を数個。








空港付近の免税店で俺へのGUCCIの時計(1500ドルくらい)と、GUESSの時計(500ドルくらい)。





アタシジブンダイスキ(´皿`)




ピザ屋の店員みたいなんが働く回転寿司で食事を済まし、空港へ。

日本出国時の“スチュワーデスのケツ触りまくり事件”の犯人がまだ俺やと疑われてるらしく、N夜先生の横の席にされます。

※“スチュワーデスのケツ触りまくり事件”は「だぶるわいいずむpt.9」を参照※



オーストラリアからの出国は酒臭さと加齢臭に彩られました。


飛行機は最高高度に達し、景色は一面の海になります。



「次郎…また会「ぐごぉぉぉぉっんが…ごぉぉぉぉ…」



俺の感傷は隣の酒臭いオッサンの野太いイビキにかき消されました。



イラッ。



鼻をつまんでやりました。



「ぐごぉぉぉぉっぉっスース………ぶるはっぁっっ!!」



状況が理解出来ずキョロキョロするN夜先生。


こらえ切れず吹き出す俺。


そんな空の八時間の旅。




関西国際空港に到着し、解散する時には夜の9時を過ぎていました。

学校はそのまま冬休みに入るので先生やクラスメイト達とはしばしの別れです。



「また連絡するわー」


友達とのじゃれ合いもそこそこにし、俺は一人関空駅のホームへと向かいました。



タバコの自動販売機でセブンスターを購入。



火を点け、肺いっぱいに煙を吸い込み、すぐに吐き出さずに久々の味をしばし楽しみました。


大きく煙と息を吐き出し、「やっぱセッタやな…」とつぶやくと背後に魔の気配。



ゴツンッ



「せめて別の駅で降りて吸え!」

N夜先生のゲンコツが飛んできました。


「お前自分の立場ホンマに分かってんのか?退学までリーチどころか、トリプルリーチぐらいかかってんやぞ?お前の事良く思ってない先生もいてるんやから気ぃつけぇよ」

そう言うとN夜先生は俺の買ったばかりのセッタから1本奪い火を点けます。








「先生…ここ駅のホームw」



ゴツンッ



「お前も吸うとるやろうが!…休み中、あんま悪さすんなよ!」

お決まりのゲンコツを残してN夜先生は喫煙コーナーへと消えて行きました。




−電車に揺られ小1時間−





久しぶりの自宅。

ご主人様の帰宅に狂喜乱舞する愛犬達。

※後々、元嫁と付き合いたての時に愛犬達に浮気をバラされます(番外編に収録予定)※



プチムツゴロウさんを楽しんだ後は携帯を確認。



「うーわぁ…めっちゃ怒ってるやん…」


修学旅行やという事を伝え忘れた女の子達からの怒りのメールがいっぱい来てました。


「まぁえぇやw」


服を着替え、お客さん用のお土産数個を袋に詰め、セフレ用のお土産2つをポケットに詰め、絨毯をひっぺがし畳と畳の隙間に隠している俺式吸引具とシャブの入ったパケを一つ靴下の中に差し込み、オカンがチーママをしているラウンジへと向かいました。

※俺式吸引具は「だぶるわいいずむ」バックナンバーを参照※




店に入るなり、“夜の蝶”というよりは“自販機の蛾”という方がしっくりくるホステス達に「ョシァキぉ帰りぃぃぃ〜」と、もみくちゃにされます。


「ちょ、E子ちゃん香水クサイねん…」


「ぁんた…海外行ってから冷たくなったね…。日本にぉる時ゎぁんなに激しく求めて来たクセにぃ!」


「もうえぇからwはよ接客しといてw」








実際、2,3回抱いてるんですけどね(´皿`)
「ただいま〜」なんて言いながらお客さんの席を回り、1杯飲みながらお土産を渡していました。

オカンは俺の事を気に留める事も無く、ママとカウンターの中で客の相手をしています。



「ョシァキィー!」

一際カン高い声でママが俺を呼びました。


俺がカウンターに入るとママは俺のアゴに手を添え、「ァタシのお土産は?」と聞きます。




(あ、ママもお小遣いくれたん忘れてたw客用のお菓子上げるワケにもいかんしなぁ…)




「…チュウしたろか??w」


「小便クサィ糞ガキのクチビルなんかぃらんゎ!w」と言いながらもしっかり口紅を残された俺のホッペタ。



カウンターを出ようと仕切りのカーテンをくぐると、オシボリのストックなんかを置いておく所にMちゃんがいました。

Mちゃんはママの娘で、当時19歳。

そこそこべっぴんな顔と、一番若いという理由で看板娘でした。



「ぉかぇりw」


ポケットからオパールのネックレスを取り出し、Mちゃんの首に腕を回しました。


「お前に似合うと思って…」


Mちゃんは満面の笑みで俺にキスをしました。

ママとは違い、クチビルに。



当時、俺はオカンの職場のオーナーの娘をセフレにしていました。



「店終ゎったら連絡するねっ」



Mちゃんは客の待つボックス席へ戻り、俺も一通りの挨拶を終え店を出ます。

時刻は深夜0時過ぎ。



「まだいけるか…」



バイクのエンジンをかけ、ママの自宅へ向かいました。



駐車場にバイクを止め、電話をかけます。



「もしもしHちゃん??下りといでや」


「帰ってきたん!?すぐぃく!」


しばらくするとヒールの音が聞こえてきます。


「もぉ〜!」と言いバイクに座っていた俺にHちゃんが飛び付いてきました。



頭を撫でながら聞きました。

「寂しかったん??w」


「…ちょっとだけな」


「たった三日間だけで??w」


「ぅるさぃ!…会ってなぃの一週間ぐらぃゃもん…」


「ごめんなw」と言いHちゃんの髪をかき上げ、耳にかけました。




「お前に似合うと思って…」




ポケットからオパールのピアスを取り出し、Hちゃんの耳につけます。




「…チュゥして」


「なんて??w」


「…チュゥして!w」



Hちゃんは俺の腰に腕を回し、キスをしました。


ママとは違い、Mちゃんとは同じ、クチビルに。
MちゃんとHちゃんは姉妹です。



そーなんです。








アタシ、オカンの職場のオーナーの娘を二人ともセフレにしてたんですよね。

今考えると、何でそんな綱渡りしてたんやろうな、とwww

ようバレへんかったな、とwww

もしかしたらバレた上での共有やったんかもしれないですね。


姉のMちゃんの方は結構なトラブルメーカーで色々と事件に巻き込まれたりもしました。

M−1グランプリの決勝に残ったりして、そこそこ有名なお笑い芸人が俺にシバかれたのもMちゃんが原因です(番外編に収録予定)。







「なぁ…ェッチしたぃ…」

一週間の放置と小1時間ほどのイチャイチャで火が点いてしまったようです。

時刻は深夜2時過ぎ。



「もう遅いし、また今度ゆっくりな」

最後におでこにキスをし、バイクのエンジンをかけました。



しばらく走った後、Hちゃんといてる時から震えっぱなしの電話に出ました。


「もぉ!何回も電話してんのにぃ〜」


「ごめんごめん、Mちゃん今どこ??」


「店の横のローソンぃてるょ」


「ほな家帰っときや!すぐ行くわ」



Mちゃんは一人暮らしです。


Mちゃんの住んでいたマンションに着き、部屋のドアを開けるなり下着姿のMちゃんが飛び付いてきました。

かなり飲んだみたいで、酒の臭いと共に濃厚に舌を絡ませてきます。


「Mちゃん…めっちゃ酒臭いw」


「だぁーってぃっぱぃ飲んだもーんw酔ってるもーんw」


(アレ??コイツさっきの電話結構シラフやったよな…。よう考えたらコイツ普通に酒強いし…あぁ、酔ったフリか。)



“女の子が酔ったフリをする時は乱れたい時”←コレ俺の持論です。



たっぷり愛してやりました。

ピストン運動でマンション崩れんちゃうか??ってくらいに。



満足したのか、寝息を立てるMちゃん。



靴下の中から俺式吸引具の入ったパケを取り出し、トイレに向かいました。






「あ゛ぁ゛〜…めっちゃ久々やぁ〜…」



段々と自分の身体の中の血流や脈が手に取る様に分かってきます。

目も冴え、細胞レベルで自分の手足を動かせる様な気になってきます。



当時の俺はジャンキー特有の“ヨレる”事がほとんどありませんでした。



“ヨレる”というのは全ての物事を勘繰ったり、幻覚に襲われたりする、薬物使用のデメリット全てに対して使用する造語です。

全国共通かどうかは分かりませんが、俺の周りのジャンキー間ではこれで通じました。

以前のラブホでの事件も“ヨレた時”のベタな行動です。

※ラブホでの事件も「だぶるわいいずむ」バックナンバー参照※



再び布団に潜り込み、Mちゃんとの情事が始まりました。




そんな、金と女と薬物と昌吾に溺れる高校二年の冬。
高校2年生、冬休み。



ノッポの適当ダメ人間のくっしんから着信がありました。


「今日、俺の主催のイベントあんねんけどけぇへん?」


くっしんはDJをしており、特に予定も無かったので遊びに行く事にしました。


「適当に誰か誘って行くわー」


今でこそ、MCしてるにも関わらずクラブ嫌いを公言してる俺ですが、この当時は純粋にクラブを楽しめたし、フロアーで踊ったりサイファーに乱入したりもしてたんです。



その晩、家の近かった慎太郎とマメを誘い、慎太郎の車で枚方・牧野にあった「スパイラル」というクラブに向かいました。

「着いたでー」とくっしんに電話をすると、スパイラルへと降りる階段からくっしんと一人の男が現れます。


「紹介するわー、これ俺の相方のツナキ!MCしてんねん」


オドオドした感じで「どうも…」と握手を求めてくるツナキ。



(何コイツ…気持ち悪っ)



それがツナキへの第一印象でしたw


イベントがオープンし、客もそこそこ入り始めます。

俺も酒・ダンス・ナンパetc…と、オーソドックスにクラブを楽しんでいました。


一部ショーケースが始まります。

今日が初ライブとかいう二人組み。


(あ、歌詞飛んだ。ダサッ)


二番手、帰国子女で自称バイリンガルのソロMCがエミネムのカバー。


(まんまカバーとかw死ねよ)


三番手、もはや記憶にもありません。





ぼちぼちイベントにも飽き始め、フロアーのソファーに腰掛けていた俺に、ツナキがビデオカメラを向けながら近付いてきました。


(なんやねんコイツ。気持ち悪っ)


少し慣れてきたのか、ツナキが言いました。

「何かポーズとって下さいよw」



(ウザッ!タメやのに何で敬語やねん…気持ち悪っ)



「…ポーズって何やねん」


「えっ、あの…ウェッサイとか…」


(何でそれを俺に求めてくんねん…気持ち悪っ)


「あー…これでえぇ??」

俺はLAのハンドサインを作り、トイレに行くと言いその場を去りました。



(アイツは一体何やねん…オドオドすんねやったら喋りかけてくんなよ…気持ち悪っ)



その後は特に面白い事も無く時間は過ぎ、二部ショーケースが始まります。


一番手、「三国」とかいう二人組み。

(お、やっとマトモなライブやな。でも華無いわ。ラップやめたらえぇのに)


二番手、ツナキです。






(…ラップは上手いねんな。気持ち悪っ)


何故か悔しかったので、ショーケースが終わると同時にくっしんに「お疲れ、帰るわ」と声をかけスパイラルを後にしました。



コレが俺とツナキの出会いですが、当時は「気持悪いクセにラップ上手い奴」としか思ってませんでした。

俺がくっしんとナンパに行く時によく付いてきてました。

くっしんに対しては、地元も一緒やし付き合いも長いからか普通に喋るんですが、俺に対しては常にオドオドしていました。


(怖いんやったら来んかったらえぇのに…気持ち悪っ)


ホンマに気持悪かったんです。
高校2年生、3学期。



もう何度目かも分からない、学生生活のピンチを迎えました。



俺の通っていた興國高校には、泉州の人間がよく入学します。

寺田町が最寄り駅なんですが、寺田町は環状線です。

泉州の奴等は天王寺方面へ。

市内の俺は京橋方面へ。

要するに真逆なんです。

駅まで一緒に帰り、改札を抜けると二手に分かれます。



当時、仲良しグループの中では線路を挟んでおちょくり合う事が流行っておりました。


天王寺方面行きのホームの奴等、つまり泉州方面の奴等が俺をおちょくる→俺が線路に降りて向かい側のホームによじ登り追い掛け回すor京橋方面行きのホームにおる俺が泉州方面の奴等をおちょくる→泉州方面の奴等が線路に降りてこっちのホームによじ登って来て俺を追い掛け回す、みたいな感じです。



ある日の放課後、いつもの様に泉州方面の奴等が俺をおちょくりだしました。


「オイ!wお前何見てんなコラ!w」


俺もいつもの様に乗っかります。


「はぁ!?wしばくぞコラ!w」


「おう、来いや来いや!w」


「どうせ行ったらびびって逃げんねやろが??w」


「はぁ!?wお前がびびってんちゃうんけ!wグダグダ言うてんとはよ来いやw」


「はぁ〜??wホンマに行くぞ!!w逃げんなよ!?w」



そして、いつもの如く線路に飛び降り、ホームに登ろうとしたその時でした。








ピカッ







一瞬、辺りを閃光が包みました。



何が起きたのか分からず見回すと、カメラを持った駅長が俺の腕を掴みました。


「証拠は撮ったからな!もう逃げられへんぞ!駅長室来い!」


どうやら以前からマークされていた様です。



「ヨシアキ連れて行かれた…」

皆も唖然としていました。



ホームから駅長室へ向かう階段の途中、俺の頭はフル回転です。


(やばいやばいやばいやばい、コレ絶対退学や…どうする!?どうする!?どうする!?どうする!?)


ご存知の様に一年生時から退学へのウルトラリーチがかかっていた俺は、信じられない行動を取ってしまいます。


















駅長を殴り、カメラを奪い、爆走しました。

















ホームへ向かって。


何でホームへ向かったのかは今でも謎のままです。

普通なら改札へ向かって逃走するでしょう。

この時から俺の“ヨレ”は始まっていたのかもしれません。



「…え、ヨシアキ帰ってきたwww」


鬼気迫る表情で再びホームに現れた俺を見て、皆は爆笑していました。

しかし、今はそんな事に構っていられません。

捕まれば俺の学生生活は終わりです。



しかし、何を血迷ったか現在位置は駅のホーム。

改札の方には駅長。


逃げ場はありません。

止まる事も出来ません。




俺は再び線路へ飛び降りました。

このまま向かい側のホームによじ登って改札を抜ければ無事逃亡成功です。



















俺は線路の上を京橋方面に向かって走りました。

正常な判断が出来なくなっていたのでしょうが、今考えるとただのお馬鹿です。

下手すりゃ死んでます。

死にはせんかっても、電車を止めて莫大な金を請求されます。




それでも俺は走りました。


桃谷へ向かって。

明日へ向かって。




いや、ヒカリへムカッテ。



意味の分からん時に奇跡は起きるモノで、俺は無事に一駅隣の桃谷へ到着しました。


ホームで電車を待っていた此花高校の生徒や、一般の乗客達には相当笑われてましたが、環状線一駅分の距離を全力疾走した俺には威嚇する気力も残っておらず、ベンチに座り込みました。



これが後世に語り継がれる“全力一人スタンドバイミー伝説”です。
翌日、臨時全校集会が開かれ、“全力一人スタンドバイミー伝説”の事を校長が「非常に残念です」と全校生徒に注意を促していました。


「そんな奴退学にせなあかんわ!!なぁ、ヨシアキw」


事件の全貌を知っている友達が大声で俺をおちょくります。


「お前www」


(まぁ、証拠も奪ったし犯人探しまではせぇへんみたいやな…助かった)


臨時全校集会が終わり、教室へ戻ろうとすると背後に魔の気配。


俺の首が万力の様な握力で掴まれました。



「この力強い腕は…僕をいつも優しく導いてくれるお父さ…N夜ぁぁぁぁぁぁ!!」


N夜先生に引きずられ、普段は使っていない小さな職員室に連れていかれました。



「…どういったご用件でしょうか…??w」



有無を言わさず振り下ろされるN夜のゲンコツ、いや…鈍器。

何十発かの殴打の後、解放された俺にN夜は言いました。


「お前、ホンッッッッマえぇ加減にしとけよ?」



バレてたのねw



今思うと、俺はN夜先生に顔面をどつかれた事がありません。

他の生徒には顔面をどついてたのに、俺にはいつもゲンコツでした。

その分一回どつき始めてからの回数はヒドイもんでしたが、N夜なりの愛情やったんですかね??








高校2年生、春休み。



相変わらずシャブは食うてました。

ただ、この頃は以前よりも“ヨレる”事が多くなっていました。

※“ヨレる”の意味はバックナンバー参照※


ヨレ方もだんだんと酷くなる一方で、5回に1回はかなり暴力的になります。


元々体もゴツイ上にシャブで力のリミッターも外れているのでしょう、一度暴力的なヨレ方をすると誰も押さえる事が出来ません。



当時、一緒に悪い事をしてた奴の中の一人の家を「ラリ部屋」と呼び、何人かで集まってはその家でシャブや草をキメていました。


その日も、家の主、俺、一緒に金融やってた奴、初対面の家主の友達の4人でキマってました。


俺はシャブ、俺以外は草。


2時間ほど経った頃でしょうか、俺以外の三人は締まりの無い笑顔で談笑しています。


俺は目を血走らせ、必死にヨレる自分を押さえ込んでいました。


(俺はまだイケる、シラフや、ヨレてない、普通や…)


むしろ、シャブのせいでそう思い込む事に夢中でした。



ふと、初対面の家の主の友達が「アイリーw」と言いながら、俺に草の詰まったパイプを手渡してきました。



色々と限界でした。



パイプを受け取り、一呼吸置いた後、気付けば俺はソイツに馬乗りになっていました。


この状況でも締まりの無い笑顔を見せるソイツに俺は拳を振り下ろしました。





ソイツの締まりの無い笑顔は消えました。

俺の破壊衝動は消えません。


周りの奴からも笑顔が消えました。

俺の破壊衝動は消えません。


家の主と俺の友達が止めに入りました。

俺の拳は止まりません。


俺の下におる人間の動きが止まりました。

俺の拳は止まりません。




俺の拳が止まりました。

俺の下におる人間の血は止まりません。






気がつけばソイツの姿は無く、家の主と二人きりでした。

殴るのを止め、放心状態になった俺を二人がかりでトイレに閉じ込め、俺に殴られてた奴の彼女に電話して病院に連れていかせたとの事。


死にはしなかったものの、鼻骨がグシャグシャな上に前歯も全部砕けて、砕けた歯が喉に詰まって危なかったみたいです。


慰謝料や治療費を請求されるワケでも無く、その後もこの件に関しては何も起こりませんでした。



この時の事は、今でもたまに夢に出てきます。



三日ほど家にも帰らず、“ラリ部屋”にも行かなくなり、自己嫌悪に陥りました。


それでもシャブは止められません。







高校3年生、1学期。


俺がシャブを止めるきっかけの事件が起きました。
高校3年生、1学期。


ラリ部屋には行かなくなったものの、シャブはやめれませんでした。

ずっと続けていた料理屋のバイトも週1〜2回に減り、金融業で入ってくる金は全てシャブに消え、この頃の俺は廃人一歩手前の状態やったと思います。

大好きやった学校にも余り行かず、行っても皆とそれほど喋る事も無くボーっと過ごし、夜になればミナミへ。

ミナミで集金して、自分の財布が潤えばシャブを食う。


金融にしろ、シャブにしろ、絶対にヤクザが絡んできます。

何のバックもつけず営業していた俺らにも、幾度と無く火の粉は飛んで来ました。


「どこバックにつけてんの?」

「誰の許可得て金貸しやってんの?」

「うっとこの客がオタクんトコでえらいキツイ事された言うてんねんけど?」


どれも映画やドラマで良く聞いた台詞。




「○○会のN谷の若いモンでっけど??」


とっくに引退していたN谷さん。

その辺のチンピラでは名前すら分からないでしょう。

それでも“○○会”は日本の極道社会ではピラミッドで二段目に当たる組織。

何も知らんチンピラに対しては、そこに関わりのある人間ってだけでもネームバリューは抜群でした。


全てがその一言で片がつきます。


(完全に“虎の威を狩る狐”やなw)なんて、当時も自嘲していましたが、今思うとさらにダサいですねw



そんな毎日の繰り返し。

俺自身、「いつまでこんな生活を続けるのか」とずっと考えていました。

シラフの時にいくら答えを求めても、シャブ食うた時に出て来る答えは「これさえあればえぇ」。



そんなある日でした。

高校の友達から着信。






「Oが死んだ」





Oは高校の友達でした。


一緒のクラスになった事も無く、ほぼ面識が無いにも関わらず、こんな見た目の俺にも「ヨシアキ〜!!w」と叫びながら飛びついてくる様な奴です。

良く言えば人懐っこく、悪く言えばウザイ。


Oの訃報を聞いた時はシラフでした。

心臓を鷲掴みにされた様な、鈍器で胸を叩かれた様な、“ドンッ”という衝撃が走りました。



“持病の喘息が原因での呼吸停止”



「来れたら来たってや」と葬儀の日程を伝えられ、電話を切った後は放心状態でした。


(喘息って人死ぬんや…)


悲しいとかそうゆう事は考えられず、(葬式は行かなあかんなぁ)なんてぼーっとして過ごしました。




葬式当日。


学生なんで式には制服で出席です。

いつもの様にブレザーに袖を通した瞬間、言い様の無い孤独感に襲われました。


「友達が喘息みたいな身近な病気で死んだ」
「人間なんて簡単に死ぬ」
「シャブどころか混ぜモンも食うてる俺もいつ死ぬか分からん」
「俺が死んだ時に誰が悲しんでくれる??」
「むしろ葬式すらやってもらえるんか??」



焦点が合わなくなり、膝が震え出します。

鼓動が早くなり、偏頭痛も始まりました。



怖い恐いコワイこわいコワイ怖いこわい恐いコワイ…



“友達の死”に対しての悲しみか、ただヨレてるだけか、多分どっちもでしょうね。

身動きが取れなくなりました。




動かずとも手を伸ばせば届く場所に俺にとっての“魔法の薬”がありました。

直感的に「シャブさえ食えば治る」と分かりました。

って事は、ただ切れ目やったから苦しかったんでしょうね。


でも、この日だけはシラフでおろうって決めてたんです。


しかし、そこは流石ジャンキーというか何というか…。

他の事は頑張れても、ネタに関しては簡単に友達どころか、自分で立てた誓いすらも裏切ります。



“この苦しみから解放されんねやったら”



ネタ買う金欲しさに犯罪を犯してしまう奴とかもそんな思考しか無いんでしょうね。
いつもより少し多めの量をキメました。

一度深呼吸をすると、途端に目は冴え、震えも止まり、頭痛すら消え失せます。


「しゃ!行こ!」


まだ残り雪すら舞う寒さの中で、汗ばみながら式場へ向かいました。




式場の周りには同じ制服を着た生徒達が大勢居ました。

涙を流す奴、俯く奴、皆一様に暗い表情でした。



俺は暗い顔どころか薄ら笑いすら浮かべていたかもしれません。

周りの皆にはそれが無理に明るく振舞おうとしている様に見えたのか、無言で俺の肩を叩き苦笑いを浮かべました。


シャブ食うた事ある方は分かると思いますが、キマってる時の音楽って耳で聞いてるんや無くて、血管を流れてる様に感じるんですよね。

それが妙にくすぐったいんです。


お坊さんのお経や木魚の音色が俺の血管を流れ、くすぐります。

俺はそのくすぐりで吹き出しそうになるのをこらえます。

今度はそのこらえるのに必死な事が面白くなっていくんです。

電車ん中とかで漫画とか読んで笑いこらえてる奴おるでしょ??

ちょうどあんな表情してたと思います。


状況が状況なだけに、「ヨシアキも悔しいんやろなぁ…」って皆思ってたんでしょうね。


(このままやったらいつか爆笑してまう)と思った俺は隣におった友達に言いました。


「ごめん、限界や…先帰るわ」

「そっか…皆にはちゃんと言うとくわ。あんま気ぃ落とすなよ?気ぃ付けてな」


“友達との別れが辛くて限界や”に聞こえたんでしょう。

自分も辛いのに俺の事を心配してくれます。

式を途中で抜け、大きな道路でタクシーを待ちました。




タクシーを捕まえ、乗り込んだ瞬間に爆笑しました。


「どこまでですか?」


「あはははははははははwww」


「お、お客さん?」


「あぁwごめんごめんwふふw鶴見まで行って!」


タクシーが動き出してからも俺はずっと笑ったまんまでした。

運転手的には相当恐かったでしょうね。

よう乗車拒否されへんかったもんです。



家に帰る前にコンビニで1リットルのコーヒー牛乳を買いました。

コンビニを出てすぐに一気飲みしてしまい、またコンビニに戻りもう1本買いました。

それすらも腹がよじれる程の笑いのネタになります。



家ですぐに着替え、その時ストックしてたシャブのパケを全部ポケットにねじ込み、また家を出ました。

俺はすでにシラフでした。


シラフと言うよりは、キマってる俺とシラフな俺が居てるんです。

俺だけなんかは分かりませんが、シャブを食うと“陽気で短気で暴力的な俺”が出てくるんです。

カラダを動かすのは“陽気で短気で暴力的な俺”、カラダの主導権を奪われた“シラフの俺”は俺の行動をただ傍観してるんです。

だから、キマってる時の行動をシラフに戻って忘れる、というのはあまりありませんでした。



ラリ部屋での事件の時も、Oの葬式の時も。



葬式の一部始終を見ていた“シラフの俺”はキマってる最中に「シャブを止める」と誓いました。

まだ“キマってる俺”がおるのに“シラフの俺”がカラダの主導権を奪うのは簡単な事では無かったと思います。

それだけこの時の誓いは強かったのでしょう。



シャブとの決別に強張るカラダを無理矢理動かし、近所のラブホの一室に入りました。


当時、一緒に金融業をしていた奴に連絡を入れます。


「はい?」


「…悪い、しばらく連絡取られへん」


「…分かった。また連絡して」


いつもと違う雰囲気から何かを察してくれたのか、余計な詮索も無く納得してくれました。



電話を切ったと同時に携帯の電源を落とし、服を着たままバスルームに入りました。

水のままのシャワーを全開にし、頭からシャワーを浴びます。
俺はポケットから取り出したシャブを全て流しました。




水の上を走るシャブを眺めながら、涙が溢れました。




「O…O…ごめん…ホンマにごめん…」

涙と共に言葉も溢れ出します。



途端にカラダが震え出しました。


寒くて震えてるんか??
切れ目で震えてるんか??
罪悪感で震えてるんか??
シャブやめる事への恐怖で震えてるんか??


分からん。


一人震えながら、バスルームに座り込み、色んな事を考えました。


Oは死ぬ時もっと恐かったんやろうな。
Oは死ぬ時もっと苦しかったんやろうな。
Oはもっと生きたかったんやろうな。


Oは当然、死にたくて死んだワケじゃありません。

それでも死んでしまいました。

Oが死ななければいけない理由はあったんでしょうか??

Oが死んだ事に何か意味はあったんでしょうか??

もしかすれば、何の意味も無くただの運命のイタズラやったんかもしれません。



こんな事でOが喜ぶとも罪滅ぼしになるとも思ってません。

それでも、“Oの死”によって俺がシャブをやめれれば、少なくとも俺の中では“Oの死”が意味有るモノになる気がしたんです。


ハッキリ言えば、Oの遺族にとっては俺がポン中であろうが何であろうが関係無いでしょう。

それでも、俺にとっては“Oの死”によって人生が変わったんです。

俺はOに救われたんです。





Oへ。

葬式ん時はマジでごめん。

言い訳になるけど、あん時の俺は狂っててん。

狂ってる上に“身近な人間の死”っていう受け入れたくない事実が辛かってん。

だからシャブに逃げてもた。

お前も、お前の家族も、彼女も、もっと辛かったのにな。

俺アホやわ。

最低や。

でもお前のおかげでシャブやめれてんで。

お前はある意味恩人やねん。

嬉しないやろけどな。

もし、今後高校の奴と会った時に、お前の事やお前の死を馬鹿にする奴がおったら、俺が殴り殺してソッチ送ったるからソッチでお前もしばけ。

あ、お前貧弱やから無理かw

俺がお前の分も殴っとくわ。

死んだ人間にこんな事言うんは不謹慎やけど、お前やったらえぇやろ??

ごめんな。

ほんで、ありがとう。




















高校3年生、1学期中盤。


俺はシャブと決別し、一人の女と出会いました。

※風邪も引きました※
高校3年生、1学期中盤。


完全にシャブと決別した俺は、健全な毎日を過ごしていました。


一緒に金融業やってた奴以外の悪い友達と遊ぶ事も無くなり、高校や地元の友達と遊ぶ事が多くなりました。

毎日毎日飽きもせずナンパナンパナンパ…。


ナンパの仕方にしても俺の場合は一味違います。



だぶるわい式ナンパ方法その1

まず、ティッシュ配りのお姉ちゃんからいくつかティッシュをもらいます。

お目当ての女性を見つけたら、その女性の進行方向で待ち伏せしてティッシュ配りのフリをします。

女性が近づいて来たらスッとティッシュを渡し、「ハイ、どーも!ナンパでーすw」とテンション高めに声をかけます。

リアクションはビックリされるか笑ってくれるかどっちかですが、確実に足は止めれます。

後は、拒絶する間も無いマシンガントークで、最悪でも番号交換まで持っていきます。



だぶるわい式ナンパ方法その2

コレはタイマンでしか使えませんが、鉄板です。

成功率は80%を越えます。

まず、お目当ての女性を見つけます。

自分の居てる位置から女性が少し離れるまで待ちます。

ある程度距離が開いたら全力疾走で女性の前まで行きます。

「すいません!ハァハァ…、一目惚れって、ハァハァ…信じますか…??」

ほぼ全員キョトンとしたリアクションを取ります。

「いきなりごめん、俺が一目惚れしてもて…気ぃ付いたら追いかけてもうててん…。いきなりで困るかもせんけど、今行動せな絶対後悔するって思ったからw友達からでえぇから良かったら連絡先教えてもらわれへんかな…??」

大事なのは表情と声のトーン、相手の目を真っ直ぐ見つめる事。

この方法でナンパした女性とのSEX率は90%を越えます。



だぶるわい式ナンパ方法その3

コレは互いに複数の時限定です。

もはやナンパと言うよりはただの悪ノリです。

まず女性の集団を見つけます。

そしてフォーメーションを組みます。

先頭の奴は両手を腰に、後ろの奴は前の奴の頭に右手を置き、左手は自分の腰の後ろへ。

その状態でサイドステップを踏みながら掛け声付きで前進。

俺「おー!ホラ、いっこっおっぜ!」

皆「そーだ!皆、いっこっおっぜ!」

モー娘。です。

これで女性に近づき、「ホラ!何してん!?早く早く!!」と言うと、ノリが良ければ後ろに繋がり参加してくれます。

その後、「いぇー!!wふー!!w」みたいな感じで終わりを迎えてトークに移るんですが、終わった瞬間に女性が「バイバーイw」と去る事もしばしば。

ただ、これは純粋に楽しいんですw



まぁ、こんな感じで毎日ナンパしてたんです。

もちろん普通なナンパもしてましたよ??w


この当時の俺はマジでナンパと笑いに命をかけてました。

携帯のアンテナにはリアルなチンコのキャップを付け、ナンパした女性と喋ってる間もずっと鼻の穴にそれをピストンしながら、時々「あ、そこそこ、ヤバイ…」とか「アカン、イキそう…」とか言ってました。

タバコに火を点ける時もライターでは無くチャッカマン。

ピアスも普通のピアスでは無く、新しい靴下買った時に付いてる靴下を挟んでる銀のヤツ。

ホンマに身の回りの物全てがネタでした。


それまでシャブに使ってたエネルギーが全部そっちにいったんですかね。





そんないつもと変わらんある日。


その日もノッポの適当ダメ人間“くっしん”と天王寺でナンパしてました。

途中でツナキ&ツナキの高校の友達数人と合流。

場所を歩道橋から近鉄百貨店裏のフープ(OPAとかESTみたいなん)に移し、獲物を探していました。


ガン黒のセーラー服と控えめな古着の二人組みにロックオン。


向こうが二人なんで、こっちも俺とくっしんの二人でまずは声をかけました。


「何してんの〜??」

「買ぃ物しに来てんけどぇぇの無くて暇してたーw」

「そーなんやwてかその制服プールやんな??いくつなん??」

「せゃでぇ!ゥチら二人とも15ゃねん。ぉ兄さんらは興國やろ?w」


(お、全然拒絶してへん!流石俺イケメンwww)


ここでツナキ達が合流。

トークは任せて俺は笑いに走ります。


「なぁなぁ、SEXしてえぇ??」

「ぇ!?w誰と?w」

「俺と俺の相棒」

「意味分からんねんけどwぇぇんちゃぅ?w」


おもむろに携帯を取り出し、リアルチンコキャップが装着されたアンテナを鼻の穴へ。



「あ゛ぁ゛…め゛っち゛ゃき゛も゛ち゛え゛ぇ゛〜」


「ちょっwwwそんなんどこで売ってるん!?w」


(よし!ウケたwww)
ウケた事でさらに俺は笑いに走ります。


「ちょ、あのエレベーターずっと見ててや」

俺はフープのガラス張りのエレベーターを指差しました。


「ぇ?分かった…」


俺はエレベーターに乗り込みました。



フープのエレベーターは建物の外側に付いてて、ガラス張りやから外からエレベーター内が丸見えなんですよね。

まず、普通に最上階まで上がります。







人が乗り降りしてる間に俺は素早くズボンとパンツを下ろしました。



扉が閉まり下へ向かうエレベーター。



満員の中、ガラスに張り付いた一つのケツ。



1階に着いた時にチラっと皆を見ると腹を抱えて笑っていました。

女性達には立ってられない程ウケています。


(コレはまだ追い討ちかけれる!!w)


幸い、乗って来る客は居らず。






俺は降りずにまた上を目指しました。



天へと昇る俺のケツ。



皆を確認すると更に笑い転げています。


(ヤバイwww今俺、笑いの神きてるwww)



「次は少しポーズを変えて降りてやろう」と考えていた時でした。



最上階に着き、扉が開くと大勢の女性。


その内の一人と目が合い、しばしの沈黙。




「…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」




(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!退学なってまう!!何か言い訳…)



「あっあの、罰ゲーム…なんですっ!」



言い終わると同時に閉まる扉。


素早くズボンとパンツを上げ、何事も無かったかの様に皆の元へ戻りました。




「どやった!?w」


「意味分からんwww何でそんなんしたん!?w」


「俺…そうゆう病気やねん…」


「なぃwwwそんな病気なぃからwww」



笑いも取れて満足した俺は番号交換に移りました。


「とりあえずコッチ人数多いしやぁ、今から遊びに行くにしても微妙やから、番号交換してまた人数合わせて遊びに行こうや??」


「ォッケーw」


ガン黒セーラー服はくっしんと番号交換し、俺は控えめ古着と交換しました。


「アドレスは??」


「ぁ、それJ-PHONEゃろ?ゥチもJ-PHONEゃからスカィメールできるゃん!」


「オッケオッケ!何て登録しといたらえぇ??」


「Eゃで!ソッチゎ?」


「俺ヨシアキ!ほなまた連絡してなー!」



しかし、これだけの獲物で満足する俺らではありません。

女性と別れ、狩場をアポロのプリクラコーナーへと移します。


「全然おらんなぁ」

「まぁ時間も時間やしなぁ」


時刻は夜の8時。

アポロ内の映画館前の喫茶コーナーでダベっていた時でした。


俺の携帯へ一通のスカイメール。

さっき番号交換した控えめ古着のEからでした。


「まだ天王寺ぉる?今から二人だけで会ゎれへん?」


静かに携帯を閉じます。


「俺ぼちぼち帰るわぁ〜」

「何かあるん?」

「いや、ちょっと用事思い出してん。お疲れー」


こいつらに言えば行かせてくれるワケがありません。

行かせてもらえたとしても確実に着いて来るでしょう。


アポロを出た俺はEに電話しました。


「もしもーし、今どこ??」

「今歩道橋の上ゃでー」

「そこあかん!!奴らにバレる!!」

「ぇ?ゎかったwどこぃったらぃぃ?」

「さっきのフープんトコおってや!」


尾行されていない事を確認し、素早く待ち合わせ場所へ向かいました。


「ごめん、待った??」

「んーん、ゥチも今来たw」

「そっか。んで何で俺だけなん??w」

「んー?w何かぃぃなぁってw」


(キタコレwwwやっぱ俺イケメンwww)


「ほんで??w」

「ぇー?w…二人だけでもっと喋りたぃなぁって…w」

「え!?しゃぶりたい!?しゃぶる??w」


携帯のリアルチンコキャップを差し出す俺。


「ちゃぅゎ!w…ホンマ、黙ってたらカッコィィのにw」

「良く言われる」

「もぅ!wムカツクw」


そんな他愛も無い会話をしていました。
時刻は夜の10時。


「もう10時やけど帰らんでえぇの??」

「んー、そろそろ帰ろかなぁ」

「家どこ??」

「鳳ってゎかる?」

「おー、結構遠いなぁ。ほな駅まで一緒に行こか」

「ぅん…」

「どしたん??今夜は帰りたくないのとか言うん??w」

「ちゃぅゎ!w…一緒にプリクラ撮ってくれゃん?」

「えぇけど、何で??w」

「撮りたぃからっ!」



(「こんな男前にナンパされた!」って友達に自慢するタメですね??分かりますwww)



少し駅前から離れたプリクラのみのゲーセンへ。



まず、普通に一枚。

変顔で一枚。


「あ、なぁなぁ!なんちゃってキスプリ撮ろうやw」

「なにょそれw」

「ちょっとだけ隙間空けて顔近付けて、ハートのスタンプで唇んトコだけ隠してホンマにキスしてる様に見せんねんw」

「それしてどぅすんの?w」

「明日あいつらに見せたら羨ましがるやろ??w」

「ぇぇょw」

「ほなコッチ向いて顔近付けてや」

「はぃ」

「リアルな感じ出すタメに目閉じてなw」

「はぃw」



3、2、1




ちゅっ




「…ぇ?」

「お前のチュー顔にムラっとしてホンマにしてもたw」

「もぅっ!w」

「嫌やった??」

「…嫌じゃなぃけど」

「けど、何??」

「…期待するゃんか」




(落ちたなwww)



ハイ、コレ当時良く使ってた手です。

キスって結構簡単にするけど、意識的にはでかいモンやないですか??

軽くキスしただけでも、相手に対して好意を持ってりゃ、女性って結構意識してまうでしょ??

「あ、目に何か付いてる。ちょい目ぇつぶって」とか、色々バリエーションは豊富です。

今でもたまに使います。





「絶対連絡してゃー?」

「分かった分かったwとりあえず無事に家着いたらメールして!」

「ゎかった!」

「ほな気ぃつけてなー」













高校3年生、1学期中盤の中盤。

後の元嫁と付き合った時の5股の内の一人の誕生でした。
高校3年生、1学期中盤。


俺はEと付き合う事になりましたが、やはりナンパに明け暮れていました。



「ゥチの男だぃぶゃゃこしぃで?」

「あぁ、大丈夫!得意分野♪」

ちゅっぬちゅっれろれろ…



「ゥチ、昔色々ぁって男の人が怖ぃねん…」

「俺でリハビリしたらえぇがな♪」

ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ…



「ゥチ、こ「SEXしよう!!」

パンッパンッパンッ…




ホンマにそんなんでした。


Eと付き合ったことによって、ナンパフィールドは天王寺から京橋へ移りましたが、何も変わらん毎日でした。


ちなみにEは天然のパイパンでした。

今までも何人かは天然でパイパンの女性がいましたが、天然パイパンは俗に言う“名器”が多い気ぃするんは俺だけですか??





一切の薬物と決別し、SEXオンリーの健康的な生活を送っていた俺に、一本の着信が入りました。

地元の女友達のK子からです。


「ほいほい、どしたー??」

「ぁ、もしもしスティーブ?ァンタDJか何かゃってたょなぁ?」

「おー。ラッパーやでー。なんでなん??」

「なんか友達でダンスゃってゃる子がぉって、音源をどーのこーのって言ぅてんねんゃんかぁ」

「あー、音源の編集か??」

「そぅ!それ!」

「この曲とこの曲をこんな風に繋げてくれとか無いの??」

「何か急ぎらしくて全部任せるって言ぅてゃったで」

「普通そういうもんやないんやけどなwまぁ知り合いのDJに頼んだるわ。また出来たらお前に連絡するわな」

「ぁりがとー!ほなまたねー」




当時からだぶるわいさんは女ネタの匂いには敏感です。

「この絡みが上手い事いけばダンサー食える」

その程度にしか考えてませんでした。


翌日、クラスメイトであり、ツナキのバックDJでもあるくっしんにダンス音源の制作を依頼。

「任せるっちゅうても、どんな感じにしたらえぇんよ?w」

「何か適当にノリのえぇ感じにしたらえぇんちゃん??wめんどくさかったら何かのMIXCDとか録音するだけでもえぇでw」

「まぁ適当にやっとくわw」



必要なんは“俺の顔でダンス音源を作ってもらえた”という事実。



翌日、くっしんから完成した音源を受け取り、K子に連絡を入れました。

「音源出来たけどどないしたらえぇのん??」

「ぁ、一回連絡してからまた折り返してぃぃ?」

「はいよ」

またすぐにK子からの着信がありました。

「今日時間ぁるー?」

「あるよー」

「ほなァタシがもらぃに行くゎー。ほんで、ダンサーの子が直接ぉ礼言ぃたぃって言ぅてるんゃけど、ァンタの連絡先教ぇてかまへん?」

「別にえぇけどwまぁまた学校終わったら連絡するわ」

「はーぃ。またねー」




(はいキタ、俺イケメンwww)


もうこうなれば食ったも同然。

ダンサーからはすぐにメールが来ます。


「初めましてー。K子ちゃんの紹介で音源作ってもらったYです。ホンマにぁりがとぅござぃます。めっちゃ助かりましたー」

「全然気にせんでえぇよー。また力になれる事があったら何でも言うてや」


そんな他愛も無いメールを何通か交わしていました。


(さて、どうしよかな。普通に誘ってもいけそやけど、警戒されても嫌やしちょこちょこメールしてゆっくり育てるか…)


「まぁまた暇な時にでもメールしてやぁ」

会話を終わらそうとして送ったメールの返事が来ました。


「てか…K子ちゃんから何も聞ぃてません?」

(ん??)

「いや、何も聞いてへんけど…??」

「一応、紹介って形で連絡先教ぇてもらったんですけど…w」






(K子…中々えぇ仕事するやんw)


高校ん時の“紹介”ってお互いに付き合う満々やないですか??

だから“紹介”って言葉が入るだけでだいぶ楽なんです。

メールしてるだけで勝手にその気になってくれるから、口説く手間省けるしね。



「あ、そーなんやwほなまぁ…よろしくw」

「ぁー、何かめっちゃ恥ずかしぃんですけどwこちらこそょろしくぉ願ぃしますw」

「てか、タメやろ??敬語やめやw」


そっからは「どこ住んでんの?趣味は?好きな音楽は?」的な、紹介された時定番の質問合戦です。

Yの地元は門真市。

俺の地元の鶴見からチャリで行けるご近所さんです。


(熱いなぁ〜wご近所でダンサーとか熱いなぁ〜w)


いつでも会える距離と、Yが俺の写メを見て「この人紹介して!」と頼んだという情報から、「もうこの女はいつでも食えるwww」という妙な余裕が生まれました。
-さらに数日後-



Eともちゃんと続いてて、天王寺のラブホ「ホワイト」で良くSEXしていました。

Yともちょくちょくメールを続け、会う約束なんかもしてました。


そんなある日、高校の仲良しグループでバーベキューをする事になりました。

場所は浜寺公園。

総勢50名程の大宴会です。



皆さんも経験あると思うんですが、何で学生時代の飲み会って基本一気なんですかね??

しかも絶対断れないでしょ??w

俺も今は全く飲みませんが、当時は浴びる様に飲んでました。



そのバーベキューでも一気コールは鳴りやまず、チューハイやビールの空き缶がどんどん積み上がっていきます。

俺は炭酸が無理なんで、コンビニで売ってる安い日本酒「鬼ころし」をパックで一気なんかしてました。

周りからは歓声が沸き、おれの心は反省で満たされます。

当然悪酔い。

周りも酔っ払いばっかなんで、誰が何をしようと誰も止めません。


ちょっとでもイジッたバイク等が通れば、3K(3つの危険な高校)の10K(10人の危険な奴)である俺と武田の出動です。


「ヨシアキィ〜!行くどぉ〜」


武田が許可も得ずにカズキの単車にまたがり、俺をケツに乗せて追跡開始。


「ちょぉ〜、絶対事故らんといてやー!?」


カズキの悲痛な訴えは武田のフカシコールによってかき消されました。




「待てコラクソガキィ〜!!」

見た感じ、改造原チャリ集団は中3〜高2。

武田は180センチを越える巨漢。

こんなゴツイの二人に追いかけられてかなりの恐怖やったでしょうねw


そして、浜寺は武田の地元です。

当然地の利はコチラに。

一人の少年を行き止まりまで追い詰めました。


「誰の許可得て浜寺走っとんじゃクソガキィ〜」


武田がバイクを降り、少年に近付きます。


「待て武田!まだ手ぇ出すな!おい、お前逃げてった奴全員に電話して呼べ」


必死で電話をかけ続ける少年。

しかし一向に出る気配はありません。

逃げる事に必死で気付かんのか、見捨てられたのか…。


「もうえぇわ。お前いくつや??」

「じゅっ、16です」

「高1か。高校は??」

「こっ、興國です」



後輩でしたw



「お前後輩か!?wはよ言わんかいやぁ〜w」

バチィッ!!

武田が笑顔で少年を殴り、吹き飛びました。


「だ、だって先輩は僕らの事なんか知らんやろうし、酔うてはるし…僕、怖くて怖くて…」


とうとう少年は泣き出してしまいました。


「まぁえぇわw気ぃつけて帰れよw武田ぁー!帰るぞー」

帰りは俺が運転です。


















おもっきりコケましたwww


タンクがベッコリいっちゃってます。





「あ、ヨシアキと武田帰ってきた!」

「お帰りぃ〜wどやった?w」

「後輩やったわw」

「ホンマけ〜wバリ可哀そうw」



ベッコリいった方のタンクが見えへん様に単車を止めると、泣きそうな顔のカズキが近寄って来ました。


「大丈夫!?事故らんかった!?」

「うん。だいじょぶ」

「何で棒読みなん!?」

「ううん。なにもないよ」


「あ〜、痛ぇ〜」

少し離れたトコロで武田が唸ると、周りが騒がしくなります。

「どないしたん!?膝から血ぃ出てるやん!」


カズキは俺を一瞥すると、ベッコリいってる方へ回り込みました。




(゜Д゜)←ホンマにこんな顔してたんです。


「ちょっ、おま…これ…ベッコリ、ちょ…」



(アイツ酔うてるし、何も覚えてへんやろうから、アイツのせいにしよう)


「アイツだいぶ酔うてたからなぁ…追いかけてる時にスリップしよってん。俺が運転するって言うたんやけどなぁ…何か、ごめんな」


「えぇよ…武田に修理代出さすわ…」


(武田よ、許せwww)



ショックを隠し切られへんカズキとドンチャン騒ぎを続けるアホ共を尻目に、寝転んで携帯をイジっていました。



(酔うた勢いでYに電話したろかな…)


時刻は深夜2時過ぎ。

悪酔いしてる俺には常識や気遣い等皆無です。



prrrr…

prrrr…

prrrr…



「はぃ?もしもし?」































「お前、俺の声初めて聞いてオメコびっしょびしょやろ!?w」





高校3年生、1学期中盤の終盤。

近い将来、自分の嫁さんになる女性との初会話でした。
高校3年生、1学期中盤の終盤。


俺は酔った勢いで電話をかけ、会った事も無いYにセクハラ発言を続けていました。



俺「なぁ、濡れてんねやろ??wビショビショなんやろ!?w」

Y「濡れてへんゎっ!wカッピカピゃ!w」


普通ならこの時点で切られてもおかしくありません。

意外にノッてくれたYに気を良くしたお馬鹿はさらにエスカレートしていきます。



俺「もうえぇって!wはよパンツ履きかえろ!んで、写メ送れ!」

Y「無理ゃし!w時間考ぇて?普通にスッピンゃからw」

俺「えぇから送れやぁ〜…俺、お前がどんな顔でも愛す自信あるねん……ぷふぅ〜wwww」

Y「笑ぅんゃったら言ゎんとぃてくれへん?wてかホンマにスッピンゎ無理ゃからな!」

俺「もうえぇわ!Yちゃんのアホ!うんこ!蝉の抜け殻!」



勝手に電話をかけ、意味不明な言葉を吐き、勝手に切ってやりました。

写メこそ入手出来なかったものの、妙な達成感に包まれた俺はまだ騒ぎ続けるお馬鹿達を尻目にボーッと空を眺めていました。



prrrrr…

prrrrr…



ふと携帯がメールの受信を知らせます。


(…Yからの怒りのメールかな??)


メールを開くと「ホンマに知らんからなっ!どぅぞ引ぃて下さぃ…」という本文に添付ファイルがついていました。


画像は、スヌーピーのぬいぐるみを抱いたスッピンのY。







(キメェwwwぬいぐるみ抱いてちょっとでも可愛さアップ狙ってんのが尚更キメェwww)


それがその時の率直な感想です。

自分から写メを送れと言っておきながら、そのメールに返信する事もなくお馬鹿達の輪に加わり、朝方になるまで騒ぎ続けました。




再び意識が戻ったのは翌日の夕方。

何とか自宅へは無事に帰ってこれた様です。


(頭いてぇ〜…)

今が何時か確認しようと携帯を手に取ると一通のメールが届いていました。






「Y:ぁ…ホンマに引ぃた?」




一気に酔いも醒め、前日の自分の最低っぷりが脳裏に蘇ります。


(これはやべぇwww)

すぐにYに電話をかけました。



prrrrr…

(出てくれんかったどうしよw)

prrrrr…




Y「もしもーし」

俺「あ、Yちゃん!?ごめん、今メール見た!ベロンベロンで今まで寝てもうててん!」

Y「そーなんゃw大丈夫なん?」

俺「もう全然大丈夫ってかごめん!俺めっちゃいらん事とか言うてたやろ!?」

Y「ぃらん事なぁ…w覚ぇてなぃん?w」

俺「多少は覚えてんねんけど、何言うたとかはあんまり…」

Y「ほんまYがどんだけ傷付ぃたかw“俺の声聞いて濡れてんねやろー!?”とか、めっちゃひつこかったでw」

俺「うーわ…マジごめん。俺最低やなぁ…で、濡れた??w」

Y「まだ酔ぅてんの?w」

俺「酔うてる酔うてるwYちゃんにな」

Y「もぅぇぇってwどぅせ写メ見て引ぃたんゃろ?w」

俺「いやいや、普通にスッピンで可愛いやん!めっちゃ可愛かったで!スヌーピーが」

Y「めっちゃむかつくんゃけど切ってぃぃ?w」

俺「冗談やんwてか、Yちゃん一回遊ぼうやー??」

Y「…ホンマに引ぃてなぃん?」

俺「引いてへんってwいつ暇よ??」

Y「ん〜、月曜日が休みゃねん」

俺「ほな来週の月曜会おや!俺ちょっと用事あるから、それ終わってからなるけどかまへん??」

Y「何時ぐらぃ?」

俺「夕方には終わると思うけど、またその日に連絡するわ!」




そんなこんなで初デート(?)の約束を交わし、また普段と変わらぬ日常へと戻りました。

ちなみにYは高校へは行っておらず、当時は美容師をしておりました。



この頃、天王寺のナンパで付き合ったEとは一ヵ月記念日を迎え、家に転がってたシルバーの指輪を「一ヵ月記念日のプレゼント」と言って渡すと、偉く感激されてお返しに10万ぐらいの時計を買ってくれました。

そんなつもりは毛頭無かったんですが、何か騙したみたいで未だに罪悪感がありますw
−Yとの約束の日−


俺は朝から関目の自動車教習所にいました。

免許を取って1回目の交通違反をすると“初心者講習”というのを受けないといけないんですが、それを受けに来てたのです。

俺の他に受けに来てるのは3人。

オッサン、オバハン、ヤンキー姉ちゃん。






(父さん…色気を感じる…!)


俺の女体レーダーが反応したのはヤンキー姉ちゃん。



ちなみに女体レーダーといっても、当時は坊主なので本家みたいに髪の毛は立ちません。

ヒゲがムズムズする程度です。




ヤンキー姉ちゃんは目測でEカップ。

顔は相川七瀬を2,3回どついた感じ。



(…まぁ乳で許す)


安全指導ビデオみたいんなんをボーっと見つめるヤンキー姉ちゃんに声をかけました。


俺「ダルない??w」

ヤ「ダルィw」

俺「どっから来たん??」

ヤ「ヒガョドって分かる?東淀川」

俺「ごめん、全然分からんwいくつなん??」

ヤ「19ゃでぇ。ぃくつ?」

俺「年上なんや?俺17やで」

ヤ「は!?年下!?ぁりぇんしw絶対嘘w」

俺「そんな嘘つかんしwほら、免許証見てみ」

ヤ「ぇぇ〜マジゃw何かショックゃねんけどw」



講習中はずっとそんな他愛も無い会話をしていました。

講習も終わり、番号ぐらい聞いとこかなと思っていると、向こうの方から声をかけてきます。


ヤ「ぉ疲れー!」

俺「おう、お疲れ!」

ヤ「もぅ帰るんー?暇ゃったら遊ばん?」









(サーセンwwwイケメンでサーセンwww)


番号どころかデートのお誘いに一瞬我を忘れかけましたが、この後Yと会う約束です。


(うわぁ…どーしよ…でもYとは前から約束してたしなぁ…やっぱY優先やわな)

























俺「大丈夫やで!どこ行く??」


(Y…ごめんwww)


この時すでに俺の中でYは“食える”っちゅう確信があったので、“食える事が分かってる女より新規開拓やろ”という、無駄なフロンティアスピリットを発揮してしまったのです。

後にこの行動があんな修羅場を招くとは知らずに…。




とりあえずコンビニでジュースでも買って喋ろうって事になったので、教習所の近くのサークルKへ向かいました。


−ウィーン…−


店「ぃらっしゃ…」



当時から俺と知り合いで、後にYとママ友になるCが働いていました。


C「…ぃませぇ〜♪」


女連れの俺を凝視したままCはニヤニヤしています。

特にマズイ事も無いのに動きがぎこちなくなってしまう俺。

ぎこちない動きのままパックのコーヒー牛乳とミルクティをCの待つレジへ。


ピッ

ピッ

C「…2点で合計210円なりまぁ〜す♪…彼女?w」


代金を渡し、無言で首を横に振る俺。


俺「…ダレニモイワナイデクダサイ」


目合わせずにその言葉だけを残し、店を後にしました。




今思うと何であの時あんな気まずかったんですかねぇ??w

Cとはそこまで中良かったワケでも無いし、当時の女性関係知られてたワケでも無いんですけどねぇw

若さってヤツなんでしょうかw




話は戻り、近くの公園に座って他愛も無い会話をしていました。


俺「てか、名前知らんでなぁ??w俺ヨシアキ」

ヤ「ホンマゃwァタシはRゃで」



彼女が後に五股の二人目となる女性です。



不意に携帯が鳴りました。

Yからのメールです。

「Y:何時頃なりそぅ?」

時刻は夕方5時。


(連絡すんの忘れてた…ん〜、はよ行ったらなアカンわな…先約束してたんYやし…)

























「8時頃なるわ」と返信。


もうね、タイムマシーンがあるんならこの時の俺を殴ってやりたいです。

お前はアホか、と。

お前がその女に色目使ったせいで将来の嫁さん傷付ける事なるんやぞ、と。



まぁ、若さ…ってヤツですかね(´盆`)



Rと連絡先の交換をして、Yとの待ち合わせ場所の“なみはやドーム”前に到着したのは8時を回った頃でした。


大階段に一人のB-GIRLが足を組みタバコを吹かしています。



俺「めっっっっっちゃごめん!!だいぶ待った!?」





Y「…何してたん?」


俺「え…いや、あの…」











高校3年生、1学期終盤。

後に俺の嫁となり、今までの人生で唯一俺を尻に敷く女性との初対面でした。
大きく二つに分けるなら“キレイ系”。

もう少し細かく分けるなら“イカツイ系”。

身長150センチ弱。

俺との身長差頭一つ分。

思えば、だぶるわいさんの“身長低い女性好き”はコイツから始まったのかもしれません。



Y「何でこんな遅ぃん?」


明らかに不機嫌。


俺「…まぁ、色々ありましてwホンマごめんな??だいぶ待った??何か飲む??」



Y「“何で”こんな遅なったん?」

この時は別にYに対して何の感情も無かったし、(別に食える女一人減るくらいえぇわ)と思って、正直に事情を話しました。


(まぁ絶対帰るやろな)




Y「ぁははははwなにそれwてかそんなん正直に言ぃなゃw」

俺「え??…えへへw」


予想外の反応に驚きながらも、許して(?)もらえた事ですぐに打ち解ける事が出来ました。



他愛も無い世間話、音楽の話、お互いの過去の恋愛話…

2時間ぐらいは喋り続けたんやないですかね。

「そろそろ解散しよかー」的な空気になった時に、ふと彼女が言いました。


Y「なぁなぁ、写メ撮らせてゃ」



(ハイキタコレ俺イケメンwww写メ撮りたくなるんもしゃーないwww許すwww)



「え〜??w写メとかえぇってぇ〜w」とか言いながら顔は完全にキメ顔。


ティロリロリンッ♪


「てか俺の写メなんか撮ってど−すんよ??w」と彼女の携帯を覗き込むと、俺の写メは“大魔王”というファイル名で登録されました。




何か納得がいかぬまま途中まで彼女を送り、二人のファーストコンタクトは終了。


その後もほぼ毎日の様に連絡は取り合っていましたが、特に進展する事はありませんでした。



学校の方も特に問題も起こらず、八階建ての新校舎が完成。

俺のクラスは新校舎の6階になりました。

生徒数1000人以上に対して、エレベーターは二基。

当然登校時は常にエレベーターがパンパンの状態。

共学なら大歓迎やけど、男子校ですよ??

夏とかホンマ最悪でした。


以前、主催イベントを手伝ってくれたレゲェセレクターの子が興國の後輩やって、イベント後に喋ってる時に「ヨシアキさんですよね?」って俺の事を覚えてたんですよ。

その子が言うには、俺が先に乗ってたエレベーターがスカスカやったから乗れると思って駆け込んだらしいんです。

エレベーターに乗った瞬間に俺がその子の肩を殴ったらしいです。

吹っ飛んでエレベーターの外に出された彼に、「階段使えや」とだけ言うて呆然とする彼を尻目に閉ボタンを押したらしいです。








まっっっっっったく、記憶に御座いませんwww

多分他の子にもやってたんでしょうねw

まぁ、当時は「俺がココの王様や」なんて素で思ってたんでねw

痛い過去ってヤツです。





話は戻りまして、Yとの進展は無いまま教習所で知り合ったRとも付き合う事になりました。

後の五股の二人目ですね。

もちろん、天王寺でナンパしたEとも順調に交際してましたよ。



いわゆる、“セフレ関係”やったらもっと大勢と同時進行してた事もあるんですが、告白されてちゃんと“恋人”って関係なったんはこの人数が最多です。

今後も更新される事は無いでしょう。

てか、今思うと五股でもアホ過ぎるわw

多分当時は金玉タップンタプンで、性欲とイキリの塊やったんでしょうね。

“抜かずの3発”とかザラでしたもん。

あの頃の性欲が欲しいです。
Rはヤンキー女性のお約束通り口が悪く、正直全く好きなタイプではありませんでした。

ただ、すっげぇカラダの相性が良かったんです。

だぶるわいさんの趣味がハメ撮りになったのもコイツのおかげ(?)です。

普段口悪くてふてこいクセに、SEX中はめっちゃ従順なんですよ。

しかも、めっちゃ乱れるんです。

自らチンコ奥までくわえてヨダレ垂らしながら涙目で懇願するんですよ。

「入れて下さぃ」って目で訴えてくるんですよ。

そんなん撮りたくなっちゃうでしょ??





あ、俺だけ??w


まぁ今でもこんだけ鮮明に覚えてるぐらい良かったんです。

シャブやめてからはホンマにSEXの事しか考えて無かったですね。


SEX、SEX、雨、SEX…みたいな。


唯一ひっかかってたんが、“Yが俺になびけへん”という事実。

連絡は相変わらず取り続けてたし、たまに会って喋ったりもしてました。

(自分から「紹介して」とか言うたクセに何でなびけへんねん)

自分から口説くんもめんどくさいし、切ろかなーって思ってた時にメールが届きました。




「Y:ちょっと会って話したぃ事ぁるんゃけど…」




(とうとうこの時が来たかwwwイケメン過ぎて中々告白出来なかったんですね??分かりますwww)

てか、このタイミングやったら誰でもそう思うでしょう??

とりあえず夜中に鶴見緑地付近の、地元では“スタジアム”と呼ばれている場所で会う事になりました。






Y「ぁんな…」


俺「おぅ…」


(コイツはどっちで来るんやろ??w「好きです」って直球系かな??w「一緒におりたい」とかの遠回し系かな??w)








Y「美容師ゃめょぅと思ぅねん…」




















俺「…ふーん」
いやいや、拍子抜けでしょ!?w

とりあえず相談を受ける事に。


てかね、アタシ昔っから何かと相談受ける事が多いんですよ。

ちょっと前も面白い相談がありました。



「お父さんってどうやったら見つかりますか?」

「家から借用書出てきたけどどうしたらえぇですか?」

「可愛い女になりたいんですけどどうしたらえぇですか?」

マイミクさんです。

もちろんちゃんと答えてあげましたけど、貴女達の中で俺はいったいどんな存在なんですか??w


んで、昔っから相談ばっかされてたアタシは一つの真理を見つけました。



“相談してくる奴が求める答は2択のみ”



自ら他人に相談してくる人間って、自分の考えを“肯定”して欲しいか“否定”して欲しいかどっちかなんですよね。

結局自分の中で答えを出してしまってるんですよ。

俺が「こういう風にしたら??」なんて言うても結局自分の答えは変えないんですよ。

要は、上手い事その子の中で出てる答を聞きだして、“肯定or否定”どっちを求めてるんか見極めてあげたらえぇんです。

後は適当に綺麗事を見繕って文章を組み立てて言うてあげるだけ。

まぁ、コレは俺なりの真理なんで絶対では無いでしょうけどね。



で、Yが(何を言うても辞めるんやろうな)と判断した俺はこう言いました。



「辞めて何かやりたい事あんの??もし無かったとしても“やりたい事を見つける”ってのも立派なやりたい事やけどな。“何事も経験”って言うやん??経験ってのは、“経験したその瞬間”ってのはマイナスになる事もあるけど、経験した後は絶対にプラスになんねん。極端な話やけど、仮にレイプされたとしても気の持ち様でプラスになる。レイプされたその時は精神的にも肉体的にも考えられへんダメージやろうし、一生そのダメージは残るかもしれん。でも、そっから立ち直れたら二度とレイプされへん様に“対策”が出来るし、同じ様な目に合った子とか合いそうな子を助ける“応用”も出来るやろ??だからどんな経験でも自分次第で絶対にプラスに出来るねん。お前が何かやりたい事を見つけて美容師に戻らんくても美容師時代の経験は何かに活かせるし、別の何かを経験した後に美容師に戻っても別の何かで経験した事はどっかで活かせる。俺も色々いらん経験してきたし、いらん経験させたオカンの事大嫌いで恨んでるけど、今はいらん経験させてくれた事も感謝してる。だってホラ、そのおかげで今お前の相談に乗れてるやろ??w」



完全に綺麗事ですね。

何事も経験??

死ぬ事も経験したら気の持ち様でプラスになんの??

死んだら対策も応用もクソも無いですからね。

正確には“死ぬ&必要最低限の文化的な生活を送られへん様になる事以外は何事も経験”ってトコでしょうか。
Y「…ぁりがとぅ。何か辞めるって事が逃げてるみたぃで辛かったんゃけど、めっちゃ楽なった…」



とりあえずYの求める答は出して上げれた様です。

その後はまた他愛も無い話をしていました。

ふと、Yが俺の脇腹を突いてきます。


Y「こしょばくなぃん?w」




皆さんも経験があると思いますが、まだ恋人関係では無い奴とのSEXって高確率で、“こちょばし合い(くすぐり合い)”から始まらないですか??w

あとは「あ〜、めっちゃ眠いわぁ〜」「寝る?」ってパターンも多いですねw

要するにYとのSEXフラグが立ったのです。



俺「あー、俺くすぐったいトコ無いねんw」

Y「嘘ぉ〜?wじゃぁココゎぁ?w」


俺に半分カラダを預けた様な体勢で別の場所をくすぐり始めました。


俺「だから効かんってwてか、俺の番な」

だぶるわいさんがこのパターンに入った時にくすぐるのは、耳・首・内モモです。

何でかって??




くすぐっても変に思われなく、性感帯な可能性が高い部位やからです。


Y「ゃぁ〜wwwこしょばぃこしょばぃw」

Yは自分から仕掛けてきた割にはめっちゃくすぐったがりでしたw

俺「ごめんなさいは??」

Y「ぁぁ〜wぎょめっぎょめん、ごめん〜www」



俺「ごめん“なさい”は??」



Y「ごっwめっwんなさぃぃ〜www」

Yは解放しても息が荒く、へたり込んだままでした。


俺「大丈夫か??w」

首に腕を回し、抱き締める様にYを起こしました。


パターン的には、ココで目が合って一瞬時が止まってどちらからともなくキスですよね??w

で、一回目は軽く“ちゅっ”とやって離れてまた見つめ合うor「え?」とか「嫌やった?」とか「あかん?」とかって一言二言交わして、二回目で“ちゅっぬちゅぐちゅぬろれろれろ”ですよね??w






この時は全くありませんでした。

何でなんですかね??

いつもは外やからとか関係無しにやってたんですけどね。



ただ、その後は今まで一切無かった性の話になりました。


俺「お前ぶっちゃけ今まで何人に食われてん??あ、食うてん??w」

Y「何で食ぅに言ぃ直したん?wてか、そんなん秘密ゃしw」

俺「まさか処女では無いわなぁ??w処女とかバリめんどくさいからなぁ」



今は処女大好物です。

開発されたい方は是非(´盆`)




Y「ちゃっちゃうわ!w」

俺「ほな何人??w」

Y「…5人」

俺「案外普通やなw」




















その時は思わなかったんです。

この会話があの事件の引き金になるなんて。
天王寺でナンパしたE。

教習所でナンパしたR。

友達に紹介されたY。


彼女3人とセフレ不特定多数。


アタシは少し遅れてきた性春を、これでもかとばかりに謳歌しておりました。


Yとは以前のお話のすぐ後に付き合う事になったのですが、告られる前日にY&Yのダンスの相方カップル&Yを紹介してくれたK子カップルとカラオケに行ってたんです。

全員タメなんですが、17ぐらいの時の飲み方ってヒドイもんやないですか??

アタシも当時は浴びる様に酒を飲んでおり、その日も度重なる一気で速攻ダウンしてました。

酔ったアタシは自然と枕を求め、Yに膝枕される形に。

既にアタシに思いを寄せていたYは、その状態にドキドキしてたらしいんですが、アタシはYのスカートをヨダレでベチョベチョにした事がバレないかでドキドキしていたのを良く覚えております。




金もある、女にも不自由せん、学校じゃ王様。

だぶるわいさんが一番イキってた頃でしょうね。




そんなこんなで平和な日々を送っておりました。

学校帰りにゃEと会い、地元に帰りゃYと会い、夜中になりゃRと会い、クラブに行きゃワンナイトラブ。


ホンマあの頃のクラブって凄かったです。

オールジャンル全盛期&B-BOY全盛期。

オールジャンルのイベントでノリが良けりゃ喰える。

B-BOYってだけで喰える。

メロスカイベントでちょっと踊れりゃ喰える。

HIPHOPイベントでちょっとライブすりゃ喰える。


クラブ行ってSEXせずに帰るとかほとんど無かったですもんねw




そんな時に出会ったのが、26歳職業不詳のSでした。
今はもう無くなった某クラブでのライブ後、バーカンで友達と喋ってると一人の女性が近付いて来ます。

俺の横でテキーラを二つ頼み、俺の真正面に立ちました。


(あぁ、「カッコょかったですぅ〜」やろ??慣れてますwイケメンでサーセンw)

なんて思っていると、笑顔でテキーラを一つ俺に手渡し、「かんぱぁーぃw」と勝手にグラスを合わせ、飲み干しました。

俺も慌てて飲み干すと、彼女は俺に抱きつく様な形で首に手を回します。



「…ょかったょw」








耳元でそう囁かれ、不覚にも勃起しました。

「ライブが良かった」という意味やのに、SEX後の「気持ち良かった」の様に聞こえ、17歳の若さは我慢出来なかったのです。


気付かれたくないという恥ずかしさと、いきなりの出来事に固まっていると彼女が楽しそうに喋りだしました。



S「ぃくつなん?」

俺「…17やで」

S「若っ!wてか、絶対嘘w」

俺「ホンマやし。そっちはいくつよ??」

S「ぃくつに見える?w」

俺「20ぐらい??」



突然、ガバっと中腰の様な体勢で抱き締められました。


S「ァレゃね!君は見る目ぁるね!ょしょしw」


そのままの体勢で頭をワシャワシャと撫でられます。

普段ならイラっとして振りほどいていたでしょうが、不思議と嫌ではありませんでした。


その後も終始Sのペースで喋られ、気付けばクローズの時間。

二人でクラブから出るとSが伸びをしながら言いました。


S「何で帰るのん?」

俺「タクやでー」

S「じゃぁ通り道ゃん!ゥチまでの分出すし乗っけてってょ!」

俺「金はえぇよwほないこかー」


タクシーを止め、運転手に行き先を告げるとSは俺に寄りかかって言います。


S「ょしぁきちゃんデカイなぁw安心感がぁるゎw」

俺「はははwよぉ言われるわwでも、安心どころか危険かもしれんで??」


もう普通に喋れる様になった俺は、そう言いながらSの胸を突きました。


S「…ぉ姉さんはそぉぃぅのには動じへんょ」


そう言い、俺の手をはたきます。


(この流れは絶対SEX出来る流れやったのになぁ…よぉ考えたら番号交換もしてへんし。まぁえぇわ。)


少なからず落胆していると、タクシーが目的地に着きSが降りました。


俺「お疲れ〜」


不思議そうな顔でタクシー内の俺をSが見つめています。


S「…けぇへんの?」




(行きます!いや、イキます!wwwやっぱ俺イケメンでしたwwwサーセンwww)


慌てて清算を済ませ、また御機嫌そうな顔に戻ったSに手を引かれ、部屋へと向かいました。

「お邪魔しまーす」と玄関をくぐると、良く整理された1ルーム。

今まで見てきた“女の子の部屋”と違い、“女性の部屋”という印象でした。


S「そのへん座ってて〜。ぁ、ょしぁきちゃん汗かいてるゃんね?」

俺「ライブ後やからそらぁなw」

S「ょし、ぉ風呂入ろっか?」

俺「うん…え!?」

S「ぇ!?」

俺「お風呂入る?じゃなくて、入ろ?なん!?」

S「ぇ?嫌?」

俺「嫌じゃ無いけど、俺絶対勃つで??w」

S「ぁははwじゃぁ、お姉さんがサィズ測定したげるょw」


別に裸を見られるのが恥ずかしいとかは無いので、ささっと服を脱ぎ風呂場へと向かいました。

ほぼ同時にSも入ってきます。


S「ぉぉ、ょしぁきちゃん美味しそぅな身体してるねw」

当時はシャブ痩せでえぇ感じやったんです。



フル勃起したまま身体を洗ってもらい、先に出る事に。


S「バスタォルそこ〜」

俺「はーい」

S「上の下〜」

俺「はーい…何が!?」


風呂場のドアが開き、俺の下半身を指差すS。


S「そ・れ・w」

俺「あぁ…どうもw」



その後は当然SEXもしましたが、年下やからって舐められちゃイカンと、全力で責め続けました。


事が終って一服中。


S「ょしぁきちゃん…ホンマに17?w」

俺「ホンマやでwSちゃんこそ17にイカされまくって、ホンマに26??w」

S「…ムカツクw」


胸元に噛みつきながらSが続けました。


S「ょしぁきちゃん良ぃなぁwゥチのペットにしてぁげょっか?w」

俺「“俺のペットにして下さい”の間違いやろ??」



5股の4人目が誕生した瞬間です。
この時点でYと付き合って一ヶ月が過ぎていましたが、SEXはまだしておりませんでした。

特に理由は無いのですが、何を考えたのか自ら「しばらく手は出さん」と宣言してしまったのです。


そしてとうとうYと結ばれる日がやってきました。


いつもの様にYの家でイチャイチャしていると、Yが凄くモジモジしています。

ちなみに手メコまではしておりました。


Y「…なぁ」

俺「ん??」

Y「…まだ?」

俺「何がよ??」

Y「…まだ…せぇへんの?」


この一言で俺に火が点きました。

いつも通りの愛撫に加え、Yにも御奉仕をさせます。


俺「上乗れや」

Y「ん…んぅっぁっ!」


とうとうYと結ばれました。


俺「おら、ケツ振れ」

Y「ぁっぁっはっはぁっぁぁっ」


異変はスグに訪れました。


Y「ぃっいっ」


「あ」から「い」という喘ぎ声に変わり、Yが動きを止めます。


俺「“い”なに??イキそう??」


涙目で頷くY。


体位を正上位に変え、腰を打ちつける俺。

Yは枕を顔の上にのせ、必死で声を押し殺しています。

俺も限界が近付き、Yの腹の上で果てると、Yは涙を流しながらキスを求めてきました。


Yがトイレに行った後、スグにイキそうになってた事や、涙を流してたのを見て、色々と物思いにふけっていました。


(入れた瞬間イクとか敏感やなぁ。泣くほど感じてたしなぁ。)


その後は狂った様にYともSEXをしました。


学校帰りに天王寺のラブホでEを抱き、地元帰ってYの家でYを抱き、夜中にRの家でRを抱き、ライブがありゃあSの家でSを抱き、毎日誰かしらとはSEXしてましたねw

Sとは付き合ってるというよりも、ラブラブなセフレという感じでした。

お互いに名前・年齢・住んでるトコぐらいしか知りませんでしたし、知ろうともしませんでした。

後々、このSが俺にどうしようも無い後悔をさせる事となります。




そして以前から引っ張っていた事件が起こる事となります。



Yとのお出かけ前、化粧をするYを後ろから眺めていました。

だぶるわいさん、女性が化粧してるのを後ろから見てるの好きです。


ぼーっと眺めている俺にYが切り出します。


Y「なぁなぁ」

俺「ん??」

Y「Yなぁ…」

俺「うん」



















Y「処女ゃってん」


俺「ふーん…へ!?」

Y「だからォッサンが初めてゃねんw」


ちなみにアタシ、Yには付き合ってから「オッサン」と呼ばれておりました。

付き合ってから離婚した後も名前で呼ばれた事はございません。

話は戻りまして。



そんなん突然言われても信じるワケないですよね??


俺「もうえぇってw前、5〜6人て言うてたやんけw」

Y「ホンマゃし。ァンタが処女めんどくさいとか言うてたから言ぇんかったんゃんか…」


見る見る内に涙目になるY。

後日、共通の友達数人に確認したトコロ、ホンマに俺が初体験やったみたいです。

って事は、アタシ処女に「上乗れや」とか言うてたんですねwww

しかも、「イク」の「い」やと思ってたんは「痛い」の「い」やったらしいですwww

感じ泣きやと思ってたんは痛み泣きやったみたいですwww


「言うてくれたらもっと優しく抱いたのに」と、軽く罪悪感にさいなまれました。
更に事件は続きます。


当時、だぶるわいさんが付き合ってた女性の内、SEX時にゴム着用してたんはEだけやったんですよ。

他は全員生。

Sに至ってはピル飲んでるからって中出し。

Rは腹、たまに顔。

Yは腹、たまに口。

そんな感じでした。


そして、ある日。

事件はEが初めて俺の家に来た時に起こりました。

なんやかんやして、SEX3回。

ゴム3個消費。


Eを駅まで送り、帰る途中にYから連絡がありました。


Y「今から行ってぃぃ?」

俺「えぇよー、迎えに行くわ」


そのままYと合流し、俺の家へと向かいます。


(別にEのモンとか置いてへんし、香水とかもつけてへんかったから、大丈夫やろ。)


そんな事を考えていると到着。




ここで余談を。

だぶるわいさん家はずっと犬を飼っております。

当時は三匹いました。

犬って家に誰かおる時はえぇんですけど、誰もおらんかったら悪さするんですよね。

しつけにもよるんでしょうがね。

トイレ以外でオシッコ&ウンコしたり、食べ物漁ったり、ゴミ箱ひっくり返したり。

ヒドイ時なんて、起きたら顔の横にウンコあった時もありました。

まぁそんな話はさておき。



Yは俺の家に何回か来た事がありました。

犬達もよく懐いています。

鍵を開け、戸を開けると同時に犬達が飛び出して、Yに集まります。


Y「ょーしょしょしw」

俺「ハウス!家入り!」


なんて言いながら俺の部屋の電気をつけると、ゴミがそこら中に散らばっておりました。

俺の部屋のゴミ箱がひっくり返されていたのです。


俺「コラ!もう〜最悪や…」

なんて言いながらゴミを片付けていると、ただならぬ気配を感じました。






Y「…それ…なに?」



















Yが指差す先には使用済みのゴム。

しかもティッシュにくるんで捨てたハズやのに、御丁寧に開かれています。



Yとはだぶるわい家でSEXした事もありますが、場所問わずゴムを使った事が一切ありませんでした。










アタシ、犬に浮気バラされちゃったwww








ど う な る 、 俺 。

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