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フェティシズムのすすめ  コミュの小説ショートショート 『よろしく輪廻転生』

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その男の名前は、キュー。
ルックスも良く、知能も人並みはずれていた。
学業、事業にも、その才能は活かされる。
饒舌でもあり、性別問わず人気もある。
一生使い切れない程の財を成し、資産家といえよう。
家族も奇麗な妻とかわいい子供に恵まれている。
セックスも強く、彼に最高の快楽を与えた。

しかし、光だけではやってこれなかった。
影の人生、そう、悪事にも人並みはずれていたのだ。
盗みや詐欺、殺人、ドラッグ、姦通、強姦、怠惰。
ありとあらゆる罪を犯してきた。
しかし運がいいのか、逮捕されることもない。
これといった神罰を受けた記憶もない。

つまるところ、そんなキューは孤独となる。
その心情は本人にしかわからない。
やがて宗教や精神世界に興味がいく。
自分とは誰か?
生死とは何か?
宇宙とは?意識とは?人間とは?

この世で一番の難問、『私とは誰なのか?』
この後、キューはこの惑星で初めての回答者となる。

運と金と才能。
もう一つの要素は、窮地。
この4つが揃えば必要なのは忍耐となる。

数千の書物から学び、身体と精神修行。
当然のことながら、答えはでない。
『私とは誰なのか?』
最高難度の迷路の中、キューは覚悟する。
全てを捨て、旅にでた。
そう、家族も名誉も財産も捨てて。

数年が過ぎ、生死をさまよう修行の旅は終わる。
ついに大悟し、全ては「ひとつ」であることに気付くのだ。

十年が過ぎ、初老となったキュー。
いまや世界政府を起案する指導者である。
彼の信者は世界中に数十億人、総人口の大半を占めた。
神や仏を肯定しながらも、人間の進化を中心に位置付ける教義。
宗教ではなく、信仰という原点をガイドした。
世界を共存共栄社会へと導く唯一の人物となったキュー。

やがて世界政府の初代大統領となり、最初の演説。
全世界の人々がネットやテレビで注目する巨大会場。
そこにはステージで救済を説くキューがいる。

「それでは皆様、おやすみなさい」 突然キューは叫ぶ。
観衆は意味が分からない。
キュウは手に持った赤いボタンを押す。
すると数十万人いる会場は一瞬にして消え去った。
なんと、最終兵器であるフォトン爆弾であった。
周囲数十キロは数秒のあいだに消え去った。


「おはようございます」
そして目がさめた主人公キュウ。
夢から醒めたのか、それとも夢の中なのか。
まるで神のような雰囲気の老人達が近づき云った。
「視聴率、全宇宙放送で一番でしたよ。」
「さすがですね、シナリオに忠実に演じてましたよ」
ねぼけまなこのキューである、無理も無い。
「ありがとう、番組のタイトルは、えーと、、、」
「ハイ、『惑星てららの大往生』です。お疲れさまでした」
「そうか、惑星てららだったね」

読者には、「宇宙放送」という事で理解できるだろうか。
そう、人生とは宇宙へ放送する映画。
多次元に放送するネットワークが宇宙には存在する。
シナリオも決まっており、人間はそれを運命と呼ぶ。
キューの正体は、視聴率により進化を遂げる連続生命体なのだ。

その脚本通りに演じきり喜ぶキュウに老人はねぎらう。
「最後の最後にやり残した最大の罪、『自殺』を持ってきたのはビックリです」

「よし、次は惑星もろとも爆発させるシナリオを作ろう。どの星がいいかな」

すると老人はつぶやいた 。
「えーと、次は地球という惑星への転生ですな、今回と同じような人類です」

終わり

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